へい、第5話ですよ〜
いや〜と言う訳で前回はシデに出し抜かれ澪がシデから逃げおおせてるって訳なんですな、展開が変わりました。
シデに変身能力盛ったのはこれがしたかったからでもあるからこれから死に設定にならんか心配。
じゃ第5話スタート
〜主人公視点〜
7月23日、午後8時50分
「洞窟…島の地下にあるのは慎平も知らんかったみたいやな…知識に無いし…でも霧の探知で地形の把握は済んどるし迷ったりはせんで済む」
のだが…さて困った…致命的な二手、遅れをとってる。
影人は移動しながら自分が置かれている現状を少し俯瞰していた。
二手遅れていると言うのは澪の事と慎平達の事。
先程澪と凸村の気配が別れた、そして四本腕…シデの気配が澪の事をどこかに連れ去っている…シデの気配は人間だから霧を使えば形でどれがシデか判断出来るのだ。
だから異常事態に気付けた…シデは澪を連れ去っているはずなのに南雲先生の方にしおりちゃんの影の気配と一緒にシデの形と気配が存在している…凄くおかしい話だ…
「しおりちゃんの影が居るのはまだ分かる、アレは恐らく影の親玉的存在がその姿を真似ただけ、本体を叩かないと殺せない言う事で納得すれば良い…だが、シデが2体やと?アレは異形の姿を象っているが中身は人間…」
いや…気配や霧で感知した魂がそうだと判断する材料だったが…前提が違う…?
「複数居る訳じゃ無い…?魂まで全く同じ情報の個体なんてどうやったら存在しうる…パターンはいくつか考えられるが…今一番有力なのはどこかで遠隔操作している誰かが居るって説か」
だとしたら納得は出来る、自分の肉体だけ複製してそこに自意識や魂を宿す、中身は無い上に自分の体と同じ、もしくは殆ど同じ体って条件ならこの世界で一個体が複数居るって言う矛盾も納得出来るし人間が自我の持続と言う形で存在し続ける事が出来る、つまりシデの中身自体は誰かがシデを継承したとかじゃ無くてかなり古い人間なのか…?
「この情報は次のループに使えるな…そんで慎平達の方は…潮のアホが慎平に移ったんか…?朱鷺子が影陣営なんは記憶で見せとるのに何で影に人質に取られたふりしてる事が分からんねん…」
霧を伝って聞こえる声は根来さん、菱形院のお手伝いさんが赤子のような影を従えており朱鷺子はその影に捕まり人質として取られている、と言う状況だ…
「いや…もしかしたら慎平は全部分かった上で茶番に乗ってるのか…?ほぼ間違い無くここの最深部には何か大きなヒミツに繋がる情報がある…あわよくばここでそれを断ち切って勝つ、出来なくても次に持ってけるって感じか」
だとすればあっちは後回しで良い、澪は多分人質として使われるだろうから今すぐどうこうってのは無い、と言うか今俺がそっち追ったら慎平達とシデが鉢合わせて乱闘になりかねん。
澪が人質に取られてる現状、何かされるより早く動ける俺が俺が行くまで慎平は動けんくなる上もう一体の、南雲先生達の方に居るシデとしおりちゃんを放置する事になる。
「あの人が死んだら困るんよな…小説が二度と更新されんくなるし…!」
今現在の網代慎平と俺の敗北条件は一人でも死者を出す事だ、その枠には南雲先生と根津さんは確実に入る。
「凸村さんも一応入れとくとして…アランの方は超小型ゴーレムを護衛として残しとるから死ぬ事はあり得へん、影なんぞじゃ太刀打ちできん位強いしな…っと、そろそろ南雲先生達が近い…!」
もうシデ達とは接敵してるみたいやな…別の道からは凸村が走って来とる…多分シデから逃げてコッチに来たんやろ、偶然とは言え人の居るとこに逃げれるんは悪運と言うかなんと言うか…でもこのまんまやと凸村もシデと鉢合わせかねんな。
南雲先生達が居る一個隣の空洞に出るからな…南雲先生達の退路にいればシデが追ってきた時に確実に鉢合わせするだろう、そもそも逃げる事が出来るかは知らんが。
〜南雲先生視点〜
………ヒルコ洞
南雲龍之介と根津銀次郎は影を殲滅しながら洞窟の奥へと歩を進める、影の親玉を倒すために。
重い銃声が洞窟に鳴り響く
バン!!
