「行くぞ!!!」
俺は啖呵を切って福音に接近。初手から銃弾を浴びせる
『新たな敵機を確認。迎撃モードに移行、データの収集を開始』
「データかなんか知らねぇがとっとと失せやがれぇぇ!!!」
しかし福音は銃弾を軽々と避け始め、ウイングスラスターから爆発する光弾【
「AICなら!!」
即座に掌を翳してAICで防ごうとするが,いくら何でも多すぎた為戦線から離脱する
「はぁ……はぁ………」
(ケッコウツヨイゾアイツ!)
「それなら!!」
オルトロスをリコールしヴィダールを呼び出し,福音の銀の鐘を掻い潜ってそのまま突き刺そうとするが
「はあっ!!」
『……!』
何と奴は回避し俺を蹴り飛ばした
「ぐはぁっ!!」
流石に蹴飛ばされるのは想定外だったが,蹴りが当たる瞬間に刀身を突き刺して置いて良かった為、後は当てて爆発させるだけ。
何だよなぁ…………
「こいつありえんぐらい速いから当てづらいんよな」
(アトライディ、福音ニパイロットハンノウガアルヨ?)
「はぁ!?!?!アラスカ条約これ機能してんのか?!?」
アラスカ条約。確か日本がISを発表したときにアメリカが「独占は良くないデース!ISの詳細を全て開示しなサーイ(要約)」という発言を元に作られた条約。
コアの取引を禁止という第7項が有名だが。第3項には正当な理由のないISを使用した他国への軍事行動の禁止という記述がある。
という風に発端はアメリカの発言が元とされているアラスカ条約な訳だが
それが今はどうだ?自国で演習していたAI搭載型軍用ISが暴走してパイロット乗っ取って乗せたまま日本に直進してるじゃねぇか!!
マジふざけるな!まったくもってふざけるなよど畜生が!!
なんか良い方法がないかと模索していたが閃いた
「ならリーチを伸ばす!!」
俺は両腕のプラズマ手刀を高出力にし、リーチはIS腕部二つ分の距離になった
「これならどうだ!!」
リーチが伸びたプラズマ手刀により、福音の体に傷ができるが傷がつくよりも先に避けられる為余計に難しくなった
「さっきからちょこまかちょこまかと!!」
俺はオルトロスを呼び出した後、ソードアンカーを射出した。
福音を避けないようにアンカーが突き刺さった瞬間ある程度の距離をとった状態でオルトロスのエネルギー弾を福音に撃ち込む。
射出されたソードアンカーはブーストしさらに加速、福音は銀の鐘で潰しソードアンカーはぶっ壊れた
が、次の瞬間煙からもう一個現れそのまま奴の右翼に突き刺さった
(かかった!!)
そして右翼に刺さったところを中心にソードアンカーのエンジンノズルを俺へ引き寄せるように近づける
いけると思った俺はオルトロスのリミッターを解除し二丁の銃口から狼の頭を模った光弾が集まると同時だった
『警告 エネルギー熱源反応あり』
「っ!!」
俺は即座に光弾を放ち、ソードアンカーを右翼から切り離した
光弾は銀の鐘で打ち消されてしまい万事休すとなる
(やばい……!俺も一夏のようになってしまうのか!?)
その時に二つの光景が目に浮かんだ。操縦席で挟まれ、戦闘機のパーツで潰された幼馴染と背中が焼き爛れた友達………
ここで終わるのか?死んだ父親のISへ復讐すら叶わず,友達の敵討ちすらままならないのか
こんな…………こんなところで………
「終わってたまるかぁぁぁ!!!!!!」
俺はルミナスを最大出力にして自分自身を包み込むかのように広がり、銀の鐘による弾幕攻撃を俺は数十秒間耐え忍んだ
「ぐぅぅぅっ!!!」
すると俺は思い出したかのようにオルトロスを一丁呼び出して足に刺さったヴィダールの刀身をぎりぎりで撃つと当たって爆発し、弾幕攻撃がやっと止んだ
「はぁ………はぁ………」
煙に包み込まれた福音を見て俺は少し驚いてしまった。一夏と箒が苦戦した福音があっという間にダメージを与えていた
軍用ISなのにこんな簡単にやられて良いのかと俺は思っていたが…………
「いい加減、停止してくれねぇかな………」
(アイボウ、ソレハドウヤラムリラシイヨ)
そんな甘い妄想は直ぐに吹き飛び、クーゲルの言う通りに煙から福音が現れた。しかしあれだけのダメージを受けた福音は所々で俺に蹴りを入れ込んだ右脚を中心に火花を出していたりと損傷を受けていた。
『ザ……ザザ……』
「ん?」
通信機の不調かノイズ音が聞こえる。俺は通信機の信号を調整しノイズ音を取り払う。
『アストラス君!聞こえますか?』
「山田先生……! こちらアストラス順調です!!」
『先程、海岸にて織斑君、篠ノ之さんが到着。織斑君は待機していた医療班によって臨時の医療室に運ばれました。これによりアストラス君のバックアップは推敲したので撤退してください』
「……了解!!」
通信は司令室に残っていた山田先生からだった。どうやら黒の爆風が一夏と箒を花月荘の海岸まで運び終えたようだ。
(ライディ、コノママニゲルヨ!)
