転生×転生=多重転生?   作:匿名の読む専

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18話はじまるよー
前回は申し訳程度のヒロインをトッピングしたんだけど、この作品のテーマは基本一人旅なんでメインヒロインだろうがなんだろうが空気にする覚悟は出来とるぜよ
じゃ、本編スタート〜


知識×技術=受け継ぐモノ

 

 

 

〜主人公視点〜

 

「ここが匂いの元の村か!ヴァ゙〜…ホントにキツイアルコール臭だな…ってかこれ気化してるのだけでもアルコール濃度70とか越えてるんじゃ…共沸とかなんかそういう原理無かったっけ?あれ、関係ないか?とりあえず未成年飲酒の称号オンにしとくか…」

 

…不本意な名前の称号のクセに効果は凄いんだよな…

 

ドカ~ン!!

 

「うん?爆発音…?微かに魔力を感じるが…流石に少なすぎるな」

 

これ程微量の魔力で此処までの爆発を出せるとはとても思えない…

何かの事故か…この世界なら凄く強い戦士の修行もありうる…見に行くか!

 

「村から少し逸れるけど後で来れば良いだろ…」

 

そうして、音の鳴った方向へ向うと村の外れには大きな湖があった。

 

「ゲホッ…ア゙ァ゙〜…喉死ぬ…爆炎にも酒が混じってる気がするぞ…チクショウ…」

 

黒焦げの20歳程に見える青年が全身から煙を上げながら倒れていた。

何があったのか気になって近づくと…ふむ、何やら酒焼けした様な声で何かを呟いている様だ…遠すぎて上手く聞き取れん…気になるし話しかけてみるか!

 

「ハァ゙…クソッ!酒が爆発するなんて聞いたことねぇぞ…てかまた酒の匂いが充満してやがる…これ吸うだけで酔っぱらッちまうし、村の方に行く前に風で流すかな…スゥ〜蛇の翼風!!」

 

ブワッ〜〜〜ッ!

 

青年に近づこうと歩を進めると、突然その少年が風の魔力を放ち、凄まじい濃度の気化したアルコールが俺にめがけて飛んでくる

 

「んな!?人間だと!?オイそこの!!今すぐ横に跳べ!!目がやられちまうぞ!!」

 

「ちょ!?クォ…!?目に染みる!?

 

アルコールの風が飛んできた、酒飲みには極楽かも知れんが俺は普通に痛いだけ何だよ…ァ゙ッ!鼻にも染みてきた!?

いったん癒しの魔力で目を回復させる…特典による適応も出来たようだ…酷い目にあったぞ…

 

「間に合わなかったか…ッ!おいアンタ!目は見えるか!?酔っ払って死んだりして無いよな!?」

 

「おう…とりあえず平気だ…目も無事だし酔っ払っても無ぇ」

 

「よ…良かった〜…悪いな…この近くは常人なら吸うだけで酔っ払って倒れちまう程酒の匂いが充満してるから人が来るとも思わなくて…ついな…」

 

「ついで失明しかけたのか俺」

 

「ホントに悪かった!次からは周りをよく確認してから飛ばす…」

 

「そうしてくれ…そんで?お前はこんな所で何してんだ?吸うだけで酔っ払って倒れる様な匂いの場所で一人で居る理由…気になるから聞かせてくれよ!」

 

そう言うと、少年は呆気に取られたような表情で俺を凝視して来る、身体に穴空きそう。

 

「軽いなお前…本当に良いのか?俺が言うのもアレだけど普通こんな事されたらブチギレ間違いないだろ?」

 

「場合による!悪意は無さそうだから仕返しは一旦無しってことで」

 

まぁ悪意でやった訳でも無さそうだし、こんだけ必死に謝り倒おされたら責める気もそんなに起きないからな…

元々怒るのはそんなに得意じゃ無い…って言うか俺が怒ったら周囲の被害とかが凄い事になるから怒るに怒れん。

やっぱ感情だけで現実に影響出るのは不便だよ…

 

「ふはっ…おかしなヤツだなお前さん!でも何だか気に入ったよ…俺の名はゲナク、よろしくな!そんで?俺がここで何してるかだったな、良いぜ!見せてやるからついて来いよ!」

 

「切り替え早いなおい」

 

ゲナクは湖の側にある倉庫の様な建物へ俺を案内してくれる、倉庫の中は大きな棚でいっぱいだ、その全ての棚には俺が入れそうな樽がギッシリ詰まっている…のだが

 

