頑張ります!!
「ライディ………」
「箒、どうやら作戦は実行で、福音はステルスモードに入った。」
「………」
「だから今がチャンスだと見込んだ。その為にお前の力が必要なんだ。」
「私は……」
「なんだ?」
ライディが見つめるなか、箒はうつむいたまま。
続く言葉を作り出せず、箒は黙り込んだ。
「先程の戦闘だが、一番の敗因はお前だ」
「そんなことわかっている」
「分かっているのなら、何故動かない、何故仇を打とうとしない?」
顔を上げた箒の目には生気は掠れ、またうつむいて黙り込む
その姿にライディは舌をうつ。
「さっきから黙ってばかりだな。朝のように反論してみてはどうなんだ」
「………」
「箒、花月荘に行くぞ。お前が少しでも自分の行いに負い目を感じたのならば。お前も戦いに参加するんだ」
波の音だけが響く砂浜で、箒は言葉を絞り出すように吐き出した。
「私は………ISには乗らない………」
「………………今なんて言った?」
箒のか細い声にライディは自分の耳を疑った。
「放っておいてくれ、私はISには、もう乗らない」
「………それは作戦には参加しないということでいいんだな?」
「こんなものがあるから、ISなんかあるから一夏は………」
ISなんかあるから。
箒の姉である篠ノ之束がISを開発しなければ、箒と一夏は離れ離れにならずにすんだ。
ISがなければ今でも一夏と箒は変わらず一緒に居ただろう。姉である束も自分から離れなかった。好きだった家族ともバラバラにならずにすんだ。
ISがなければ、福音なんてものは存在せず、箒も紅椿を求めず、一夏はあのような怪我をしなくてすんだ。
「…………ふざけんなぁ!!!!!」
「っ!?」
ライディは箒の手首にある紅椿の待機形態を取り上げる
「ISが無ければいいと言ったのはあんたの方だ……!」
紅椿が無ければ箒はまた一般生徒に逆戻りだ。それを危惧したのか箒は紅椿を取り戻そうとする
「それは………私の専用機だ」
「あぁそうかい。でもお前は専用機持ちを名乗る資格はない。」
淡々と、ただ冷淡に話すライディの目を箒は見た。
軽蔑の眼差し、冷えた視線。語る言葉が嘘とは思えないほど長短はなく。全てが真実に箒は聞こえた。
「ほ、本気なのか? 私からそれを取り上げたことを知ったら姉さんが何をするか」
「普段姉のことを話題に出すと不機嫌になる癖にこんな時だけ姉の名前を出すのか? 俺に嫌だけど話したのが仇となったな」
「違うそういうことじゃない!あの人は身内のことになると!」
なにをするか分からない。
たとえそれが世界に二人しかいない特別な片割れだとしても。
「生憎乗る気のない奴に与えられるほどISは凄いものだ」
「頼む!それがなかったら!」
「一夏の隣に居られない」
唐突に核心を突かれて箒の目は見開いた。
見開いた目に写るのは先程と変わらない冷ややかな目。
「結局お前の根っこはそこだ。作戦実行寸前に俺によってたかったのも、俺の忠告を聞きもしなかったのも、一夏に核心を突かれて戦闘意欲を無くしたのも。全部が全部、一夏に振り向いてもらいたい恋慕故だろ? 違うか?」
「くっ!」
ずけずけと箒の心のうちに入ってくる強引な疾風の拘束から力付くで逃れて後ずさる。
足が寄せてきた波に濡れたが、お構いなしに腕に残ったISの待機形態を胸のうちに置いた。
「そんなに一夏の隣に居ることが大事か?」
「………うるさい」
「そんなに一夏に自分以外の相手をされるのが嫌か?」
「……うるさい」
「専用機さえあれば一夏が振り向くと思ったのか?」
「…うるさい」
「その結果がこれだ。満足したか?」
「うるさい! お前に何がわかる!!」
箒はライディを睨み付けた。目元には涙が浮かび、今にも溢れそうだ。
それでもライディは動じなかった、並みの人物なら後ずさることも致し方ない箒の迫力に眉ひとつ動かさなかった。
「さぁな。俺は恋なんてしたことねぇよ」
「じゃあ私に口を出すな!」
「なら紅椿を渡せ。お前なんかが持ってても宝の持ち腐れだ」
「嫌だ!これは私の物だ!私のISだ!専用機だ!これさえあれば!私はまた一夏の隣にっ」
パンッ
「っ!」
