陰陽師が居る日本に召喚されたのは元日本人【悪魔】   作:庫磨鳥

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予約投稿でミスをしてしまいした。申し訳ありませんでした。
今回から、一日の6時、12時、18時に投稿します。


悪魔、掃除をするってよ。

 

 ――体育館を出ると、予想通り廃校だったようで日本らしい学校を間近に見る事が出来て感動、思わずはしゃいじゃった。

 

 周辺は森に囲まれている事から、周辺に人が住んでいるかも怪しい感じである。

 まあ、少なくとも、山よりも大きなダイダラボッチを動かしていたところを見るに、人避けみたいなのは、しっかりしていたのだろう。

 周辺に貪波の仲間は居ない。何処かのタイミングで何処かへと避難したのか、あるいは元から1人だったのか、どちらにしても長居は危険かな。

 

 スマホで調べると、どうやら、ここは茨城県である事が分かった。

 

「これから、どうするんだ?」

「とりあえず、東京には帰れねぇだろ」

「とにかく、お金が続く限り移動するかな」

 

 廃校見てはしゃいでから、緊張が解けたのか普通に話せるようになった2人。

 幸いにも、ここに来るまで乗っていた社用車が鍵ごと残っていたので、先ずは近くの駅まで乗っていき。それから電車やバスなどを使って遠くへと行くとのこと。

 

「その間に、コンビニあったら寄るか」

「いいね、コンビニ。俺も行きたい」

「……コンビニ好きなんだね。『人外存在』なのに」

「おい、余計なこと言うな!」

 

 コンビニ好きの【悪魔】という印象を持たれた俺、このまま気さくに接してもらえたほうが俺的には嬉しいが、あんまりナメられるのも後々問題になるかと思い、一応どこに逃げても対価は支払ってもらうからと釘を刺したら、顔を真っ青にして震えちゃった。

 流石にやりすぎたと、慌てて命は取らないし無茶な要求はしないと念入りに説明する事になった反省。

 

「【悪魔】さん!」

「はいな?」

「ありがとう!!」

「……ありがと」

「……おー。気をつけてなー!」

 

 車で走り去る2人を見えなくなるまで、手を振って見送る。

 その際に〈影鼠(かげねずみ)〉を1匹、満梨花ちゃんの服の中へと潜ませておいた。これでいつ何があっても満梨花(マリカ)ちゃんたちの様子が分かるし、いつだって瞬間移動する事ができる。

 なんにしても、あの貪波って奴が生きているなら、復讐のために彼女たちを狙うかもしれない。契約でもなんでも繋がりは絶たない方が良いだろう。

 

 ちなみに他にも車があったが、全部スクラップにしてグラウンドに散乱させた。これでどの車が盗まれたのか直ぐには分からなくなっていれば良いな。

 

 「〈影の門〉」

 

 というわけで、やることやったので、ミサキちゃんが待つ家へと戻っていく。

 

 +++

 

 家へと戻ってくると、ミサキちゃんが同じ位置に、ちょこんと正座して待っていてくれた。様になっているのは真っ白な巫女服以外にも理由があるように見えた。

 

「――という事があったのさ」

「おつかれさま、ヤマト」

 

 事情を説明すると労いの言葉を掛けてくれる。うちの契約者様めっちゃ優しい。天使かな?

 でも今回は、ちょっと自分の意思を優先させすぎちゃったかな。ミサキちゃんが許可してくれたとはいえ泣き止んだばっかりの契約者の側を離れるってのは契約悪魔として普通にダメだった気がする。

 

「改めて、急に外にでちゃってごめんね」

「いいよ……帰ってきてくれたから」

「ミサキちゃん……」

 

 俺が帰ってきた。それだけで小さく微笑んで、心から嬉しそうにするミサキちゃん。

 それに、どう反応したら良いのか分からずに、どうすればいいのか考えてしまう。できればもっと我儘言って良いんやでと言いたいが、あんまりこういうのを自分から言うのは違う気がするしな。

 

 ――まあ、ゆっくりやっていこう、俺も知らないばかりだしね。

 

「それでミサキちゃん。大事な話があります」

「はい」

「この家に居るのは正直悪い事です。日本の法律でも住居侵入罪(じゅうきょしんにゅうざい)というものが有ります」

「……悪いことなの?」

「そうだね。金なし宿無し行く宛て無しだったから、仕方なかったけど日本の法律的に悪いことなのは間違いない」

 

 ミサキちゃんの将来のために、ここはハッキリと言った方がいいだろう。

 

「でも物事には、良し悪しだけで決めてしまっては生きていけない部分もあるから、今後とも俺は俺のやりたい事をやっていくし、ミサキちゃんはミサキちゃんのやりたい事をやっていこう」

「……ごめんなさい。よく分からない」

「うん、難しいよね。本当によく分かる……ミサキちゃんは、もし困っていたり、苦しんでいる人が居たら助けたい?」

 