「これは…ワインセラー?だがスペースの取り方がおかしくないか?」

 

そう、ここにある棚は一つ一つが約三メートル近い距離離れて設置されている。

その間には何か、おそらくは穀物類が詰まった袋が隙間を無くすように積み上げられている。

 

「あ〜ここにある酒は全部が最高傑作なんだよ、だからそれぞれの香りやら何やらが混ざったり影響しないようにこうしてスペースを空けて棚を置いているんだ。」

 

「全部が最高傑作?じゃあ同じだし良いんじゃねぇか?」

 

「ははっ!違う違うここの棚一つ一つが違う材料や製方で作られてるんだよ!俺の力作達だ!種類は全部で17種類ある、因みに一つの棚には合計25の樽が入ってる。」

 

「全部…え?この棚一つ一つが全部最高傑作なのか!?しかも材料や製法が違うって…お前一人で17種類…樽の数で言ったら375樽!?…お前年幾つだ…?」

 

「ふはっ!28だよ!ちと童顔に見られる事もあるがな!」

 

とんでもないな…齢28で最高傑作と呼べるほどのモノを数多く仕上げた…これはまだ納得出来るさ…若さで自分の作品を最高傑作だと思い込むなんてよくあるし後で欠点も見つかる…だがコイツのそれは違う…!?

 

「匂いで分かる…色々混じり合ってるのにそれぞれが個性的な旨さを持ってるって…確かに最高だな…」

 

あまり酒を飲まない俺でも分かるほどに美味そうな酒の香り…甘い?いや塩の様な匂いもあるな…ツンと突き抜ける様な物もいる、これは思い込みなんかじゃ無い…今まで旅して酒は飽きるほど飲んだけどこれは間違い無くそれら以上の味や風味を期待出来る!

 

「ふっ…分かるか、まだ15そこらにしか見えんが…お前こそ幾つだ!まぁ良い、これが俺の趣味で仕事!酒作りだ!」

 

「俺の村は皆何かしらの職人でな、大工や鍛冶師、服飾人やら干物屋なんかもある!それらをたまに来る商人なんかに売りつけて服や資材を買い取るのさ!そんで俺は今この村唯一の醸造師って訳だ!」

 

「なるほどね〜村唯一って事はお前1代で酒作りのノウハウも無しに此処までのモノを完成させたって事か?」

 

しかし杜氏とか蔵人とかそういうの全部引っくるめて自分一人で作るなんて芸当人間が一代で出来るとは思えん…。

 

「いやそういう訳じゃ無いんだ…今でこそ、この村で酒を作るのは俺だけだが…俺の爺さんは酒作りの達人だったんだ…俺は爺さんに酒の作り方を教わったしここにある酒樽の半分は俺と爺さんの合作何だよ…」

 

「ほ〜…今その爺さんは…?いや、言いづらいなら無理には聞かねぇよ」

 

「ふはっ…気を使わんでも構わん!爺さんは人として、酒作りの道を走りきった…ただそれだけの事だ!いつまでもクヨクヨしていたら爺さんが安心して眠れないしな!だから、少し寂しいけど悲しくは無いぞ!」

 

「まぁ、一つ残念な事があるとすれば…酒作りは俺の代で途絶えるだろうがな…俺は一人っ子だし親戚は鍛冶師か農業関連の道に行ったからな…」

 

「誰も継いでくれそうな奴は居ないのか?」

 

「あぁ…この技術を途絶えさせるのは悔しいがな…」

 

話を聞くとどうやらゲナクは酒作りの技術を村の誰かに引き継いで欲しいというよりは、爺さんが残して自分が磨く技術をまた誰かに受け継いで欲しい、つまり自分が認めた相手なら村人じゃなくても構わないと言った様子だ…

 

「そっか…よし!じゃあ良ければ俺に酒作りを教えてくれよ!俺はゲナクの作る酒に興味が湧いた!」

 

「はぁ?いきなり何だ…教えてくれってお前さん旅人だろ?俺達の技術は旅しながら出来る様なもんじゃねぇぞ?」

 

「そこは問題無い!俺の魔力とこの見た目より凄くいっぱい物が入る魔法の袋があれば旅先でも俺は酒を作れる!!つまり後は知識があれば俺はお前の酒を世界中に届けられるって訳だ!」

 

