陰陽師が居る日本に召喚されたのは元日本人【悪魔】 作:庫磨鳥
「……ふむ? おかしい。どうにも人がいる気配はするけど反応が無い」
「――いや、仮に人が居たとしても、家の前で
後ろから声を掛けるとヒバリさんは前方に向かって跳躍。地面スレスレに滑空している間にこちらへと振り向いて、金属のグリップみたいなものを取り出して着地した。
「何者……妖力が無い? もしかして人間?」
「だったら、どうする?」
「それは困ったな。今まで人を斬った事がないから、今回で初めてになっちゃう」
「斬る事は前提なのね……あと人間じゃないから、そこは安心してくれ」
「良かった。安心した。流石に今の時期に警察と敵対するのはちょっと困る」
「そういう事になったら、ちゃんと自首してくれ……」
桜間ヒバリ。話によれば神と呼ばれる『人外存在』に勝ったことがあると言う。
よくよく考えなくても、とんでもない話だ。
いくら『人外存在』が居る日本だとしても、“神殺し”ってゲームとか創作物でしか聞かないような称号だよ。
あと、【悪魔】でも、ちょっと良いなって思っちゃうのは、この世界だと不謹慎になるのかな。
「どうもはじめまして。この家に住む『人外存在』。【悪魔】のヤマトだ」
「これはご
「自己紹介ぐらい平和的にいかない?」
「ごめん勘違いしちゃった。決闘の名乗り的なものかと思って――やあやあ我こそは~!」
「決闘のほうによせんな」
「違った?」
「心の底から理解できないみたいに首を傾げないで?」
話が通じているのに文化が違うみたいな感覚になる。ヒバリちゃんって昔の武士かなにかかな?
「それで貴方は、私の可愛い妹に管理されているという『人外存在』で合ってる?」
「俺がその『人外存在』で合ってるよ」
「そう、思ってたよりも大きいね」
「……他に気になるところない? 【悪魔】って架空の存在なのにとか、普通に日本語で対話しているとか」
「ない」
……俺、自意識過剰になっていたのかな?
「私にとってはスズメがこの世界の全て。スズメは可愛い。スズメLOVE。であるため全ては等しく二の次。たとえ貴方が妖力を持ち得ず、人間に等しい対話能力を持ったカテゴリー分類不可能な未知の『人外存在』だったとしても、スズメの人生を縛る『人外存在』である以上、私にとっては斬るだけの存在」
「……そっかー」
なんだか俺の知っている姉妹愛とは違う気がするな。
「その
怖い。もしかして
「もしかして貴方。スズメの真銘を得ている?」
「…………」
なんで分かるんだろう。
もしかして陰陽師だと分かる感覚的なものだろうか?
そうであってくれ、でなきゃ10メートル離れているのが適正距離になりそう。
「私も得ていないのに……」
ギリっと歯を噛み締めて睨んでくる。
鋭い刃のような空気が肌を撫でる。これは
……でもごめん、なるべく早く来て、ちょっとお姉ちゃん想像以上だわ。
「でもどうして……まさか、スズメと真銘契約を? ――なら、よりいっそう斬らなければ」
「待って、話を聞いて?」
「問答無用」
「いやホント待って、これって本当に
このまま戦闘開始になるのは、あまりにも嫌だったのでなんとか話題を逸らす。
咄嗟に思いついた事であったけど、ヒバリさんは動きを止めて、呪力の波動(仮)が穏やかになる。
……いや、穏やかにはなったが殺意だけは変わってないよって言わんばかりに、急所の至る所をより強く撫でられている感じが強まった。
「……俺と契約したのは
青鬼に襲われたのを助けた事は言わない、契約できそうになるまで放っておいたなどがバレそうで怖かったから。
「それに、ここで俺と戦うのは鈴明ちゃんの意思に反する事なんじゃないか?」
「……そう、そのとおり。スズメは任せてと言った」
「だったら……」
「でも、“だからこそ”。私は貴方を斬る」
「どうしてそこまで
「スズメは才能が無いから」
――スパッと言うな。これも愛ゆえか?
