悲しすぎて滅だわ
ライディの居る東側ピットとは逆側に位置する西側ピットには眼帯を付けた銀髪のロングヘアーの少女、ラウラ・ボーデヴィッヒがそこにいた。
彼女は現在ライディが所属している
「はぁ我ながら教官には無理を言ったものだな」
今回の模擬戦はラウラが五日前に千冬に提案して取り組まれたものであり、猶予を与えて訓練されたライディと自国の新型ISであるシュヴァルツェア・クーゲルの力量を自分の目で確かめることが目的であった。
「さて私も準備にかかるか……ん?」
自分のISであるシュヴァルツェア・レーゲンの調整をしていた時ラウラのスマホから着信があり画面を見てみるとそこには隊の副隊長を務めているクラリッサ・ハルフォーフの名前があった。
「私だ。」
『隊長!失礼を承知で至急お耳に入れておきたいことがありまして』
「いや今は模擬戦……と言うか決闘の準備中だから問題ない。それでどうしたんだ?」
『え、決闘!?』
「あぁ。私が織斑教官に提案した。それでクラリッサ、私に電話すると言うことは何かあったのか?
『あっ、実はライディから聞きましたけど仲悪いんですよね?』
「それがどうした?」
『昔は噛み付く奴でしたけど今は違います!ネーナ達とも仲良くしてますし戦闘能力は折り紙付きです!だから…』
「クラリッサ」
『は、はい』
「今回の模擬戦で私は奴の実力を自分の目で確かめるつもりだ」
『隊長……』
「だから心配するな……それと心配をかけてすまない……ありがとうクラリッサ」
『い、いえそんな勿体ないお言葉』
「ではそろそろ時間だ切るぞ」
『はっ! ご武運を』
私は通話終了ボタンを押して改めてシュヴァルツェア・レーゲンを再度展開してカタパルトへと歩みだした。
ライディのウインド画面にカウントが始まった。
『3、2、1、GO!』
勢いよく射出機からドームに飛び出し宙を舞った。
『IS反応あり』
そう忠告文が画面に現れてライディは上を見上げるとそこにはラウラとラウラのISシュヴァルツェア・レーゲンがそこにいた。
「来たか」
「あぁ。随分と待たせましたね」
ラウラは腕組みをした体勢でライディのことを見下げていた。
その視線に俺は少し狼狽えそうになるも耐える
「臆さずここまできたのは褒めてやる」
「奇遇だな。俺もそう思っていたぞ 日本では以心伝心って言うんだっけな」
「ふざけているのか……!」
「まぁ話はそこまでだ。 俺はあんたを超える。復讐の糧として見ていたが、今は超えたいと思っている」
あのISを復讐の為の兵器として見ていたライディが変わっていた事にラウラは内心驚いていた
「そうか………なら全力で来い!!」
開始のブザーが鳴るとお互いにまずは距離を空けた。
最初に仕掛けたのはラウラだった。
(まずは様子見からだ)
ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンのリボルカノンの銃口をクーゲルに向けて放った。
「あっぶねぇ!(いきなりかましてきやがった!)」
即座にオルトロスをコールし二、三発撃ち込むがその弾丸はAICで止められた
「どうした? 貴様の実力はそんなものなのか?」
「まだまだぁっ!!!」
すかさずラウラはリボルカノンでの追撃に入った。
俺も負けじとオルトロスで反撃する
「流石に相手が悪すぎるよな」
「そうですわね」
「アストラス君の武器的に不利すぎるよね」
「銃撃戦のISなのに近接武装が多いのか」
「あいつならどうするんだろうね」
第2アリーナの観客席で試合を見ている一夏、セシリア、鈴、シャルロット、箒は各々見た感じの意見を述べていた。
追撃ばかりは絵にならないと思っていた俺だが、突如警報が鳴りやがった
「ッ!? やべ!」
前を向くと6本のワイヤーブレードが飛んできていたのを何とか避けたが何本かは当たったためシールドエネルギーが削られてしまった。
「クソッ! 当たっちまった!』
「フン! その程度の攻撃すら避けられないとは元戦闘機のテストパイロットとは思えんな!」
「言わせておけば……!!」
流石に言われたら癪に触る為そろそろ反撃に出る!