「いい加減にしろ………!!!」
一瞬、箒は自分に何が起きたか分からなかった。いつの間にか私は支えを失って、ドサッと砂浜に倒れていた。
そして頬が熱を持ち、次第に痛みが湧き出てきて、初めて理解した。
自分はライディに頬を打たれたのだと。
顔を上げると先程まで無表情を貫いていたライディの顔は怒りに満ちていて。倒れた箒の胸ぐらを掴んで声を荒げた。
「さっきから情けないこと軟弱なことばかり言って、乗らないと言いながらしがみついて、挙げ句の果てにはそれがないと一夏の傍に居られ何い?舐めた事ぬかしてんじゃねぇぞ!!」
「な、なにを」
「お前はあんなことがあった後でも。私は落ち込んでますのポーズをしてるだけで、お前はISを、専用機を持つということの意味をまるで理解していない!」
「そ、そんなことは」
「所詮一夏の隣で着飾る為のアクセサリーとしか思ってなかったんだろ!」
「!!」
またも根底を掘り出されて箒の顔は強ばった。
「気にくわないことがおきたからISを手放す、そんな我が儘が通される程、専用機持ちという名は軽いものじゃないんだよ!」
今だにまだ胸ぐらを掴んでるライディ。ISに対する気持ちは別口であっても人以上の思いがある
「ISはな!!俺達が持つのが過剰なぐらい強い兵器なんだよ!!そのせいで俺の父さんは死んだ!ISが無ければ死ななかったと思うしISかそれ以上の兵器があれば誰かを助けたり止めることだって出来た!!」
実際姉にぶつけるべき内容をライディは私にぶつけていた。
箒と同じISによって狂わされた存在。
「この世界にはな!ISに乗りたくても、憧れても、乗れない奴らがたくさんいるのは分かってるのか!?俺と一夏は例外だとしてもだ!!」
だからこそ許せなかった。誰でも欲しがり、スポーツとしてあるいは兵器何もなりゆるIS、その専用機を手にしながら乗らないといいつつも、手放すことを拒否する箒を酷く身勝手に写ったから。
だけどライディの怒りはそれだけじゃなかった。今怒っている要因以上に許せないことがライディにはあったのだ。
「さっきお前は言ったな、専用機持ちにならないと一夏の傍に居られないと」
「そうだ……」
「はっきり言う。お前は一夏のことをなんも分かってない!」
「なっ!?」
巨大な衝撃が箒の心を揺さぶった。
どういうことなのかと声を荒らげようとするもその前にライディが遮った。
「そんな馬鹿な考えは俺でもしねぇよ」
「馬鹿な、考え?」
「そうだ!付き合いが一番短い俺が分かってて、何で一番古いお前が分かんねぇんだ!!」
「お前は何を言って」
「お前をかばった一夏は笑っていた!銀の鐘に背中を焼かれ、激痛に叫びながらも、最後にお前を見てあいつは笑っていた!!何故だと思う!?」
そう、一夏は笑っていた。それに俺は何故か心なしか違和感を覚えた。
あの後紅椿の戦闘ログを見た俺達はそれを見た時。一夏の内心を理解すると同時に胸を打たれ、涙した者もいた。
織斑一夏という奴は何処までも、本当に何処までも。
「お前が無事で良かったと! そう思ったからじゃないのか!!?」
「あっ………」
優しい心の持ち主なのだと。
そう、あんな状況にあったのにも関わらず一夏の胸にあったのは箒に対する安堵だけ。
「そんな男が!専用機を持ってないなんてちっぽけな理由で、お前を見放すと思うのかよ!」
「あっ……あっ……」
ようやく理解した現実に、箒はダムが決壊したかのように涙が溢れかえった。
ボロボロと涙を流す箒の胸ぐらを離すと、箒は手を顔に当てて泣き腫らした。
無人機の対処に専用機持ちがあたり、遠くから見ることしか出来なかった。
ラウラのVTシステムの暴走時に生身同然で立ち向かう一夏の背中を見て、何も出来ない無力な自分を嘆いた。
一夏がどんどん離れていく気がした。だから追い付くために姉に力を、自分だけの専用機を欲した。
だけど、それは全部自分の思いあがりだったのだと。
一夏とその周りに立つ専用機持ちから置いてかれる自分を納得させるための理由として専用機というハードルを勝手に前に置いて諦めただけだったのだと。
入学してからずっと、一夏は箒を見かけると食事に誘ったり、訓練機で出向いた時は剣の打ち合いを頼んだこともあった。
