ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<今回も、色々とぶっ飛んだ内容が目白押しとなっておりますが
(=◎ω◎=)<フィクションですのでその辺も楽しんで頂けるとありがたいです。
(=◎ω◎=)<「ウルトラマンへの変身アイテムを作っちゃうんだから、こういう事もできるよね!」
(=◎ω◎=)<そう思ってください。
(=◎ω◎=)<……ホント、どーなってんでしょうね、この能力。
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
一頻り笑い合ったあと、頌栄は手元のタブレット端末をスリープモードにして、おもむろにダイニングチェアから立ち上がった。
「………さて、オレはこれから『アイテム保管庫』の定期点検と在庫の確認に行ってくる。章大、瑠偉、お前達も来るだろ? 前から『新しく追加して欲しい』って言ってたウルトラ怪獣の
「マジかよ!? やったぜ! ずっと待ってたんだ!」
「ありがとう、父さん。新しい戦力が加われば、僕達の戦術の幅もぐっと大きく広がるよ」
父親からの最高に嬉しい知らせを受けて、章大が溌溂とした声を上げて飛び跳ねるようにしながら拳を握る。瑠偉も理知的な声で礼を言いながら、嬉しそうに目元を細めて微笑んだ。
すると、テーブルの上に置かれたままになっていたタブレットのスピーカーから、間髪を淹れずに不満げな待ったが掛かる。
『あれあれ~? これってもしかして、ボクだけお留守番で置いてけぼりになるパティーンですかぁ? 流石にその扱いは冷た過ぎて泣いちゃいますよ! 横暴だー! 職権乱用だー! ボクもちゃんと最後まで付き合わせろー!』
「何を言ってるんだ。あの保管庫に張り巡らされた防犯システムは、全部お前が一からコードを組み上げた世界に一つだけのオーダーメイドだろう。定期メンテナンスも暗号キーのアップデートも、可能なのは世界広しと言えども開発者であるお前だけだ。置いて行く訳が無いじゃないか」
『ですよねー♪ 了解、ただちに保管庫への転送リクエストを承認しまーす!』
呆れたように呟きながらタブレット端末を小脇に抱えると、スピーカーの向こうから響く声が一瞬にして手のひらを返したように上機嫌なトーンへと変化した。
それを聞いて、頌栄達三人は「やっぱこいつ、フロントカメラを通してこっちの様子を観察して楽しんでるな」と確信を深めた。スリープモードになっている端末のカメラからどうやって映像を受信しているのかは分からないが、あの天才ハッカーならそれぐらい片手間でやってのけてしまえるだろう。
深く考えるだけ無駄だと思考を切り上げ、親子はリビングの片隅にある本棚の裏、巧妙に偽装された重厚な隠し扉を開けて、その奥にある超長距離対応型の
◇
民間防衛組織「連合軍」が保有・管理する「アイテム保管庫」は、外部からの盗難被害や侵略者による襲撃を防ぐため、詳細な住所や座標を始めとするあらゆる情報が徹底的に秘匿されている。
詳細を知っているのは、頌栄とその息子達を始めとする「連合軍」の中核メンバー二十二名と、そこに専属オペレーターである太郎を含めた合計二十三名のみ。国家の最高機密にも該当する情報のため、例え地球防衛軍の全軍総帥や、各国政府の防衛や軍事を所管する大臣であっても、「日本のどこかにそういう場所があるらしい」という噂程度の内容しか知らないほどだった。
また、この秘匿空間に足を踏み入れる為には、頌栄が自らの持つ具現化能力によって創り出した、特殊な空間歪曲型の転送装置を用いる以外に物理的な手段は存在しない。
仮に超常的な魔術や空間移動能力で不法に入り込んだとしても、今度は現代人類の科学力では考えられない領域にある超高度の量子防犯システムを相手にしなければならない。
それは、世界トップクラスのハッカー兼プログラマーである猫原太郎が、持ち前の狂気的な偏執ぶりを遺憾無く発揮して創り上げた最強のセーフティネットだった。
世界各国の政治的な思惑や軍事的な意思決定、あるいは暗躍する侵略者達の悪意によって、ウルトラマンや怪獣達の強大過ぎる力が兵器として不当に利用されないようにするための防衛機構。組織の設立当時に仲間内で夜を徹して相談し、幾度も議論を戦わせた上で採択した、地球と人類の平和を守る為に必要な自衛手段であった。
