俺はしてる(失せろ)
シュヴァルツェア・クーゲルの持ち場にて……
「ライディ・アストラス中尉。ただいま着任いたしました!」
「ご苦労様です。早速取り掛かりましょう」
「はい!」
早速整備班とブレーメル社の技術者達が追加装備のレールキャノン砲の調整を努めておりなんと言うかそのー………デカすぎないか?
「こんな大きなキャノン砲に大型ブースターとかどうなってんだ?」
「そりゃクーゲル専用の高機動パッケージだからな」
すると前からシャルナール・ノイマン中尉(整備班長)が現れた
「ノイマン中尉!お久しぶりです!」
「あぁ久しぶりだなライディ。お前ちょっと顔つき変わったか?」
「えっ…まぁ。」
久しぶりの軍の関係者と会えてちょっと嬉しかったのだがなんか無茶苦茶頑張ってる奴がいた
「………で、モルの奴どうしたんですか」
「あぁあいつ? 仕事をちゃちゃっと終わらせて休憩時間の時にセシリア・オルコットに話しかけに行ったそうで色紙にサインを描いてもらった
らしい」
セシリアのやつボロカスに言われてんのにファンサいけたのか。というかパッケージ調整中によくもまぁ見つからずに行けたなモル
「まぁこの辺にしてアストラス中尉。武装チェックお願いできるか」
「分かりました」
大型ブースターの調整が終わって技術者達は船に乗ったが整備班はまだ残るとの事。結構俺優遇されてるのは気のせいにしてチェックした
まずクーゲルを準待機モードにしてクーゲルから降りた。
「ええっと?脚部大型ブースターをインストールすればいいんですよね」
「あぁ。そしてこ左腕に非実態型シールド【ルミナス】を取り付ける。」
専用パッケージのインストールを済ましたところで疑問に思った
「てかインストールぐらい自分で出来ますのになんで来てくれたんですか」
「遅れた分を取り返すのと、君のお母さんが心配だから行ってって言われてな」
「嘘でしょ……」
後で母さんに感謝を述べなければと思ったのだった。
「さてと、あらかた自由になったし呼ぶか。おいユーベル!」
「はい!」
中尉は作業中のモルを呼び出してここに連れ出した
俺の幼馴染をペットみたいに呼ばないてください
(オマエコソシツレイジャネ?)
「ってライディ久しぶりじゃねぇか!!電話以来だな!俺とノイマン整備班長の言い分は役に立ったか?」
「えっ…ま、まぁな。」
俺が顔を赤くしたのを見てモルと中尉は察しやがった
「えー!もしかして誰かにサンオイルを塗ったのか!?」
「………」
「こらユーベル、ライディが困ってるだろ。」
「あぁ悪い悪い笑。それじゃ、事情聴取といきますかーん」
とまぁ俺はモルに引っ張られて自由に散策される羽目になった
「ついてくるなら〜〜〜〜遊びましょ〜〜〜」
「愚◯克巳やめろ」
こうノリツッコミしてるが俺はまだ篠ノ之博士にやられた事を思い出してまた凹んだ
「おいおいどうしたんだよライディ。ってあれは白式!?ライディ双眼鏡を貸せ!」
「双眼鏡が無くても……」
そう言いクーゲルのドローン形態によるハイパーセンサーで見れるようにする
「おー!クーゲルはこんなこともできるのかっていたたたた」
「ほら言わんこっちゃ無い」
クーゲルにデコピンするから……
「にしても白式の隣の赤い機体はなんだ?イタリア代表のやつとはなんか違うような……」
「あぁあれ? 篠ノ之博士が作り出した第四世代型IS【紅椿】だってさ」
「えっ……はぁ!?あの全世界指名手配中の篠ノ之束博士が!?」
「うん。」
「今どこにいるんだ!?」
「だいぶ前に消えた。」
「えーーマジか………………お前何もしてないだろうな??」
「っ!!」
嘘だろ勘づかれた。これが幼馴染の固有能力なのかと疑いたくなるけど実際そうである。