「………もう少しだったのにな」
俺はヴィダールの刀身を福音に向かって投げた後銃弾を当てて目眩しとして使ってそのまま撤退した
ーー♢ーー
俺は海岸沿いに何とか帰投してきた。
だけど周りには救助隊や先生、医療スタッフ達が忙しそうにしていた。どうやら一夏の事だろう。
すると突然俺の左腕に痛みが走る
「……っ!!」
ルミナスで重点的にガードしたせいか左腕が火傷していた
「アストラス君!!」
「………山田先生……?」
山田先生と一緒に織斑先生も来た
「ライディ・アストラス。ただいま帰還しました」
「ご苦労…………まて、左腕が火傷してるぞ」
「………こんなの慣れっこです」
「よくはありません!直ちに治療を行ってください!」
「山田先生の言う通りだ。それにお前が無事帰ってきただけで安心だ」
「先生…………」
意外にも俺に心配をかけてくれたのかとちょっと泣きそうになったけど織斑先生から指示が飛ぶ。
「一般生徒は只今をもって部屋にて待機。専用機持ちは大広間にて待機していろ!解散!」
俺も手当てのために部屋に戻ろうとしたけど声をかけられた
「アストラス君……大丈夫?」
「相川さん? あぁ、俺は平気……かな」
「織斑君…大丈夫なのかな……なんか背中が凄く痛そうだった」
「…………今は奴の無事を祈るしかないよ。指示に従って」
「うん…………」
いつまで時間が過ぎただろうか。一夏は意識不明の重体、銀の鐘による傷はISの緊急保護プログラムでなんとか一命を取り止めるに至ったものの、今だに意識を取り戻してはいない。
銀の福音は一定距離を飛行したのち反応消失、おそらく受けた傷を癒すためにステルスモードに入ったと思われる。
俺は教師陣にクーゲルの整備を任せ、残った専用器持ちはパッケージのインストール作業に取りかかった。
作戦は継続、それが学園上層部からの指令だった。
例の密漁船だが、詳しい詳細は知らされなかった。これに関しては俺達の管轄ではないためだという。
「………」
戻ったときに一夏を目にした時、心臓がキュッと引き締まった。
点滴に繋がれる腕、口には酸素マスク、傍らには心音を伝えるための電子機器、そして包帯だらけのまま、死んだように眠る一夏の姿。
ガンッ!!