 ここらへんは俺も正直言って難しい。ヒーローが悪い奴だからって殴っていいのか問題は考えたくもない。

 でも、ミサキちゃんが他人の事をどう思っているのか、今後一緒に生活するに当たって大事な事だから、早い内に聞いたほうがいい。

 

「……ごめんなさい。よく分からない」

「そっか」

「でも……辛いなら、どうにかしたい……辛いから」

「そっか」

 

 どう言葉で表現していいのか分からないなりの、心からの気持ち。

 本当に良い子で、最高の契約者だよ。

 

「……まあ、なので今日の夜には、この家を出ていって、ちゃんと住んでいい場所を探すよ」

「はい」

「まあ、最悪また違う空き家で泊まる事になるけど、その時はごめんね!」

「はい……ヤマトが良いならいいよ」

 

 幸いにも食事の事は、鈴明(スズメ)ちゃんのお陰でどうにかなりそうだ。用意してくれさせすれば、〈影鴉(かげからす)〉で運んでもらう事もできるし、俺が直接取りに行ってもいいだろう。

 住む場所もそうだけど、働き口も探さないとな。

 まあ、これも鈴明(スズメ)ちゃんに相談するかぁ。信用できるからっていうかは、俺がひとりでに金稼ごうとして、下手になにかやっちゃうよりかは、ちゃんと考えてくれそうな人に任せた方が良いだろう。

 

 あ、そういえばあの体育館での出来事、鈴明(スズメ)ちゃんに教えたほうがいいか?

 ……物的証拠も無いし今は黙っておくか、子供に聞かせていい話でもないし、まだ俺が貪波(たんば)家や鬼灯(ほおずき)家と、どんな関係になるのか(さだ)かじゃないしね。

 

 ――最悪、全面戦争するとか有りえるからな。

 

「ヤマト?」

「おっとごめん、考え事しちゃってた……さて、夜出ていく前に、この家を見て回ろうか」

「悪いこと?」

「いやいや、単に見て回るだけだよ……まあ宝探しも兼ねているけどね」

 

 人はそれを物色《ぶっしょく》と呼んだりするが、持っていくかどうかは、これから見つける宝次第である。

 なにか役に立ちそうなものがあれば、持っていって損はない。これもまた窃盗という立派な犯罪であるが……まあ、お宝が見つかればだから、うん。

 

「それじゃ、早速宝を探すぞー!」

「おー」

 

 俺が拳を上げると、ミサキちゃんも拳を上げる。

 

 +++

 

 この家は、古く懐かしい昭和の平屋みたいな建物だ。リビング(居間)が三部屋。台所、和室、客間、寝室など部屋が多い。

 あれだ、間取りは違うけど、雰囲気はサ○エさんの家に近い。

 

 庭と繋がっている部屋へと来ると動物のフンが大量に転がっていたのを発見、『布影』で全部綺麗にお掃除……しようと思って気づいてしまった。

 『布影』は、俺の【権能(けんのう)】であると同時に、俺自身でもあるのに汚いものを飲み込むという、絶叫(ぜっきょう)レベルの行為である事に。

 

 というわけで、動物の糞は『布影』で作ったホウキとチリトリ乗せて外に捨てた。

 俺は掃除機になれなかったよ……。

 

 ミサキちゃんも手伝いたいと行った事から宝探しを兼ねて、俺たちは数時間のあいだ大掃除する事になった。

 そうして数時間ぐらい、実際は時計の1つもないので、どれだけ掃除していたのかは分からないが……なにも見つかりませんでした。

 

 この家、家具や飾り品など多いけど必要なものは持っていたのか、役に立ちそうなものは無かった。

 いちおう皿とかコップとか、台所用品は有ったけど年季が入っていたし、カビやらサビやらも酷かった。

 それなら、〈影鴉(かげからす)〉を使って落ちているお金を集めて、100均で買うほうがいい。

 

 ――まてよ、いまお金を得る最高の手段を思いつかなかったか?

 〈影鴉(かげからす)〉などを使った落ちたお金集め、マジで有りかも知れない、今日の夜、実際にやってみるか。

 

 ちなみに現在、俺とミサキちゃんは和室に戻って隣同士で体育座りしている。俺がしていたら、ミサキちゃんが真似て座った感じだ。

 

「なにも見つからなかったね。綺麗に掃除しただけになっちゃった。ミサキちゃんも手伝ってくれて、ありがとね」

「…………」

 

 なにも言わないけど、褒められて嬉しそうだ。

 

「それに楽しかったね」

「……楽しかった? ……はい、楽しかった」

「うんうん、ミサキちゃんが楽しかったのなら、それだけで掃除したかいがあったよ」

 

