ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<先日の更新時はどうも失礼致しました。
(=◎ω◎=)<予約投稿を設定していたのですが、
(=○ω○=)<間違えて同日・同時刻に二話分を一気に投稿する流れにしてました……
(=○ω○=)<やっぱり寝る前に予約投稿したのが不味かったのかな……
(=◎ω◎=)<兎にも角にも、ウルトラクロスロード第十二話、は~じま~るよ~!
(=◎ω◎=)<ゆっくりして行ってね!
『…………………以上が、この絶対の聖域たるアイテム保管庫の内部で起きた、前代未聞の盗難事件の一部始終です。はっきり言って想像を遥かに上回る強敵と言いますか、ボク達「連合軍」が総出で掛かったとしても、なかなかに骨が折れる大仕事になりそうですね』
「そうだな……ヤツがギンガスパークの『
頌栄の言う「実体化機能」とは、読み込んだ怪獣のSDと使用者を分子レベルで一体化させて変身するのではなく、ギンガスパークを媒介としてSDに宿る膨大なエネルギーを「実体のある怪獣」として外部に変換・召喚し、自らに忠実な兵士として使役する固有機能の事だ。
本来、オリジナルのギンガスパークにこのような召喚機能は存在しない。
だが、実際の防衛戦においては、毒素や精神攻撃といった何らかの理由によって、使用者が怪獣へのライブを行えない状況に陥る可能性は、設計段階から既に想定されていた。
そこで頌栄は、その対処法の一つとして、かつて「ウルトラマンメビウス」に登場した地球防衛組織GUYSの「マケット怪獣」を参考にする事を思い付いたのである。
必要な時にギンガスパークを通してSDを怪獣へと変換・召喚し、使役して戦う。そうする事で、例えライブが行えない状況下でも戦線を維持する事が可能となる。そんな設計コンセプトの基、頌栄は自身が創り出したすべてのギンガスパークに独自の追加機能の一つとして設定・付与を施した。
それがこの「実体化機能」なのだった。
召喚の持続制限時間は、大元のマケット怪獣が実体化を維持する為に必要なエネルギーの問題からわずか一分間しか無かったのに対し、こちらは空間に固定して実体化を維持するのに必要なエネルギーを頌栄の異能で逆算・最適化して設定されているため、最長で十分間にまで大幅に延長されていた。
その十分の間であれば、強大な力を持つウルトラ怪獣を自由にコントロールする事が出来る。例え実体化させた怪獣が倒されたとしても、元のSDに戻るだけで使用者に対する反動は欠片も無いと、時間制限にさえ目を瞑ればメリットだらけだ。それ故か、アイテムを配布した地球防衛軍の各基地や世界各国の民間防衛組織の中には、自らの肉体と精神を危険に晒す変身よりも、この実体化を用いた包囲・殲滅戦術を戦闘における
「実体化された怪獣達を戦闘で倒して、その場に転がったSDを一つずつ回収して行ったとしても、肝心のバロッサ星人本体は、その戦闘の隙を突いてまた別の次元宇宙に姿を暗ましていると考えるべきだね。もしかしたら、逃げ延びた先の次元宇宙で、また僕達の知らない強力な兵器を盗み出して使って来るかも知れない」
「あ~、もう! なんでこんなクソめんどくせえ手癖の悪いヤツに目ぇ付けられちまうんだよ! どーせ泥棒目的で来るなら、まだヒマラとかそっち系のヤツが来いよ! クッソぉ!!」
やれやれと言いたげに深く溜息を吐き出す瑠偉の隣で、章大が苛立ちを爆発させて大声で叫びながら、ガシガシと自らの髪を搔き毟った。
彼の不満や言いたい事はよく分かる。同じ「宇宙の泥棒」というカテゴリーであっても、まだ「ウルトラマンダイナ」に登場した「怪盗宇宙人 ヒマラ」の方が、その手口やキャラクター性にどこか奇妙な可愛げや親しみやすさがあった。こちらとしても、もし仮に犯人がヒマラだったなら、それこそルパン三世を追い掛ける銭形警部のような、好敵手に戦いを挑む小気味良い心境で捜索に臨めただろう。
だが、今回のバロッサ星人は盗む標的にこそ彼らなりのポリシーはあれど、実態は単なる強欲な略奪者に過ぎない。可愛げも何もあったものではなかった。