「………あぁ、したさ。」
「はぁ……どうせあれだろ?よくもまぁ俺の親父を殺したISを作りやがったな?って言って言い返されたのか?」
「俺をなんだと思ってんだよ。流石に八つ当たりなんてしねぇよ。
でもセシリアが篠ノ之博士に話しかけたんだけどありえないぐらい冷徹に突き放したのを見て殴っちまった」
「え???」
正直俺も驚いている。今まで自分や父さんのこと言った奴は殴ってきたけど友達の為に怒ったのは初めてだ。
「………なぁモル。」
「何?」
「ISが出てから世界が変わった。今はスポーツとして収まってるけど戦いに使われていたりしている世の中をどう思うか篠ノ之博士に聞いたんだ」
「それで?」
「作ったのは自分だけど悪いのは使う人だ。って、だってもしISを俺や織斑一夏以外が使えるようになると世界は一瞬で滅亡するとか言ってた」
「うーん………悪い人なのか良い人なのかわかんねぇな」
「あと欧州の悪口言ってた」
「なんだと!?よくもまぁ酷いこと言うもんだ」
後から一夏に聞いた話だとこれでもまぁマシな方らしい。
話しかけられても無視。それを織斑先生が矯正したとの事
「お前も友達の為に怒れたんだな。見直したよ」
「お前なぁ……」
「ライディさん!」
するとセシリアがこっちに向かってきた。
「あれセシリア、専用パッケージは?」
「インストールは済んで最終調整ですわ。それに………さっきはありがとうですわ。」
「いや良いよ殴りかかった俺も悪いし、てかショックだったのによくもまぁサイン書いてくれたもんだよ」
「サイン………?」
俺はモルの背中を叩いて前へ出した
「あ、あぁ!セシリア・オルコットさんですよね!!」
「えぇ。」
「自分、貴方が出てる雑誌読ませてもらってます!姉のファッションセンスないんで参考にさせていただきます!」
「まぁ!読んでくださってますの!ありがとうございますわ!」
さっき篠ノ之博士にボロカスに言われていたけどよかったな
「さて、わたくしはこれで失礼しますわ。」
「あぁ。お疲れー」
とまぁこんな感じで別れたのだけどモルのやつ憧れの人と喋れて嬉しかったやろなぁ
「いいなぁこう言うのと付き合えたら良いなぁ」
「あぁ言っとくけどセシリアは一夏が好きらしいから無理だぞ?」
「え?」
「しかもライバル4人いる。」
「……………」
「その中に隊長も入ってる」
「も、もし織斑一夏が付き合って残った人と付き合えるのは………」
「そんな売れ残りみたいなこと言うなよ」
とまぁ軽めにショックを受けてたところだけどラウラを発見した
「あ、ラウラ!おーい!!」
「ちょ馬鹿お前!」
「ん?ライディか」
俺の呼びかけにラウラが振り向く。長い銀髪が後ろの海に反射する光を帯びてなんか綺麗に輝き見とれてしまいそうになる。
「あぁこいつか。ライディの友達の……」
「モルドレッド・ユーベル技術官です! お目にかかるのは初めましてです!」
「そうか。ライディがお世話になったな」
モルは俺と違って礼儀正しいから仲良くなれるの凄い
「それでどうしたんだ?」
「いえ、レーゲンの装備を確認したいと思って」
「そうか」
並べられいるレーゲンの装備は圧巻の一言に尽きる。追加で送られてきたレーゲン専用のパッケージ、【パンツァー・カノニーア】。
それと使用される弾頭が並べられている。
「確か80口径だよな?」
「あぁ、それと2門の物理シールドを左右に取り付けることができる。あとは専用の弾頭が2種類送られてきた」
「元々レーゲンはシュヴァルツェアシリーズの中で後方支援用に作られたものだからな。この2種類の弾を使い分けてクーゲルとツヴァイクの援護が目的だろう」
おいちょとまてレーゲンって後方支援用なのか?