(ああそうだ。一夏は前と変わらずに私と接してくれて居たじゃないか。当たり前の日常に勝手に満足できずに勝手に思いあがって、大事な事に目をそらして。私はなんて)
自分勝手で情けない軟弱者なのだろうか。
するとライディの顔から涙が出て来始め、箒の両肩をがっしり掴んで揺らす。
「一夏はな……!優しいんだよ……!!俺がISに父さんが殺されたことを暴露しても俺を受け入れてくれた!周りのクラスメイトからファザコン呼ばわりされてもあいつは俺をファザコンと言う言葉で済ますなって怒ってくれた!」
「………あぁ……!!!」
「なのにお前はそんな優しい一夏が傷ついてるのに……怪我を負わせた福音がまだ倒されていないのに………悲しくないのか悔しくないのか!!」
ライディの渾身の発言により、箒の心に火がついた。
「悲しい…………悲しいし悔しいに決まってる!!元はと言えば中途半端に一夏を疑った挙句に私のミスでこうなったもんだ!!福音の場所さえ分かれば私も戦う!!」
それを聞いた瞬間ライディは箒に奪っていた紅椿の待機形態を箒に返した。
「その言葉……信じて良いんだな箒!」
「………………あぁ!!」
強く拳を握った彼女に呼応してか、待機形態についている鈴かチリンと鳴り響いた。
その瞳にはもう先程の迷いはなく。ライディのよく知る勝ち気な武士道少女の姿がそこにはあった。
「だってさ!……………ラウラ!!」
すると岩陰からラウラが出て来たのだがその姿は
「あぁ。ドイツの衛星を使って場所は特定した。」
「ラウラ、それって……」
「一夏の敵を討てるという事だ。」
そう言いながらもラウラは箒に手を差し伸べる
「さぁ、皆が待ってる。」
「分かった……行く。」
覚悟を決めた箒と一緒にラウラは花月荘に戻ろうとしたが…….
「………………ふーー!!」
「な、なんだ!? まだ私になにか?」
ライディが膝に手を置いて大袈裟なほど息を吐いた。
「やっとやる気になってくれたか。あー疲れた。マジでISに乗らないなんてことになったらどうしようかと」
「え、な、なんだそれは? まさか、さっき怒りはハッタリだったのか!?」
「まぁ箒を連れ戻す算段としてガチギレたのは事実。あとはもう感情に身を任せた」
「ったく貴様は嫁のことになると熱くなるのが難点だな」
「そういうのはラウラも言えねぇよ」
「まぁな。」
人のこと言えなくなったラウラを差し置き,ライディは再び確認する
「再三聞くけど迷わないよな?」
「あぁ。分かってる」
「よし、なら行くぞ二人とも」
ーー♢ーー
花月荘の縁側にて3人は箒とライディとラウラを待っていた。
「てな訳で箒を連れ戻して来たぞ」
「ライディあんたどんな方法で……」
「力説」
「だいぶ無茶してるよ???」
「無茶しましたわね……」
それとクーゲルにも感謝しておく
(見守っててくれてありがとうな。)
(ライディノタメナラナンデモスルゼ!デモチョットコワカッタ)
「(悪い悪い気をつけるわ)……………よし!織斑先生のところへ向かう前に作戦会議をするか!」
「待ってくれライディ」
「どした?」
手で制した箒の意図を汲み取ってライディは一歩下がった。
箒は自分を見ている四人の前に立った。
「すまない!今回の一夏の怪我は全部私の責任だ!許してくれとは言わない、だが私は私を守ってくれた一夏の為にも福音を討ちたい! 頼む、例え足手まといだとしても、肉盾でしか役立てないとしても! 私を作戦に加えてほしい!」
箒は深々と頭を下げた。
皆にとっても大切な想い人を、自分の身勝手で傷付けた。ライディが作戦に誘ってくれたとしても、他の人が許すとは限らない。
形だけの謝罪と取られるかもしれない。それでも、箒は自分の決意と落ち度を自覚しているからこそ、皆に謝らなければと思ったのだ。
「頭を上げろ。なにを当たり前の事を言うかと思えば。お前が作戦に参加することに意味があることなど、私達が考えていないと思っていたのか?」
「え?」
頭を上げて最初に目に写ったのは何時ものクールフェイスのラウラだった。
「何を呆けている?」