そばにあった木柱に拳を打ち付けた。
打ち付けた拳を固く握りしめると、否定的な考えが次々と浮かんでは消えた。
またあの時のように友達を失うのか。自分の無力感に苛まれた。
箒と一夏の作戦に俺もまた行っていたら変わっていたのだろうか。
一夏に自分のオルトロスを持たせとけば良かったのかと悩み始める
「なぁ一夏。俺、ずっとお前が憧れだったんだ………お前みたいなお人好し、モル以外にもいたんだって思わせてくれた。………なのによ……辛い………辛いわ」
なんかボロボロと涙が出始めた。それと同時に壁を再び殴った。クーゲルが居てくれたら止めてくれたけど今あいつはメンテナンス中だ。
「そんなことしても何ともならんぞ。アストラス」
「織斑先生…………」
襖から織斑先生が出て来た。自分の弟がこんな状態なのに感情を乱してない。
「左腕の火傷は大丈夫か?」
「……………そんなの一夏の傷に比べたら大丈夫です」
「そうか………」
「あの、織斑先生! 福音討伐作戦は実行してるんですよね」
「あぁ。」
「ステルスモードに入ってるなら俺が福音を!!」
すると織斑先生は俺を液晶端末でぶん殴った。高価な物でよくまぁやったなオイ
「ってぇ………」
「貴様は何だ。 あの織斑と篠ノ之でも勝てなかった福音に勝てるとでも?調子に乗るのもいい加減にしろ」
「そもそもなんで紅椿貰いたての箒を作戦に入れたんですか!!セシリアの高機動パッケージより紅椿の装甲展開なんか採用した結果がこれだ!! なのにこんなのないですよ!!!」
今までの鬱憤を織斑先生にぶつけた。分かってる、分かっているんだよ。元はと言えば織斑先生が作戦の最高責任者だ。篠ノ之博士の理論が高機動パッケージを上回ってたら誰でも採用したくなるはずだ
「…………アストラスの言いたい事は分かる。だけどお前は学生でもあり軍のテストパイロット。二人と同じように実戦本番で福音にダメージを与えたのは紛れもなくお前だ。 チャンスだと思うかもしれない、自分の命に変えても倒せるかもしれない。 そう考えているだろう?」
「…………はい」
「それで織斑が喜ぶか?たった一人で倒せる相手でもないのを倒すのは自殺行為だぞ。」
一夏の気持ちを考えたらと思うとそうだ。けど次の瞬間、俺は織斑先生の言葉が忘れられなかった
「
「…………!!!」
的確な発言に俺はフリーズしてしまった。言い返そうと思っても出る言葉がない。
「………説教はここまでにする。アストラスもあまり無茶をするな。いいな?」
「……………はい」
「まったく、私のドイツの教え子は何故手に掛かるだろうか………」
そう言い残して織斑先生は退出したのだが、険しかったオーラが収まった。
そして残ったのは俺と眠っている一夏だけとなった
「…………入るぞ」
「………ラウラか。」
織斑先生と入れ替わるようにラウラがやって来た。
「クーゲルのメンテナンスが終わったとノイマン中尉からの伝言だ」
「分かった。……………戦闘ログ、見たか?」
「あぁ。最初のファーストアタックは完璧だった。だが一夏が零落白夜で斬ろうとしたが………」
「密漁船を見つけてしまった。いや、見つけざるを得なかったかもしれない」
「ったく………夫を一人にしよって……」
あのラウラでさえ苦虫を噛み潰したような顔をしている。全てはあの密漁船のせいだ……
あいつらは大人しく捕まったのだろうか……まぁオルトロスで脅しといたし大丈夫だと思う。
まぁここで止まってても意味ないし俺は立ち上がってクーゲルを受け取りに部屋から出た。
「………なぁラウラ、辛いか?」
歩きながら言った俺の突然の質問に表情を崩さないラウラは腕を組みながらもこう答えた。
「あぁ、辛いさ。だが私がここで泣き叫んでも事態は変わらん。それに一番辛いのは肉親である教官だ。今すぐ飛び出したい気持ちをあの人はただただ抑えている、トップが揺らげば全体が揺らぐことを知っているからだ」
「流石部隊長さんだぜ。」
「まぁな。だが一夏が密漁船を放置していたら勝てたかもしれんな」
「でも俺とあんた以外は一端の学生だぞ………平和に過ごして来た奴に非情なことなんか出来ねぇよ…………」
そう弱みを吐露していたところだった
「ライディ………」
「……シャルロットか」
「みんな……」
二人だけの空間にシャルロット、セシリア、鈴がやって来た
「ライディさん、一夏さん達のバックアップお疲れ様でしたわ」
「あぁ……ありがとうな。」
「ったく、箒の奴は何やってんのよ」
箒はと言うと一回一夏が眠る部屋に来た後に制服に着替えたらしい。で、今絶賛落ち込んでるって訳だ
「そうあんま攻めんな鈴。俺も力を手に入れた事で転入初日にファザコン呼ばわりされたからあいつより俺の方がマシ」
「ええっ……(困惑)」
まぁちょっとだけ緊張が緩んだが問題は根本的にあった
「作戦は続行………それでいて僕達専用機持ちは待機だって」
「一夏さんの零落白夜という切り札を失ったわたくし達には何ができるか分かりませんわね………」
規格外、既存の技術では想像できないISのみが生み出す行きすぎた科学の成れの果て、魔術の域に踏み込みかねない操縦者とISの深層共鳴による超常現象。
個体差はあれど、ワンオフ・アビリティーは戦況を一気に変えれる切り札。謂わばジョーカーカードを失った俺達に、先程の一撃必殺は望めない。
……………けど!!