「陰陽師の世界で才能が無いという事は、現場では『人外存在』に殺される。支援職では相手に呪われる。製造職では術式製造の事故を引き起こす。この業界はスポーツ界隈よりも才能がなければやっていけない、それなのに桜間家の娘だという理由でスズメは陰陽師となってしまった」
言い方的に
才能が無いというのは陰陽師にとって思ったよりも深刻なんだな。
確かに
だから、ヒバリさんは
「だから少しでも安全に日本で暮らせるよう、お姉ちゃんが貴方を斬る」
うん、気持ちは分かったけど、だからって悪即斬マインドの理由が何1つ分からない。
そこまでに考えないといけない事が沢山あると、【悪魔】は思うわけ!
ただ、分かったことがある。
これ絶対に説得無理だな。
ロジックのゴール地点が“お前を斬る”で固定化されているわ。
「……スズメちゃんに嫌われるかもしれないよ?」
「だから、こっそり斬りに来た……しまった。誰にも秘密だったのに話してしまった。ごめん、貴方を斬るのは誰にも内緒でお願い」
「斬る相手に出していい茶目っ気じゃねえよ。それとも死人に口無しって言いたいの?」
「……? 貴方は人間じゃなくて【悪魔】だよね?」
「“死人”は別に俺の事を指してるんじゃなくて、
「そうか、相変わらず日本語は難しい」
「日本語の所為かなぁ……」
待て待て、話が脱線している。
いや、このまま脱線したままにして、
……駄目だな、話を戻そう。多分またすぐに斬るとかいい出す。
そんな簡単に止めてくれるなら、そもそも
「……ヒバリさんがここに居ることを、
「そう、なの? ……それは嫌われてしまうかも」
どうして知っているのか疑問に思わないのか、俺の言葉を
「でも、これもスズメのため。嫌われようとも構わない。大人しく斬られて欲しい」
「知ってた」
例え嫌われたとしても、愛するものを守り通すっていう信念嫌いじゃないんだけどなあ……なんか違うんだよなぁ。
「もうほんと、お願いだからマジで
もういいかと、説得をほぼ諦めて投げやりに言う。
「話をしたらスズメは譲らない。そうなれば私は分かったって言うしか無くなって、今度こそ、ただ黙ってスズメを遠くから見守る事しかできなくなる」
「時に見守るだけってのも大事じゃないのか?」
「スズメは良い子だ」
「それは確かにそうだけど……話繋がってる?」
「良い子過ぎるから、スズメは相手の事を少し知っただけで直ぐに寄り添ってしまう」
「……」
ヒバリさんの言葉に身に覚えしか無くて、なにも言えなくなる。
「そんなスズメを相手は都合よく利用する。妹は賢いから違和感に気付かないわけじゃないけど……だからこそ引くことなく、むしろさらに深く関わろうとしてしまい、より懸命になる」
……分かる、確かにそんな感じがする。
「ろくでもない男と付き合ったのならば、捨てられるまで何年も愛そうとする。桜間にしか興味のない友達のために沢山のものを与えてしまう――そして、前例が無い『人外存在』に関わってしまい、平穏に生きる道を完全に踏み外してしまう」
困ったな、なにも言えないや。
せめて安定した収入を手に入れるまでは、
それに、これからの事で助けて欲しい事がたくさんある。
なによりもミサキちゃんとは友達で居て欲しい。なんならコレが1番大事なことだ。
そんなわけでで俺は俺の都合で、これからも
……まあ、生活の全てを助けてもらっているので、マジで偉そうにできないんだけどね。
「――そういうわけだから」
ヒバリさんは僅かに腰を低くして、重心を前に出した。
話はこれで、お終いなようだ。
「戦うしかないか」
