成り代わりセイアは未来が分からない   作:ロリコンではない。好きな子がロリなんだ。

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なんか脳内にビビッときたので初投稿です。


ハンバーガーのハンバーグ抜きみたいな感じ

目が覚めた。

 

知らない天井だ。

 

目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寝られなかったので目を開けた。やはり知らない天井だった。動く気力もなく目だけで周囲を見渡すと、そこは知らない部屋だった。凝った装飾品が多く並び、天井も高く、貴族でも暮らしているのかと言いたくなる。

 

思わず起き上がる。己の手を見る。

 

小さい。手が小さい。そして知らない服を着ている。自身にかかっている毛布も見たことがない。謎だ。

 

誘拐でもされたのか?アポ◯キシン4869でも飲まされたのか?それにしては部屋が豪華すぎる。私を自由にしておく意味も分からない。現状が何も分からない。

 

頭に疑問符を複数個浮かべていると、部屋の扉がコンコンと叩かれた。

 

「失礼します」

 

現れたのは一人の女性。見覚えはない。視線はその手に持った盆に向けられており、盆には恐らく水が入っているであろう容器とタオルが乗っていた。そして、頭上には輪っかが浮かんでいる。

 

いや、嘘じゃない。なんと言えばいいのか……うん、輪っかなんだ。本当に輪っかが浮かんでいるんだ。それ以外に形容のしようがない。まさか天使か?私はいつの間にか死んでいたのか?

 

一応挨拶くらいはしておこう。窓の外から入ってくる光的に、まあ多分朝だろう。

 

「……おはよう」

 

「――へ?」

 

なんだ、その間抜け顔は。私自身なぜか高い声に驚いているんだ。やはり私は私ではないらしい。よく分からないが、現実があまりに謎すぎて無駄に冷静になっている気がする。夢だったりしない?

 

「せ、セイア様がお目覚めになられました!!」

 

おい、部屋を出ていくなよ。あと挨拶を無視するんじゃない。失礼だぞ。とはいえ「セイア」か。私の名前はセイアらしい。

 

……まさかな。

 

思わず頭上と腰に手をやると、そこにはもふもふとした何かがあった。ふむ、触ってる感触も触られている感触もある。そしてさっきの女性の頭上に浮かんでいた輪っか……つまり、これは転生もしくは憑依ということか?

 

「……ままならないな」

 

これからどうしろと言うのだ。もし私の仮説が本当ならば、この身体は百合園セイアのものだ。そしてこの世界はブルーアーカイブの世界。あの安寧とは程遠い事件まみれの物騒な世界だ。

 

危険がいっぱいじゃないか。原作キャラに会えるだとかそんなことよりも我が身の危険が危ない。私達は危機に陥るキャラの苦労や努力を画面の向こうから見て心打たれるのであって、それに巻き込まれることを是とはしないんだよ。

 

特に百合園セイアとか普通に不遇では?キャラの扱いが不遇ということではなく、物語上の立場が不遇という意味で。基本的に苦しんでたり諦観してるような描写多くない?というかそれくらいしかしてなくない?

 

帰りたい。なんで目覚めて早々に陰鬱な気分にならないといけないんだ。私はただ普通に生きていただけなのに。この無駄に肌触りのいい毛布にくるまっていいのかな。

 

……待て、今は"いつ"だ?時間軸的にどのあたりなんだ?場合によっては、私は想像以上の苦労を背負い込むことになるぞ。マズい、この小さな手のひらが高校生のものとは思えない。であるならば、私がアレをなんとかしないといけないのか?無理では?

 

いやしかし、原作でセイアがしていたことはなんてことはないはずだ。

 

襲撃に来たアズサという少女と会話をし、行方をくらまし、夢の中で先生と対話して物語の先へと導く。それだけだ。それだけのハズなんだ。

 

いくらかミカという少女といざこざはあったが、別に死にはしない。身体が弱いからか戦闘など無かったしな。私は言葉がメインのキャラなのだから、争いに参加する必要もないハズだ。

 

よし、そう考えたら少しは気が楽になる。

 

なんなら物語的に居なくてもなんとかなったんじゃないか?実際解決したのは先生達だし、セイアはどちらかと言えばすべてを諦めていた。観測者であった。ならば私は完全な観測者になればいい。予知夢?を見て適当な事を言って、そしたら周りが考えてなんとかしてくれるだろう。多分。きっと。

 

うむ、勝ったな。風呂入って来る。とりあえず風呂の場所を教えろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……困った」

 

予知夢ってどうやって見るんだ。それらしきものを見た覚えが無いのに適当に生きていたらもう高校二年生になってしまった。原作開始まであと一年しかないんだぞ。本当に私はセイアなのか?ただのそっくりさん?

