現在午前十一時十五分、十一時半より暴走と飛行を続けるIS『
「緊張するな箒…」
「そうか?でも今の二人なら出来るかもな。」
「結構自信があるんだな、でもこれは訓練では無く実戦だ。」
「無論わかっているさ。ふふ、どうした? 怖いのか?」
「そうじゃねえって。あのな、箒」
「ははっ、心配するな。お前はちゃんと私が運んでやる。大船に乗ったつもりでいればいいさ」
しかし後ろからもう一人の男性操縦者が現れる。
「ライディ!?」
「どうして来た?」
「あぁ。二人も聞いていると思うが織斑先生からの指名で二人が失敗した時のバックアップとして俺が選出された。それで俺は見送りに来たってわけ。」
すると箒は何やら自信満々な様子で俺に話しかけた
「何言ってるライディ。私と一夏が居れば福音は…」
「無理に決まってるだろ」
「………何?」
そりゃそうだ。箒は今さっき専用機を貰ったばかりだ。いくら訓練機でのIS使用経験があれど訓練機を使用するただの生徒に過ぎない。
それに普段見せないような笑顔に俺は困惑した。自分の姉のせいで一夏と離れ離れになってしまったのにこうも許していいのか俺には分からなかった
「なんだ?この作戦に私は力不足と言いたいのか?」
「あぁ。だけど紅椿の力は絶大だ。そんな浮かれてるとミスるぞ」
「そんな事はない。私と紅椿があればいける!馬鹿にしてるのか!」
「違う!今回の任務は零落白夜を当てるだけでいい話なだけだ。それなのにそんな浮かれていたら……」
「さっきからマイナスなことばかり言って!お前は何が言いたい!」
俺と箒の会話がヒートアップし箒がつけあがっている。
その様子に一夏は割り込めずにいた
「そんなに一夏の隣が良かったのか!?自分の人生を無茶苦茶にした姉にISを作ってもらって調子乗ってんじゃねぇぞ!!」
「んだと!!」
「二人ともやめなって!」
流石に一夏も見てられなかったのか箒から俺を引き剥がした。一夏のやつ箒のことを思ってるのかどうかは定かではないが止めてくれただけでもありがたかった
「………一夏よく聞け、箒は今さっき専用機を貰ったんだ。鈍感なお前でも箒の異変に気づいてるはずだ。ミスはある程度カバーしろ。いいな!」
「……わかった。」
次に箒を見ると俺を睨みつけていた。こいつ自分が何してんのか分かってないようだな
「なんだその目は。言いたいことがあるなら言えよ。とにかく先ず自分の環境を整えろ。じゃないとお前か他の誰かが死ぬことになるぞ」
「………ISを復讐の道具としか捉えてないお前には言われたくない」
「ってめぇ!!」
俺がキレそうになるけど二人に織斑先生からの指示が入る
『今回の作戦の要は
「了解」
「織斑先生、私は状況に応じて一夏のサポートをすればよろしいですか?」
『そうだな。だが、無理はするな。お前はその専用機を使い始めてからの実戦経験は皆無だ。突然なにかしらの問題が出るとも限らない』
「わかりました。できる範囲で支援します」
箒のそれはついさっきまで俺と言い合ったくせに一見落ち着いた返事のようだがやはり口調は喜色に弾んでいて、どこか浮ついた印象を受ける。
『ーーー織斑』
「は、はい」
今しがた使っていたオープン・チャネルではなく、プライベート・チャネルで織斑先生の声が届く。おそらく一夏宛だろうと思うが一夏は慌ててそちらに回線を切り替えて返事をした。
『どうも篠ノ之は浮かれているようだな。あんな状態ではなにかを仕損じるやもしれん。いざという時はサポートしてやれ』
「わかりました。ライディに言われた通りちゃんと意識しておきます」
『………見送り係のあいつがか。頼むぞ』
それから織斑先生の声がオープンに切り替わり号令をかけた。
『では、はじめ!』
作戦、開始。
「来い!白式!」
「行くぞ!紅椿!」
二人の全身がぱぁっと光に包まれ、ISアーマーが構築される。
「じゃあ、箒。よろしく頼む」
「本来なら女の上に男が乗るなど私のプライドが許さないが、今回だけは特別だぞ」
作戦の性質上、移動は全て箒に任せる。つまり一夏が背中に乗っかる形になるのだ。
それを最初に聞いた箒は早速イヤそうなことを言っていたのだが、気のせいだろうかさっきから機嫌が妙に良いように見える。