「貴方はきちんと話が通じる相手。スズメを大切にしてくれているのは分かった……だからこそ、なによりもスズメの人生を歪める。愛しい妹に嫌われるのは悲しい、傷つけてしまうのが苦しい――それでも、スズメが平和に過ごせるようになるなら、私は私のできることを今やる」
「……馬鹿だよ」
「よく言われる」
後先を考えない。非常識な考えだ。それでも実行する。
考えが足りないわけじゃない。独自の価値観を持っていて、それに従った選択をしているだけ。
まさに馬鹿と呼べる者。
でも、嫌いになれない。なんなら純粋に羨ましいよ。
俺もこんな風に【地獄】で過ごせたのなら、もっと違う事が出来たんじゃないかと、そう思ってしまう。
――突き刺さる“呪力の波動(命名)”の流れが変わった、どうやら始めるらしい。
「光の如く、一瞬で終わらせる」
「じゃあ影の如く、コソっと終わらせるよ――〈
俺も単に腕を組んで仁王立ちをしていたわけじゃない。
こっそりと真横からカーブを描くようにヒバリさんの足元まで伸ばしていた『布影』から黒い縄を二十ほど出して、彼女を捕らえるために動かす。
〈影縄〉は殺傷性が無く、細い紐を何百にも編み込んで頑丈さを上げた『布影』である。相手を生かして捕らえるに作った技。
【地獄】で数百年間、“無駄な行為”だと思って使っていなかったから、今まで忘れていたけど、
「遅い、〈
〈影縄〉の動きだって、そう遅くはない。
だが、ヒバリさんの方が早かったようで、〈影縄〉で捕らえられる直前。術を
正面から俺に向かって跳んでくる。
あと1秒もすれば俺の眼の前までやってくるだろう。きっと【悪魔】の目でなければ、瞬間移動したかのように見えていたかもしれない。
「〈
見えているのなら対処ができる。
ヒバリさんにタイミングを合わせて、『布影』で四角い壁を地面から突き出して囲う。
これでヒバリさんは何処にも逃げられない。この壁を正面から壊そうとしたら、そのまま『布影』の中へと飲み込まれるようになっている。
立ち止まるとしても、進むとしても、どちらでも捕らえる事になる。
「――〈
淡く紫色に光る刀身が、『布影』の壁から突き出てきた。
そのまま壁は斬られる。それだけに留まらず『布影』の一部が制御不能となり、他の壁や足元を這っていた『布影』が光ったと思えば消えてなくなる。
「――これは“始まりの光”。故に触れたものを全て、“
歩み、俺の前へとやってきたヒバリ。動作がゆっくりに見えるが歩幅が広かったのか充分に早く、あっという間の出来事だった。
両手で光の刀を握りしめて、切っ先を斜め上に掲げた。
アレに斬られたら、俺も『布影』と同じく“リセット”されて、消えて無くなってしまうのだろう。
「――ゴメン」
袈裟の一振りが、俺の肉体を切り裂き、崩れ落ちたあと、跡形もなく消える。
「……違う、偽物っ!?」
「正解だよ」
――そう、ヒバリさんが斬ったのは。俺のブラックメタリックパワードスーツ。略してBMPを模した『布影』だ。 よく見たら、急ごしらえだったし、もしかしたらリヒトみたいに生命が宿るかもと怖くて、誰もが偽物だと分かるように雑に作られている。
〈影箱〉で視界を塞いだ時に、入れ替わった。
本物の俺は真下に居る。
「……そこ!」
「遅い」
『布影』から上半身を出して、ヒバリさんの腰に抱きつき、刀を握る手を掴んで上に上げると、そのまま『布影』の中へと沈めた。
「考えが浅い、このまま影に中に入ったら、〈
「よっこいしょ」
「……おや?」
「それでどう? 動ける?」
「……動けない」