「えー!レーゲンが後方支援用なんですか? だったらクーゲルの二丁拳銃じゃ割に合わないんじゃ?」
「モル、クーゲルの二丁拳銃は弾倉一個消費するだけで高火力エネルギー弾が放つことができる」
「ええっ!?まじかよ!」
「ラウラ。その時覚えてるか?」
「あぁ。レーゲンのレールキャノンの最大出力と同等だ。」
「すげぇ………」
だけどもう一つ疑問があった
「しかしどうやって試験するですか?」
「あそこの小島にでも撃てばいいだろ」
「えーそれ大丈夫なんですか?」
「ここはIS学園の所有物だ。問題は無い。」
「「問題大有りだよ(ですよ)」」
ラウラの危なっかしい発言に俺とモルは声色を合わせた。
「ライディすまないが、物理シールドの取り付けを手伝ってくれないか?」
「あぁわかった。」
ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンを呼び出したが砲塔が邪魔をしているせいか物理シールドを取り付けられない状態になってしまった。
そして俺はクーゲルを呼び出してレーゲンに物理シールドの取り付けを手伝った。
「よいしょっと。取り付け完了しました」
「ご苦労。それでクーゲル専用の高機動パッケージはどんなものなのだ?」
「はっ。 シュヴァルツェア・クーゲル専用高機動パッケージ【
「そうか。」
だけどラウラは俺をなんか見つめていた
「どうしたんですか?もしかしてーライディに惚れちゃいましたとか?」
「モルお前黙って」
「すいません」
「…………あぁ、今さっき篠ノ之博士に押さえつけられたお前を助けられなくて申し訳ないなと思ってな。」
「俺も友達がやられているのを見てイラッと来ましたからね」
「こいつ結構危なっかしいんでそこんとこよろしくお願いしますね」
「そうか。任せておけ。」
なんだろうラウラが1日目とは比べ物にならないぐらい頼り甲斐があるんだけど。流石黒ウサギ隊隊長というべきか………
するとプライベートチャットにてノイマン中尉から連絡が入る
「ノイマン中尉?どうかしましたか」
『学園側にも連絡が行くと思うが大変だ!ドイツの監視衛星がハワイ沖にあるアメリカとイスラエルの共同基地にて軍用ISが暴走したとのこと!今日本に向かってる!』
「え……?」
『兎に角今お前ユーベルと一緒だろ?今すぐ呼び戻せ!』
「りょ、了解!」
通信を切って俺はモルに話す。
「モル!今からノイマン中尉のとこへ戻れ!」
「えっ…?どうしたんだよライディ!」
「今はアストラス中尉だ!ノイマン中尉から伝言だ!ハワイ沖で太平洋ルートで軍用ISとやらが
「何だって!? とにかくわかっ…いや、了解しました!」
するとモルは俺の指示通りノイマン中尉のとこへ向かった
「おいライディ、まさか……」
「織斑先生!!」
ラウラが俺に問いかけようとした瞬間山田先生がでっかい乳を揺らしながら織斑先生の方に走って来て何かを耳打ちをしていた。
それを聞いた織斑先生は驚いた顔をしたが直ぐにいつもの冷静な顔に戻った。
『専用機持ち達全員に通達する。全員現在の作業は中止だ!直ぐに花月荘に戻れ。急げ!』
「まさか……」
「あぁ。行きましょう」
ーー♢ーー
「では現状を説明する」
場所は変わって花月荘奥に設けられている宴会用の大座敷『風花の間』にてIS学園1年生代表候補生6人
全員がISスーツを身にまとい正座で横一列に座っていた。
「2時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型の軍用IS『銀の福音シルバリオ・ゴスペル』が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したと匿名の情報があった」
突然の説明に俺以外の専用機持ちメンバーは面食らっていた。けど皆んな真剣な面持ちで聞いている。
「…………………」
全員が全員、厳しい顔つきになっていた。一夏と箒を除いてだが
「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから2キロ先の空域を通過することがわかった。時間にして50分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することとなった」
淡々と説明を続ける織斑先生。その次の言葉に全員が度肝を抜かされることになる。
「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう形になる」
………は?おいちょっと待て!軍用IS相手に高校生が挑めってか!?
