ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<バトルパート第二ラウンドその1
(=◎ω◎=)<は~じま~るよ~!!
(=◎ω◎=)<ゆっくりして行ってね!
「はぁあッ!!」
白昼の繁華街の大地を疾風の如く走りながら、メビウスは自身の両手を次々と鋭く振り抜いて指先から速度とキレに重きを置いた光線「ハンドスラッシュ」を放った。
光線は寸分の狂いもなくガーゴルゴンのヘビのような二本の触手へと命中し、爆発音と共に激しい火花を撒き散らす。
相手がわずかに怯んだその一瞬の隙を突き、走る速度と勢いを利用した無駄のない美しい側転で、メビウスは一気に懐へと距離を詰める。
そして、その勢いのまま、ガーゴルゴンの綺麗に括れた黄土色の腹部へ向けて、強靭な右足によるミドルキックを繰り出した。
ドゴンッ!!! という、骨の髄まで響くような鈍い衝撃音が繁華街に鳴り響いた。
メビウスの足の裏がガーゴルゴンの頑強な肉体に深々とめり込み、その凄まじい衝撃によって、内側に大きく歪曲した角が生えた頭部の位置がガクンと下がる。
そのチャンスを、地球を守る若き勇者は絶対に見逃しはしなかった。
メビウスは瞬時に右腕を伸ばしてガーゴルゴンの強固な頭部を強引に抱え込み、ヘッドロックの形で完全に固定。そうして自由を奪った状態で、今度は左手の拳と手刀のラッシュを、その無防備な脳天に向かって嵐の如く浴びせ始めた。
「KYUIKOAAAAA!!?」
「でりゃぁああっ!!」
灰色の絶望に染まりかけていた大通りに、ドガッ、バギッ、ゴスッという、ウルトラ戦士が放つ重厚な打撃音が何度も何度も痛快に鳴り響く。ガーゴルゴンは何とかしてその強烈なヘッドロックから脱出しようと、両腕の爪を狂ったように振り回して藻掻くが、エネルギーを満たされた巨人の剛腕を振り解く事はできない。
十分過ぎるほどの打撃を脳天へ叩き込んだところで、メビウスは頭部を抱え込む自らの右腕を支点にして、その美しい巨体を上空へと大きく跳ね上がらせた。そして、重力に従って戻ってきた際の勢いをそのままパワーに乗せ、ガーゴルゴンの巨体を大通りの路面へと向かって豪快に投げ飛ばす。
―――ズズゥゥゥンッ!!!
凄まじい地響きと共に、路肩に放置されていた乗用車や植えられていた街路樹を次々と踏み潰しながら、ガーゴルゴンの巨躯が何十メートルにも渡って路面を転がって行く。
脳天への猛打と豪快な投げ技によって平衡感覚を狂わされた石化魔獣は、触手の先端を激しく痙攣させながら、よたよたと締まりのない動作で立ち上がった。それを見たメビウスは油断なく構えを取り、敵からの反撃に警戒しつつ、再び猛然とガーゴルゴン目掛けて肉薄して行った。
ガーゴルゴンを相手に、エネルギーを回復したメビウスが戦いの流れを支配して優勢に立ち回っている一方。その反対側で繰り広げられているファイブキングにウルトライブした星都と複製版ボガールモンスの戦いは、序盤から見る者を圧倒する一方的なワンサイドゲームになりつつあった。
「COOOKISYAAAAA!!」
「GIGOGAGOOOOAAAA!!」
ボガールモンスがその凄まじい怪力を以て力任せに振り下ろしてくる漆黒の左手の爪を、星都は『奇獣 ガンQ』の巨大な目玉が備わった右腕でガッシリと受け止めた。
更に、間髪を入れずに襲いかかってきた右手の爪による追撃も、左腕を強固に覆う『宇宙海獣 レイキュバス』の分厚い頑強な甲殻で防ぎ、ダメージを一ミリも通させない。
二つの爪を受け止めたその刹那、星都はファイブキングの全身に宿る筋力を爆発させ、組み合っていたボガールモンスの両腕を一気に上へと弾き飛ばした。
そして、がら空きになった敵の懐に巨体を滑り込ませ、黒紫色に妖しく輝く闇のエネルギーを纏わせた右腕による渾身のボディブローを、その腹部へと深く叩き込んだ。
《おらァああっ!!》
―――ドゴォォォンッ!!!