 

「セイアちゃんどうしたの?」

 

「……いや、個人的な話なんだが非常に困ったことになってね」

 

「そうなんだ。私に手伝える事とかある?」

 

「すまない、協力の申し出はありがたいがコレは私の問題だ」

 

「そっかぁ。何かあったら遠慮なく言ってね?」

 

「ああ、ありがとうミカ」

 

「ううん、気にしないで。だって私とセイアちゃんの仲だし☆」

 

そう言ってミカは人差し指を頬に当てながらウィンクしているが、これがまたなんとも様になっている。お姫様パワーか。ビジュが良いとは強いな。……いや待て、なぜミカとこんなに仲良くなってしまったんだ。なぜだ?セイアとミカってそんなに仲良かったか?ウィンクしてくるくらい仲良かったか?

 

そういえば小さな言い合いや不満があの事件のきっかけであって、別に仲良くないというわけではなかったか。普通に仲良くしてたのか。なら問題ないな。

 

いや、私自身には問題大アリなんだが。予知夢ってなんだよ。ただの夢しか見てないぞ。予知させろ。

 

「ううむ……」

 

本当に困ったな。これでは夢を通しての先生との対談が不可能だ。予知夢ができないとなれば私はただの貧弱な狐である。おい、雑魚すぎるだろ。

 

原作では予知夢があるから身体が弱い、みたいな一長一短だったってのにこれじゃあバランスが取れてないぞ。どうなってるんだ。ただのクソ雑魚フォックスじゃんかよ。クソ雑魚すぎてすまない……。

 

「おや?」

 

ミカと別れ適当に学園の敷地内をブラついていると、噴水の前に一人の少女が立ち尽くしていた。

 

腰より下まで伸びたピンクの長髪、そして高校生とは思えない肉付き……ふむ、恐らく彼女は浦和ハナコだろう。たしか原作ではセイアと仲が良かったハズだ。話しかけるべきか。

 

「やあ、そんなところでどうしたんだい?」

 

「あなたは……百合園セイアさん」

 

振り返った彼女は一瞬驚いた後にふんわりとした笑顔を浮かべた。先程まで笑顔など浮かべていなかったというのに。

 

「ソレ、見ていて楽しいかい?」

 

「ふふ、素晴らしい造形に流れる水の音、太陽の光を反射して煌めく姿。楽しいとは異なりますが、心安らぐものだと思いますよ」

 

その言葉を受けて噴水へと視線を移すが、私にはただの噴水としか見れなかった。むしろ無駄な所に金かけてんなとしか思えない。大理石の無駄に凝った噴水とか学校にいらないだろ。他の所に金使えよ。

 

「そうかな。私はそうは思わない」

 

「あら、そうでしたか」

 

ごめんな。私は芸術とかよく分からないんだ。

 

「私は捻くれているからね。"そうあるべき"として作られたソレを"そうであるから"と評価はできない。もし私が評価するのならば、その相手はこの噴水を手がけた張本人だろうよ」

 

「……」

 

芸術を見てもすごいなってことしかよく分からない。だから私はその芸術を生み出した人がすごいとなるのだ。すごいものを生み出した人はもっとすごい。うん、普通のことだな。

 

「あなたは……」

 

うーん、どうしよう。もう話すこと無いな。会話デッキが少なすぎる。天気の話とか論外すぎるし、まず空気が良くない。何も考えず否定から入ったのが間違いだった。女の子との会話では共感が大事ってどこかで聞いたのに。

 

この会話下手くそフォックスめ、ここは逃げさせてもらおう。

 

「すまない、()()()()でも私は忙しくてね。私から声をかけた手前申し訳ないが、ここらでお開きにさせてもらうよ」

 

「……はい、貴重なお時間を割いていただきありがとうございました」

 

いや、そうだよね。私次期サンクトゥムのリーダーだもんね。その反応になるよね。……なんか適当に話しかけたクセにこっちの都合で切り上げて、しかも立場の違いで向こうに頭を下げさせるとか私最低なのでは?

 

しかも噴水の良さとかよく分かんなかったし。これ、初顔合わせ失敗か?