「ちょ、ちょっと待ってください!いくら専用機持ちが7人いても俺達は学生です!他からの要請は無理なんですか!」
ドイツ空軍と繋がりのある俺とラウラなら呼べそうなのだが織斑先生の見解はこうらしい。
「日本軍からの援軍はない。現在ここにある教員が運用する訓練機6機、専用機7機で対応しろとのことだ」
「え、箒も含めるんですか?」
「なんだライディ。私じゃ力不足だとでも言うのか?」
「いや、別にそういう訳じゃないけど」
まだ紅椿を動かして日もたたないのに、大丈夫だろうか。
いつも以上に鋭い視線をさらに研ぎ澄ました箒の睨みに思わず目線をそらしてしまう。
「アメリカとイスラエルからは出そうと思っても出せない状況だ。福音の暴走を鎮圧するために派遣されたISは全てダメージレベルCを越え出撃不能の状態にある。本土からの援軍を呼ぼうにも時間が足りず、故に一番近い我々が対処にあたることになった」
「そ、そうなんですか……分かりました。話を遮ってすいません。」
そう謝罪して俺は座った。納得した俺を見て織斑先生は会話を続ける
「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」
「はい」
早速、手を挙げたのはセシリアだった。
「目標ISの詳細なスペックデータを要求します」
「わかった。ただし、これらは2カ国の最重要軍事機密だ。けして口外はするな。情報が漏洩した場合は諸君には査問委員会による裁判と最低でも2年の監視がつけられることになる」
「了解しました」
そして俺達の前にディスプレイが投影され開示されたデータを見ながら俺たちは相談を始めた。
「広域殲滅を目的とした特殊射撃型……わたくしのISと同じくオールレンジ攻撃を行えるようですわね」
「攻撃と機動の両方を特化した機体ね。厄介だわ…しかもスペック上ではあたしの甲龍を上回ってるから向こうの方が有利……」
「この特殊武装が曲者って感じがするね。ちょうど本国からリヴァイヴ用の防御パッケージが来てるけど連続しての防御は難しい気がするよ」
「しかも、このデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルもわからん」
「偵察という手は無いのですか。クーゲルの待機形態なら一応できますけど」
セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、俺の順に意見を交わす。
「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。アプローチは1回が限界だろう。それに流石に無理だろ」
「ですよねーー」
流石に行けるのでは……??と皆が思ったが一旦その思考はやめる
「1回きりのチャンス……ということはやらり、一撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね」
そんな山田先生の言葉に全員がある1点を見つめる。
そう織斑一夏である。
「え……?」
「一夏、あんたの零落白夜で落とすのよ」
「それしかありませんわね。ただ問題は……」
「どうやって一夏を福音まで運ぶか、だよね。エネルギーは全部攻撃に使わないと難しいだろうから移動をどうするか」
「しかも目標に追いつける速度が出せるISでなければいけないな。超高感度ハイパーセンサーも必要になるだろう」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! お、俺が行くのか!?」
「「「「当然!」」」」
4人の声が見事に重なった。
「一夏、お前の零落白夜はこの中で最高火力だ。」
「いやでもライディが放ってたあれはどうなんだよ!」
「それでも零落白夜で倒すのは必須だ。頼む!」
ライディまで……って思った一夏だが実際そうなのである。