「応援してるからなー!」
「あぁ!!」
「…………」
箒は俺への返事がそんなに嫌だったのか一夏を背に乗せたまま、一気に上空300メートルまで飛翔しそのまま駆けて行った
「うわっ!?なんだこのスピードは!!」
ある程度離れていた俺でも紅椿のスピードには驚かざるを得なかった。
「クーゲル!紅椿ってあんな速かったか!?」
「(アァ!トイウカ
母様はおそらく篠ノ之博士の事だろう。
俺は驚きに包まれながらも皆が居る作戦会議室に戻って行ったのだった……
ーー♢ーー
大宴会場司令室のモニターで2人の様子を見ていた教師陣と待機メンバーである残りの専用機持ちがいた。
「箒、少し様子がおかしくない?」
「えぇ、なんだか心ここに在らずといった感じですわね」
「あぁもう! 何浮ついているのよ!」
「全くだ。ここはもう戦場だというのに」
みんなモニター越しの箒を見て明らかに様子がおかしいのを感じて、それぞれの意見を述べる。
「はぁ……はぁ……ただいま戻りました」
「見送りご苦労だアストラス」
しかし彼女達は俺の異変に真っ先に気づいた
「ライディすごい砂埃ついてるよ?」
「……あぁこれ?紅椿が思った以上に速くて」
「それもそうだけどあんたよくもまぁ言えたね」
箒が浮かれているのに皆が気づいていた。
「でも俺達が出来るのは二人の成功を祈るだけだ」
「………ライディの言う通りだ。二人を見守ろう」
ーー♢ーー
(な、な、なんだこのスピードは!?ライディのクーゲルや
更に上昇を続ける紅椿は俺という荷物を乗せた状態であるにもかかわらず、たった数秒で目標高度500メートルに達した。
「暫時衛星リンク確立……情報照合完了。目標の現在位置を確認。一夏、一気に行くぞ!」
「お、おう!」
その圧倒的な加速をモニターで見ていたメンバーは、その性能にド肝抜かれていた。
「な、なんて速さ……」
「凄いな」
「これが第4世代型ISの実力……」
みんな自分のISとの差に驚きを隠せていなかった。
(ここまではいい………頼む……頑張れ!)
場所は戻って500m上空。
箒同時に残った展開装甲をフルオープン、更に加速。
視界に直線上の飛行機雲を形成する物体を目視で視認する。
「見えたぞ一夏!」
箒は銀色に飛行するものを見つけた。それがこの任務の目標である軍用IS【
「近づくぞ!」
「分かった!!」
そしてギリギリまで近づこうとしたが
「何っ!?」
「嘘だろ!!」
福音は反転してすぐさま回避行動に移った。
「このまま押し切るっ!!!」
「うぉぉぉ!!」
『ターゲットロックオン、銀の鐘、マルチミサイルスタンパイ』
不気味な機械音声から発したのに合わせ、マルチミサイルと光の羽が打ち出され、それを回避に専念する。
オープン・チャネルから聞こえたのは抑揚のない機械音声だった。だが、そこには明らかな『敵意』が感じ取れた。
ぐるりといきなり福音が体を一回転させて零落白夜の刃を躱す。しかも数ミリの差で。それは
「くっ!あの翼が急加速させているのか!?」
改めて『重要軍事機密』の意味を思い知らせられるがやれるだけやる。
「箒!援護頼む!」
「任せろ!」
時間がかかればこちらが不利になる。今は箒に背中を預けて再度福音へと斬りに行く。
「くっ! このっ……!」
しかし、またひらりひらりと紙一重で躱される。それはまるで泳いでるようで踊っているかのような、そんな動きだった。
見事なまでに翻弄される俺は零落白夜の残り時間が迫っていることあって、つい大振りの一太刀を浴びせようとしてしまう。
しかし、その隙を福音が見逃すことはない。
『!!』
銀色の翼。スラスターでもあるそれは、装甲の1部がまるで翼を広げるかのように開く。
(しまった!こいつは!?)
砲口だ。
一斉に開かれた砲口を俺に向かわせるために翼を前へと迫り出す福音。次の瞬間、幾重もの光の弾丸が撃ち出される。
「ぐぅっ!?」
その弾丸は高密度に圧縮されたエネルギーで、ちょうど羽のような形をしている。それがアーマーに刺さったと思った瞬間に一斉に爆ぜた。
爆発するエネルギーの弾丸。これが福音の主装備らしい。しかし問題はそこじゃない。
(なんて連射速度だよ!ライディでもあんなにはならないぞ!)