 

困った。困り事が増えていく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「セイアさん、何かお困りのようですね」

 

「ナギサ、そんなに私は困っているように見えたかい?」

 

「ええ、私でも分かるくらいには」

 

何故だ。私はセイアだぞ?ポーカーフェイスくらいできる。余裕たっぷりの表情なんて慣れているはずなのに。くっ、流石は次期フィリウスのリーダー、観察眼に優れているということか。

 

というかなんでまだティーパーティとして集まった訳ではないのにミカとナギサと仲良くなってんだよ。おかしいだろ。いや、原作の方で元々こうだったのかもしれないな。原作ではあんまり細かく過去は話されてないし、そういうものなのかもしれない。そういうことにしよう。

 

「……その、恐らくセイアさんの思っている以上に、セイアさんは感情が表情に表れていますよ」

 

「……なに?」

 

私セイアなのに?あのセイアなのに?

 

「とても愛嬌があって良いと思いますが……」

 

「私は別に愛嬌など求めてはいないのだが」

 

「ふふ、上に立つ者として親しみやすさというのは重要だと思いますよ」

 

それもそうか。流石はナギサだ、既に上に立つ者としての意識を持っているとは。私なんかよりよっぽどこの学園に向き合っている。私は学園のことなんか全然考えてないしな。

 

「ところで、お困り事はどうですか?何か私に手伝える事はありますか?」

 

「ミカにも同じ事を言われたよ。とはいえ、コレは私自身の問題だから君達の力を借りることは無いのだがね」

 

そもそも力を借りてどうこうという話じゃないし。

 

「そうでしたか、ミカさんにも……。ではお茶会でもいかがですか?少しはリラックスできるかと」

 

「ふむ、そうだね。考えてばかりでも仕方ない。世話になるとしよう」

 

その後、私はナギサと共に美味しいお茶とお菓子をいただいた。美味しかった。ナギサもニコニコとご機嫌そうだったな。ナギサはやはりお茶会が好きらしい。

 

予知夢とハナコについては何も解決策が浮かばなかった。お茶とお菓子が美味しすぎるのが悪い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……困ったな、本当に困った」

 

今朝見た夢はミカが山を消し飛ばす夢だった。アレが予知夢じゃないよな?アレはただの夢だよな?夢であってくれ。というか予知夢をいい加減に見せろ。

 

「やっほー☆セイアちゃん今日も顔が暗いよ?まだ悩み中?」

 

うわ、破壊神が来た。

 

「どうしたのその微妙そうな顔……」

 

「ミカ、山は壊さないでくれよ」

 

「なんの話!?」

 

私の夢の話だ。もしかしたら予知夢かもしれない。可能な限り芽は摘んでおかなければ。

 

「もー、変なセイアちゃんだなぁ」

 

「そんなの元からだろう?」

 

「あはは、たしかに〜」

 

たしかにじゃないが。いや、私が言ったのだから咎めるべきではないが、もう少し手心というのをだね……。

 

すると、ミカは私の横に並んで肩にしなだれかかってきた。

 

「変じゃなかったら私の言う事ぜーんぶマトモに聞いてくれるわけないもんね」

 

「ミカ?」

 

「ね、昨日ナギちゃんと二人きりでお茶会したって本当?」

 

「事実だが、それがどうかしたのかい?」

 

「へー、なんで私は呼んでくれなかったの?」

 

「……すまない。その時は突然の提案でね、失念していたよ」

 

「私悲しかったなぁ。寂しかったなぁ」

 

うぐっ、悲しそうな声で言われると謎の罪悪感が……私はナギサに誘われただけだっていうのになんで私が詰められているんだ。私悪くないだろ。おかしいだろ。

 

ちくしょう、お姫様パワーが高いとこうなるのか。私のせいじゃないのに罪悪感だけが募っていく。いざ我が身に食らうとあまりに理不尽だな。でも仲間はずれにされたような気分なのかもしれない。それは可哀想だ。

 

「そうだな、じゃあナギサに言って今日か明日にでもまたお茶会を開いてもらうとしようか」

 

「……ま、今はそれでいっか」

 

変なミカだな。あとそろそろ離れてくれ。肩にしなだれかかったまま器用に歩くな。私は普通に歩きにくいんだが。おい、離れろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……困った」

 

予知夢が見れないまま三年生になったどころか、ティーパーティにてエデン条約についての話が浮上し始めている。マズいぞ。そろそろ原作が始まってしまう。

 

一応ハナコとは仲良くできている気はするんだ。見かける度に話しかけてたら向こうからはセイアちゃんって呼ばれるようになったし、心の距離が近付いていると思う。ポーカーフェイスのハナコの本心とか全然分からないけど。

 

「あのね、私アリウスともう一度仲良くなれると思うんだ!」

 

は?アリウス?