更に、そこに保管されている肝心の
万が一、正規の持ち主としてアイテムに登録されている者以外が、明確な奪取の意思を持ってそれらを保管場所から持ち出そうとした場合、内部に組み込まれている認証システムが持ち主の脳波と生体エネルギーの不一致を瞬時に検知。手に取って数秒ですべての機能が強制的に完全停止し、光の粒子となって跡形も無く自壊・消滅してしまうように設計されているのである。
ウルトラ怪獣やウルトラマンが持つ「力」の側面にばかり目を向け、純粋な地球防衛以外の目的で軍事利用・兵器転用を目論む者達の手には、例え天地が引っ繰り返ったとしても決して渡らない。製作者である松葉頌栄にのみ可能な、悪意に対する強力無比な対抗措置だった。
――そんな、圧倒的な秘匿性と、仲間達の弛まぬ努力によって厳重に守られている「アイテム保管庫」の玄関口。
そこは、磨き抜かれた金属の光沢にも似た輝きを放つ、半円状に広がった大理石の広間だった。
滑らかに湾曲した壁面に沿って、円柱状のガラス筒で覆われた八つの転送装置が、等間隔で静かに並んでいるという、近未来的な雰囲気を感じさせる極めて特殊な形状をしている。
これらの転送ポータルは、それぞれが連合軍に所属する中核メンバーの「各家庭にある隠し部屋」に設置された対となる装置と直結しており、緊急事態の際には、それぞれの家族が即座にこの空間へと自らの意思で集まれるようになっていた。
――ブゥーーン……。
静まり返っていた広間の一角、八つあるポータルの内の一つが、重厚な起動音と共に鈍いサファイアブルーの光を放ち始めた。
筒状の強化ガラス内部で、眩い光の粒子が高速で渦を巻き、やがて人間三人分の明確な輪郭を描き出していく。
空間に定着した光の輪郭は徐々にその密度と質量を増し、視界を白一色に染め上げる強烈なフラッシュと共に、最終的に衣服の繊維、髪の毛一本に至るまで完璧に実体化した頌栄、章大、瑠偉の三人の姿へと鮮やかに変貌を遂げた。
「ん~っ…………はぁ。何回も来てっけど、やっぱりなんか慣れないなぁ……。分子レベルでバラバラにされて組み直されたみたいで、まだ体のどっかがふわふわしてる気がするぜ」
ポータルの強化ガラス扉がプシューと静かに開き、真っ先に広間の大理石でできた冷たい床に降り立った章大が、弾んだ声を響かせながら大きく背伸びをした。
この二十年で異星人が持つ様々な科学技術を解析して取り込んだ事もあり、地球人類が持つ科学力は飛躍的な進歩を遂げた。しかし、流石に離れた二点間で物体や生命体を瞬時に転送・ワープさせるという、古典的SF小説のような超技術はまだまだ夢のまた夢の話であった。国際研究機関が一から理論を組み立てて基礎研究に着手した段階で、既に莫大な予算と歳月を費やしており、少なくとも頌栄達の世代が生きている間に実用化まで漕ぎ着けられる事は一〇〇%不可能だと断言されている。
「――その、現段階で人類が持つ科学力では絶対に実現不可能だと言われてるはずの『
「オレにもそこはさっぱり分からん。この能力と共に生きて来て四十年以上になるが、未だに脳のどの領域が使われてるのかすら不明な、謎だらけの能力なんだ。いつか、信頼出来る科学者にしっかり研究して貰って、すべての謎を解き明かしたいなとは思ってるがな」
頌栄と瑠偉もガラス扉を潜って広間に降り立ち、タブレット端末を抱えたまま保管庫の奥へと続く通路を歩きながら、そんな会話を交わしていた。
『一番の問題は、その謎を世界中の天才達が隅々まで全部調べ尽くすよりも、頌栄さんの寿命が尽きてぽっくり逝っちゃう方が遥かに早いかもってところですねぇ。ボクも最新の設備が整ったおっきな研究所で大々的に解析したいんですけど、こんな神がかり的な力が世間様にバレたら、速攻で世界中の軍事研究機関やら犯罪組織やらから四六時中狙われちゃう「超暗黒スーパーモテ期」ルート突入待ったなしですし、本当に悩ましいものです』
スピーカーから流れて来る太郎の至極真っ当な懸念に、頌栄は苦笑するしかない。
