転生×転生=多重転生? 作:匿名の読む専
ってことで、第8話スタート〜
〜主人公視点〜
ここからどうするか…とりあえず状況は膠着状態、今回のループは情報収集に徹する、ここだけ念頭に置いておけば致命的な失敗は無いと見て良い。*1
慎平の質問は今のところ割と順調に進んでいる。
指の痛みをアドレナリンで誤魔化せてるから質問はできてるがやはり痛い物は痛いらしく、時々思考が途切れてる様だ。
慎平は潮に対して、隙を見て澪の奪還に移るので動けるようにしておけと指示を済ませているので後はシデの隙を作るだけなのだが…中々難しい。
とりあえず今、慎平の質問でわかった情報を整理しよう。
1、お前は何者だ。
この質問に対してシデは人に見えます?と答えた。
イマイチ答えになってない、影の誕生方法を考えると元になる存在が居るはずなので仮説としては4つ。
ハイネが作り出したナニカ。
元となる存在が居ない。
赤子の影のように写さずとも従えられる影の一種。
ラジコンのように遠隔で操作する適当に影を集めた存在。
どれも確証が無さすぎるので保留。
2、人か影か。
慎平の思考が一瞬途切れたので俺が同じ質問を言い方変えて聞いただけだ。
ここでは特に収穫も無いが、慎平が思考を整理する時間稼ぎは出来ただろう。
3、何故影の気配を感じないか。
コレは俺が質問した、慎平も気になっている事だ。
シデはマトモに答える気は無さそうだが、一先ずこちら側の問題では無くシデが特殊な事だけは把握した。
4、ハイネが死んだらシデはどうなるか。
慎平の質問だ。
ここでは言葉では無く動作に注目した、シデはそんな事知っても意味は無いだろうと言ったが明らかに警戒を見せる、薄々分かっては居たがハイネはシデにとって守る対象の様だ。
5、シデはハイネを守りたいのか、利用しているだけなのか。
慎平はここで揺さぶりを掛ける事にしたらしい、前のループの夏祭りで、シデの発言が少し引っ掛かっていたらしい。
シデは何のことだと答えた、そしてハイネには戯言だと言い捨てたがその行動で1つ理解した、シデはハイネの不興を買いたくないのだ、と。
コレも考察の材料としてはけして十分ではないが、ハイネとシデの関係を推理する材料としては十分だ。
6、何故、澪を人質にとったか。
ここでシデは大きな情報を落とした。
まず、ハイネ達は慎平のループの事情を把握している事。
次に慎平のループの起点は慎平の死である事を理解している事。
慎平の死を阻止するには人質をとって動きを封じた後、拘束して夏祭りの終わりまで生かせば良いと判断していた事。
そのために俺が邪魔だったが数で押して倒せるか未知数だったので他の影にあちこちに散らばるよう命令して時間稼ぎをさせた事。
ここで得た情報は大きい。
ハイネ達は目的の邪魔をさせない為にループを封じたい。
夏祭りがこの戦いのタイムリミットである事。
影には遠距離からでもかなり細かく指示出来る事。
慎平は一旦ここで情報収集を切り上げる判断をした。
ここで影人は南雲先生に指示を出す。
『先生、情報収集はここらで良い頃合いだと思います、シデの頭に銃口を合わせといてください、そんで根津さんは変わらず慎平に銃口向けといてください』
『分かった』
『分かっとる』
ここからどうやって隙を作り、澪を奪還するか…影人がそう悩んでいた時、ハイネが痺れを切らした様にシデの事を呼ぶ。
「シデ…何時までやってるつもりや…?はよその忌々しい小僧の影を殺してしまえ」
【ハイネ…勘弁してください…】
ハイネの言葉にシデは耳を傾ける、コレも情報の1つだ。
一瞬シデの意識は逸れた、その隙を影人は逃さない!
『南雲先生!今!!撃って!』
ドパン!!
