ハイスクールD×D アフター:New HERO BorN F×F 作:scp-114514
《兵藤一誠》
「「「いただきます」」」
グレモリー家本邸で昼食が行われる。ここにはリアスや朱乃、アーシアといった俺の妻じだけじゃない。
「どうかしら、シャーラ?私が腕によりをかけて作った天ぷらうどんよ」
「おいしいですお母様!うどんのコシもえび天もめんつゆの味も最高ですわ!」
リアスの正面の席に座り、うどんをすする紅髪の美少女。目の色だけは俺と同じだ。
この子はシャーラ・グレモリー。日本文化が大好きなリアスの娘だ。
うん、目だけしか俺の名残がなくてよかったよマジで!
ちなみに先に生まれた子供達は皆成人して親元を離れた。まぁ産んでから100年以上経ってるからね。
「今年で250年経つか」
「純血悪魔の私が言うのもなんだけれど…光陰矢の如しね」
「俺達、よくここまで持ち直せたよな」
うどんを平らげて、食卓に集った妻たちを見渡しながら言う俺に対し、リアスが肩をすくめて苦笑しながら返す。
「何を言うのよ。あなたが言わなければ、すべてが止まったままだったわ」
「そうか…ありがとう」
「?お父様、お母様。何のことを話してるのですか?」
「あぁ、まだ話してなかったっけ。お前が生まれる前の遥か昔の話だ」
「シャーラ。謎の大火災が人間界で起きて、それ以降つながりが切れたのは知っているわね?」
「勿論です。故に私はお父様の故郷である日本の文化を継承し、後世に伝えていくというのが夢ですもの」
好きなことを突き詰めて夢へと繋げるのは大変だけど、だからこそこいつの志はスゲェよ。…って違う、大火災の事話してるんだわ。
あの後冥界は大混乱になった。
ジュラスとヴァーリが行方不明になったしな。ヴァーリに至っては政治に参加しない身とはいえ真なるルシファーの系譜にして大英雄なんだから支持者は結構いたんだ、忽然といなくなったらそらそうなるよ。
まぁ、人間界があらゆる神話世界と断絶されたって事がもっと大ショックだったんだけど。
最初のうちは人間界からの避難民を転送させることには成功したが、途中から避難民が突如発火、あるいは避難民が炭化した遺体で転送されるという事態に。やむなく冥界では避難民の転送を早い段階で中止せざるを得なかった。
いち早く火災から逃げられた避難民についても大変だった。冥界では多くの人間が長期的に住まう事を想定していない。軋轢が生じるのは明白であり、折衷案を出してシステムを整えつついざこざの鎮圧に駆り出されることに。
それでもなんだかんだ問題が起きては解決を繰り返して長い年月が経ち、すべての避難民の世代が交代した。悪魔と結婚して子を成したケースが過半数で、純血の人間はもはや冥界にとって希少な種族となっている。悪魔と人間が契約を結ぶのはもはや非現実的手段であり、『悪魔の駒』による転生も不可能。もはや冥界は今までの在り方ではいられなくなった。まぁそういう政治・経済の変革は別の話な。
そして俺の家族だが…これもとんでもない問題となった。もちろん、ジュラスを喪ったことへのショックである。
「その大火災に巻き込まれた悪魔の中でいまだ生死が不明の者が3名。一人は『明星の白龍皇』ヴァーリ・ルシファー。一人は│『魔龍聖』《ブレイズ・ミーティア・ドラゴン》タンニーンの孫娘、レギーナ・タンニーン。そして最後の一人が…ジュラス・グレモリー。あなたのお兄様よ」
「…え?」
リアスの話を聞いていたシャーラの目が点になった。そりゃそうだろう。ここ最近忙しくて、こいつにだけはジュラスの件を話せてなかったんだしな。
「これから話すのは、私達が今の今までこうしていられるようになった経緯。これを念頭に置いて日々を過ごしてほしい。それが私達のすべき役目の中で、あなたができる事よ」
《リアス・グレモリー》
「250年前の私達は、皆忙しすぎた。実母である私はもちろん、代わって合間を縫って世話を務めたアーシアや朱乃達…血の繋がらない母達も、ジュラスをまるで腹を痛めて必死の思いで産んだ実子のように可愛がっていた」
フリーになった誰かが精いっぱいの家族サービスを施して、物心がついたばかりのジュラスが笑っていたのを見るとそれだけで疲れが消し飛んだものだった。
特に親に恵まれなかったアーシアや猫又姉妹は、母親という立場が分からなくてかかわり方に悩んでいたけれど、それでもジュラスが笑うととても喜んでいたらしい。
「なのにもう、あいつと二度と出会えない。わずか5年でいなくなっちまった。青春しながら大人の階段を駆け上がっていく姿を見ていきたかったのに、突然消えちまった」
オーフィスによれば『ヴァーリ共々生きてはいる。それ以外は不明』とのことだが、元気な姿を見れないのであれば状況はほとんど変わらなかった。
「冥界に神滅具使いの力を利用して旧魔王派が暴れた時、俺は一度死んだのを知ってるよな。その時は俺が皆の精神的支柱だったんだから、母さん達の絶望感はとんでもなかったんだ。
それからも俺は死にかけた時は何度もあったんだけど…まぁそれは別の話だし、そういうのを乗り越えて俺らは平和を勝ち取って、家庭を作ることができたんだよね」
「けれどもね。人間界が火の海になった時。その時にジュラスを喪った絶望は話が別だったのよ」
「どういう事ですか?お父様もそのジュラスお兄様も同じ一個人でしょう?」