銀の鐘は連射速度が無茶苦茶速い。
狙いの制度は高い訳では無いが、なんにせよあの爆発弾だ。かすっただけで、そこを爆発でえぐられる。
「箒、左右から同時に攻める。左は任せた!」
「了解した!」
俺と箒による複雑な回避運動を行いながら連射の手を休めない福音へ2面同時攻撃を仕掛ける。
しかし攻撃はかすりもしない。福音は回避に特化した動きと同時に反撃までしてくる。奇抜は外見とは裏腹に実用レベルが異常に高い代物。
「一夏!私が動きを止める!!」
「わかった!」
言うなり、箒は二刀流で突撃と斬撃を交互に繰り出す。腕部展開装甲が開き、そこから発生したエネルギー刃が攻撃に合わせて自動で射出、福音を狙う。
(こっちの機体も化け物だな!)
急加速を使って福音との間合いを詰めていく箒。その猛攻には、さすがの福音も防御を使い始めた。
「はぁぁぁっ!!」
いける!
そう思い刀を握りしめる俺だったが、そこに福音からの全面反撃が待っていた。
『La……♪』
甲高いボイス。その刹那、ウイングスラスターはその砲門全てを開き、その数36。しかも全方位に向けての一斉射撃。
「やるなっ!だが押し切る!」
箒が光弾の雨を紙一重で躱し空裂で打ち消し、隙ができた!
「私が受け止めるからあいつを!!」
「あぁ!零落白夜ぁ!!!!」
箒が福音の攻撃を受け止めた瞬間、俺はその隙に福音に接近し雪片弐型で斬ろうとした……が!
「なっ!一夏!?」
「うぉぉぉぉっ!!!」
最大出力で、一発の光弾に追いついきそれをかき消す。
「何をしている!? せっかくのチャンスを!」
「船がいるんだ!海上は先生達が封鎖してたはずなのに……あぁクソっ、密漁船か!」
キュゥゥゥン…………
ここに来て最悪なことが二つ起きた。ひとつは雪片弐型の光の刃が消えて展開装甲が閉じる。
つまりエネルギー切れだ。最大にして唯一のチャンスを失い作戦の要が今無くなった。
「馬鹿者!犯罪者などを庇って……そんなヤツらは!」
「箒!!」
「ッ!?」
「箒、そんな、そんな寂しいこと言うなよ!力を手にしたら弱いヤツの事が見えなくなるなんて……どうしたんだよ箒。らしくないじゃないか。全然らしくない!!」
「わ、私、は……」
明らかな動揺をその顔に浮かべ、それを隠すかのように手で覆う。その時に落とした刀が空中で光の粒子へと消えたのを見て、俺の背筋が震えた。
その時箒はあの時のことを思い出した
『そんなに一夏の隣が良かったのか!?自分の人生を無茶苦茶にした姉にISを作ってもらって調子乗ってんじゃねぇぞ!!』
『力を手にしたら弱いヤツが見えなくなるなんて箒らしくない!』
どこかで薄氷が割れた気がした。
どこかで蓋が外れる音がした。
一夏やライディに言われたことが箒の中に深く浸透する。箒の瞳は開かれ、銀の福音はまだ健在なのにも関わらず呆然と立ち尽くした。
(私は。ただただ嬉しかった。紅椿を与えられ、力を手にし。この作戦でも一夏と重要な役割を担った)
箒は自分のした事に絶望し、二つの刀が消失した。それが自分の自信のようにだ。
(やっと、やっとお前の隣に立てたと思ったのに……これじゃ……駄目なのか?私では力になれないのか?私では役不足なのか?)
箒の顔が紅椿とは対照的に青くなる、息も上がり、瞳孔は開きっぱなしだった。
一夏はさっきの発言以降箒が止まったのを見て、紅椿の異変を感じ取った。
(今のは、
『具現維持限界』ーーつまりそれは、エネルギー切れということだ。そして今ここはIS学園のアリーナじゃない。実践だ。
「箒ぃぃぃぃっ!!」
俺は刀を捨てて一直線に箒へと向かう。最後のエネルギー全て使っての瞬時加速。
(頼む!間に合ってくれ!!)
福音が再び一斉射撃モードに入った。しかも箒に照準を絞っている。
エネルギー切れのISは恐ろしく脆い。第4世代型とはいえそこは変わらないはずだ。絶対防御分のエネルギーは確保していたとしても、あの攻撃を1度に受けたらひとたまりもない。
(頼む!頼む!白式頼むっ!!)