 

「ミカさん?何を言っているのですか?トリニティとアリウスの関係を知らない訳ではないのでしょう?」

 

「知ってるけどさ、もしかしたらまた一緒にお茶会をして、仲良くなることもできるかもしれないじゃん」

 

「はぁ……ミカさん、現実はそう簡単な話ではありません」

 

待て、もうミカはアリウスと接触しているのか!?だとすればもう時間はないぞ!?間もなく私は襲撃される!詳しく、詳しく話を聞かなければ!時期も何も知らずに襲撃されれば私は原作のようにアズサを説得できるか分からない!

 

「ミカ、詳しく聞かせてくれるかい?」

 

「セイアちゃん!」

 

「なっ!?セイアさん!?」

 

「ナギサ、何事もまずは情報を得ることから始めるべきだ。ハナから否定していては私達は正当な判断を下したとは言えないだろう」

 

「ですが……」

 

お願いだ。私の安否に関わるんだ。頼むからミカから情報を引き出させてくれ。

 

「話を聞いてみるくらいはいいじゃないか。そこまでして駄目なら、ちゃんと駄目な理由を説明すればミカも納得してくれるだろう。そうだろう?ミカ」

 

「うん、うん!ありがとうセイアちゃん!」

 

「……そう、ですね。分かりました。ミカさん、その考えに至った経緯と、考えている事を教えてくれますか?」

 

「いいよ!あのね、私はね――

 

 

 

 

 

 

 

駄目だ。結局のところミカの考えは甘いとしか言いようがなかった。仲直りしようだなんて言って仲直りできるのは子供のうちだけだ。アリウスには特大の恨みと、それを熟成させるだけの時間があった。仲直りは現実的ではないだろう。

 

まだミカがアリウスに足を運んだ訳ではないことが分かったのは幸いだったが、性善説を心の底から信じているような優しい彼女では原作通りあの腐りきったアリウスに利用されてしまう。

 

ナギサも同じような事を思ったのか、苦虫を噛み潰したような表情をしている。

 

「……ミカさん、それは、非常に難しいかと」

 

「え、なんで?」

 

「まず私達トリニティとアリウスの過去、そして現在のアリウスの立場まで詳しくお話ししましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時はそれで済んだんだ。駄目な理由をナギサから丁寧に教えられ、少し悲しそうではあったが納得していた。そう、納得したんだ。あのミカが。

 

夢見がちなお姫様は自身の抱えたその夢が叶うはずのない代物であると理解した。

 

だから、私は油断した。原作から変わったのだと。ミカとナギサにしっかりとした話し合いの場を設けることで原作のようなすれ違いは起きなかったのだと。ミカはアリウスの所へ行かず、私が襲撃されることもなく、平穏なままに終わると。

 

そう思っていた。

 

そうなるハズだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エデン条約さえなければ。

 

 

 

 

きっと、彼女は純粋だった。純粋すぎた。

 

そうだ。今考えれば当たり前だったんだ。

 

決して彼女を蔑ろにしていたわけではない。それは断言しよう。

 

ただ、エデン条約を締結しようとすることは原作を知っている私にとって当然のことだった。

 

アリウスとミカの縁が切れるのなら、ミカにとっても私にとってもこれ以上のことは無いだなんて、私から見た状況だけで物事を判断してしまった。

 

彼女の目に私達はどう映っていたのだろうか。

 

アリウスとの復縁を却下したクセにゲヘナと縁を結ぼうとする私達を見て、彼女はどう思った?

 

三人という微妙な人数の中で一人側の人間となった彼女のことを考えたことはあるか?

 

その心の内を理解しようとしたか?

 

だからきっと、彼女の突然の行動の原因は私にもあるのかもしれない。

 

 

「セイアちゃん、ごめんね。少しだけ大人しくしててね」

 

 

どこから手に入れたのか、私の鼻と口に押し当てられた手拭いからは薬っぽい香りがして……

 

 

 

 

 

 

そして、私は行方不明となった。




未来が見れないセイアとかただのクソザコフォックスじゃんね。
セイアという存在が自分の知っている世界のセイアと異なっているのだから、既知の未来と現実の未来が一致するわけないじゃんね。
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