根津はネイルガンを構え、影に狙いを定めている。
「それだと外します、ちょい右です、右に5度」
「やかましい…!」
カカカッ!!
ネイルガンは素早く影の足元に命中し、影は動けなくなる。
影の足元にある本体に何でも良いから3箇所何かを刺して固定すると影は動けなくなるのだ。
「ワシのことは良い!」
「わかりました」
「自分の的に集中せい!」
「澪さんを見失ってしまいました…無事でしょうか…?」
先程、二人は何かから逃げるように必死に走る澪と凸村の姿を見て追ってきた、のだが…途中で影がうようよと現れ移動、足踏みを余儀なくされていた。
「人の心配してる場合や無いかも分からんぞ…!」
「見よよ…*1!一体何やいここは…儂らぁ海の底に居るんかい!」
そう言って根津が辺りを見回す、その洞窟の内部は異様だった、水で満たされている訳では無い、空間は確かに酸素で満ちている…なのに洞窟の壁や柱には様々なサンゴ礁やイソギンチャクが張り付き、生きている。
「これは…ドフラインイソギンチャクですね」
「どふ…?何やて?」
「深海の生物です…昔テレビで見たことがあります、地上で生きてるなんてありえません、これらは全て影ですね…ッ!後ろ!」
南雲龍之介が何かを察知して振り向く、根津銀次郎もその反応をノータイムで信じて後ろを振り向きネイルガンを構える。
「ッ!?」
振り返った先で目にした者に、二人は驚愕する。
「…気に入らんなぁ…2度も…!アイツはお前がトドメ刺したろ!なんでアイツッ…不死身か…!」
そこに居たのは、しおりちゃんの影だった。
「お前は驚かんの?」
「不思議はありませんよ、アナタはあの時死んだふりをして下水道に逃げ込んだと仮定すれば納得行きますし、姉も前から下水道が怪しいと睨んでましたから」
「へぇ…流石ひずるや、なんで邪魔しに帰って来たん?次に会うたら殺す言うたやろ…!」
「!」
「お前に言うても分からんか…南方龍之介」
「おいお前!「いえ…!?」奴に名前を…!」
「小早川家の子供部屋で話した時に気ぃ付いとぉ、まさかひずるの中に入っとったとはなぁ…」
「…ウソや…ハイネ…?」
龍之介が動揺を顕にしていたその時しおりちゃんの影の背後に、四本腕の影が洞窟の奥から滲み出るように姿を表した。
「ッ!?」
【十四年振りの再開と言う訳ですか…しかしアナタには用は無い、人格記憶だけのアナタには…体の方はどこへ行ったんですか?…母の右目を奪い去った…体の方は】
「ハイネ…初めっからお前は…またごっこ遊びなんか…!今度は小早川しおりの記憶を使こてッ」
龍之介がハイネ、と呼んだしおりちゃんの影にそう問いかけようとした時、*2ハイネは龍之介に向かってスキャンの光を放つ。
ピカッ
バン!!
龍之介はハイネが記憶を読もうとしている事を瞬時に察し、銃弾を食らわせダメージを与える事で中断させようと試みるが、シデがどこからとも無くマンホールの蓋を出現させ、弾丸を防ぐ。
カン!
(防がれた…!?
「記憶を読んだ…ひずるも龍之介も体の行方は知らん…ジジイの方は読めやん」
【殺しても?】
「ええよ」
「逃げるぞ龍之介!ありゃ無理や…!」
「冗談ですよね…?」
「分からんのか!?狩られてんのは儂らの方や!!アイツら人間の影や無い!何やもっとおぞましい…別の何かや!」
「気ぃつけよや?…コホッ…アイツはズレちゃあるさけなぁ…2秒かそこら、先の方へズレちゃある」
「ッ!?」
【ええ…分かってますとも】
「龍之介!!」
シデの体から、
【ハイ、ワンダウン…】
バン!!
根津は龍之介を庇うために身を挺して龍之介の前に立つ、その体に弾丸が命中する…
「大外れや」
ガキン!!