「………!!」
「ライディどうした?」
「あるには……ある」
「え?」
「零落白夜並みにシールドバリアを削り取れる方法が!!」
「はぁ……?!」
「まさかシュヴァルツェア・クーゲルはレーゲンみたいに隠しシステムが?」
「VTシステムいじりやめろ」
シールドバリアを削り取る方法………それはレールガンをオルトロスの時の弾倉一個消費するエネルギー光弾の発射。
だけど俺一人で出来るわけがないと思っている
「頼む!!俺に力を貸してくれ!!」
そう言い俺は頭を下げた。
「ライディ…………うん!」
「…………分かりましたわ。」
シャルロット、セシリアは何や勘や了承。それで俺は最後のピースを説得する為に歩き出した
「待て、ライディ。どこへ行く」
「決まってんだろ。 最後のピースを取りに行く」
「ならあたしも…」
「鈴はここで待っててくれ。こいつは俺一人で説得する」
答え終わると同時に俺は駆け足で向かっていった。
まずは相棒を受け取る。話はそこからだ
ーー♢ーー
(やはり私はいつもそうだ……)
誰も居ない夕日の浜辺、箒は一人でいた。
そもそも一夏との出会いは、小学生の頃だった。
最初は千冬さんの弟で剣道は私より弱かった。それでもあいつは「諦めない」と言って、毎回私に挑んでくる奴だった。
要するに諦めの悪い奴だと思っていた。
その時までは……。
「おい男女、今日は剣持たねーのかよ!」
「喋り方も男っぽいしな」
「やーい! やーい! 男女~!」
小学二年の頃、私は周りの女子と趣味が違っていた。
熊のぬいぐるみやお人形、たまごっちといった可愛いものが大半を占める中で、私は剣道一筋だった。それだけで、少し孤立していたせいで男女なんて言われる事があった。
孤立しているだけならまだよかった。周りと違うことで、いじられることもあった。だけど私は自分を少し強いと思っていたから、無視するようにしていた。
「しかもリボンとかつけてんだぜ」
「笑えるよなぁ!」
我慢していたある日、男子が話しかけてきた。
「お前ら何サボってんだよ。掃除の時間だろ、掃除しろよ」
その男の子こそが一夏だった。掃除をしていない連中に注意したつもりだったのだろう。回転箒を片手にふてぶてしい顔をして立っていた。
「なんだよ織斑、お前こいつの味方かよ」
「お前この男女が好きなのかぁ?」
「おいおい、お前の夫が来たぞ~ 毎回イチャイチャしてるじゃん!」
「こいつら毎朝会ってるんだぜー 夫婦だ夫婦ー!」
目の前の三人組が口々にはやし立てる。
イチャイチャ? 剣道で打ち合って朝練をしているだけだ。
それだけで夫婦とはなんとも平和なことだ。私は無理矢理、頭の中で冷静に処理しようとした。
「そういや篠ノ之。この前リボンなんて女の子みたいなのつけてたよな」
「織斑が剣道やり始めてからじゃね?」
「もしかして本当に夫婦か? そんなのつけたって全然可愛くねえよ! むしろ笑っちまうよな!」
私は必死に耐えていた。このリボンは姉さんが買ってくれたもので、嬉しかったからだ。手を出そうとした瞬間、一夏が思いっきりぶん殴った。
「いってぇ!! 何すんだよ!!」
「……まれよ!!」
「あぁ!?!」
「篠ノ之が可愛いのをつけて何が悪いってんだ!!俺はそういう悪口言ったりいじったりする奴が大嫌いなんだよ!!!こいつが男女じゃなくて女の子だろうが! なんとかしろよ!! あぁ!?」
「てめぇ!! 先生に言いつけるからな!!」
「やってみろよ! まずは篠ノ之に謝れよ!!」
「んだとー!!!」
「やっちまえ!!」
あの後、両親を呼ぶほど大事になり、当時中学生だった千冬さんが一夏と一緒に頭を下げに来たのを覚えている。
一夏が「なんで謝るんだよ! 悪いのはそっちの方なのに!!」と叫んだとき、千冬さんは「あぁでもしないと、いじめっ子みたいに騒ぐ親もいるからな」と諭していた。
私は一夏のその姿勢に救われていたのかもしれない。
数日後、珍しく私から彼に話しかけた。なぜ話しかけたのか、よく覚えていない。ただ、朝の鍛錬で顔を洗っているあいつを見て、自然と足が動いたのだ。
「お前は馬鹿だ」
