悠仁は気付けば地元仙台にいた。
虎「あれ、俺今戦闘中じゃなかったっけ?」
宿「お前の心象風景か、実に下らん」
宮「え、宿儺って意外と話せるタイプ?」
三者三様の反応。生得領域や心象風景について理解が追い付いていない悠仁だけ、ワンテンポ遅れている。
宮「まぁちょうどいいや。今の内に体の動かし方、覚えちゃおう」
虎「うっす、ヨロシャス!」
宮「まず双重ね。一番基本の立ち方で、これだけで一時間立ちっぱなしにすることもある」
優太はそう言いながら、足を平行にして肩幅に開く。無駄な力みが一切なく、膝を軽く曲げて腰に重心を落としている。
虎「こう?」
悠仁が真似てみる。つま先が若干外向きになっているので、優太は悠仁の足に自分の足を添えて内側にスライドさせる。
宮「こう」
宿「ほう、大陸の武術か。童(わっぱ)、若いのに筋がいい」
宮「五歳からやってるかんね。染み付いてる。んで次、単重。体をちょっとだけ横にズラして、片足に重心を置く感じ」
優太が綺麗に一本足で立つ。浮かせた脚をフラフラさせてもほとんどふらつきがない。悠仁が真似をしてみて、目を輝かせる。
虎「うお、すげぇ!普通の片足立ちよりめっちゃ安定する!」
宮「太極拳の基本は重心の扱い。まずは双重と単重ができて、そっから始まる感じ。んで次が虚歩。単重から浮かせた脚を前に出して、前足はつま先を地面にチョンと置く感じ」
優太がやって見せ、悠仁にやらせてみせる。その様を宿儺が顎に手を添えて目を薄めて観察している。
宿「なるほど、貴様は武の達人というわけか。気に入った」
宮「両面宿儺に気に入られるの、なんか怖い」
優太の言葉を意に介さず、宿儺はケヒッと不気味な笑い声を上げる。
宮「んで次、弓歩ね。腰を前にスライドさせるようにして、後ろに置いた軸足から前に重心を送り出す感じ」
優太がゆっくりと虚歩から弓歩に移る。悠仁も見様見真似でやってみて、スルリと自然に体が押し出される感触に目を見開いた。
虎「うぉおお、なんだこれ、力使ってないのに、めっちゃ力が前に出てくる」
宿「斬撃に取り入れられるな。推進力が上乗せされる分、見た目以上に威力が出る」
宮「宿儺正解。太刀捌きだけじゃなくて、殴る、掌打、蹴る、走る、全部に使える。あと相手から見ると、平面的には差が少ないから距離感がバグりやすい」
虎「おー、これが優太の強さの地盤ってやつか」
宮「強い弱いとか、太極拳ではあんまり考えないかな。常に流れを意識するのが太極拳」
宿「太極、つまり剛と柔を併せ持った武術か。つくづく興味深い」
宮「やだこの人、褒めてるのに全然褒められてる気がしない」
虎「え、そう?」
宿「小僧の体を奪ったらまずは五条悟、次は貴様だ、宮城島優太」
宮「やっぱりそうじゃん!やだ!やだやだ!!」
宿「貴様の足捌きでは捌で捉えるのは難しい。解は飛ばせる、どういなすのか見物だな」
宮「ヤメテッ!暴力反対!」
作者コメント
ちなみに、太極拳(他の武術もかな?)は、師範の動きを見て覚えて、真似して覚えて、師範に正してもらって覚える武術になってます。
ここで悠仁がすぐに習得できてるのは、共振プラス悠仁の持ち前の規格外なフィジカルがあるからです。
もし興味を持たれた方は、教室やサークルなどで民間の太極拳から入るのをオススメします。
独学で真似しようとすると怪我をする危険性が高いので、必ず先生をつけてください。