慎平も影人ならここを逃さない事を確信して、速攻で潮に指示を出す!
『潮!行け!!』
「澪を返せ!!」
シュパン!!
潮は慎平の合図と共にシデに特攻、髪の刃でシデの首と腕を落とし、澪を奪還する。
そのまま離脱しようと後ろに飛ぶが、シデの残る腕が潮に迫る。
それを黙って見過す影人では無い。
「させへん」
ブチィ!!
潮に迫るシデの腕を両足のひざ裏で二本纏めて引き寄せ、三本目の腕にくっつけて1つに束ねてからしがみつき、勢いよく回転する事でシデの腕を引きちぎった。
【グッ…!どこまでも目障りですね…!!ですが…私の方が一手上手でしたね】
「ッ!」
後ろを見ると、ハイネの影に囚われた潮の姿、澪はどうにかハイネに捕まる直前に慎平の方へと投げ渡したらしい。
「囚えたぞ…潮」
それを見て、影人は咄嗟にハイネの影を切り離そうと食事用ナイフをコピーして向かおうとするが、そこで視界の隅に入った存在によりその行動は失敗する。
【良いんです?行っちゃって…窓くんも朱鷺子ちゃんも死にますよ?】
シデは南雲先生の銃を模した銃口を、気を失っている窓に向けていた…一瞬、影人は止まってしまった。
「クソっ…」
影人はどちらを見捨てる事も選ばなかった。
そう、選ばなかったのだ…だからこそ、シデとの間にまた膠着状態が出来た、潮を侵食されながらも…確かにシデの動きを止めたのだ…そこが命運を分けた。
「くぅぅぅ…!」
(っ!何だ…?…潮?)
影人は違和感を感じていた、潮はただ侵食されている様には見えない、寧ろ何か…ハイネの影を押し戻している様な…?
「おい…!見よ…コヤツ…!」
【なんですハイネ?…ッ!】
「さっきからわしの侵食を…押し戻しよるわ…!!」
「澪を助けた、慎平達も戦う準備はできとる…私だけ…!こんな所で…寝てる場合や無いんじゃぁ!!」
「コヤツ…逆にわしを侵食しよる…!!貴様…まさか!?」
「うぁぁぁぁ!!!」
潮が声を上げてハイネを睨む、先ほどまでハイネの影に纏わりつかれていた潮の体からは、みるみるハイネの影が溶けるように落ちてゆく。
【ハイネ!?】
(目をそらしたな…?)
スバン!!
影人はコピーして持っていた食事用ナイフを思い切り振った、闘級も武力を2000程まで解放して振り下ろしたその斬撃は、ハイネの腕の影と共にシデの胴体を真っ二つに斬り裂いた!
【しまっ!】
「影人!そのまま殺れるか!?」
「ちょっと無理かもしれん!さっきから洞窟の中の影の気配がワラワラと向かってきとる!コイツ殺して影が全部死ぬ保証が無い以上欲張るよりココで切り上げた方がええ!判断は任せるぞ!」
【させませんよ…!!】
真っ二つにしたシデが即座に復活し、銃口を再び窓に向ける。
「殺せると思ってるんか…?撃ってみろ…その瞬間、俺はお前も、ハイネも始末する…銃弾だって防ぐのはそう難しくない」
シデと影人は結局、睨み合いに戻った、しかし今はそれで良い。
慎平は考えていた。
慎平は、確かにハイネを殺せば全ての影が消え去る保証も無い上、このループの事も少し引っ掛かって居た、前回の三日目の夏祭りでシデに言われた事がずっと引っ掛かって居るのだ。
あの時シデは、何故母の目を持っている?と聞いてきた、この右目を見てシデは時間の複製が可能だ、と言っていた…もしもハイネを殺し、この右目もなくなってしまえば?もしも、ループの力だけが無くなり、影が消えなかったら。
無論杞憂の可能性もある、ココでケリを着けてしまったほうが良いのではないか、そう思う気持もある。
しかし慎平は選んだ、どの道窓は撃たれて重傷、澪も人質にされている間に何をされてないとも限らない、慎平はループする事を選んだ。
『…影人、今回はここで切り上げる』
『ええんか…?』
『あぁ、ハイネを殺した後の影響がイマイチ予測しきれん、影が消えなかったら窓と澪を守らなあかんし、そしたら万が一もありそうや』
『…分かった、根津さんにはもう指示しとる、そこ動くなよ』
ドパン!!
