Archive to Glitch ─ Last Standing   作:黒凪カズキ

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前日譚 3/3 『学園と青春とグリッチ』

*ジェノね。それでジェノ、どうしたの、悲しそうな顔してたけど

 

ジェノ「はは。俺はスケルトンだぜ、どうやって表情を読み取るんだ?」

 

*……なんとなく、そう感じたから?

 

ジェノ「……」

 

*それで見たところ、ここキヴォトスの人では無さそうだけど

 

ジェノ「伝えても、信じてもらえるか分からないと思うが……」

 

*それについては安心してほしい。これでも、人を見る目には自信があるからね

 

ジェノ「スケルトン相手にかw?」

 

*もちろん、それに私に出来ることなら手助けできるかもだし

 

なぜだろうか。

この先生という人は、どこか頼れなさそうに見える。

なのに、その言葉は不思議なほど重く、強く、俺の心に響いてきた。

 

気が付けば、俺は自分の素性を包み隠さず話していた。

 

ここに来る前、全て説明しても完全には理解されないと考え、初対面の相手にも分かるよう、俺は順を追って説明した。

地上で起きた出来事や仲間たちのこと。謎の集団との戦い。

そして、とある力を使った直後――気付けばこの世界へ流れ着いていたこと。

 

*なるほどね、ありがとう、辛いことがあったのに話させてしまって

 

ジェノ「いや、大丈夫さ。どれだけ後悔したところで、もう変えられない過去だからな」

 

*……それで、率直に聞くけど、ジェノって今、途方に暮れてるって事でいいのかな?

 

ジェノ「あぁ、帰る方法もないし、ここが何処だか分からない」

 

ジェノ「つまり俺は今、”身寄り”がないさ、まぁ俺は元々スケルトンだから身はないけどなw」

 

先生は急に黙り込んだ。俺のギャグが滑ったのかと思ったが──

 

*それならジェノ、もし行く場所がないなら―― キヴォトスに移住してみない?

 

ジェノ「え?」

 

*“身寄り”はなくても、“骨寄り”できる場所ならあるしね

 

ジェノ「……」

 

*あ、ごめん、今のは忘れ──

 

ジェノ「はははっ、あんた中々やるな」

 

ジェノ「……でも、本当にいいのか? 素性も分からないスケルトンを住まわせて」

 

*うん。でも、無理にとは言わないよ

 

*ジェノが元いた世界に帰りたいなら、その方法も一緒に探す

 

*でもね、キヴォトスでもきっと居場所は作れると思うんだ

 

ジェノ「……」

 

*だから今は、一人で抱え込まないで

 

*困った時は、頼ってほしいな

 

ジェノ「……じゃあ、そうさせてもらおうかな」

 

*うん。それじゃあ、まずはシャーレかな。少なくともしばらくの間は

 

*空き部屋ならたくさんあるし、しばらくはそこで寝泊まりしていいよ

 

ジェノ「シャーレ?」

 

*まぁ私が仕事をしている場所だね

 

ジェノ「……あんたさ」

 

*ん?

 

ジェノ「初対面の相手を職場に誘うのか?」

 

ジェノ「ほら、他に働いてる人がいるのに、あんた一人の一存で決めて」

 

*それに関しては安心してほしい。何せシャーレには、ほとんど私か当番の生徒たちしか来ないからね

 

*それに困ってる人がいるなら、躊躇する理由なんてないよ

 

ジェノ「はは……」

 

ジェノ「変な人だな、あんた」

 

*よく言われる。

 

ジェノ「そうなのかよ」

 

本当に変な人だった。

 

俺が元いた世界なら、正体も分からない奴を家に招き入れるなんて考えられない。

それなのに、この先生は当たり前のように居場所を差し出してくる。

 

だからだろうか。

 

少しだけ――肩の力が抜けた気がした。

 

*それじゃあ、まずこのキヴォトスがどういう場所なのか勉強しないとね

 

ジェノ「勉強?」

 

*うん。ここの常識は、たぶんジェノのいた世界とは全然違うから

 

─────

─────

 

*とまぁ、私が分かることはこんな所かな。分かった、ジェノ?

 

ジェノ「はは、これは少し骨が折れそうだ」

 

*骨だけに?

 

ジェノ「…………うん」

 

どうやら俺がいた世界とは、かなり事情が違うらしい。

学生が街を管理している。

生徒たちは当たり前のように銃を持ち歩いている。

 

そして先生は、そんな生徒たちを支える立場なのだという。

 

ジェノ(なんというか……)

 

ジェノ(平和なのか物騒なのか、よく分からない世界だな)

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