ボガールモンスの柔軟で頑強な肉体にファイブキングの剛腕が突き刺さると同時に、ガンQの目玉全体を覆うように纏わされていた闇のエネルギーが一気に爆発。空間が真っ白に染め上がるほどの特大の火花が撒き散らされ、ボガールモンスの巨躯に大ダメージを与える。
「COOOKISYAAAAA!!?」
打撃と爆発、二重の衝撃に堪らず数歩後退したボガールモンスの、無防備に下がって来た頭部に向けて、今度は左腕に生えるレイキュバスの鋭利なハサミが正確無比な軌道で直撃した。空間を切り裂くようなハサミの鋭い斬撃が側頭部へと走り、ボガールモンスは高音の悲痛な悲鳴を上げながら、力なく弾き飛ばされてアスファルトの地面へと派手に倒れ込む。
しかし、星都の猛攻はまだまだ終わらない。
ボガールモンスが自分の体に付着したアスファルトの破片や砂埃を激しく振るい落としながら、どうにか執念で立ち上がろうとした、まさにその瞬間。
既にファイブキングの右腕が、容赦ない質量と勢いをもって目の前に迫って来ていた。
―――バギャァァァンッッ!!!
「COOOKISYAAAAA!!?」
下から脳天を撃ち抜くような強烈極まりないアッパーカットが、ボガールモンスの顎にクリーンヒット。
右拳に宿る闇のエネルギーの炸裂による爆発と共に、何万トンもある巨体を大空へ高く殴り飛ばしてみせた。そうして完全に無防備になったその胴体に向けて、星都はすかさず左腕のハサミによる超高速斬撃の連打を無慈悲に打ち込む。
―――ズバババッ!!!
三条の鮮烈な閃きが走り、生半可な打撃やビーム兵器など通用しないはずのボガールモンスの肉体に、痛々しい切り傷が幾重にも深々と刻み込まれていく。
《バカ正直に突っ込んでくるだけなら、ただのデカい
そして、トドメと言わんばかりに、ファイブキングの頭部の分厚い甲殻から真っ直ぐ前へ向かって突き出したメルバの嘴を思わせる角から、電流を帯びた炎のようなオレンジ色のレーザー「メルバニックレイ」を至近距離で迸らせる。
レーザーはボガールモンスの胸部へと真っ直ぐ正確に命中し、細胞を焼き切るほどの多大なダメージを与えて再びアスファルトの地面に激しく転倒させた。
「嘘だろ……!? あの、ミライとセリザワ隊長が全力で戦ってやっと倒したボガールモンスを、たった一体で圧倒してやがる……!」
「ちょっとアレ……いくら何でも強過ぎない……!?」
「
ガンウィンガーとガンブースターのシートに座るリュウ、ジョージ、マリナの三人は、それぞれのコックピットからその様子を眺め、口々に驚愕の声を漏らした。
「高次元捕食体 ボガールモンス」は、当時はまだ戦闘経験が乏しかったとはいえ、M78星雲「光の国」のウルトラ戦士であるメビウスですら苦戦するほどの強敵だった。最終決戦に臨んだ際も、当時は復讐の鎧を纏って「ハンターナイト・ツルギ」と名乗っていたウルトラマンヒカリと我らがメビウスの二人がタッグを組み、魂のコンビネーションプレーを以てしてようやく圧倒できた、この世界における一つの「絶望の象徴」のような怪獣である。
そのボガールモンスを、あの次元の裂け目から現れた謎の巨大怪獣は、たった一体で、それも何一つとして明確なダメージを負う事無く一方的に傷付け、蹂躙し続けているのだ。幾度となく過酷な宇宙人の侵略や怪獣災害の修羅場を潜り抜けて来たGUYSの精鋭であるリュウ達から見ても、にわかには信じがたい、あまりにも現実離れした光景であった。
しかし、その戦域の直下において、件の巨大怪獣は更に彼らの常識を遥かに超越した行動に出る。
《―――吸い尽くせ、ガンQの力!!》
多大なダメージを連続で受けた事によって地面でのたうち回り、悶え苦しむボガールモンスの上に、巨大怪獣が馬乗りになって完全にマウントポジションを奪い取った。
そして、ボガールモンスが暴れて逃げ出さないように、左腕の鋭利なハサミでその長い首元を地面へと押さえ付けたあと、右腕に備わったぎょろぎょろと不気味に瞬くあの巨大な眼球を、相手の腹部に直接押し当てたのである。
―――ジジ、ジジジジジジッ……!!