「大いに違ェよ。当時のあいつは5歳、俺と違って非力すぎる。だから俺らが何とかしないとやってられない」
「本来、幼い年齢ほど子供にはきちんと愛情をかけて育てるというのが筋というもの。それでも私達は、先の大戦に次ぐ大戦を経て世界に平和をもたらした功労者として、冥界どころか世界中を飛び回っていた。これからの未来を導く立場として、皆から望まれていたのだから仕方のない話だったのよ」
皆、各々がジュラスの世話に割ける時間が少ないのは自覚してた。勿論、軽んじているつもりも毛頭なかった。
「言い訳をするつもりは今更ないわ。ただ、家庭も世界もどちらも大切。だから私達はね、どっちも取る選択の上で日々せわしなく生活していた」
表情が無意識のうちに険しくなり、拳を握り締める力も強くなっていく。イッセーも同様だった。
「我が子一人の面倒を長時間見ていられないほど多忙だからシフト制を作って必死こいて公私を両立させてきたのに、その子供の安全を守れなかった。しかもそれが赤龍帝なんてさ…情けなかった」
そうだ。私もイッセーもアーシアも…皆、自分自身を許せなかった。
特に私はジュラスが行方不明になったとの知らせを聞いた直後の記憶がなく、気づいたら消えた暗い子供部屋で放心状態になっていたほどだ。
「それなのに、どうしてこうやって立ち直ったんですの?」
「それはね。お父様が考えに考え抜いて、一つの結論に辿り着いたからよ。
私が食事がのどを通らず、髪もぼさぼさになるほど心身が摩耗して倒れたとの報せを受けてお父様が病院に駆け付けた時。数日後に意識が戻った私にこう言ったの。
『俺達は世界を救ったヒーローだろ。ヒーローならよ、息子やダチがあの燃え盛るブラックボックスの向こう側で必死に生きてるって信じるべきじゃねーか?』
気づいたの。私達がここで泣いて立ち止まったら、いずれあの子が何百年、何千年かけて帰ってきたときに、寂しい思いをさせてしまうでしょう?
そのためにやるべき事を皆で考えたわ。
『ジュラスの分も生きる』みたいな、あの子がいないとかいう前提で考えない。
『世界を飛び回ることに更に尽力する』なんて、それは確かに重要だけれど、果たしてたった5歳の幼い子供がそういうのを心の底から一番に願っているはずがない」
肝心なのは、ジュラスが思うであろう幸せの形。それは、家族と共に他愛無くもかけがえのない毎日を過ごすこと。幼い頃に別れたあの子には、私達の愛情が必要だ。
「もしかしてそれが、今の赤龍帝一家という事ですか?」
「えぇ。お父様は私達妻たちと子供を沢山作る事にした。そしてその子達には最大限の愛情を分け隔てなく注ぎ、一人また一人と一人前に育てていった。すべては、この家を冥界一…いや世界一賑やかな家庭にするために」
「シャーラ。父さんはな、兄ちゃんといつか会えると信じているんだ。その時に、兄ちゃんが笑顔で『ただいま』って言って帰ってこられる、明るくて暖かい
「赤龍帝とグレモリーの血を、未来を繋ぐ…という事ですか?」
「おう。あいつに『お前のカッケー妹と弟らだぜ!』って胸張って紹介できる、世界一ぶっ飛んでて世界一サイッコーな赤龍帝一家を…俺らが前を向いて、作り続けて待ってやるんだ。
そもそも父さんは、ハーレム王を目指して転生悪魔街道を疾走してきたからな。ハーレムなら子沢山じゃないと違和感ありすぎるだろ?」
そうだ。イッセーの「絶対にジュラスのいる未来を諦めない」という意志の強さに、私達は救われた。だから、後に生まれた弟妹達に対し、まだ見ぬ長男の存在を『燃え盛る人間界の向こう側で、人知れず戦ってくれている誇り高き、そして優しいグレモリーの悪魔がいる』と語り継いできたのだ。
「お前は、このウチを世界一明るい家庭にすべく毎日を心の底から楽しく生きろ。それが兄ちゃんのために出来る事だ」
イッセーの力説に、すべてを理解したシャーラがフフッとほほ笑んだ。
「まぁ確かに、お父様らしいアイデアですね」
「はっはっは!褒めてもなーんにも出ねえぞ?」
「それにこうして、お兄様やお姉さま方が既に成人してここを離れた後も多くのお母様と今なお子作りに勤しんでいるのですね」
「うふふ、家族をいっぱい増やして、ジュラス君を笑顔で迎えるのが私達の役割ですわ」
シャーラが見渡せば、朱乃のように、元々人間の血があったため子ができやすい側室たちが大きくなったお腹を愛おしく擦っている。
「その、解決策が…」
「しゃーねーじゃんか!ただでさえ魅力的なのに、みーんな時間が空いた時は夜になると誘ってくるんだからさぁ!」
「あんなことやこんなことを沢山して子供をいっぱい作るというスケベ精神が活路を開いたのは反応に困りますわ…」
「ひでえ!やっぱり年頃の女の子には乳龍帝おっぱいドラゴンはウケがあまり良くねぇってのか⁉それとも反抗期かぁ⁉」
いやまぁ、当然の話なのでは?私達イッセーLOVE勢はあなたを昔から知っているからノリについていけてるだけであって、子供達が理解できるとは限らないでしょう…。
自分からスイッチ姫のコスプレをして夜の営みにイッセーを誘う私が言うのもなんだけれど。
シャーラ・グレモリー
リアスが産んだ2人目の子供。細かい設定は後で投稿します。
外見は原作1巻刊行前にみやま零さんがデザインした初期案を想像してください(ハーレム王メモリアルにて公開)。