「な…ッ…ふっ…ふはっ!!面白いじゃないか!どうせこのまんまじゃ誰にも知られずに朽ちていく技術と知識だ!お前の荒唐無稽な与太話…信じてやっても良いぜ!だが、この俺が教えるからには半端は許さねぇぞ?」

 

「ニシシ!おう!最高の酒を作ってやるさ!」

 

「よーく言ったァ!!っとそういえばお前、名前は何ていうんだ?」

 

「あ〜そういえば名乗ってなかったな…俺は…メリオダス、旅人だ!」

 

「そうか!これからよろしくな!メリオダス!!お前に出す課題は二つだ!俺が納得出来る様な酒を作ること!そして俺と爺さんの作った酒のレシピを完璧に盗むこと!!さて…楽しくなりそうだ!ふははははっ!!」

 

「テンション高えなオイ」

 

「あぁ…だが先程の爆発で酒作りに使う道具が一部吹き飛んだからな…村の職人に依頼して新しい物を作ってもらわにゃいかん!酒作りを始めるのは1週間後だな!それまでは俺の家が代々紡いで来た酒造の知識を教えてやるぜ、全部覚えろ!」

 

「……全部?」

 

「全部だ!、とは言え俺が教えるのはあくまで作り方、他の重要な部分は知識を詰め込んだ後に実践して覚えるぞ!」

 

まじか〜…

 

〜数日後〜

 

頭痛い…爆発とかして無いか?ってかこんなに詰め込む必要あったのか?」

 

「あった!だが安心しろ!先程ので俺の知識は全て教えた!」

 

「お…って事は遂に実践か?」

 

「おう!いつまでも座って学んでばかりじゃ詰まらねぇだろ?今日からは基礎的な酒作りだ、と言っても、やる事は単純だし…そう難しい工程は無いから安心しろ!」

 

「ホントかなぁ…?んで、これから何をすんだ?」

 

「あぁ!、まず教えるのは素材の選び方からだな!」

 

最初に教えられたのは麦選びだった。

 

二人は小屋の直ぐ側にある麦畑へ向かう。黄金色の穂を手に取ったゲナクは、一本ずつ指先で確かめる。

 

「良い酒は良い穀物から始まんだ!発酵の技ばかりに目を向けるかも知れねぇけど、それじゃ本当に美味い酒は出来ねぇ。」

 

メリオダスも真似をするが、違いはよく分からない。

 

「匂いを嗅いでみろ!」

 

言われるまま穂を揉み匂いを嗅ごうと集中する…すると、一束の麦の中には青々しさの中に甘い香りが混じっているモノがあると感じた。

 

「ほぉ~…ふはっ!筋が良いじゃないか!それだ!それにはこの土地の力が詰まっている!旨味と言うやつだ!」

 

ゲナクは少し驚いた様子を見せ、満足そうに頷いた。

 

「次はその麦を水に浸して数日程寝かせる!発芽を促す作業だな!」

 

「結構時間かかるのな、その間はどうすんだ?」

 

「村の手伝いだ!お前も一緒にやるか?」

 

「そうだな…どうせ暫く世話になるし交流を持っておいても損は無い!」

 

「ふはっ!じゃあ行くか!今日は服屋のオッサンが使う染物の材料を取りたい!色とりどりの花や果物を集めて持っていくから、探すのを手伝ってくれ!」

 

「おう!」

 

 

 

〜数日後〜

 

「うし!酒作りに必要な道具が揃ったな!これで本格的に始められるぜ!」

 

「でもとりあえずはこの麦芽達を捌くんだろ?」

 

「そうだな!出番はもう少し先だ!」

 

俺達はゲナクの最高傑作が保管された倉庫の隣にある小屋の中で数日前に水に浸した麦の様子を見ていた。

水桶いっぱいに広げられた麦からは若草の香りが立ち上っている。

 

ゲナクはその麦芽の入った水桶を何度もかき混ぜながらこう言った。

 

「この麦芽は伸びすぎたら甘みが無くなるんだ、かと言って短くても味が立たない!丁度良いくらいの大きさを見極める目が必要になる!こればかりは感覚で覚えるしか無いな!」

 

「うへ〜こりゃ一筋縄ではいかなそうだ…」

 

「当然だ!今俺達がやっているかき混ぜる作業一つ取ってもかなり大変な作業なんだぞ!」

 

痛感してるよ…常に湿度やら湿度が変わりまくるからかなり汗だくになりながらかき混ぜてる。

 

そうして、かき混ぜ終わった後、ゲナクは発芽を止めるため麦を石造りの乾燥炉へと丁寧に運んだ、燃やされるのは樫の木や泥炭だ。

 

