呪われた真祖   作:俺はオモチャ、それでいい

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真祖の姫

 

 

 

日本以外にも呪いはあった。

 

 

 

呪い────呪術と呼ばれる力の総数は、日本が占めている。

原因は不明、ある人間は日本人独自が築く文化的思想が影響していると語り、またある者は日本列島という地理に理由があると語る。

 

根元が何であろうと、結果に影響は出ない。

海外で呪いが生まれることは稀だ。

『個』の強さを極めるのは常に異能を持つ者であり、それは苗床が豊かな最適な空間でなければ育つことは難しい。負の感情を原動力とするが、ガソリンだけでは素材以前にただの液体だ。

 

器れ物さえ存在しないのなら、それが貯まることなどある筈がなかった。

 

 

フランスの片田舎だった。

吸血鬼信仰が根付いている、とある村があった。村というだけあって総人口は1000人をも下回っており、その半分が高齢者世代に入っていた。早急な措置は必要なくとも、いずれは村そのものが無くなる可能性もある……と、誰かは気にしている事もあるほどだ。

 

吸血鬼の概念としての誕生は紀元前4000年頃、即ち約6000年前とされる。文字としての誕生は約1000年前、伝説として継がれ始めたのは約300年前という話だ。

この村での吸血鬼伝承の始まりは、およそ1000年前だった。

 

そう、文字として誕生した時に近い。

 

と言っても、初期の方と現代では、吸血鬼という価値観に多少のズレがあった。あくまでも人間の血を主食とする怪物、というのが約1000年前の概念。

この村の、現代での吸血鬼のイメージは『人間の血を刈り取る存在』というのが、メジャーになっている。

 

吸血鬼は怪物ではない。

吸血鬼は人間ではない。

吸血鬼は概念ではない。

 

約1000年もの間、長い時を得て変容したその土地での吸血鬼信仰を、歪なカタチで定まっていた。

 

この吸血鬼の偶像を基に、異能を行使する。

何世代を経て凝り固まった願望は、日本ではなくとも僅かな異能を育てることを可能にした。

 

 

その村には、言うなれば領主のような存在がいた。代々受け継がれた吸血鬼信仰を基に、常識から僅かに逸脱した異能を携える一族。

 

人とは違う、というのは大きなアドバンテージだ。ただでさえ狭いコミュニティでは、容易に価値ある人間へと繰り上がる。

 

しかし、やはり日本の呪術に比べれば飴細工のようなものだった。熱で炙れば溶け、叩けば容易に割れるが如く、簡易な力。

長い年月、異能と共にあった片田舎の一族は、結局のところ小さな異物でしかなかったのだ。

 

 

だが、生まれた。

 

 

1000年蓄積された、呪いとも云える数多の願望と伝説をその身に宿した真祖の姫。

 

化け物というのも生優しい、絶対の一。

 

 

 

『アルクェイド』と名付けられた子は、誕生してから6年も経たずに村の人間を皆殺しにして、その姿を消した。

 

 

 

 

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「─────ウチの学校の話なんだけどさ」

 

安さが売りの有名なファミレス店は、休日のお昼頃という時間帯も相まって、騒々しいほどの賑わいで埋め尽くされていた。

時の流れを感じさせる、猫をモチーフにしたような配膳ロボットが、堂々と商品を運んでいる。店内にある巨大な窓ガラスの外には、巨大なビル群があり、その上へ行くと澄み渡る青空と、童話の城のような入道雲が浮かんでいた。

 

季節は夏だった。

店内の人間は薄着の人間が多く、涼しさを求めるような服装ばかり。そしてそれに応えるように、このファミレス店には鼻が僅かにツンとするほどの冷房が効いている。

 

「うん」

 

「……また人が死んだって」

 

「え〜? ウソでしょ。これで3人目……だっけ? 流石に最近おかしくない?」

 

「それな。ウチも護身用の包丁でも買っとこーかな?」

 

腰までしか無い、薄い木の壁を一枚隔てた席から、そんな女子高生の話し声が聞こえた。内容は最近立て続けに起きている、連続殺人事件についてだった。

 

「包丁って! 普通はナイフっしょ。アニメのヤンデレか!」

 

「あーそうそう。ナイフナイフ」

 

そう言って、女子高生2人は笑っていた。

殺人事件すらも笑い話に出来てしまう。

豪胆な性格なことだ。

 

「──────」

 

カランカラン、と入店ドアに付いているベルが鳴った。入ってきたのは、この真夏には似つかない黒色のスーツを着た男性。

30代ぐらいの強面の男は、整った髭を触りながら店内を数秒見渡すと、すぐに一つの席に向かって進んだ。

 

襟をただし、ネクタイをしめる。

まるで最終面接に向かう就活生のように、一つのミスをも許容しないと言わんばかりに、覚悟と礼節を持って。

 

「相席しても、よろしいですか─────」

 

強面の男が礼儀正しくすると、ヤクザのようになるのが普通。しかし、その人物はまるで貴族に使える執事のような態度だった。

 

「─────『姫』さま」

 

首元まである金髪に、宝石のような赤い瞳。

街を歩けば誰もが振り返りそうな、絶世の美女。

『アルクェイド』は、目の前に置かれているかき氷を一口咀嚼すると、鈴の音のような声で言った。

 

「どうぞー」

 

 

 

 

 

 

 




アルクェイドを主人公にしたクロスオーバー作品です。
ちょっと書いてみたいなーと思いました。
文章構成が苦手なので、たぶん読みにくいところもあるかもしれないですが、よろしくお願いします。

正直、先の展開は考えていないので、たぶん完結出来ない…
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