Archive to Glitch ─ Last Standing   作:黒凪カズキ

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対策委員会編
ep1 アビドス対策委員会


*ねぇ、ジェノこれから私、アビドスに行くけど来る?

 

ジェノ「アビドス、ってたしか……砂嵐の影響で都市機能が弱ってる学園だったか」

 

*お、ちゃんと勉強してるんだね

 

ジェノ「まぁな。ここに置いてもらってる以上、この都市のことは知っておかないといけない」

 

ジェノ「スケルトンなりに、コツコツやってるってやつだ」

 

*ふふ、偉いね

 

ジェノ「骨身に染みる努力ってやつだ」

 

*それで、質問の答えはその感じだと──

 

ジェノ「行かせてもらうさ。先生が良ければ、だが」

 

*もちろん。ジェノが決めたことなら、私は嬉しいよ

 

そうして俺は先生と共にアビドスへ向かった。

 

道中、通り過ぎる市民たちから珍しそうな視線を向けられることもあったが、声を掛けられることはなかった。

 

アビドス自治区へ入ると、街並みは徐々に砂へ呑まれていった。

 

最終的にはビルの半分近くが砂に埋もれ、その光景は俺の想像を遥かに超えていた。

 

ジェノ「あー、これは想像以上だな」

 

*私も最初はびっくりしたよ、まぁ少しは慣れたかなって

 

ジェノ「慣れなのか」

 

直射日光が骨の身体を照り付ける。

 

頭上の太陽は、俺がいた世界と何ら変わらず、容赦なく地上を照らしていた。

 

*それで気になった事が一つあるけどいいかな?

 

ジェノ「ん?どうしたんだ?」

 

*そのマフラーは着用したままだけど暑くはないのかなって

 

ジェノ「ははっ、俺はスケルトンだぜ暑い寒い以前に人間が持つ皮膚というものがないんだ」

 

*へえ、うらやましいかも。

 

ジェノ「いやいや、代償もあるぜ」

 

*それって?

 

ジェノ「骨だけの体になる」

 

*あー、やっぱ私はいいかな。

 

ジェノ「ま、だろうな」

 

・・・・

 

ジェノ「ここは?」

 

*ここがアビドスの自治区を守っている部活、アビドス廃校対策委員会が拠点にしている学校だよ。

 

ジェノ「おー、一見砂まみれだけど、校舎としての原型はちゃんと残ってるんだな」

 

*まぁ、取りあえず入ろうか。

 

校舎へ入ると、先生は迷いなく廊下を進んでいく。

 

やがて一つの教室の前で立ち止まった。

 

扉の横にある室名札には、本来の名称の上から紙が貼られている。

 

そこには、『アビドス廃校対策委員会』と書かれていた。

 

*呼んだら入ってきてくれるかな?

 

ジェノ「おう、その間心の準備でもしておくぜ」

 

それを聞いた先生は、先に教室へ入っていった。

 

俺は壁に寄りかかりながら、先生の合図を待つことにする。

 

数分後。

 

「入ってきてー」という先生の声が聞こえ、俺は教室の扉を開いた。

 

中には五人の生徒がいた。

 

俺の姿を見た瞬間、猫耳のツインテールと眼鏡を掛けた生徒が目を丸くする。

 

ベージュ色の長い髪をした生徒と、ピンク色の髪をした生徒も一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻した。

 

一方で、銀髪の狼耳の生徒はほとんど表情を変えない。

 

どうやら元々そういう性格らしい。

 

俺が教室に入った際、真っ先に口を開いたのは、ベージュ色のロングヘアの少女だった。

 

ノノミ「わぁ、先生が仰っていたように本当にスケルトンさんなのですね☆」

 

ホシノ「うへぇ~、流石のおじさんも驚いたよ~」

 

セリカ「いやいや、もっとツッコむところあるでしょ!」

 

アヤネ「えーと、あなたがジェノさん?」

 