俺は即座に左腕からソードアンカーを射出する用意をし、スラスター吹かせて接近し、即座に射出した
「うわ出たよなんか強い奴」
「遠距離にいる敵を引き寄せるというわたくしのアドバンテージ潰しで厄介ですわね」
セシリアの発言に一夏は納得していた。入学して早々にセシリアと決闘する羽目になった時、武器が近接ブレードしかなかった一夏はわざわざブルー・ティアーズのビットを掻い潜った事があるからだ
「でも シュヴァルツェア・レーゲンにはあれがあるからね」
一夏や他の専用機持ち達は知っている。あのシュヴァルツェア・レーゲンにはあるシステムが搭載されていることを。
実際に戦い苦しめられた一夏達はライディも使っていたあれをどうやってそれを攻略するのかをただ見守っていた。
「ほぉ流石に機動性はシュヴァルツェアシリーズの中でも最速か」
ラウラはクーゲルのスピードに感心するものの未だに余裕の笑みをこぼしていた。
クーゲルのソードアンカーをワイヤーブレードで迎撃するもソードアンカーに備え付けられたブースターで掻い潜りラウラの腕に貫通した
「しまっ!?」
「ハァァァッ!!」
そのまま巻き取られてライディに近づけられて弾丸の雨を浴びてしまう。そのまま遠心力で急旋回しながら銃弾を撃ち込んでいき、さらに巻き取って近づいてヴィダールによる爆破を受けてしまう
「ちょっとアストラスのやつあんな強かったっけ!?」
「いくらなんでも強くなりすぎじゃない!?」
「しかも腕を捻挫して復帰した後って聞いたぞ……?」
「ううっ……トラウマが…」
「セシリアしっかりしろ!」
よし、ここで一気に仕留める!
俺は隊長の背後を取り右腕のプラズマ手刀を現出させ隊長に向けて突撃した。
「甘いな!」
「なっ!? う、動けない………まさか!」
「そうだ……これがAICだ」
背後から攻撃を仕掛けたライディだったがラウラが掌を翳すと何故かシュヴァルツェア・クーゲルは空中で止まっていた。
これがラウラ・ボーデヴィッヒの専用機シュヴァルツェア・レーゲンの第三世代型兵器である。
今更だけどAICについて解説しよう
『AIC』正式名称はアクティブ・イナーシャル・キャンセラー。
慣性停止能力の名前の通り、ISに搭載されているPICを発展させたもので対象を任意に停止させることができる、
現在はシュヴァルツェアシリーズの3機に搭載されており、レーゲンは防御系でツヴァイクは攻撃系のAICを搭載している。1対1では反則的な効果を発揮するが、使用には多量の集中力が必要であり、複数相手やエネルギー兵器には効果が薄い。
「この様子だと
「ク……クソッ!」
やばいやばい!何とか……何としないとまずい!
一応左腕を何とか動かそうするがレーゲンのレールカノンがクーゲルに向けられる。
う、動けよクーゲル!!!お前にだってAICは搭載されてるのに姉のレーゲン に負けるのは嫌だろ!
「(イヤッ!イヤァァァッ!)」
「失せろっ!!!」
「クッ!」
巨大な爆煙が至近距離で起き2機のISを包み周りが見えなくなった。
「どうなったの!?」
「あの至近距離で砲撃されては流石に」
その時黒煙の中から出てきた元い吹き飛ばされてきたのはクーゲルだった。
「うおっとあぶ……あだぁっ!!」
吹き飛びながらも地面に手をつけて回転で相殺しようとしたものの思いっきり転んでしまう
(いってぇ………何とかソードアンカーのおかげで直撃を免れたとはいえシールド一気に減ったぞ!?)
(くっ! 何がおきた!私は確かに奴に砲撃をしようとしたが何かが当たったぞ!?)
ライディのクーゲルは左腕で銃弾を撃つのをやめてソードアンカーを射出し、右に大旋回してスピードに乗った刀身によって身体ごとずらされたのだ
AICには3つの弱点がある。2つは前述の通り多人数戦闘とエネルギー兵器が主にある、そして最後の3つ目の弱点はAIC同士の干渉による阻害である。これによりクーゲルのソードアンカーがレーゲンに当てる事に成功したのだ。
何とかなったけど……あれをやるしかねぇのか
「貴様……AIC以外にもあるんだろ! クーゲルの
「へぇーー……隊長さんも知ってましたか。なら見せてやるよ!!」
クーゲルの第三世代能力、最初はゲバルト・エクスプロズィオンを発動し瞬時加速のようなスピードを出す
「速っ……だぁ!?」
四方八方から弾丸を撃ち込まれたりバーストサーベルで爆破されたりとさっきとは不利になっていく
ラウラは負けじとワイヤーブレード六本全部展開するもライディに当たる直前に奴は消えた
(ど、何処行った!?)