零落白夜は使用中はSEが減り続けるという弱点がありながらも相手のエネルギー兵器による攻撃を無効化したり、シールドバリアーを切り裂いて相手のシールドエネルギーへ直接ダメージを与えられる高火力武器だ。
そう頼んでいたところ、織斑先生が一夏に一声かける
「織斑、これは訓練ではない。実践だ。もし覚悟がないのなら無理強いはしない」
織斑先生の一言に今まで及び腰になっていた一夏の表情が変わった。
「やります。俺が……やってみせます!」
「よし。それでは作戦の具体的な内容に入る。この専用機持ちの中で最高速度が出せる機体はどれだ?」
「それなら、わたくしのブルー・ティアーズが適任かと。
ちょうどイギリスから強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』が送られて来ていますし超高感度ハイパーセンサーもついています」
一応解説しとくけど全てのISにはこの『パッケージ』と呼ばれる換装装備を持っている。
パッケージとは単純な武器だけではなく追加アーマーや増設スラスターなどの装備一式を指し、その種類は豊富で多岐にわたる。
中には専用機だけの機能特化型パッケージ『オートクチュール』というのが存在する。
これを装備することで機体の性能と性質を大幅に変更し様々な作戦を遂行可能にする。ちなみに1年専用機持ちはシャルロットを除いて全員がセミカスタムの標準装備である。
「オルコット、超音速下での戦闘訓練時間は?」
「20時間です」
「ふむ……。それなら適任ーー」
だな、と言おうとした織斑先生を遮る明るい声が部屋に響いた。
「待った待ーーった!その作戦はちょっと待ったなんだよ〜!」
声の発生源を探す一同。よく聞くとその声は天井から聞こえていた。全員が見上げると部屋のど真ん中の天井から篠ノ之博士が首を逆さにして生えていた。
うわぁ…また来たよ(某住職)
「……山田先生、室外への強制退去を」
「えっ!? は、はいっ。あの〜篠ノ之博士、とりあえず降りてきてください……」
「とうっ!」
くるりんと空中で一回転して着地。これが競技なら金メダルはたくさん取れただろうな
え?シ◯ルスキー??
「ちーちゃん、ちーちゃん。もっといい作戦が私の頭の中にあるよ!!」
「……出ていけ」
頭を押さえる織斑先生。山田先生は言われた通りに篠ノ之博士を室外に連れていこうとするが、するりとかわされてしまう。
「聞いて聞いてここは断・然!紅椿の出番なんだよっ!」
「なに?」
「紅椿のスペックデータを見てみて!パッケージなんかなくても超高速機動ができるんだよ!」
そう言うと篠ノ之博士は数枚のディスプレイを織斑先生に見せる。
「紅椿の展開装甲を調整して、ほいほいほいっと。ホラ!これでスピードはバッチリ!」
聞きなれない言葉が飛び交う中、篠ノ之博士が織斑先生の隣に立ち説明を始めた。部屋にあったディスプレイを乗っ取ったらしく、さっきまで福音のデータが映っていた画面が今は紅椿のスペックデータへと切り替わられていた。
「説明しましょ〜そうしましょ〜。展開装甲というのはだね、この天才の束さんが作った第四世代型ISの装備なんだよ〜」
さっきから第4世代って聞こえてるんだけどなんなん?
「はーい。ここで心優しい束さんの解説開始〜。いっくんのためにね。へへん、嬉しいかい?まず、第一世代というのは『ISの完成』を目標した機体だね。
次が『後付武装による多様化』、これが第2世代。
そして第3世代が『操縦者のイメージ・インターフェイスを利用した特殊兵器の実装』、空間圧作用兵器にBT兵器、あとはAICとか色々だね。
……で、第4世代というのが『パッケージ換装を必要としない万能機』
という、現在絶賛机上の空論中のもの。はい、いっくん理解出来ました?先生は優秀な子が大好きです」
「は、はぁ……。え、いや、えーと……?」
ちょっと待ってくれ。確かモルが以前言ってたけど各国はやっと第三世代の1号試験機ができた段階だよな。それがなんで、すっ飛ばして第四世代とかいかれてんのか!?!?