通路も広間と同じく、飾り気の無いシンプルな灰色の防壁と滑らかな大理石で出来た、清々しいほどに機能性を重視した造りだ。照明は対人・対物センサーによるオートで稼働しており、頌栄達が通路に足を踏み入れると同時に、まるで深淵の底へと案内するかの如く淳男悪のLEDの光が一糸乱れぬテンポで灯って行く。
壁面の死角には、景観に溶け込むようにして巧妙に偽装された超高解像度監視カメラが等間隔に設置され、こうしている今も保管庫内部のすべての映像を、リアルタイムで太郎の「趣味部屋」にあるメインモニターへ転送し続けていた。
その時、三人の難しい話を背中で聞いていたらしい章大が、あっけらかんとした陽気な声を通路に響かせた。
「あー、もう、なんでも良いだろそんな難しい事は! 『親父の能力は凄い』、『その能力のおかげで俺達は怪獣や宇宙人と戦えてる』、『俺達も地球のみんなもすっげぇお世話になってる』って、要はそれだけじゃん。それにさ、いつかは親父の能力を世界の仲間達に打ち明けなきゃならない時が来るかも知れないだろ? 学術的な研究とか考察とか、そういう複雑で面倒くさい事はそうなったあとでいくらでもやれるって! 親父も瑠偉も太郎さんも、みんな変に難しく考え過ぎなんだよ」
「キミは逆に、あらゆる物事に対して楽観的過ぎるんだよ、章大……。あともう少しだけで良いから、大人としての思慮深さや忍耐力を身に付けてくれないかな、本当に……」
そのあまりにも刹那的で軽率な物言いに、瑠偉は心底呆れたと言いたげな表情で深々と溜息を吐いた。
兄の章大は、今時珍しいくらいに正義感が強く、仲間想いの熱血漢であり、前線で体を張る戦士としても多大な功績を挙げている一流の実力者だ。だが、思考回路が直線的で、頭を使って裏を読んだり深く考えたりするのが苦手なのが玉に瑕である。決して頭の回転が悪い訳では無く、寧ろ戦闘中に見せる直感力や判断力、思考力の高さは間違いなく天才の部類だ。ただ単に、論理的なプロセスを踏んで熟考するのを面倒くさがって、ついつい過程を飛ばして答えだけを先に口にしてしまうため、傍目にはおバカに見えてしまうだけなのである。
タブレットのマイクでその掛け合いを聞いていた太郎は、『まぁ、章大くんのその陽気な脳筋っぷりが、時にボク達の暗い思考を救ってくれる事もあるんですけどねぇ……』と画面の向こうで苦笑いしている様子だし、頌栄もまた、どれほど厳重に守られた機密空間に居てもいつも通りを崩さない双子の息子の片割れを、父親としての温かな眼差しで見つめていた。
そんなこんなで、殺風景な防壁で囲まれた通路を歩く事しばし。
彼らの目的地である保管庫のメインエリアを隔てる、チタン合金製の特厚で巨大な防爆隔壁がようやく見えて来た。
頌栄は自身のスマートフォン内部に入っている暗号キーを連動させ、壁面に埋め込まれた電子操作パネルを露出させて二十二桁の暗証番号を素早く入力して行く。網膜スキャンと静脈パターン、二種類のバイオメトリクス認証による二重トリガーが静かに承認を告げ、ロック解除の重厚な電子音が鳴り響いた。
――プシューーッ、ガシィィン……。
熱さ数十センチにも及ぶスライドドアが左右へと滑らかに開き、親子の前に広大な「怪獣達の聖域」がその姿を現した。
頌栄は、扉の向こうから漂ってくる静寂の中にわずかな違和感を覚えながら、その先へと静かに一歩を踏み出した。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか。
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<作中にあるような転移装置ですが、
(=◎ω◎=)<古典的SF作品や特撮物には付き物ながら
(=◎ω◎=)<現実にはまず存在しないオーバーテクノロジーの筆頭でもあります。
(=◎ω◎=)<どうやって創ったんだろ、これ……。
(σ一□_□)<ねー。
(σ一□_□)<個人的にはこれ、人類史上トップクラスの難題だと思うよ。
(σ一□_□)<解明される時って来るのかな……。
(=◎ω◎=)<そこは作者にも分からんとです。
(=◎ω◎=)<それではまた次回、お会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