「後ろだ!」
しかし後ろに回り込んでおり、後ろからオルトロスの炸裂徹甲弾を背中から受けてしまう。
「グァァッ!?」
ライディの定まらない自由な戦い方にラウラは防戦一方になっていた。
「すげぇな」
「えぇ」
「あのスピードは瞬時加速以上よ!?」
「あんな隠し球を持っていたとはな」
「でもデメリットもあるよね」
それを見て観客席にいる一夏達も同じ気持ちになっていた。
「くっ!」
ラウラが手を翳してAICを発動する。
「それはもう見飽きたってんだ!」
俺は即座にオルトロスを撃ち放ったが今回は違った。
それはオルトロスの炸裂徹甲弾にAICを纏わせておりラウラの身体に数発ぐらい着弾した
「なに!?」
「隊長ご存知なかったのか?AICはAICで対処可能な事をな!」
「(イヤイマサッキオレガオシエタダロ)」
「チッ!」
シールドエネルギーが減り1度後方にさがりレールカノンを構え始めた。
「くらえっ!」
レーゲンのレールカノンが連発で砲撃をしてくるがそれすらも回避した。
再び目にも止まらぬ速さで蹂躙していたクーゲルだが、ここで弱点が露呈する
『警告、 シュヴァルツェア・クーゲルの全スラスターオーバーヒート 自動的に冷却システムに移行します』
まさかのオーバーヒートしてしまった。
げ、高速戦闘だと短時間しか作動しないのかよ!って思ったけどEOS四天王戦だと短時間で倒したもんだから同じだと思ってしまった。
ISとEOSの性能差に改めて驚いた俺だったが強制停止する羽目になった
「取った!!」
「ちぃっ!」
お互いにプラズマ手刀を出して鍔迫り合いになり火花が飛び散る。
「うぉぉぉ!」
「はぁぁぁ!」
(くっ!スペックではこちらの方が上のはずなのに!なぜ決めきれない!)
ラウラはクーゲルの脚部ブレードに気付かずに蹴りを打ち込まれると同時にゼロ距離射撃で吹き飛んだ
ここで終わりかと思いきやAICで弾丸全て受け止めていた
「はぁ……はぁ……」
「流石だな……」
「隊長……アンタもですよ」
互いに距離を取った後俺は隊長を睨みつける
(さすが隊長……専用機持ちの中で実力と経験値が段違いだ……)
(クラリッサの言う通りだ……あいつ、強すぎる!)
ここに来てラウラは眼帯を粒子化。すると彼女の左目は黄金に輝いていた
「………!隊長、まさかアンタも
「あぁ。私はこれのせいで苦しめられてきたからな。 この状況を変えてくれた織斑教官と私自身を変えた一夏の仇を取る!」
背水の陣かのように終盤で出し惜しみで本気を出してきたので俺は目を閉じて同じくヴォーダン・オージェを起動した
「これでお互い様だな。」
「そうか………貴様も…なら丁度いい! お前を倒す!」
「俺も同じだラウラ・ボーデヴィッヒ少佐!!!!」
オルトロスを呼び出してリミッター解除、オルトロス二丁をラウラに合わせる
あの時更織楯無先輩に向かって撃ったのを学習して二丁で扱う事にした。あれは高火力高威力だがリスクが大き過ぎる。だから二つで撃つことで安定させる事にした。
ライディがオルトロスを構え、銃口から水色と青色のエネルギー弾が作られ始める
それに合わせてラウラとレールカノンを展開しチャージする
(ここで負けたら私は……私は……!)
ラウラは焦っていた。自分は戦う為に生まれた存在であるが故に一兵士に負ける事などあってはならなかった。
ましてや信頼する教官や愛する
「負けられないんだぁぁぁ!!」
ライディの心にも負けられない理由がある。復讐の為に超えるのは以前までそう思っていたが今は違う。
IS戦で負けるのが嫌だというのもあるし、自分の為に練習や座学を手伝ってくれた
「こっちも負けてたまるかぁぁぁぁぁ!!!!」
両者ともチャージ完了となり両者とも発射体制に入る
「「ハァァァッ!!」」
レーゲンによるレールカノンの砲弾とクーゲルの二つの頭を持つ狼オルトロスを模したエネルギー弾。
両者共にぶつかりアリーナは光に包まれる
「ま、眩しい!」
生徒達は目を伏せていたから大丈夫なものの普通に危ないので注意しましょう
互いの全力の砲弾とエネルギー弾は爆発し煙が舞い上がった。
(さて……あいつはどこに……っ!?)
煙は突然晴れ、プラズマ手刀に脚部ブレードと踵ブレード、ありとあらゆる近接武装を展開したライディだった!!