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〜主人公視点〜
「…ここは…?」
「慎平!影慎平!」
「潮、影人もおるのか…」
「そうか…ここはループの時の…慎平、すまんかった…澪を守る言うたのに人質に取られてるしもた」
「影人、まだ悲観するな…全部終わった訳でも無い…次は必ず守り切る、今はそれで良い」
「…おう」
「潮、影人…俺達はまだ負けた訳や無い」
「わかっとる…次はアイツらに勝つ!」
「もう二度と…こんなヘマはせぇへん…!」
俺達は、それぞれ次のループに向けての意思表明をする。
そうして………。
この空間を抜けて戻る時の眩しい光が近づいてきている。
ループの空間を抜ける…。
…………………………………………………………………
〜主人公視点〜
7月22日。
俺と潮は慎平に引っ付いてループしたらしい。
「君は…タイムトラベラーだ」
南雲先生が慎平にそう言う。
「…はい…!」
「はい…!?」
慎平が南雲先生の言葉に答えると、根津さんはその答えに驚いた様な反応を見せる。
「今、戻って来ました…!」
慎平の右手は、いきなり何もないところから現れた潮の手を握っていた。
…あ、俺も慎平の背中から肩越しに南雲先生達を見る感じで出てきたぞ?何かポーズとった訳でも無いのにそうなった…なぜゆえ?
…………………………………………………………………
その後は慎平の信用ロールが成功したのか、南雲先生が慎平の事を信じて俺達に武器を向ける事なくこれからは協力して行くと言う話に纏まり、慎平と南雲先生は握手を交わした。
その時、慎平は握手した手とは反対の手で潮の手を握っていたせいか、慎平越しに南雲先生へ潮の記憶のコピーがされた様だ、南雲先生は根津さんの銃を下ろさせる為に触れていた事もあり、根津さんにも潮の記憶がコピーされ、潮視点の前回のループの情報が全て二人に伝わった。
コレにより、南雲先生の信用はより強固なものとなったと同時に、このメンバーの最大戦力たる俺の運用方法を優先して考える事になった。
……なんでぇ?*2
それからは南雲先生達と俺達で前回のループで手に入れた情報や推理を纏めた。
【1】シデについて。
影の気配が無い。
姿を変えられる。
恐らく、受けた攻撃をそのまま返す力がある。
殆ど不死身だが動きを封じる事は出来る。
影縫いが出来ない。
ハイネと明確な上下関係はイマイチ見えないが、シデはハイネの言葉を無視しない、もしくは出来ない。
【2】ハイネについて。
洞窟の奥に居たあの天井まで伸びる大きな影が本体。
朱鷺子の言葉によると、栄養失調で本体は出てこれない。
本体が出れないが代わりに影の一部がしおりちゃんとして地上を動いてる。
ハイネは感性とか何もかもが根本から人と違う。
遠隔からでも影に指示を出せる、ここはシデとハイネ、どちらが指示しているかが定かではない。
【3】菱形家について。
菱形家は影の協力者。
菱形窓は何も知らない。
菱形朱鷺子は影の協力者であり、色々知っていそうだが、前回の様子を見るに望んでやっている訳ではなく、利用されているだけかもしれない。
窓と朱鷺ちゃんの父親。
菱形青銅は推定だが、影の明確な協力者。
シデの発言からして確定と思っても良いかもしれないが、一応ハッタリか何かの可能性も考慮して一旦確定はしないでおく。
