新田と談笑する野薔薇
釘「新田ちゃんって、補助監督って感じしないよね?」
新「えー、どういうことッスか?」
釘「なんか、補助監督って根暗なイメージ?」
新「それ伊地知さんのこと言ってないッスか?」
ハンドルを握って正面を向いたまま、新田はケラケラと笑った。
新「私、京都高の卒表なんスけど、術師向いてないなぁって思って。ただ私の弟も術式持ってるんで、界隈から離れるのもちょっと嫌だなって感じッスね」
釘「あー、新田ちゃん確かにお姉ちゃんって感じする」
新「そうッスか?なんか照れるッスねぇ」
釘「伊地知さんはなんか、ザ・大人って感じ?でも新田ちゃんはもっと近い感じで、頼れるって雰囲気」
新「実際、伊地知さんはすごいッスよ。あの五条さんのマイペースに流されないッスからねぇ」
釘「ねー。この前とか先生が「伊地知は僕の専属」~とか言って、伊地知さんが食い気味で「違います」って拒否ってたもん。ちょっと笑った」
新「さすが伊地知さんッスね!私だと笑って誤魔化しちゃいそうッス」
釘「実際あの二人仲いいの?」
新「五条さんの二個下が伊地知さんで、東京校時代の先輩後輩関係らしいッスよ」
釘「それであの距離感ってわけ。ちょっと納得」
一方、別件に当たっていた五条悟。
五「ぶえっくしょ!」
盛大にくしゃみをかましていた。
伊「風邪ですか?」
五「僕が風邪ひくわけないでしょ?僕の最強武勇伝を誰かが噂してるんじゃない?」
伊「良い噂はくしゃみ二回、悪い噂はくしゃみ一回というそうです」
五「伊地知ぃ?」
伊「世間的に言われているだけですよ」
五「……伊地知ぃ?」
新田が出していた名刺
葛飾区のバイク呪霊の聞き込みを終えた一行。新田の隣を歩く野薔薇が顔を覗き込むようにして尋ねる。
釘「新田ちゃん、さっきの名刺警察って書いてあるの?」
新「そうッスよー。補助監督はみんな持ってるッス」
言いながら新田が名刺を一枚取り出して、見せる。
警視庁公安部 第三課
第二公安捜査 第10係
古田 朱里
宮「……どっからツッコミいれようか」
伏「公安って時点でツッコミの入れようがない」
優太と恵が呆れた顔で目を合わせて、ため息を吐く。悠仁は目を輝かせて新田の名刺を覗き込んでいる。
虎「すげぇ!名前が──」
野薔薇に脛を蹴られて悠仁がうずくまる。
釘「大声で言うなバカが」
偽名は偽名と発覚した時点で他の情報の信ぴょう性も落ちる。もっとも、公安という文字自体が他の文字の信ぴょう性を打ち消しているのだが。