直後、怪獣の右腕全体が妖しいサファイアブルーの光を放ち始め、心臓が鼓動を刻むように淡く明滅を繰り返し始めた。
目に見える現象としてはそれだけであったが、フェニックス・ネストの作戦司令室で繁華街の戦闘をずっとモニターしていたテッペイには、今現在、その戦場で起きている「超常の奇跡」の詳細な内容が手に取るように理解できた。
「ま、まさか……こんな方法があるなんて……!?」
「ど、どうしたんだね、テッペイくん!? あの妙な怪獣は一体、何をやっとるんだ!?」
無意識に零れ落ちた戦慄の呟きを耳聡く聞き付け、トリヤマ補佐官が血相を変えてコンソールへと詰め寄る。
テッペイは手元の分析結果を司令室のメインモニターに映し出しながら、驚愕と、そして隠し切れない興奮に声を激しく震わせて捲し立てた。
「ボガールモンスの体内に限界まで蓄積され、臨界点を迎えかけていたあの膨大な生体エネルギーの数値が、どんどんと小さくなっていってます! それと反比例するかのように、あのガンQの目玉を持つ怪獣の体内から検知されるエネルギー反応の数値が、どんどんと大きく膨らみ始めました! おそらくですが、あの怪獣はガンQの目玉に備わった吸引能力をフル活用して、ボガールモンスが持つ生体エネルギーを直接吸収して、自らのエネルギーに変換しているものと思われます!!」
「な、何だとぉーーーっ!!?」
モニターのグラフと言葉の両方で提示された驚愕の内容に、トリヤマは目玉が飛び出さんばかりに瞠目して絶叫した。
先ほど、窮地に陥っていたメビウスに光エネルギーを分け与えて回復させたり、ヘビのような怪獣が放った破壊光線を右腕一本で根こそぎ吸収して無効化させたりしていた事から、新しく現れた巨大怪獣の右腕には、エネルギーを自在に吸収・放出する類の能力があるとは推測されていた。
だが、まさかあの、半径一〇〇キロメートルの範囲を一瞬で更地にしてしまうほどの莫大なエネルギーを内包した「動く火薬庫」に直接触れ、その生体エネルギーまでも吸い取って奪い去るなどという事までやってのけるとは、思いも寄らなかったのである。
「と、という事はつまり、このままあの怪獣が、ボガールモンスのエネルギーを全部吸い尽くしてくれれば……!」
「ボガールモンスを街の中で倒したとしても、あの時のような大爆発は起こらない、という事ですか!?」
「ええ、その通りです! このまま順調にあの怪獣によるエネルギーの吸収が進みさえすればですが、その可能性は極めて高いかと……!」
解説を聞いていたマルとコノミが身を乗り出すようにして尋ねると、テッペイは深く頷いて肯定してみせた。
先ほどまで生かしても地獄、倒しても地獄と絶望視されていたボガールモンスという生ける爆弾との戦いに、一筋の光明が差し込んだ事で、司令室内の雰囲気もにわかに明るい活気が満ち始める。サコミズも、モニターに映し出される異形の巨大怪獣へ向けて、確固たる信頼が籠り始めた視線を真っ直ぐに送っていた。
戦場でガーゴルゴンと激しい戦闘を繰り広げているメビウスもまた、戦いの中の僅かな合間にその様子を横目で捉え、胸の奥で妙な納得感を覚えていた。
(なるほど。あれが、彼の言っていた『打つ手』の正体か……!)