そして俺は福音と箒の間に割って入った。
「ぐぁぁぁっ!!」
「一夏ぁぁぁぁ!!!!!」
箒を庇うように抱きしめた瞬間、あの爆発光弾が一斉に背中に降り注いだ。
エネルギーシールドで相殺し切れない程の衝撃が何十発と続き、ミシミシと骨があげる軋みが聞こえる。同様に悲鳴をあげる筋肉、アーマーが壊れ熱波で肌が焼かれていくのがわかる。
激痛の中、俺は箒を1度だけ見た。
(あぁ…………無事か………良かった……ははっ何泣きそうになってるんだよ……らしくねぇなぁ。あ、リボン焼き切れちまってる……髪下ろしたのも悪くないじゃん……)
「一夏っ! 一夏っ! 一夏ぁっ!!」
海へと真っ逆さまになる中俺は残った力を使って箒の頭を守るように抱きしめる。
大きな水音と全身を伝播する衝撃。俺は海面越しに福音を見つめながら気を失った。
ーー♢ーー
場所は戻って司令室
「一夏ぁっ!」
「そんな………」
「ええぃ!箒は何をやってるんだ!」
「箒どうしちゃったんだろ……」
「くっ………!」
皆が一夏の負傷を見て周りが作戦の失敗を察していたところだったが織斑先生から連絡が来た
『アストラス、出番だ』
「……了解!」
一夏の身を心配しながらも俺は司令室から飛び出した。
「ちょっとライディ!」
「どこへ行きますの!?」
他の皆んなから呼び止められても俺は海岸に向かった。
(ライディのやつ……一体何をするつもりだ?)
「はぁ……はぁ……(まずいぞ…………俺が想定した事が起こりやがった!)」
箒のことを恨んでも仕方がないため俺はクーゲルを呼び出す
「来い!クーゲル!!」
「(ラジャー!)」
変形したクーゲルをアッパーで握り潰すと展開されたが姿は今回は違う。
胸部には突起型胸部装甲がつけられて両足は大型ブースターが装備されている。
極め付けは右腕と一体化した大型レールガンだ。
一応オルトロスを撃つ際に一時的に分解する為安心して欲しい
(頼む……!間に合ってくれ!!!)
その頃司令室のディスプレイのレーダーに1つのIS反応が出現した。
「ッ!?白式、紅椿、銀の福音以外に新たにISの反応!」
「えっ!?」
「一体どこのISよ!?」
「いや、あの反応は」
「IS照合完了。シュヴァルツェア・クーゲルです!」
現れたのは先程出て行ったんライディだった。
「な、なんでライディがあそこに!?」
「お、織斑先生これはどういうことですか!」
「アイツ無断で出撃したってこと!?」
「いや、私が許可を出した」
「「「「!?」」」」
「な、ならあたし達も!」
「お前たちはここにいろ!」
千冬の怒声に我も行かんとする専用機持ち達はその場で固まる。
「お前たちが行っても邪魔になるだけだ。大人しく待機していろ」
ーー♢ーー
俺はは銀の福音との交戦地域に向けて全速力で向かっていた。
一夏、箒、どっちでもいい通信に出てくれ!
「(ライディアレ!!)」
「……っ!!!」
俺の目に映ったのはボロボロの一夏とそれにしがみついている箒が見えた。
(うっ……!)