もしも菱形青銅が完全に影の協力者側ならば、恐らく朱鷺ちゃんと違って利用されている訳ではなく、全て知った上で影に協力している可能性が高い。
【分からない事】
知りたいのはハイネが死んだら、他の影はどうなるか。
シデを殺す方法はあるのか。
前回のループで、潮が最後にハイネの侵食を押し戻した現象について。
「結構分かって来たな…後は今回の最後での出来事やな…」
「あぁ、ハイネが言っとったな、逆に侵食してるとか」
「それは私なんとなくやけど分かるで!」
「おお!マジか潮!それなら説明してくれ!」
「その力がどういう仕組みで使えるのかが分かれば俺も出来るかもしれんからな」
「あ〜…影慎平には悪いんやけど…私が分かるのは仕組みとか使える理由とちゃうねん」
「…まぁ…そんなうまそうな話が早々ないってのはわかっとったから、別に…今のところ俺はあんまり役に立ってないしそう言うの出来ても上手く使いこなせへんかもしれんし」*3
(あ…テレパシーもどきの脳内に送り込んでくる顔文字だ…そんなに時間経ってないのに懐かしい気がするな…)
慎平がそんな事を考えてそうな顔をしていたと思った影人であった。
「ま、まぁ元気出せよ、影人が最大戦力なのは変わらんし頼りにしとるから!な?」
「ひずる、なんでアイツはあんな卑屈なんや…?潮の記憶で見たのとはまたえらく印象が違う気がするぞ」
「私が知るわけ無いだろう…」
「あ〜…よし!気を取り直して、潮がその力について分かる事を教えてくれ!」
「分かった!」
……………
要約すれば潮の力はハッキング見たいな物らしい。
影は本来ハイネの命令に従って動くし逆らえないが、そのプログラムに干渉してハイネの命令に逆らえるように上書き出来るらしい。
他にも、影を消去する事が出来るかもしれないのだとか。
どういう仕組みかまったく分からん…と言うか影相手に凄いメタ能力だなそれ。
「つまり、もしかしたらシデを消せる可能性もある言う事か…?しおりちゃんも本体がハイネの影の一部やから殺してもハイネが生きとる限り消せやんかったけど、しおりちゃんの影も消せる?」
「多分出来るで!」
「多分、と言うのは少々不安だが…潮の記憶を見る限りは他にあのシデを殺す手段は無さそうだ」
「可能性が一つでも出来たならまぁええわい、やる価値はある」
南雲先生や根津さんは少し不安は残る物の、今までよりは希望が見えたと認識する事にしたらしい。
俺と慎平も正直あのシデやハイネを消すのはそう簡単には思えないし、何よりシデがホントにどうにもならなそうだったのでかなり希望が視えてきたと思っている。
そんな風に、一先ず分かる事を纏めて共有した俺達は前回の行動を出来る限りなぞる為、小早川家に向う事にした、今回も、俺は小舟家に残りアランと澪の護衛を務める事になった。
前回、この時点で慎平と南雲先生と根津さんは小早川家の影を一掃、最後はしおりちゃんの影を慎平が捕まえて根津さんが影縫い、南雲先生がトドメを刺した形らしい。
そこに今回は前回この時点で慎平と一緒に居なかった潮が同行する以上、戦力としては十分だろうと言う判断の元、俺は小舟家の護衛に任命された。
「この玉ねぎめちゃくちゃ目に染みるの忘れてた…!?」
そういえばコイツ影の中に居た俺と潮の目にすら染みてきた化物玉ねぎだった…!!
(もしかして俺…この世界で生まれてから一番ダメージ受けた相手、シデとか影とかハイネとかじゃなくて玉ねぎ…?)
そんな事を思いながら、カレーを作って澪の帰りを待つのだった。