ジェノ「おう、俺がジェノで間違いないぜ。見ての通り、中身スカスカのスケルトンだ」

 

数秒の沈黙。

 

セリカ「いや、それ自己紹介なの!?」

 

ホシノ「うへぇ~、初対面で飛ばしてくるねぇ~」

 

シロコ「ん。ジェノだね。私は対策委員会の二年の砂狼シロコ。よろしく」

 

セリカ「いや、シロコ先輩よくナチュラルに自己紹介できるわね」

 

ノノミ「それがシロコちゃんの良いところです」

 

シロコ「ん、先生から事前に話は聞いたから、あまり驚かなかった」

 

セリカ「驚きはしたんだ」

 

アヤネ「あはは……取りあえず、ご挨拶をしますね」

 

アヤネ「私は委員会で書記とオペレーターを担当している1年の奥空アヤネです」

 

ノノミ「私は二年の十六夜ノノミと言います」

 

セリカ「私は一年の黒見セリカ」

 

ホシノ「んやぁ~、小鳥遊ホシノだよ~よろしく~」

 

ジェノ「おう、よろしくな」

 

シロコ「ん、みんなの自己紹介が終わったから聞くけどなんでジェノはスケルトンなの?」

 

アヤネ「あ、シロコ先輩それは」

 

ジェノ「俺がスケルトンな理由か? それは骨より深い理由があってな」

 

*え! そうなの?

 

ジェノ「そうだぜ。それは――」

 

先生・対策委員会「それは?」

 

ジェノ「骨のあるダジャレを、いつでも披露するためだぜ」

 

…………。

 

教室が静まり返る。

 

セリカ「返してよ、時間!」

 

ジェノ「そんなカッカ(angry)するなよ。腹が減る(hungry)ぜ 」

 

セリカ「もうギャグはそれまでにして!」

 

ジェノ「へへ、盛り上がって何よりだ」

 

ノノミ「ジェノくんは大分個性的な方なんですね☆」

 

アヤネ「個性的で片付けていいのでしょうか……?」

 

ジェノ「ま、色々あってな。これから社会勉強の一環として世話になると思う」

 

ノノミ「よろしくです、ジェノくん☆」

 

アヤネ「よろしくお願いします」

 

ホシノ「うへぇ~、よろしくね~」

 

セリカ「……あんたって何歳なの?」

 

ジェノ「スケルトンに年齢を聞くなんて野暮ってもんだぜ」

 

セリカ「いや、せめて年上か年下かくらい知りたいんだけど」

 

ノノミ「確かに気になりますね~☆」

 

*確かに、私より年上の可能性も――

 

対策委員会「「「それはない」」」「「それはないと思います」」

 

ジェノ「さて、いくつだったか」

 

セリカ「まさか分からないの!?」

 

ジェノ「それくらい長く生きてるってことさ」

 

ジェノ「まぁ、長いこと時間の止まったような場所にいたんだ」

 

ジェノ「そこじゃ老化も成長も関係なかったからな」

 

ジェノ「もしかしたら先生より長生きしているかもな」

 

*ま、ジェノがどうであれ、私は君を、一人の生徒として接するよ

 

ジェノ「へへ、変わった趣味をお持ちで」

 

シロコ「ん、先生とジェノって仲良いんだね」

 

*うん、そうだね

 

ジェノ「おいおい、まだ知り合ってから一週間も経ってないけどな」

 

ホシノ「うへぇ~、先生は種族問わずたらしの才能があるからね~」

 

*いや、いや、私にそんな才能無いよ!?

 

ホシノ「そんな謙遜しないでさ~、うちのセリカちゃんを手籠めにしちゃって」

 

セリカ「手籠めって何よ!?私は先生の事を少し認めただけで、まだ完全に信用したわけじゃないんだから!」

 

ノノミ「セリカちゃんはまだまだ反抗期さなかですね、微笑ましいです☆」

 

セリカ「反抗期でもないわよ!」

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