「メリオダス、火は酒に記憶を刻むんだ!そら、この乾いた麦を一つ噛んでみろ!」

 

乾燥した麦を噛むと、香ばしさの中にほのかな燻香があった。

 

そしてまた数日が立ち…

 

酒の仕込みが始まった…(※かなり早いけどまぁ気にしないで。)

 

砕いた麦芽を大鍋で煮込み、湯気の立つ液体を木桶へ移す。そこへ森で採った薬草や香草を加える。

 

「ホップは商人達が中々持ってこねぇからな!この辺りではヤチヤナギやヒースを使ってんだ」

 

メリオダスは束ねた草を鍋へ沈めた。

 

立ち上る香りは花と土が混ざったようで、不思議な奥行きを持っていた。

 

冷ました液体を発酵桶へ注ぐ。

 

「ふはっ!ここからは酵母の仕事だ!そして、ここからはひたすら待つだけだが、それじゃ時間がもったいない!他の酒も平行して作るぞ!」

 

ゲナクは木蓋を閉じた。

 

数日後、桶の中からぶくぶくと音が聞こえ始める。

その音を聞いて、俺はまるで生き物の息遣いのようだと感じた。

 

「まるで生きてるみてぇだな」

 

「みたい、じゃなくて生きているぜ?この酒は」

 

俺にはよく分からん。

 

それから、メリオダスは毎朝その音を確かめた。発酵が弱ければ温度を調整し、泡の様子を観察する。

 

のだが…一日だけ確認をしなかった日があった…というのも俺は少し遠くの森に狩りに行ってたんだが、帰り道で迷っちまってな…

 

まぁそんな事もあり、帰ってきた頃には確認を怠ったせいで桶の一つが冷えすぎ、発酵が止まりかけてしまったのだ。

 

「すまねぇ、ゲナク…」

 

頭を下げるメリオダスに、ゲナクは怒らなかった。

 

「ふはっ!構わん!酒造りは失敗から学ぶもんだ!だが忘れんなよ?酒は人が作るんじゃない、人と自然が共に育てるんだ!お前だけが気をつけても、自然だけに任せても良い酒は出来ねぇぞ!」

 

俺はその日の反省を活かして、二度とは繰り返すまいと決意した。

 

そうして数週間がたったある日、遂に酒が完成した。

 

杯に注がれた琥珀色の液体は、炉の火を映して輝いている。

 

メリオダスは完成した酒を一口飲んだ。

 

麦の甘み、森の香草、煙の余韻。そして発酵による柔らかな酸味、その一杯にはまるで、畑の風も、雨の日の作業も、発酵桶の泡の音もすべて溶け込んでいるようだ…そう思った。

 

「どうだ?」

 

ゲナクが尋ねる。

 

メリオダスは静かに答えた。

 

「酒の味がするだけじゃ無い…なんて言うか、土地の物語を飲んでいる気がするな…ニシシ!なんて、少し気取ったような感想がでちまう位には美味いぜ?」

 

ゲナクは満足げに笑った。

 

「気取ってなんかねぇさ!そしてそれが分かれば十分だ、技術はいずれ覚える…だが本当の醸造師は土地と季節の声を聞ける者、味だけで酒の全てを楽しめるか!」

 

「なんだそりゃ!でも気に入ったぜ!」

 

この日、俺は思った、自分はただ酒の作り方を学んだのではない。この世界の人々の暮らしと、文化、そして自然への敬意、その一つを学んだんだって。

 

〜数年後〜

 

俺はゲナクに酒造の全てを教わり、その全てを覚えた。

最後には自分の最高傑作として、果物で作ったスピリタスモドキを出した。

その結果…

 

「お前なんなん?才能の塊かよ?ふはっ!もう教えることは何も無い!!」

 

ここ数年で酒に漬け込まれてるってほど作らされたらそりゃ嫌でも覚えるわ…まぁ、お前の説明もわかりやすかったしな」

 

この数年で500年分は酒飲んだよ…後数十年は酒見たくない…

だが、ゲナクの技術はしっかりと盗ましてもらった、ゲナクが作った最高傑作や歴代の酒造職人の一品達も纏めて覚えた…正直、称号まで手に入るとは思わんかったけど。

至上の一献…ねぇ、大層な名前付けてくれちゃってまぁ…しっかし、ここ数年で村の連中ともそこそこ仲良くなったけど、結局皆技術や知識は教われなかったな…

 

当然か…ゲナクの方が珍しいだけ…しかし、たった数年…驚くほどに早く感じる数年だったなぁ…まぁ、種族も違うんだし、そんなもんかね…?

