ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
形式的には「第一話」となっていますが、今回のお話が実質的な「プロローグ」となります。ご了承ください!
二〇XX年、東京某所のオフィス街。
抜けるような青空の下、老若男女問わず大勢の人々が忙しなく行き交う都心のビル街。その片隅で、ベンチに腰掛ける一人の青年の姿があった。
色鮮やかで美しいサファイアブルーの髪と瞳を持つ、整った顔立ちの美男子だ。清潔感のあるコーディネートに包まれた百八十二センチの長身が相乗効果を生み、どこぞのモデルか俳優のような煌びやかなオーラを醸し出している。
実際、道行く人々の中には青年をちらちらと盗み見ては黄色い声で囁き合ったり、こっそりとスマートフォンのカメラを向けて写真を撮ったりする者達の姿も多数見受けられた。
青年の名は
「さて、他に買わなきゃならないものはあったかな……」
そんな周囲の喧騒には一切目もくれず、頌栄は手に持った一枚のメモ用紙と、傍らに置かれた買い物袋の中身とを交互に見比べている。
買い物袋の中は新鮮な野菜や色鮮やかな肉などの食料品や広告に載っていた特売品の他、子ども達に人気のある付録付きのお菓子も混ざっていた。
時刻はそろそろ午後三時に差し掛かろうかという頃合い。少々早いが、夕食の買い出しと言ったところだろうか。
メモ用紙には家で待つ妻と、二人の子ども達からそれぞれ頼まれた「買い物リスト」が書かれていた。今は購入した品々とリストを照合して「漏れ」が無いかどうか、確認している真っ最中である。
依頼された仕事にミスがあれば、一家の大黒柱としての沽券に関わる。頌栄にとって、周囲の耳目よりも買い物リストのチェックの方が、遥かに重要な事なのだった。
しばらくの間、無言で目を皿のようにして何度も真剣に確認を重ねる。そして、どこにも漏れが無いと判断した頌栄は、ようやくホッと胸を撫で下ろした。
「よし、頼まれていた物は全部買い終わってるな。早く帰ってあいつらに見せてやらないと」
双子の息子達の喜ぶ顔を思い浮かべ、ふっと表情を緩めた、その時だった。
――ゾクッ。
背筋に強烈な悪寒が走った気がした。周囲から今も幽かに聞こえて来る黄色い声やオフィス街を行き交う雑踏の足音、車の走行音といった街の日常が、一瞬だけ消え失せたように錯覚するほどの衝撃。その原因は「上」にあった。
反射的に立ち上がり、振り仰いだ大空。都心のビル街に切り取られるようにして広がるそこに、何時の間にか、禍々しく渦を巻く黒い雲の塊が発生していた。
バチッ、バチチッ……!
雲の塊から頌栄が立っている場所までは距離があるはずなのに、まるで耳元で鳴っているかの如く、空気中で電気が弾ける不気味な音が鮮明に聞こえてくる。
それに伴って、頌栄の危機意識が脳内で強烈なアラートを掻き鳴らした。
「……ッ!」
懐から素早くスマートフォンを取り出し、とある番号を呼び出す。三回のコール音のあとにスピーカーから聞こえて来たのは、軽快な中にどこか破滅的な気配を感じさせる男の声だった。
『はいは~い、
「なんでその事を知ってんだってのは、この際だから置いておく。太郎、現在進行形で東京上空に不気味な雲の塊が出来てるんだが、そっちは何か観測してないか?」
『不気味な雲……ええ、確かに。周辺の防犯カメラやスマートフォンの映像から、仰る通りのでっかくて黒い雲が渦巻いている様子がばっちり見えてますよ。ただ、奇妙な事に気象庁の観測レーダーを見る限りでは、東京上空は気持ち良いくらいの快晴。雨雲や雷雲どころか纏まった雲一つ見当たらないんですよねぇ……なんなんでしょうか、これ』
「ちょ、おまっ……! 今サラッととんでもない事言わなかったか!? 相変わらず色んなものに侵入しまくってるな! ネットのセキュリティ会社の信用を軒並み無くして倒産させたいのかよ!?」
『嫌だなぁ~、ボクだってそこまで鬼畜じゃないですよ~。足跡は一切残してませんし、誰にも気付かれてないんですからノー問題でしょう。それに、何にでも入り込んで泳ぎ回るのがボクの
その悪いと思っている様子を微塵も感じさせない声に、頌栄は別の意味で頭を抱えた。
確かに、世界中に存在するハッカーの中でも上積みの上積み、「天才」と呼んでも過言では無い腕を持つにとって、電脳の海を自由自在に泳ぎ回る事は日常だ。遊び感覚で誰にも気付かれずアメリカ国防総省のメインサーバーに入り込み、その気になれば世界中のありとあらゆるIoT製品を乗っ取る事すら可能なこの男に、今更常識を説いたところで暖簾に腕押しであろう。
気を取り直して己の見解を述べようとした頌栄だったが、口を開く前に、更なる劇的な変化が起きた。
渦を巻く黒い雲、その中心から、突如として「光の柱」が地上に降り注いだのだ。実際は何らかのエネルギーなのだろうが、人間の目と脳では「光の柱」としか形容する事が出来ない。それほどの高密度と勢いで、オフィス街のビル群に美しい光景を作り出す。
あまりにも強烈な輝きに、雲に気付いてスマートフォンを向けていた人々だけでなく、道行く人々全員の目が強制的に釘付けになっていた。
――ズシン、ズシン……!
「……………ッ、まさか!?」
『おっと、これは……!』
規則正しく響き渡る轟音と、その音に合わせて足の裏から伝わって来る不穏な振動。
スピーカーの向こうで太郎の驚く声に混じって、何らかの計器が異常値を示した事による警告音を吐き出している。頌栄の危機感が、今日一番の、いや、人生でも最大級のアラートを脳内で爆発させた。
そして、光の柱が徐々にゆっくりと霧散していく中、遂に「そいつ」は現れた。
(=◎ω◎=)<どうも初めまして、作者です!
(=◎ω◎=)<当作品の第一話を読んでいただきまして、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<少々短いですが、今回はここまでとなります!
(=◎ω◎=)<既に書き溜めている分がありますので、しばらくは結構頻繁に更新するかも知れません。
(=◎ω◎=)<楽しみにしていてください!
(=◎ω◎=)ノシ