悔しそうに呻き声を上げながら床にしゃがみ込んでしまった章大の広い肩を、ポンポンと優しく叩いて父親らしく慰めてから、頌栄は再びタブレットのフロントカメラを見つめて声を掛けた。
「太郎。さっきの録画映像を見るに、バロッサ星人が仕掛けた防犯システムのクラッキングには、明確な
『ですねぇ。じゃないと、あれだけ完璧に侵入して来たヤツが、なんで最後になっていきなり目に見えて焦り出したのか、そこの説明が付きませんから。一個のSDを盗み出すのに大体二十秒から三十秒。不正に開放された電磁ケースの数から逆算して、三十個×三十秒で計九百秒。前後のシステム偽装のマージンも取ると、およそ「二十分間」がヤツのクラッキング技術の限界だったってところでしょうか。バロッサ星人のあの慌てぶりから考えるに、本当はもっと長い時間ボクの防犯システムを停止させておける算段だったと思われますが……予想外に認証コードの書き換えに時間を食っちゃったんじゃないですかね? ……ま、途中で暢気にSDを眺めて独り悦に浸る鑑賞会なんて始めちゃうからそうなるんですよぉ~、あっはははは! ざまぁ見晒せですぅ、このコソ泥野郎が!』
「それも勿論あるだろうが、お前の組んだセキュリティの防壁がヤツの想像を超えて高度で優秀だったのも、ヤツが焦った大きな理由の一つだろうな。確か、ハッキングによる不正アクセスを検知したら自動的に修復・復旧する独自のプログラミングを施してるって言ってただろ? システムに侵入されたのはこちらの痛手だが、ヤツの想定以上に早く限界が来たからこそ、盗まれたSDの数も『三十』という最小限の被害で済んだんだ。流石は人類最強のハッカー、猫原太郎だな。今回も本当に良い仕事をしてくれたよ」
『いやいや、それを言うなら頌栄さんがSDに組み込んだ安全装置のプロテクトが、頭オカシイくらいに強固だったおかげですよ。ああいう悪質なハックガジェットには、地球のシステム相手なら五秒以内という超爆速でサクサクと攻略出来ちゃうものだってザラにあるって聞きますからね。そういう常識外の代物を使ってもなお、無効化までにたっぷり二十秒もの時間を費やさせ、ヤツのタイムリミットを限界まで削り落とした。それはつまり、それだけ頌栄さんが手掛けたプログラムのガードが分厚かった事の証左です。流石は我らが連合軍の頼れる
「茶化すんじゃないよ、まったく……」
互いに互いのプロとしての手腕を惜しみなく褒め称え合い、いつもの軽い調子で笑い合った。
ほんの一瞬だけ、凍り付いていた隔離空間の中に温かな家族の和気あいあいとした空気が満ちる。だが、彼らはすぐさま、地球の平和を守る民間防衛組織の主力としての、冷徹な戦士の貌へと表情を切り替えて話を進めた。
「――直ちに別次元へと逃走したバロッサ星人の捜索、および追跡作戦に入る。太郎、すまないが他の『連合軍』の主力メンバー全員に対し、至急集まるよう緊急連絡を飛ばしてくれ。前線での任務や表の仕事の都合でどうしても物理的に来られない場合は、リモートでの暗号回線接続でも構わん。今回の一件、解決するにはどうしてもあいつら全員の、規格外の力が必要だ」
『
「ああ、それで良い。オレ達が全員揃って、膝を突き合わせて話し合えるような場所となると、あそこしか考えられないからな。――それから、もう一つ。バロッサ星人が強奪して行った三十個のSDとギンガスパークから幽かに発せられる『固有のエネルギー反応』を次元の壁を越えて探知し、ヤツが潜伏している次元世界の座標をリアルタイムで追跡できる、専用の広域索敵システムの開発と構築も並行して任せたい。……こっちは電脳世界の怪物であるお前にしか成し遂げられない大仕事だ。誰も手助け出来ないワンオペ確定のキツい作業になるが、頼めるか?」
『そこは「頼めるか」じゃなくて「やれ」で良いんですよ、頌栄さん。ご安心下さい。そうやって命令されるまでもなく。防犯カメラログの復元作業を行う傍ら、既にバックグラウンドでシステムの構築作業を進めています。過去にボクが開発した、電脳空間さえ繋がっていれば宇宙の隅々までターゲットを追い回せる超高性能マルチ追跡システムと、頌栄さんが創った各種変身アイテムの固有エネルギーを探知する索敵システムをベースにして、そこに過去二十年分のウルトラ怪獣やウルトラマンの膨大な戦闘記録やエネルギーデータを始めとする、必要になりそうな情報を片っ端から足し合わせて電子クッキング♪ 皆さんが円卓に揃い踏みする頃には実用可能な形にまで仕上げてみせますんで、期待して待っててくださいねぇ!』