「ちっちっちっ。束さんはそんじゃそこらの天才じゃないんだよな。これくらいは三時のおやつ前なのさ!」
なんだその中途半端な時間……
「具体的には白式の『雪片弐型』にも使用されていまーす。試しに私が突っ込んだ〜」
「「「「「え!?」」」」」
その言葉にさすがに俺を含めた専用機持ちも驚く。
聞いた話によると、零落白夜発動時に開く『雪片弐型』の変形機構がまさにそれらしい。しかも言葉通りに受け取るのなら『白式』も第4世代型ということになる。
「それで、うまくいったから何となく紅椿は全身のアーマーを展開装甲にしてありまーす。システム最大稼働時にはスペックデータはさらに倍プッシュだ!」
「ちょっ、ちょっと、ちょっと待ってください!えっ?全身?全身が雪片弐型と同じ?それって……」
「うん、めちゃくちゃ強いね。一言でいうと最強だね」
おいおい明言しちゃったこの人……
「し、篠ノ之博士!あんたの言う通りだとバススロットが一つしかない白式はどうなるんだ!?それも第四世代ですか!?」
「うーん……でもバススロットが一つしかない特徴いっくんの白式は中途半端だから第3.5世代機になるね」
周りのメンバーは、ぽかんとしている。してないのは俺と織斑先生位のもので、みんな目の前の篠ノ之束という存在に度肝を抜かれていた。
「ちなみに紅椿の展開装甲はより発展したタイプだから、攻撃・防御・機動と用途に応じて切り替えが可能。これぞ第4世代型の目標である
場の一同は静まり返って言葉もない。
「はにゃ? あれ〜? 何でみんなお通夜みたいな顔してるの? 誰か死んだ? 変なの」
各国が多額の資金と膨大な時間に優秀な人材の全てをつぎ込んで競っているの第3世代型ISの開発。
無茶苦茶だ……!こんなのあり得るのかよ!
「束、言ったはずだぞ。やりすぎるな、と」
「そうだっけ? えへへ、ついつい熱中しちゃったよ〜」
千冬の言葉を聞いて束は何故みんなが静かになっているのかを理解した。
「あ、でもほら、紅椿はまだ完全体じゃないし、そんな顔しないでよ、いっくん。いっくんが暗いと束さんはイタズラしたくなっちゃうよん」
いや……ウインクすんな余計に困りますよ!
「まー、あれだね。今の話は紅椿のスペックを全て引き出したらの話だからね。今回の作戦をこなすくらいなら必要ないから。それにしてもあれだねぇ。海で暴走って言うと、10年前の白騎士事件を思い出すね〜」
ニコニコとした顔で話す篠ノ之博士。その横で織斑先生は『しまった』という顔をしていた。
『白騎士事件』
あの1件で世界の常識はひっくり返ってしまった。そしてISが世界の常識になった。それもそうだ、たった1機のISがこの世界に存在する
そして
「しかし、それにしても〜ウフフフ。白騎士って誰だったんだろう?ね〜?ちーちゃん?」
「知らん」
「うむん。私の予想ではバスト88センチのーー」
ごすっ。鈍い音が部屋に響いた。織斑先生の伝家の宝刀である出席簿アタック、いやこの場合は情報端末アタックか。
絶対痛い。断言できる。
「ひ、酷い、ちーちゃん。束さんの脳は左右に割れたよ!?」
「そうか、良かったな。これからは左右で交代に考え事ができるぞ」
「おぉそっかぁ!ちーちゃん頭いい〜!」
もうこの人嫌だ帰りたい。・゚・(ノД`)・゚・。
「あの事件ではすごい活躍だったね、ちーちゃん!」
「そうだな。白騎士が、活躍したな」
なんだかんだあって最初に一夏、そして俺という『ISを操縦できる男』が登場したために今年の1年は専用機持ちが多いんだとか。まぁ各国が動いたってところなんだろうなぁ。
(いや……ちょっと待てよ?十年前の白騎士事件と俺の父さんが死んだ鮮血の空事件って一緒じゃないか!?で、さっきのことを考えると………)
「話を戻すぞ。……束、紅椿の調整にはどれくらいの時間がかかる?」
「お、織斑先生!?」
驚いた声をあげたのはセシリア。専用機持ちの中でも高機動パッケージを持っているのが自分だけであったため、当然作戦に参加出来るものと思っていたらしい。
