空は暗雲が立ち込めていた。雨が降りだせば、燎呀でも探すのは困難である。
ドイツの着陸地点に向かい、更に速度を上げる。
燎呀「クソッ!!!!ドイツはこの方向だったよな!?遠すぎんだろ!!!!」
走り続けること更に数十分。
遂にドイツ班に追いついた。
アドルフ「イザベラ、乗れ。アネックスに向かう。」
燎呀「アードールーフー!!!!」
アドルフ「燎呀!?何故ここにいる?お前は1班に付いていったんじゃなかったのか」
燎呀「えーっとな、こっちって戦闘員少ねぇだろ?助っ人だよ、助っ人。」
アドルフ「俺は2位なんだが....」
燎呀「いやお前って手裏剣刺さなきゃ意味ねぇじゃん。」
アドルフ「それはそうだが....」
燎呀「俺なら範囲攻撃も出来るしな、それに、全部捕獲しても載りきらないだろ?」
アドルフ「だが....」
燎呀「まぁまぁ、堅いこと言うなよ。」
アドルフ「ハァ....分かったよ。お前も乗れ。」
燎呀「サンキュー」
ドイツ班。戦闘要員が少なく、イザベラ、アドルフの能力が頼りの班。
そこに燎呀が加わる。これが吉と出るか凶と出るかは誰にも分からない。
脱出機を走らせるアドルフ。レーダーに映る前に、生命反応を回避している。
エヴァ(凄い、これが班長の能力....?)
燎呀「ん?なんだこの音....!!!!アドルフ、止まれ!!!!」
アドルフ「ん?オイオイ嘘だろ....!!!!」
【ガン!!】
別の脱出機に接触され、坂を滑り降りる脱出機。
アドルフ「ここはまずい。上にあがr【ズドン!!】
燎呀「チッ、後輪がやられたか....」
アドルフ「イザベラ、燎呀、出るぞ。」
イザベラ「はい」
燎呀「脱出機奪ったら加勢に行く。」
アドルフ「そっちは任せた。」
雨の降る中、対峙する。
燎呀の相手は、筋肉が異常についたテラフォーマー。だが、たった1体のみ。
燎呀「ハッ。雑魚じゃねぇか。イザベラ、皆を脱出機から出す準備しておけ。」
イザベラ「いいのかい?出来ればアタシがヤりたいんだけど。」
燎呀「馬鹿かお前。負けるぞ。」
イザベラ「は?筋肉ダルマだから動きなんか遅ぇだろ?」
燎呀「いいか?テラフォーマーにとって、筋肉量=スピードだ。舐めてると、殺される。」
イザベラ「....分かったよ。任せたからね?」
燎呀「誰にいってやがんだ。俺は負けねえっての。」
再び対峙する両者。
薬を使うため、腕時計を操作する。薬の注入が始まり、体が徐々に変わっていく。
燎呀「さて、お前を瞬殺して、さっさとアドルフの方に行こうかね!!!!」
飛び出す燎呀。拳を振りだそうとしているテラフォーマー。
その拳と拳。大きさから見れば、勝者は歴然としている。
然し、勝者は全くの逆だった。
【グシャッ!!!!】
燎呀「ガルーダ使ってるときの俺に勝てるやつなんざいねぇよ。」
勝敗は決した。一発の拳。それにどれだけのパワーが込められていたかは分からない。
だが、その威力は、確実に人の耐えられるものではない。それだけは見ていた全員が分かった。
燎呀「イザベラ、移動しろ。俺はアドルフと一緒にテラフォーマーぶっ殺してくる。」
イザベラ「やっぱアンタスゴいね。皆!!!!行くよ!!!!」
燎呀「アドルフ!!!!今からそっちに行く!!!!」
そういって向かう。見た限りでは、200は下らない。
手始めに、近くのテラフォーマーを一体だけ殺す。
燎呀「やっぱ少しだけ硬いな。クローンよりは歯応えありそうだ、な!!!!」
殺戮が始まった。拳を全力で振るえば巻き沿いになった数体が弾けとび、蹴りを繰り出せば真っ二つになる。
燎呀「埒が空かねえ。武器使うか。」
徐にバックパックから折り畳みの槍を取り出す。
燎呀の専用武器であるヴァジュラである。
『ヴァジュラ』
インドラの槍として有名な槍。
振るえば万雷が地を穿つと云われている。
金剛杵とも呼ばれ、両端に槍のような刃が付いており、中央部分は空洞である。
燎呀はそれを伸ばして使う。両端に刃が付いているため、棒術のような使い方もできる。
長さは最大2m50cm。普段扱う長さは1m50cm程。長すぎると思うかもしれない。
しかし、最大まで伸ばすときは、燎呀が範囲攻撃を仕掛ける時のみである。
振り回すだけで直径約5mほどの範囲に攻撃が出来るのだ。
しかし、燎呀の真骨頂は範囲攻撃ではない。
燎呀「いくぞ、ゴキブリ共。」
振るえばテラフォーマーの体が弾けとぶ。首が飛ぶ。上下真っ二つになる。
しかし、本気ではあるが、全力ではない。
燎呀の全力。それは、ヴァジュラを最小サイズで扱うことだ。
燎呀は幼い頃より、武術の訓練をしてきた。
数多くの剣や銃のなかで、燎呀が選んだものは、ナイフ、暗器など、小回りのきく暗殺道具のようなものばかりだった。
幼い頃より扱ってきた武器。それを今、燎呀は使用する。
燎呀「ぶっ潰してやるから掛かってこいよ。喉笛かっ斬ってやる。」
「じょう!!!!じょじょう!!!!」
流れるように喉笛だけを狙っていく燎呀。
人としての生存本能を全開にして、害虫の王を駆逐していく。
燎呀「さぁ、殺しの時間だ。」
受験前とは思えぬ余裕。
これが無の境地なるものか。