その時俺の脳裏に映ったのはあの時の事故……右の顔周りが血まみれで右足が潰れていたのを思い出してしまった。
ISがあれば破損部品除去やできた。EOSでも来て欲しかった……
「あっ……!」
そして空を見上げると福音が瀕死の一夏達に対して攻撃しようとしていた。
箒はそれに気づき今度は一夏を守ろうと抱き寄せる。そして福音から放たれる銀の鐘が当たろうとした時、間に割って入った
「やらせるかぁぁぁぁ!!!!」
大型レールガンで威嚇射撃した後に箒達の前に入り込み非実態型シールド【ルミナス】を展開して光弾を防ぎ切る
「一夏!一夏!」
「大丈夫か箒!一夏は!」
「一夏が目を覚さない………血が……血が出てるんだ、止まらないんだ……一夏が、私のせいで……私どうしたら……」
先程と同一人物なのか?と思うほどに箒の声はか細く、弱々しく、震えていた。
「一旦落ち着けよ箒!」
「だけど一夏が…一夏が」
「箒!!」
俺の大声に箒が通信越しに息を飲んだ。
ダメだこれは、完全にパニックを起こしてやがる。
俺は追加パッケージである爆風をコマンドを入力しパージすると変形していき鳥のような形になって箒の方に飛んだ
「作戦は失敗だ、お前はこれを使って花月荘に戻れ、お前にしか出来ないことだ、やれるな?」
「お、お前はどうするんだ?」
「俺はこいつを引き付ける!」
「む、無茶だっ。たった一機で」
「お前よりはうまく立ち回れる!さっさと行け一夏を死なせてぇのか!!」
「わ、わかった」
センサーウィンドウの傍らで箒の紅椿が一夏の白式と共に海面に浮上した。
箒の腕の中の白式はスラスターユニットは既に量子変換で消え去っており、残っているアーマーも僅かにしか残っておらず。
見ないようにしても嫌でも目に入った紅椿とは違う【赤】に表情が歪んだのが自分でもわかった。
(たしか一夏は密漁船を見て攻撃をやめたのか…………クーゲル、探せるか)
『見つけた!』
クーゲルが即座に発見し俺は密漁船に近づいた
よくやったクーゲル。後で大量の日光をプレゼントしてやる
『えーそこの犯罪者!ここから先は戦闘区域だ!さっさと帰れ!』
「なんだお前は!なんでISがこんなとこにいるんだ!」
キーを何段階も上げた声で注意を呼び掛けるもなんとも聞き耳を持たない。
密漁船の乗組員は通信の向こうで騒ぐ。
それに業を煮やした俺は威嚇がてら船の真横にオルトロスを撃った。弾丸は船すれすれの海面に当たって水柱が高く上がった。
『こちらはお前たちを沈められる権利を持っている。即刻立ち去れ、でなければ命の保証は出来ない』
「お前な、何を」
もう一度水柱が上がった。船が揺れる揺れる。
「また撃ちやがった!」
「狂ってやがるぜコイツ!」
『いいからさっさと行きやがれカス男が!!さもないとテメェの顔面に銃弾撃ち込んだやろうかクソカスがぁ!!』
(イイゾモットヤレ!)
「わ、分かった!わかったからぁ!」
俺は密漁船を指定の位置に向かうように指示すると織斑先生に連絡する
「織斑先生、密漁船が花月荘に向かったので確保お願いします」
『そうか。アストラス絶対死ぬな。いいな?』
「了解!!」
俺は再び福音に目を向けると何やら俺と戦いたいようだ
「あのときの俺だったら経験値として済ましてたな…」
先程見たボロボロの一夏の姿。ISの防御性能の高さがなければ間違いなく死んでいた。
無事だろうか、けどわからない。ISの操縦者保護能力に期待するしかない。
でももし死んでしまったら。という考えが脳裏に過る度、操縦桿を握る手に力が入った。
「よくも俺の友達をやってくれたな…………!!!!!!」
初めてIS学園に来た時、初めて会った一夏の印象は爽やかなイケメンで親しみやすかった
俺が初日にやらかした時は俺の事をファザコンとかで済ますなよとか言ってくれたのは嬉しかった。
あいつがいなきゃ俺は友達なしの復讐者になっていた
部屋に戻ってISの勉強をしたりプラモデルの魅力を語る時は一夏もプラモデルが好きだと知り嬉しかった(因みにガンプラ派らしいです)
ラウラとの決闘前までや決闘後の練習では雪片弐型とヴィダールで突き合い、オルトロスで撃つ時も俺は高揚感に包まれた。
復讐の道具としか捉えてなかったISはいつの間にか他の友達とも繋がれる道具となっていた。
「Laaa……………」
天から降りてくるような透明感のあるマシンボイス。
様子を伺う為に上方に陣取って、無機質な仮面が俺を見下ろす。
モル以外に出来た日本の親友を、経緯はどうあれコイツが海に落とした。殺しかけたのだ。
一人で倒せるとは思ってはいない。
だけど今はその憎らしい羽を一枚引きちぎらないと、マグマのように煮えたぎる腹の下の感情が収まらない。
(でもあいつ…………
我慢は後回しだ。
「クーゲル、行けるか」
『アァ!トモダチヲヤラレタラヤリカエス!バイガエシダ!』
「あぁ!!」
俺は左目を閉じると黒ウサギ隊共通の
「覚悟しやがれ
やっとかけたぁぁぁぁぁ!!!!!