「いや、お前にとって私は只の足手まといだとばかり」
ラウラとシャルロットが入った後に開催されたタッグマッチトーナメントで箒はラウラと組んだが、ラウラからは邪魔者扱いされ、結果殆ど結果を残せず、苦い想いをしたことを箒は思い出していた。
「肉盾だと?何寝ぼけた事を言っている。先程の福音との戦闘データを見せてもらったが。最初の一撃必殺の作戦は問題なく決まっていた筈だった。今回福音は一夏の零落白夜を対策していたと思える程の無駄のない動きを見せた。その後の交戦記録でもお前は福音を追い詰めた。第四世代、高度な操縦者支援プログラムがあるにしろ、最後に左右されるのはパイロットの技量だ。精神面を抜きにすればお前は我々の中の最高戦力、むざむざ遊ばせる道理が何処にある。少しは自信を持て」
「あ、ありがとう、ラウラ」
あれほど冷遇していたラウラの意外な意見に、箒の胸に暖かい感情が広がっていった。
「箒さん、確かに貴女の行動に問題はありました。だからといって、貴女の中にある一夏さんへの想いは間違っていたとはわたくしは思いません。誰かを想うということは、時に絶大な力を生む筈です。その気持ちをどう使うかは、貴女次第だということをお忘れなく」
「セシリア……」
一夏から多大なる影響を受けたセシリア。一夏と決闘した後も毎回絡む事があり、許すと明確な言葉に出さないながらも、彼女は自分の想いを認めてくれた。
「箒はちゃんと反省したのに、それを態々掘り返してつつくこともないしね。箒の気持ちも分からなくはないし。僕が箒と同じ立場だったとしたら。もしかしたら同じ結果になってた可能性もあったかもしれない」
「それは違う。お前は私と違ってしっかりしているだろう」
「そんなことはないよ。一夏が女の子と親しげに話していたらムッとするし、馬鹿なことだってする。ほら、前に遅刻しそうになってリヴァイヴを部分展開して織斑先生に怒られたことあったでしょ? だから僕も根っこは箒と同じなんだよ」
見るからに優等生で、女とばれた後も毅然と過ごしていたシャルロット。
自分より明らかに大人だと思っていた彼女が同じだと言うことに、箒は少しむず痒さを覚えた。
「ぅぅ……………」
そして、皆が話すなかいつの間にか後ろで隠れぎみになっていたもう一人が小さく呻いていた。
「鈴、お前も何か言ったらどうだ?」
「え、いや。いいわよ、あたしは別に………」
「どうした鈴、お前らしくない」
ラウラの言う通り、いつでもオラオラで勝ち気な鈴がすっかり縮こまっている。こころなしかツインテールも垂れぎみだ。
「いやいや、だってさ。こんな皆お迎えムードなのにあたしが今更言ったって、シャルロットだってああ言ったし………ゴニョゴニョ」
「もうこの際はっきり言ったらどうだ?」
ライディの催促により、鈴は折れたのかズカズカと箒の前でズビシッと指を指す鈴に思わず背筋をピンと伸ばしてしまう箒。
直前になって少し口ごもる鈴も覚悟を決めて思いの丈を言いはなった。
「言っとくけどね箒!一夏をあんな目に合わせたあんたのこと許した訳じゃないから!」
「も、勿論だ」
「けどね。それ以上に許せないのは引きずってウジウジしてるあんたなの!このまま一夏やあたし達の前から居なくなるなんて考えないでよね!あんたはあたし達のライバル!一人居なくなるのは嬉しいけど、蹴落としてまで一夏と付き合えても嬉しくないのよ!同じ一夏と幼馴染みという関係として、あたしはあんたと勝負したいのよ!わかった!?」
「わ、わかった!」
「わかったらさっさとリベンジに行くわよ!今度こそ皆であいつを墜とすのよ!」
「ああっ!!」
一夏を巡るライバル。その言葉が箒にとってこれ以上なく嬉しかった。
箒は何処かで自分と他人では一夏への想いが違うと勝手に壁で区切ってしまっていた自分を恥じた。
皆同じだ、専用機の有無など関係ない。それで一夏を諦めるという理由など、想いが負けるということなど、ある筈もなかったのだ。
「ふふっ……」
「いきなりどうしたのよライディ」
「急に笑うなんて」
「いや……お前達と友達になれて良かったって思ってる。 実は俺一人で福音を倒そうって思ってたけど織斑先生に止められた。」