「流石だな。相変わらず仕事が早いヤツだ。……よし、そのシステムが無事に完成し、この大事件が完全解決した暁には、司令官たるオレの権限でお前が抱えてる『連合軍』の仕事を一旦すべて休ませてやる。オレのポケットマネーから特別ボーナスも出すから、それを使ってお前が前から欲しがっていた最新のパーツを買うなり、電脳の海の底を何日でも泳ぎ回るなり、好きに過ごせ」
その言葉が頌栄の口から発せられた瞬間、タブレットの画面の向こうから伝わって来る太郎の空気の重さに劇的な変化があった。
『イィヤッッッホォォーーーーーーーーーーーーーーーウ!! 休みだ休みだ休みだァーーーーーーーーーー!! ひっさしぶりの纏まった有給休暇だァーーーーーーーーーー!! ボクちゃん、俄然やる気が天元突破で大噴火しちゃうもんねーーーーーーーーーー!! バロッサ星人だろーが恐怖の怪獣軍団だろーが知ったこっちゃねぇ! 次元の果て、地獄の果てまで追い詰めてハチの巣にしてやんよぉおおおおおおおおおおおおおおお!!』
物凄い勢いでテンションがブチ上がったハイトーンボイスで、太郎が狂喜乱舞の大絶叫を上げる。その次の瞬間、ガガガガガガガガガガガガガガガッ!!! と、今日一番の、まるでガトリングガンを乱射しまくっているかのような超爆速の打鍵音の大合唱が、スピーカーのコーンを震わせて保管庫内部に轟いた。
日頃の太郎の多大過ぎる功績に感謝を込めて、その並外れた仕事ぶりを労うつもりでちょっとしたハッパを掛けてみただけだったのだが、予想の遥か上を行くレベルで最高かつ最凶の効果を発揮してしまったらしい。
「…………まぁ、何はともあれ、あいつのモチベーションが爆上がりしたのは間違い無い訳だし、システムの構築に関しては太郎に全面的に任せておけば良いか」
頌栄は引き攣りそうになる頬を押さえ、自分を無理やり納得させるように小さく首を振ると、傍らに佇む双子の息子達へと真っ直ぐに向き直った。
「章大、瑠偉。聞いた通りだ。今から、バロッサ星人によるSD盗難事件に対する緊急対策会議を開く。相手は狡猾で計算高く、オレ達の技術すら上回ってみせた油断ならない宇宙の海賊だ。オレ達『連合軍』の総力戦になる。一秒たりとも気を抜くな。行くぞ!」
「「了解!!!」」
威厳に満ちた司令官としての顔でそう声を上げると、章大と瑠偉の二人は同時に背筋をピシッと伸ばし、一流の戦士としての目をギラリと光らせて力強く頷いた。
頌栄を先頭に三人は回れ右をして、人知れず事件現場となっていたメインエリアの巨大な防爆扉を潜り、アイテム保管庫の薄暗い通路の向こうへと決意の足音を響かせながら足早に歩いて行った。
プシュ―……と、重厚な音を立てて再び隔壁が閉じられ、広大なアイテム保管庫のメインエリアは再び静寂に包まれる。
その暗闇の中で、中身を失った三十のケースが放つ、エラーを告げる不気味な赤色のインジケーターランプの明滅だけが、まるでこれから始まる次元を超えた大追跡劇の前兆を告げるかのように、冷たく、ただ虚しく空間を照らし続けていた。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか。
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<今回のお話で、pixivの「合体版」第二話までが終わりました。
(=◎ω◎=)<次回から始まる「会議編」を経て
(=◎ω◎=)<いよいよ奪還作戦スタートです!
(=◎ω◎=)<果たしてどのような戦いが繰り広げられるのか
(=◎ω◎=)<乞うご期待!
(=◎ω◎=)<それではまた次回、お会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