「そうくるか………来い!!」
「ウオラァァァァァ!!!!!」
何もかも使い切った二人は共有武器のプラズマ手刀同士で近接戦闘を行った。それにより互いのシールドも残りわずかとなる。
「ハァァァッ!!!」
(ここに来て大振り! 避けれる!)
ラウラはライディの大きく振りかぶったプラズマ手刀をバックステップで回避し,またレールカノンを撃ち込もうとする
「良い位置に避けましたね………隊長!!」
「何っ!?!?」
ライディの左手首にある調節ネジを思いっき捻るとプラズマ手刀が肥大化して紫色に発光し、ラウラの胴体に直撃した
「ぐぁぁぁっ!!」
ラウラのレーゲンのSEが無くなった所で落下する。
「………っ!!」
俺はなんとか彼女の手を掴み、高所からの落下を防いだ。
「大丈夫か!」
「………アストラス……中尉……??」
ラウラはライディが自分の手を掴んでくれた事に驚きながらも静かに着地した。
ビーーーーーー!
そう終了のブザーが鳴り響いた。
『 シュヴァルツェア・レーゲン! リミットダウン!!』
アリーナに放送が響き渡って一夏達やクラスメイトが歓喜する
『勝者!アストラス!!』
でもこの戦いで分かった事がある。ゲバルト・エクスプロズィオンは短時間のみ高速移動が可能な事。プラズマ手刀の出力は上げすぎないことという事がわかった。
ーー♢ーー
東側ビットにて俺はクーゲルを解除した後身体を伸ばし、そのままベンチに座った
「やったぁぁぁーーーーー!!!! 隊長に勝ったぞー! クラリッサさんやモルの奴驚くだろうなぁー!!」
「おーいライディー!!」
「って一夏!それに皆んな!」
一夏達は俺の勝利を祝ってくれたからか俺は嬉しくなった。
今まで勝つ事に拘っていたけどこんなに嬉しい勝利なんてない!
その後ミーティング含めてなんとか終わり俺は一人になっていた。
「はぁ……はぁ………流石に胴上げはきついって」
他の皆んなは先に更衣室へ向かったらしいんで俺も向かおうとしたがボーデヴィッヒ隊長が立ち塞がった
「中尉!!」
「はっ!」
俺は咄嗟に姿勢を正してボーデヴィッヒ隊長の前に立った。
「た、隊長?自分になにか?」
「今回の戦いでお前の実力はわかった。お前の事を認めてやる」
「本当ですか!?」
「あぁ。そして今までの言動について謝罪をさせて欲しい」
そう言うとラウラは俺に向けて頭を下げた。
「えっ隊長!?いくらそこまで……」
「クラリッサから聞いて私は勘違いをしていた勝手にお前を敵として捉えていた先程クラリッサからも説明不足だったとの連絡が来た。それに今までの冷めた態度を取ってしまい申し訳なかった」
「いやこっちもIS関連でゴタゴタしてんで自分も謝らせてください」
「そうかありがとう。改めてよろしくなライディ。」
「こっちもですボーデヴィッヒ隊長。」
「私のことはラウラでいい。ここでは私も1生徒だ」
「わかりました。」
俺とラウラはお互い握手を交わした。今までのしがらみが取れた気がする。
「ライディ。あの時何故私の手を取ったのだ?」
「それは…………後悔すると思ったんでやりました。手を取らなかったら何か後悔するって頭にビビってきました。」
「そうか。」
「あと隊……ラウラ」
「ん? なんだ」
「一夏の事を嫁と言うのはやめた方がいい」
「何故だ?」
「あれはあまり現実には使わないし、後一夏とアンタは結婚していないので嫁や夫と呼ぶには無理があるかと」
「そうなのか?! しかしクラリッサが……」
「ハルフォーフ大尉の言うことあまり信じない方がいいぞ?あの人偶に変な知識が出てしまうので辞めるように言っておいたんだけど」
「そうだったのか……」
ちょっとしゅん顔となったラウラを見て可愛いと思ってしまったが何とか溝を埋められた気がする。知らんけど
俺はラウラと別れて
こうして俺とラウラの決闘は俺の勝利で終わった。
復讐は心の奥底に閉まって勝利を噛み締めよう。まだ俺とクーゲルは始まったばかり。そしてこれから訪れるIS学園生活を楽しむとしよう。
夜の学食でまたなんか変わった?とか言われて初印象ぐるぐる変わるキャラランキング一位に掲載されたのだった……
やっっっと書けました!
バトルシーン書くの大変だったなぁ
次回から臨海合宿編になります!