 

「何だか短い数年間だったなぁ…だがこれでこの技術は正真正銘お前にも受け継がれた!後はこの酒を世界中に広めてくれ!」

 

「ハイハイ、ちゃんとあちこちで宣伝しとくよ〜そんじゃ、俺はもう行くぜ?」

 

「あっさりしてんな〜ッとそうだ!お前の最高傑作の名前、まだ決めてなかったろ?それぐらい教えてくれよ!それともまだ考えて無いのか?」

 

「いや、この酒の名前はもう決まってる…」

 

一口飲めば喉が爛れたと錯覚するほどの熱さと…肌は空気すらをも感じ取れる程に鋭くなるが、その感覚がより酔いを加速させて、時間が経てば立つほどに正気を失って行く、常人が飲めば一瞬で死んでしまう様な酒だ。

 

その名は煉獄…、アルコール濃度実に98%、ただのアルコールの塊ではなく、酒である事を求めるとここまでしか高められなかったが、煉獄の名を冠するには相応しい地獄の様な酒だ、だがもし身体に害をなさずに呑める者がいるならばその者にとっては極上の酒に成る。

 

「人を選ぶ酒なんてロクでもないけど、ロマンはあるだろ?」

 

「お前の感性はよく分からん…だが、その酒はこの世に出しても良いくらいに完成されてるぜ?」

 

ゲナクはそう言って俺を元気づけようとする…

別に落ち込んだりなんかしてねぇっての…まぁ、ありがたく受け取っておくかね。

 

「ニシシ…俺はブリタニア一の醸造師の弟子だ!そのくらい当たり前だろ?」

 

「ふはっ!調子のいい奴め…次の旅でも酒作りサボんなよ!そんで、もっと美味い酒を作れたらまたもってこい!」

 

「おう!」

 

やがて村人たちも集まってきた。

鍛冶屋の親方、羊飼いの娘、薬草師の老婆、祭りのたびに歌を歌っていた吟遊詩人、皆が口々に別れの言葉をくれる。

 

「ありがとよメリオダス!ここ数年間、お前のおかげで飯や素材に困らなかったぜ!」

 

「寂しくなるわね…いつでも帰ってくるのよ!怪我や病気には気おつけてね!」

 

「ヒヒ…アンタはもう客人というよりは、この村の家族みたいなもんだ…また来なさい…ワシが生きてるかは分からんがな!ヒャヒャ!」

 

村人達は皆俺の旅立ちを惜み、いつでも帰ってこいと言う。

 

「皆…行ってきます!」

 

そんな彼らに見送られながら、俺は新たな文化や出会いを求めて歩く…やがて村人達が見えなくなってふと思う。

 

なんて言うか…たった数年なのに…まるであの村が帰える場所みたいに思えちまうな…そういえばこんなに長く1箇所に留まったのは煉獄を除けば初めてか…旅立ちってこんなに寂しかったんだな。

 

「でも!二度と会えねぇ訳じゃ無ぇ…その気になればいつだってまた行ける…なんて都合の良いことは無いだろうなぁ…」

 

だってゲナク達は人間で俺は魔神族だ…寿命も時間感覚も全然違う…一期一会、なんて良く言ったもんだ。

 

「さてさてさ〜て、次はどっちに行くかな?」

 

そんな痛みも、寂しさも、全て背負って前に進む。

あの村で俺は少しだけ成長した気がする、きっとそれは別れの重さと、思い出の尊さを学んだと言う事なのだろう。

そして改めて自分がもう人間では無いと言う自覚を持つ事が出来た…そして、次の一瞬(数年)を大切にしようと思えた。

 

 

 

 

 

 




ハイ、第18話終了〜
酒の作り方調べるの凄い疲れた…一部想像で補ってるとこもあるんだヨネ…そこは目を瞑ってください。

新称号、至高の一献
(奇跡の様な酒を作り出した醸造師に与えられる称号。)
(交換、作った酒が問答無用で極上の味わいを持つ酒になる。)5GP
もはや称号も少しあやふやにしてるもんね…
今回は戦闘シーンとかそれに関連する描写は無かったけど次はなんかそれっぽい技術を主人公に学んでもらおかな〜とか思ってる。
じゃ、また次回〜

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