 ちなみに俺もめちゃくちゃ楽しかった。

 掃除も【地獄】だとできなかったから、今はなにやっても楽しい時期すぎる。

 

「でも実際問題、着られる服の1つも無かったのは困ったな」

 

 服自体はあったが、売る事もできないやつを処分するのが面倒で、置いていったみたいなものばかりだった。

 俺の場合は人間の姿になれたが全裸なので外に出歩けない。

 そして、ミサキちゃんの格好も真っ白な巫女服だ。いくら陰陽師が一般に知られている職業とはいえ、さすがに目立つだろう。

 

「どうするかなぁ……まあ、相談するしかないんだろうけど」

 

 できれば、あれこれ頼みすぎるような事はしたくなかったんだけど、背に腹は代えられない。

 

「そうだん?」

「そういえば言ってなかったな。実は……お、話をすればか」

 

 玄関扉がノックされる音が聞こえた。時が立つのは早い方で、もう昼前だったらしい。

 

 意識を外に居る〈影鴉(かげからす)〉へと向ける。切り替わった視界に映ったのは家の玄関先。巫女服姿で背中には大きめのリュックを背負っている鈴明(スズメ)ちゃんが立っていた。

 あくびをしている、目元に隈があって少し眠そうだ。もしかして、昨日は眠れなかったのだろうか?

 

「ヤマト」

「だいじょうぶ、実は昨日ちょっと縁があってな、今日来てくれるように約束してたんだ。というわけで知らない人と話す事になるけど、いい?」

「はい、ヤマトの知っている人ならいいよ」

 

 もしかしたら、他人と会うのは避けたいかと思ったが杞憂だった。あるいは俺の事を信用してくれているのか、もしそうだったら、裏切らないようにしっかりとしないとな。

 

「ヤマト様! 桜の間、鈴の明が参上致しました。どうか謁見の方、何卒よろしくお願い致します!」

「あ、やべ。そんじゃあ招いてくるわ! ミサキちゃんはここで待っててね!」

「うん、行ってらっしゃい」

 

 このままだと、玄関前で土下座しかねないと、慌てて鈴明(スズメ)ちゃんを迎えに行く。

 

「あ、ヤマト様」

「悪い、気づいていたんだけどちょっと遅くなった。というかそんな畏まらなくていいって」

「す、すいません」

「まあ遠慮なく上がってくれ……って言うけど、俺の家じゃないけどね!」

「あー、いえ、これは後で……それではお邪魔いたします」

 

 なにか言いかけた鈴明(スズメ)ちゃんであったが、とりあえず家の中に入った方が良いと思ったのだろう、一礼して上がり込んだ。

 

「……? なんだか綺麗になっています?」

「おう、ついさっきまで掃除していたんだ。さて、色々と相談事があるんだけど、その前に紹介したい人がいる」

「紹介したい……人ですか?」

「着いてきてくれ」

 

 鈴明(スズメ)ちゃんを連れて居間へと向う。そこには体育座りのまま、俺たちを待っていたミサキちゃんが居た。

 

「ただいま~」

「おかえり」

「お、女の子?」

 

 ミサキちゃんを目にした鈴明ちゃんは、どうしてここに小さな女の子がと、分かりやすく戸惑う。

 一方で、ミサキちゃんは特に反応せずに立ち上がり、俺の方へと駆け寄ってきた。ほぼ無意識に抱き上げて、鈴明ちゃんの方へと向き直る。

 

「紹介しよう。彼女が俺を【地獄】から呼んでくれた契約者。ミサキちゃんだ」

「ミサキ……です。よろしくお願い……します」

「あ、ご丁寧に。桜間スズメと言う者です。ヤマト様には先日助けていただいて、契約を結ぶ事となりました」

「そうなの?」

「実はそうなんだよ。ミサキちゃんが寝ている時にね、ピンチなスズメちゃんを見つけたんだ。それを助ける変わりに、俺たちの事も助けてもらうって契約を結んだの」

「“ぴんち”?」

「えっと、私は陰陽師をやっていまして。廃墟の調査中、危険な妖怪に襲われちゃったんです。その時、ヤマト様と契約を結び、助けていただきました」

 

 反応からして、いまいち分かっていなさそうなミサキちゃん。まあ別に細かく説明するものでもないから、いいか。

 それにしてもスズメちゃん、色々と気になる事があるとおもうのにそれを抑えて俺に合わせてくれた。

 良い子でもあるが、なんだか人付き合いに関して高い能力があるんだよな。陰陽師の中でも四代名家ってところ生まれだから、そういうの慣れているのかな?

 

 それでいて俺を明らかに気を使ってくれている。やっぱり良い子だなぁ。

 これならミサキちゃんを交えて話ができそうだ。

 

「あ、あのですね。これお弁当作ってきましたので、まずはお食事にしませんか?」

 

 鈴明(スズメ)ちゃん。まじで完璧かよ!

 

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