それで箒が立ち直ってそこから連鎖した結果、一夏の敵を取りたいに直結したのだ
「また無茶しようとしたな?」
「ったくアンタの悪い癖ね」
「僕達も頼らせてよ」
ライディもライディで頼れる仲間を自覚し、作戦会議を開くことになった。
「ラウラがドイツ空軍の通信衛星を頼りに福音の場所は特定した。」
「現在スリープモードに入っている福音をどう倒すかが要ですわね。」
「でもどうやって動くの?僕達は一応待機の身で、作戦の決定権が織斑先生にある以上、出撃不可能だよ」
「無断で出撃するとか」
「そんなことしてみろ。本来関わってはいけない軍の機密案件に接触し、終わったとしても相当な罰則を食らうぞ。しかも、教官が出席簿片手に特大のお仕置きというおまけ付きだ」
「そ、そっちの方が怖いな……ははっ」
「ですわね…………」
「おまけが本命と思うのあたしだけ?」
一同は想像しかけたが。直ぐに本能がそれを拒否して脳内から消し去った。
前回は零落白夜という切り札があった、だが今回はない。
福音との超高速化のドッグファイト、ライディが戦果を上げたものの福音はそのデータを次に行かしてくるだろう。
「零落白夜に変わるものがあるというのか?ライディ」
「あぁ、確証とは言えないけどクーゲルの二丁拳銃【オルトロス】はマガジン一個ずつ消費することで高出力エネルギー光弾を撃つことができる。勿論高機動パッケージ用レールガンもだ」
「一応あるって訳ね」
「だから皆に力を貸して欲しい。」
「どうしますの?」
「それはね………」
ライディは皆に必ず攻撃を当てる案について語った。
話すにつれて、ライディ以外の表情は次第に曇る、というより引いていた。
「ライディ、いくらなんでもそれは」
「無理よ、無理でしょ」
「現実的ではありませんわ」
「だけどそれなら確かに威力はあるかも」
「威力はな。だがどうやって当てる。アストラス中尉」
皆の反応は五者五様だった。
だがその反応にライディは難色を示すどころか納得させるため更に説明を続けた
「相手はパイロットがいたとしてもAIだ。今までの攻撃は学習されたかもしれない。でもクーゲルのデータを合わせてみるとこうだ」
精密なデータを照合させ、専用パッケージにそのデータを組み込ませ作戦を練り上げた。
そして………
ーー♢ーー
「織斑先生!」
「アストラス………待機を命じた筈だ」
予想通りの反応、そして襖越しに伝わる威圧感。普段の俺達なら直ぐに踵を返して立ち去るだろう
だが今の俺達は一歩も引かずに、むしろ立ち進んだ
「お願いします!作戦はまだ実行中です!至急出撃許可を!」
「良い加減にしろアストラス。一人で行くのは自殺行為だと言ったはずだ。貴様は福音に対する復讐心で周りが見えないのか?」
「いや、復讐なんかではありません!一夏の敵討です!!」
「………何?」
俺の言葉に織斑先生は困惑を覚えた
「俺以外に箒達もいます!作戦もあります!」
「作戦が終了してからもう三時間も経っています。もうこれ以上黙って待っていることなど出来ませんわ」
「今国連に応援の要請を打診している。その結果が出るまで大人しくしていろ」
「それでは遅すぎます先生。福音は今、ライディがつけた傷を癒すために自己修復に入っていると思われます」
「教官、こちらで福音の位置情報を掴みました。今奴は停止しています。ですが自己修復が終了すれば再び亜音速飛行を行うでしょう。そうなれば、作戦遂行事態が困難になります」
「そうか………なら入れ。」
欧州3人トリオの補足説明により、織斑先生の教員部屋へ入ることになった。
それにより情報処理中の教員達が俺達に振り向くことになった。
「今この状態、そして今ある戦力、条件で。福音を仕留めれるカードがあります」
「………話してみろ」
「はい」
先ずは第一関門。如何にあの織斑千冬を納得させられるか。
だが皆は怯まず、欠片ほども臆していない。専用機持ち総勢六人、その胸にあるのはただひとつ。
一夏の為、銀の福音に必ずリベンジすること。
(待ってろ一夏、絶対お前の仇を取ってやるからな)
アマゾンズと復讐の弾丸の二足の草鞋……………いけるか?