事は無かった。
「お前は…!」
「…は?」
「んな!?」
【アナタは…!】
「よぉ…腐れ四本腕…澪を返せやコラ…!」
「慎平さん!?」
YES!I am!チッチッ、とかやってる場合じゃ無いからやめておくとして…ギリギリセーフやな…南雲先生と同じ銃がシデの体から出てきた時は肝冷やしたけど…
「どうも先日振りですね、南雲先生、根津さん」
「小僧…!影の方か…いや良い…今はとにかく助かった…」
…まさか根津さんが疑いの目を向ける前に礼を言うとは…この人がここまで追い詰められてるの見るにやはりシデは別格なんやろな…分かっとった事やけどよ。
「どこまでもうっとおしい奴…」
【慎平君…君何なんです?母は映した覚えはあっても作った覚えは無い…なのに存在している…それに母の目を持ってる訳でも無いし命令も聞こえとるはずなのに従わない…もうこれバグとかじゃ無くてチートやないですか…】
「気合で振り切ればええやろ」
【…君の事を考えんのは諦めます…力量的にも殺さずなんて出来そうにありませんし…ここで死になさい】
「ほざけタンカス…」
戦闘開始…だが。
「お二人とも数秒で良いから時間稼いでくれます?」
「なんやて?アレ相手にか!」
「考えがありまして…」
『ここからはこのテレパシーで共有します、お二人の思考も俺を介して繋がってますからどうにか立ち回ってください…!』
(これは…なるほど…わかりました、そう言う作戦ならやる価値はありますね)
(?私の思考も介入出来るのか、中々驚かせてくれるじゃないか)
「ひずる?龍之介…どうなっとるんや…これは…?お前ら良くそんなすっと飲み込めんなぁ…儂ぁついて行けへんわ…」
(大丈夫ですよ、僕が見た2秒後の光景を根津さんに見せますから上手い事動いてください!)
(待て龍之介、それじゃ根津が混乱しかねないだろう、私はお前の見た光景を見ることが出来る、お前が見て私が根津に伝える、これで良いだろう)*3
『よろしくお願いしますね…!』
南雲先生が正面からジグザグなステップでシデに迫る、銃弾は撃てば
「先ずは僕らが相手だ!」
【慎平君あんな威勢良かったのにいきなり人任せですか!】
なんとでも言え…
ピカッ!……
【?私達の記憶を読む気ですか…どっちを読む気か、ッ!】
「どこを見ている!」
龍之介がシデの腹部に後ろ回し蹴りを叩き込む、シデはインパクトが発生した瞬間、龍之介の脚目掛けて鋭く変質した腕を一本、振り下ろす。
【先ずは脚もらいます】
「あげませんよ!」
龍之介は脚を引っ込めるのでは無く、咄嗟に体のリミッターを少し外してシデの体を足場に後ろに跳ぶ。
1秒経過。
【逃がしませんよ…!】
シデは龍之介の後を追い腕を二本延ばす、拘束しようと企んでいるらしい。
(上に飛ばなくて良かった!この程度なら下に躱せば抜けられる!)
(違う下に躱すな!狙いは後ろの二人だ!その腕を叩き潰せ!)
(!?そうか!後ろには慎平さんと根津さんが居る…どちらかに届いたら殺られかねん!?)
危うく
【惜しい…ええ感してますね】
(ありがとうお姉ちゃん!)
(あぁどういたしまして、今は集中しろ龍之介、根津!ハイネが動くぞ!)
「うっとおしいのぉジジイ…!」
「当たり前やろ…儂ぁお前の牽制も兼ねて此処に立っとるんや!」
ハイネは慎平の事を仕留めようと駆け出すがその足元に無数の釘が刺さる、どうにか避けたが今の根津は龍之介の目を南方ひずるによって伝えられている、その射撃の精度はこれまでの比ではない。
3秒経過、ここで影人の作戦が終了した。
『ありがとうございます、おかげでやりたい事は試せました…けど…』
(ほう、シデの記憶が空っぽ…)
「おい!じゃあ何のために儂らこんな奴と戦っとったんや!」
『恐らくどっかに本体的な何かが居るんだと思います!』
(なるほど…さっきから影を攻撃しても効かないのはそう言う訳ですか)
『3つ数えたら俺が前出ますから上手い事下がってください!どんな状況でも構いません、対処は出来ます!』
(ではカウントは私がしよう、龍之介は目の前の事に集中しておけ)
(分かった!)