俺だけが『布影』から上がり、地面に立つ。ヒバリさんは首の上と、刀を握った腕だけを外に出して、そのまま『布影』をコンクリートみたいに凝固化。さらに腕を包帯のような『布影』で巻き付けて、手首すらも動けないようにしている。
こうして俺は、ヒバリさんを完全に動けなくした。
「ふぅ、死ぬかと思った~」
1度でも攻撃を受けたら、存在ごと消滅しかねない光る刀の相手は、流石に怖すぎる。
【悪魔】の中にも、存在を消し去る消しゴムお化けみたいなのはいたが、それでも触れた部分を消滅させるぐらいだったぞ。
この日本の陰陽師、油断ならねぇな。
……しかし自分でやっておいてなんだけど、顔と片腕だけ外にでて地面に埋まっている用に見えるヒバリさんシュールだなあ……なんて
俺はヒバリさんの側でしゃがみ込んだ。
「これはしてやられました。だけど私にはまだ――」
「それ没収な」
「え? くっ――!」
「あ、強いっ! なんの! 力をちょっとずつ調整してっ……よっしゃあ!」
「ああ! 取られてしまった……」
ヒバリさんの手にはまだ光の剣の出力元であろうグリップが握られていた。俺は腕に巻き付いてある『布影』を操り、力技でヒバリさんの指を一瞬だけ緩ませると、グリップを奪い取った。
あっぶね、呪力で強化していたようで思ったより握力強かった。指折らないように手加減していたとはいえ、力負けするかと思った……。
「そんな……樹齢600年の霊木で作った“『オオヌサ』”が、こうも簡単に手からすっぽ抜けるなんて……」
「いや腕力勝負だったから、これ関係ないだろ」
少し隙間を開ければ、あとは一瞬の力技で簡単に抜けてしまう。
というか思ったよりも、このグリップ――『オオヌサ』貴重そうだぞ、壊さなくて良かったあ。
「……最初からこれを狙っていた?」
「まあな」
「でも分からない。貴方の動きは間違いなく、〈
そう、俺は〈影縄〉や〈影箱〉、そして俺の偽物を本体である、俺自身と切り離して、別々で操作していた。
これによって、〈
それを知らないヒバリさんは斬った事で相手の能力を“リセット”したつもりで接近、こうして罠に掛かったというわけだ。
しかしこれは〈
まあだから、つまり知っていたんだよね、全部。
「それはね。
+++
俺が格好つけて
そうして話してくれたのが、桜間ヒバリの戦い方の全てだった。
「――以上が、ヒバリお姉ちゃんの使う術となります」
術による素早い動きによって、相手との距離を一瞬で詰めた後、一太刀で相手を倒す事を得意としている。
そして彼女が振るう刀とは普通の刀ではなく、 〈
簡単に言うと、触れた存在を概念的に“リセット”するものらしい。
そのため、どんな存在も事実上の防御不可の即死を付与するものであるとか。
「こわ~。概念の書き換えってやつ? 人間がやっていい事か?」
「特別ではあります。この術は理論上可能であるとされていましたが、誰もが作る事ができなかった術です。それを姉はどうしてか、生まれてからすぐに使えたのです」
「天才ってやつか」
いざこういった話を聞くと、本当にそういう事があるんだってなるよね。
「はい、そのためにヒバリお姉ちゃんは……他の姉たちもですが、桜間現当主のお父さんの指示により、陰陽師としての修行を優先されてきました……それでその、陰陽師修行と社会常識を学ぶのを同時並行して行うのは、大変難しくて……」
「お姉さんは非常識になっちゃったと?」
「……はい」
ねぇ、それって方向が違うだけでさあ、ミサキちゃんとさぁ……。
よくよく、考えたら
……そういえば、
よし、この話は本人が言ってくれるまで、頭の片隅に置いておこう!