「なんだよ急に。馬鹿じゃねぇよ」
「馬鹿だ。いや、大馬鹿者だ」
「馬鹿馬鹿言うなよ。馬鹿って言った奴が馬鹿なんだぜ」
「じゃあお前も馬鹿だ。馬鹿って言ったぞ」
「なっ……!!」
「お前は、そんなことをしたら後で面倒なことになるのを知っていたのか?」
「あぁ。でも俺は、篠ノ之がいじめられてたから許せなかっただけだ」
「お前のその正義感は、何なんだまったく」
「それによ……お前のリボン、似合ってるぞ」
「……っ!」
初めての褒め言葉。それだけで、私の心は跳ね上がった。
今まで感じたことのない感情。私は、一夏に惚れたのかもしれない……。
「べ……別にだ。私は私の道を行くからな」
「んだよ、可愛げのない奴」
「あぁ?」
「ごめんなさい」
普通なら褒められたら喜ぶものだろう。けれど私は、照れ笑いすらできなかった。本当に一夏の言う通りだと思う。
「じゃあ帰るわ。またな、篠ノ之」
「……箒だ」
「うん?」
「私の名前は箒だ。いい加減覚えろ。この道場には篠ノ之は他にもいる。紛らわしいだろ。次からは名前で呼べ。いいな」
私は何を言っているんだろう。名前なんて、そんなに意味のないものなのに。
それでも……。
「じゃあ、一夏な」
「な、なに?」
「だから名前だよ。織斑は二人いるから。俺のことも一夏って呼べよな。わかったか、箒」
その時の彼の笑顔は、満面の笑みを浮かべていた。眩しく輝いていた。
「いっ……い、い、一夏!! こう呼べばいいのだろう?」
「おう! よろしくな、箒!!」
「うっ……うるさい!! 練習の再開だ!! いっ……行くぞ!!」
「よーし!! 今日こそ絶対勝つ!!!」
この時私は感じたのだ。誰かを好きになる。
まさに恋だと………
ーー♢ーー
ざぁー、と波が引いては流される。
ざぁー、と波が砂を濡らしていく。
あの後、箒はしばらく一夏のそばにいた、だが一夏は動く気配はなかった。
物言わぬ一夏に何を話せばわからなくなり、気づけば部屋を後にしていた。
宛もなく歩き続け、たどり着いたのはオレンジに染まった海。
「………私のせいだ」
何度口にしたかわからない。だけど喉元から溢れて止まらない。
過程はどうあれ、密漁船が出てくるまでは順調だった。紅椿で隙を作り、白式が零落白夜で斬ることも不可能ではなかった。
「自ら力を見誤ったことで一夏が…………ライディにも当たってしまった……」
残されたのはざぁー…っ、ざぁー…って鳴り響く波の音のみ。
あの時の光景がフラッシュバックしてくる。
もしもライディの助言をちゃんと言えばこうならなかったと思う。
あの後私と一夏を花月荘に帰還する際のバックアップとしてライディが福音の足止めを一人でやった事に私は寝耳に水だった。
長い髪を纏めていたリボンはいつの間にか無くなっていて、ずっとうなだれている。まるで今の私の気持ちを表しているかのようだ。
三時間前の出来事が一秒前のように思い出せる。ISの防御機能を貫通した福音の爆撃は一夏を焼いた。
ISの装甲越しでもわかった生暖かい感触。紅椿とは違う色の『赤』。
『作戦は失敗だ。以降、状況に変化があれば招集する。それまで各自、現状待機だ』
作戦から帰って箒に言われたのはただそれだけだった。
罵られることも、軽蔑されることもなく。ただただ突き放された。
なにも言われないことが何よりも箒の胸に深々と突き刺さった。
他の専用機持ちは箒を見たものの直ぐに別の作業に乗り出した。
「うっ、ふぐっうう、ぅぅぅ………」
膝から崩れ落ちて顔を拭う。涙が溢れて乾いた砂に落ちる。声が上ずるのを唇を噛み締めて堪え忍ぶ。
この涙は何の涙なのか。
一夏に対する涙なのか。
または自分の不甲斐なさに対する涙なのか。
分からない、分からなくても涙が溢れてくる。
その涙は後悔を表し、ライディにも申し訳なくなって来た。
私はもうISには乗らない……それで大切な人が傷つくのなら…………
「ここに居たのか………」
「!?」
だけど私の涙が止まった。振り返るとそこに二人目の男性IS操縦者であるライディと待機形態ドローンモードの シュヴァルツェア・クーゲルだった
最近の流行りって何なんだ?