【ちょこまかと逃げ回るのやめてくださいよ…うっとおしいだけです】
シデが腕を3方向から伸ばし、残りの一本はハイネのガード様に備えている様だ。
左上から来る腕を半歩横に逸れて半身になり躱す。
(1…)
右下から伸びる鋭い腕を半歩逸れて半身になった体制のまま一本前に出ることで体の向きを逆に変え、躱す。
(2…)
【もう逃げ道は無いですよ?】
左右のシデの腕は逃げ道を塞ぐように絶妙にイヤらしい高さで固定されている、その真ん中に刃のように変質した腕が振り下ろされる。
(3!)
龍之介が振り下ろされる腕を無視して全力で後ろに下がる…次の瞬間、隣から目にも止まらぬ速さで駆け抜ける影。
ドガ!!!
チッ…足場が脆かった…踏み込みで地面割れて思ったより速度出んけど…十分や…!
高速でシデに向う影人、その速さのまま地面スレスレの距離をまるでライダーキックの様な体制で飛び込み、そのままシデの股をすり抜ける。
スパン!
その瞬間、影人はいつの間にか手に持っていた食用ナイフでシデの腕を3本、数cm幅で輪切りにした!
【な!?そのナイフで私の体を!?】
「チィ!網代慎平!!」
シデの後ろに飛び込み、手をついて逆さになりながら腕一本で跳躍する、シデが慌てて振り返るが、既に遅かった。
斬!!
影人はナイフを斜めに振り抜き、ハイネの影とシデの胴体を同時に真っ二つに両断した!
「ウソでしょ…見え無かった…!?」
「儂らが殺されかけた連中を…一刀両断しよった!」
(まるであの2体を歯牙にも掛けていない様な戦い振り…いや、これは戦いとも呼べないな…強すぎる…!)
「お前…!覚…え…と…れや…!」
パシャン!
【ハイネ!グッ!】
「お前影もろとも胴体真っ二つにしても死なんのか…やっぱ中身は人間…んでその体操っとる本体がどっかに居るんか?」
【やってくれましたね…慎平君…!】
シデは二つに別れた体の形を崩して一つに戻り、再生する。
【この借りは高く付きますよ…】
そう言いながらシデは暗闇の奥へと消えていく…
「なんて…許すわけ無いやろ」
ズガガガ!!
【ガェッ!?】
影人は逃げようとするシデの背後に回り込み、どこからとも無く取り出した四節棍でその体を粉々に砕く。
聖棍クレシューズ…コピー品やし本体消してへんから能力とかは使えやんけど*4俺の持つ神器を除けば多分この世界で最も頑丈で強い物体や…少なくとも鉄の塊なんぞで防げる代物や無いぞ!
【なんですか!?それ!今どこから!?】
(龍之介…見えたか?)
(いや、よく見えやんかった…影のコピーを取り出したとこまでは分かるけど…)
「やはりアイツおかしい…幾らなんでも強すぎるやろ…!龍之介の目でも追いきれん速さに…あの化物のガードをもろとも砕く膂力…見てみぃ…マンホールの蓋が拉げとる」
(それに…あの四節棍…一体どこであんな物をコピーしたかも気になるが…使いこなし過ぎている…網代慎平は四節棍の達人だったのなら分かるが…)
(今は気にしても仕方ないよ…しかし凄いな〜あんなん僕が使たら自分の事滅多打ちにしてまいそう…)
【(全身が砕かれてる…やのに破片が一切飛び散らん!?空中に飛んだ私の体を全方向から一点に集まるような向きで打ちまくってるのか…!?これじゃ上手い事離脱できん…どれほどの技量と身体能力があればこうなる…!?コイツはやはり異常ですね…!)】
取り敢えず一片も逃さずミンチにしとるけど…コイツ一行に死ぬ気配無いな…さっき殴った時は一瞬中身居った気がしたんやけど…ここまでやって見えやんなら気のせいやったって事か…?