「わ、わたくしとブルー・ティアーズなら必ず成功してみせますわ!」
「そのパッケージは
「そ、それは……まだですが……」
痛いところを突かれて勢いを失ってモゴモゴと小声になってしまうセシリア。それと入れ替わるように篠ノ之博士が天真爛漫な笑顔で口を開いた。
「ちなみに紅椿の調整時間は7月7日にかけて7分あれば余裕だね!」
「よし。では本作戦では織斑、篠ノ之の両名による目標の追跡及び撃墜を目的とする。作戦開始は30分後。各員ただちに準備にかかれ!」
「お、織斑先……」
「やめとけセシリア。今回は分が悪い」
「ら、ライディさん……」
セシリアなまだ作戦参加を諦めきれないのか織斑先生に直談判しようとした所を俺は肩を掴んでそれを止めさせ、セシリアは俺の顔を見て肩を竦めた。
周りを見ると教師陣はバックアップに必要な機材の設営を始めていた。
「手が空いているものはそれぞれ運搬など手伝える範囲で行動しろ。作戦要員はISの調整を行え。モタモタするな!」
「セシリア、辛いけど行くぞ」
「はい……」
うなだれるセシリアに声をかけて教師陣の手伝いに向かった。
「織斑、白式のセットアップを済ませておけ。あとエネルギーは満タンにしておけよ」
「りょ、了解」
「それが終わったらオルコットから高速戦闘のレクチャーを受けておけ」
「は、はい」
一夏は返事をしてから白式のコンソールを呼び出して確認をし始めた。
「それとアストラス。」
「はい。なんですか?」
「少し外で話がある。着いてこい」
「了解です」
俺は織斑先生の後に続いて部屋を出て行った。
その頃、箒はーーー
「それじゃあ早速紅椿をいじろっかな!」
「…………」
「んあー。もっと笑ってよ。ほらほら作戦メンバーにも選出されたし、いいことずくめでしょ?」
「この顔は生まれつきですので」
「んー、そっかなぁ。産まれた時もうちょっと可愛かったよ。それに泣いてたよ」
「誰だってそうでしょ!」
そうかもねー、と軽い調子で相槌を打ちながら、篠ノ之博士は箒が呼び出した紅椿に触れる。
「ふーむ。ぺたぺた。背部と脚部、それに腕部の展開装甲を推進力に回そうかねー。それ以外は支援攻撃モードで良いでしょ。うんうん、でははじめまーす」
ーー♢ーー
一方、大宴会場から廊下に出た俺と織斑先生は人気のない通路に歩いてきた。
「で、俺になんか用ですか。」
「アストラス、これはお前にしか頼めない事だがいいか?」
「え?」
「………織斑と篠ノ之のバックアップ頼めるか」
織斑先生は俺に衝撃的なお願いを申し出てきた。
「と、言いますと?」
「アストラスから見てこの作戦どう思う?」
「………正直言って失敗すると思います。けど一夏なら何とかしますって」
「いや、織斑でも紅椿を貰って浮かれた篠ノ之をなんとかする事はできん。」
「………わかりました。」
話を終えて俺は一夏と箒のところへ向かおうとしたが、ふと織斑先生を見ると誰かと電話してるようだった
(誰からかわかるかクーゲル)
(タシカ一夏ト箒ニレンラクシテルゾ。タブンオマエヲイレルキダ。)
(俺も作戦のバックアップか…………)
すると電話を切った織斑先生に俺は見つかった
「あぁすいませんすぐ行きます」
「いや、何か聞きたそうにしてたな。なんだ?」
「…………なら聞いても良いですか。」
「なんだ?」
「白騎士事件のIS【白騎士】って………織斑先生な訳ないですよね」
そう言うと織斑先生の目つきが鋭くなる。
「ほぉ……つまり私がISを知らしめた張本人と?」
「はい。白騎士が戦闘機を切り倒したのは聞きましたけどISと戦闘機の戦いは鮮血の空事件と一緒と言うか…………」
「で、親父さんを殺したのは間接的に私のせいにしたいと?」
「だってISが広まったのはあの事件が原因なのですよ!?それで影響された奴が出てきたのはじじ…」
「そこまでにしておけ。今から任務なのにそんな考えをするな。いいな?」
「…………はい。」
流石に織斑先生が怖かった為もう深掘りは辞めたのだった。