「まあ分かったよ。その光る刀に注意すればいいんだね」
「はい、それとこの術は『オオヌサ』がなければ発動しないので、それを取ってしまえば、ほぼ無力化できると思います」
「オオヌサ?」
「えっと神主がお祓いの時に使う、バッサバッサとしたやつです」
「あ、もしかしてお祓い棒のこと?」
「はい、それです! 今では前衛職が術を扱うためのデバイスの名称となっており、見た目は棒状のグリップみたいなものだと思って頂けたら」
「おお、なんかいいな……」
うまく言葉に説明できないけど、古くからあろう陰陽師の近代化に触れて、心がワクワクする。
いつか余裕ができたら、この日本の陰陽師のこと、ちゃんと聞きたいな。
ともあれ、それならヒバリさんは俺が自分の情報を得たことを知らない、これを利用した罠を張ろう。
それが1番安全で、怪我なく終わらせられる。
「……最後にひとつ、どうしても気になったから聞きたいんだけどさ」
「はい?」
「陰陽術なのになんで英語なんだ?」
「……? いえ、日本語ですよ?」
「ん? ……あ、もしかしてカタカナ発音だから日本語ってこと!?」
「えっと……あ、はい! 発祥が外国の言語だったとしても、日本言語の文字……発音と使用文字共に
そ、そういうことか~。
元はポルトガル語のカツレツみたいに、カタカナ語であっても日本の文字で表現できるなら、それはもう日本語の一種だよねって認識なんだ。
そりゃアルファベット表記とカタカナ表記じゃ発音も変わってくるけどさ。
な、なんか凄いカルチャーショックみたいなのを受けた。
そうだよな、カタカナ語って日本語だよな……。
「現代の陰陽術は、日本の力場に合わせるために日本発祥の言語を組み込む事となったんです。これによって大陸から伝来してきた漢字のみを使った旧陰陽術と比べて、術式の効率性と多様性が格段に上がったとされています……あの、知りたい情報はこれで合っていますか?」
「大丈夫、合ってるよ。あとごめん、これが本当に最後なんだけど、その……漢字だけの陰陽術って、いまどうなってるの?」
関係ないよ? 関係ないんだけど一応気になってね、うん。
日本らしいという理由で、技名を漢字縛りしている【悪魔】とかと、本当に関係ないからね?
「……? そうですね私は見たことが無いので聞いただけの話になりますが、今では伝統文化として残されているぐらいだと聞いています。現代の陰陽術と比べると、どうしても最適化されていないため効果も弱く、扱いづらいとの事で……あとそうですね」
「年頃の子供が、授業などで作るオリジナルの簡易術式によく名付ける……なんてデータもあります」
――何気ないデータが、【悪魔】の心を傷つけた。
+++
「……
この日本に来て、1番のダメージだったかもしれない。
いや別にいいよ。年頃の少年たちが名付けるって事は格好いいってことなんだからね。
あと陰陽術の話であって、【権能】はまた違うからね!
「そう、スズメが……私はそれほど間違った選択をしたんだね」
「まあうん、そうね」
こればっかりは、本当にそのとおりなので、特に言うことはない。
「でも別に嫌って教えたわけじゃないよ。むしろ逆、大切なお姉ちゃんで、自分にとってはヒーローだからってさ、止めて欲しいって俺に頼んだんだ」
「……スズメはそんな事を……ああ、やっぱり最高の妹――好き!!」
「うん、それはそうと反省してね? マジで」
まあ、そこら辺は
「まあ、お互い怪我なく済んだんだ。笑い話で終わらせようぜ」
「……貴方はそれで良いの? 私は本気で殺そうとしたよ?」
「【地獄】で殺し合いなんて日常だったからな。“自分が殺されかけた”ぐらいで怒る感覚なんて、だいぶ昔に無くなっちゃったよ」
むしろ、いい気分になっている自分に、けっこう驚いている。
理由は分かっている。
殺し合いで、殺さずに終わらせられたから。
これがどれだけ嬉しいか、きっと俺にしか分からないんだろうな。
最初から最後まで馬鹿みたいな笑い話になる。きっとこれはそういうのでいい奴だ。
【地獄】じゃ、こうは行かなかった。
――日本に来られて良かった。
「とりあえず、これから
「……分かったよ。でもお願いがあるんだけど、ここで食べてくれない? そしてできればスズメにあーんで食べさせて欲しくて……」
「ずっとこのままにはしないから、自分で食べてね?」
――こうして