「お前どうやったら死ぬんや…もう面倒くさいな…」
【やったら大人しく見逃してくれてもええんとちゃいます!】
「なんでこれで喋れんねん…キモ」
【酷ないです?】
(確かに原型留めてない肉片として空中飛び回ってるのに喋れるのはキモいな…)
(そもそも生きている事自体がおかしいのだ、今更だろう)
「不死身なんはアイツの方やったか…?」
「でも、死なないなら死ぬまで打てば良い話や、微粒子レベルになるまで砕いたる!」
【いいえ、そんな暇無いですよ…】
「?どう言う意味…ッ!?先生!後ろや!」
龍之介達の背後から洞窟を埋め尽くす程の数の影が迫る。
「な!?」
(影!それも先程散々殺した頭が半分無い赤子の…!百…二百…多過ぎる…!?この奥にもまだまだ居そうだな…)
「これは…儂らで対処しきれるか…!?」
【私にかまけてたら後ろは全滅しますよ?】
…仕方ない…コイツとはどうせ奥に進めば後でまた接敵する、今は人名優先やな…凸村は別の道まで逃げてる、コイツラとは鉢合わせてないな…そのまんま上まで逃げれるか…?いや、腐っても警察官やし流石に澪の事探してコッチ来そうやな…早めに殲滅してまいたい。
「覚えとれ…俺は必ずお前を殺す…」
【最後に勝つのは我々ですよ…もう会わん事を祈ってます…慎平君…】
シデは今度こそ、暗闇の奥へと消えて行った。
影人は四節棍を手放し、改めて食用ナイフを構える。
「逃した…ハァ…しゃあない、ここからは少し憂さ晴らしも兼ねて暴れよか…」
「余裕ですね慎平さん、これをどうにか出来るんです?」
「いけます、けど足止めて戦ってたら囲まれそうですからお二人は奥の方に走ってください、俺が最後尾でアイツら間引きながら進みますから」
「分かった…小僧!お前の事を信用する…手ぇ貸してくれ!」
「!…はい」
そうして、俺達は洞窟の奥へと進んでいく。
………………………………
俺達は数百体の影の波から逃げていた。
洞窟の奥、縦2メートル、横三メートル程の狭い道を走り抜ける…この先には広い空洞があり、かなり頑丈そうだ…影人は道を完全に崩れない程度に壊す。
ガン!
ズガン!!
ドゴォ!!!
逃げながら時折後ろから飛んでくる石片を粉砕、その勢いのままに狭い道の上下左右を縦横無尽な軌跡で四節棍が蹂躙して行く。
前世では逃げるついでに洞窟崩落させる事は何回かあったけど…この世界そもそも自然界の物質の強度が前世に比べて低いんだよな…思ったより岩壁のヒビがデカい。
…まぁ崩落しそうだったら最悪コッソリ魔力で補強すればええし…武力は1000位しか出してないけど魔力は10万位に設定しとるからな…ディアンヌ程の精度と規模は出せなくとも頑丈さや密度は魔力10万でも越えられる。
「ハァ…!ハッ…!どこまで逃げたらええねん!?」
「後少しです!仕込みは逃げる道中で終わっますからこの狭い道を抜けたら問題ありません!」
「仕込み!?なんですかそれ!?」
(そう言えば君は走っている途中でその四節棍を洞窟のアチコチに叩き付けていたな…まさか崩落でもさせるつもりか?)
「ちょ!?慎平さん!?この狭い洞窟で崩落はマズイですよ!?」
「儂らもろとも生き埋めにする気か!?」
「問題ありません!この先の空洞までは崩れんはずです!」
「なんで分かんのや!?そんな事!それに崩れんかったとしても出口が無くなるぞ!」
「そこも問題無いです!信じてください!」
「ぬぐ…分かった、信じる!頼むぞ小僧!」
「分かりました…ここまで来たら信じますよ!慎平さん!」
「ありがとうございます!そろそろ広い空間に出ますから出たらそのまま真っすぐ走り抜けてください!そんで!出来ればなるべく大きな岩か何かの後ろに隠れてください!」
「見えてきた!広い空洞はあそこの事だな!?」
「はい!」
「足がぶっ壊れそうやわい!クソったれぇ!なるだけ遠くの方に隠れるんやな!?」
「はい!」
そうして影人達は広い空洞へと駆け込んだ、そのまま龍之介達は真っすぐ走り抜け、影人だけは狭い道の前に立ち、四節棍を構えている。
影の波が迫りくる…
――200メートル―
――150メートル――
――100メートル――
――50メートル――
――20メートル――
「ご丁寧に崩落しない位の数で順番に入ってくれてどうも…おかげでやりやすい…!」
接敵まで約10秒…9、8、7、6、5、4、3、2、1!
「ハァッ!!」
四節棍を道の中に叩きつける!
洞窟が揺れた。
爆発したような轟音。
通路全体に亀裂が走る。
天井が落ちる。
壁が崩れる。
床が砕ける。
一本道だった狭い通路が一瞬で瓦礫の山へ変わった。
「取り敢えず数十メートル以内まで迫っとった影は一掃した…その奥に居るやつやまだ入ってない奴は影になって隙間を抜けてきとるな…」
「ぐぅ…!?耳がイカれる…どないなったんや!」
「マジですか…」
(本当に崩したな…しかし、この空洞は無事だ、出口があるかはさておいてな…ここからどうするつもりだ?)
南雲先生*5が影人にそう質問すると、影人は壮絶な笑みを浮かべて答える。
その顔は控えめに言って悪鬼羅刹のそれだった。
「問題ありません…出口はこれから作りますから…!」
余りの恐ろしさに根津と龍之介は岩陰に隠れてヒソヒソと話始める。
「お…おぉ…ひずる、龍之介…ホンマに信用して良かったんか…?アイツ」
「顔は凄まじい事になってますけど味方ですって…きっと…」
聞こえてるんですけど…
影人は少し心にダメージを負いながらも四節棍を全力で振り回し始める。
「お前らはこの瓦礫の山ん中でも影に潜れば通り抜けられる…だがそれはつまり全員平面の影に潜らんと此処にこれやんって事や…立体の盾も武器も無い…そんだけ数が多けりゃ瓦礫全体どこを壊しても当たるやろ…」
(まさか…!?)
「お姉ちゃん?」
「何する気や…?」
「だったら瓦礫ごと砕けば全部本体に当たるよなぁ!!」
影人は四節棍を振り回し、瓦礫の中へと突撃する!
一振り、岩盤が砕ける。
二振り、元の道が出来る。
三振り、元の道がさらに押し広げられる。
そして影人は元の道を逆走しながら瓦礫を砕き進む!
その道中では黒い粒子…影の破片や空中で解けた影の残骸が飛び散る。
「嘘でしょ慎平さん!?」
「掘削機か何かアイツ!?」
こちらに向かっていた影たちも異変に気付き始めてるな…だが関係ない、お前らがもと来た道を戻るよりも俺の足の方が速い…この先に行くのは良い、武器渡した南雲先生達が居れば数十匹位は対処出来る…だがこの道からは逃さん!
「お前らに…もう勝機は無い…!」
バゴ!ガガガガガガ
影に逃げ場は無かった。
隙間へ潜る、砕かれる。
岩へ紛れる、砕かれる。
群れに混ざる、砕かれる。
どこへ隠れても意味がない…通路そのものが消えていく。
「ォォォオオオオオオ!!ハァァ!!!」
ドォォォォォォン――――ッ!!
「フゥゥゥ…ちょっとやりすぎたかね…?ま、出口の確保は出来たって事で…」
…島に穴空いてしもたけど…海に面してる方向やし水が入って来やん位の位置にあるからギリギリセーフって事で…
島全体を覆った超重低音。
海岸線の波が跳ね上がり、木々が揺れ、洞窟周辺では小規模な地割れさが起きている様だ。
島民たちもこの音には気づいた様だが…流石地震国家と謳われるだけあり、各々が普段の生活へと戻って行った…中には睡眠中で気付きもしなかった者も居る。
しかし、実際は地震などでは無く一個人が島を沈めかねない程の威力で衝撃を撒き散らし、地形そのものを変形させた結果だとは誰もが想像すらしない事実だろう。
さて…影の殲滅は出来たし一旦南雲先生達の所戻るか。
ハイハイ〜第5話これにて終了ですよ〜
何か初めてまともな戦闘描写したな…苦戦する内容考えたくないから戦いが成立しない程強くしてたけどいざ書いてみると情景や体の動かし方とかは溢れてくるね。
上手く書けてるとは言え無さそうやけど。
この小説一応無敵の主人公ってコンセプトもあるから戦闘描写は基本無双してます。
余談、この世界にも荒木先生いるしジョジョはあります、慎平君もアニメ勢やけど見てるから影人の知識は結構オタク文化やネタが充実してたり。
ほなそう言う事で、また次回〜