かつてテッペイが「動く火薬庫」と称したほどに危険なボガールモンスを、一体どうやって安全に倒すつもりなのだろうか。あまりにも自信がありそうな口ぶりで「任せろ」と断言されたため、あの時は彼の言葉を信じて背中を預ける事にしたのだが、それでもメビウスの脳裏には一抹の不安が拭えずにいたのだ。
しかし、実際に目の前で行われている「対策」の正体をはっきりと見せ付けられた事で、メビウスの心にへばり付いていた不安の霧も、今は綺麗さっぱり消え去っていた。
先ほど見せた光線吸収の特性をこれ以上ない形で応用し、怪獣の体内に蓄積されていた生体エネルギーを吸収して奪い取るその手腕。メビウスの脳内にテレパシーで語りかけてきたあの謎の男性は、戦士として、そして戦術家として極めて優れた力を持つ、最高峰の実力者なのだと確信できた。
(―――頑張ってください! 僕は、僕に託されたこの怪獣との戦いを、全力で全うしてみせます!)
心の中で最大限のエールを送り、ウルトラマンメビウスは再び目の前の石化魔獣との戦いへと、すべての意識を研ぎ澄ませて集中したのだった。
そして、ある意味でこの戦いにおける最も重要な作戦を実行している星都はと言うと―――。
「COOOKISYAAAAAAAAAAAッ!!!」
《あー、もう! 往生際悪く暴れ散らかしやがって! 何をどう足掻こうが、もう一歩も逃げられないんだからさぁ! 観念して大人しくしとけよ!》
マウントポジションの下で狂ったように藻掻いて大暴れを続けるボガールモンスの巨体を、ファイブキングの圧倒的なパワーを以て力づくで地面に縫い付け、右腕に宿るガンQの能力をフル回転させて生体エネルギーの奪取を継続していた。
首を掴んで捕まえているレイキュバスのハサミだけではその狂暴な暴れっぷりを抑え込むには足りず、ファイブキングの巨大な足で片腕をへし折るように踏み付け、さらに太くて長い尻尾を蛇のように何重にも相手の下半身に巻き付けて、どうにかその動きを封じ込めている状態だ。
それでもなお、封じられていない方の腕を滅茶苦茶に振り回してファイブキングの装甲や皮膚をガリガリと切り付けて来たり、全身の筋肉に力を込めて馬乗りになっているファイブキングの巨体を跳ね除けようと試みたりと、ボガールモンスの抵抗ぶりは秒単位で激しさを増すばかりであった。
《ヤメロ…………ヤメロォ…………!》
そんな、意地と意地がぶつかり合う激しい攻防の最中、 星都の脳にどこからともなく女性の声でテレパシーが直接響いてきた。
中年の、どこか粘着質で不気味な雰囲気を秘めた、酷く歪んだ女性の声。星都はその耳障りな声の主の正体に心当たりがあった。
今現在、自分が地面に力ずくで組み伏せてエネルギーを奪い続けているボガールモンス。その進化前であるボガールが隠密活動をする際に擬態する人間の女性、いわゆる「ボガールヒューマン」の声だ。
《ヤメロ………ヤメロ…………! ソレハワタシノ、ワタシノモノダ……! ワタシノ
進化して強くなった事で隠れ潜む必要も無くなったのか、ボガールモンスに成ってからは擬態しなくなってしまったが、今でもその片鱗はしっかり残されていたようだ。
惑星アーブや地球の怪獣達など、様々な物を食って体内に蓄え続けて来た莫大なエネルギーを、片っ端から奪い取られる事に嫌悪感と怒りを露わにするボガールモンス。
それに対し、星都は明確に鼻で笑ってから叩き付けるようにテレパシーを投げ返した。
《ハッ! 言うに事を欠いて『奪うな』だと? 笑わせるな。お前は今まで、他の命を『餌』としか見てなかった。誰かの大切な命を散々奪って、貪り食って来たんだろうが! 他人の命は平気で奪うくせに、いざ自分の番になったら止めてくれとか、虫が良過ぎるにもほどがあるぜ! そういうのをな、この
それは、頌栄たち親世代から受け継ぎ、そして歴代ウルトラマンの勇気と希望の背中が育て上げた、悪を決して許さない人間の「激情」の咆哮であった。
魂が燃え上がるように熱く迸る星都の義憤に呼応するように、ファイブキングの右腕に宿るガンQの目玉が一際強い輝きを放った。キィィィーーン、という空間を切り裂くような高音の唸りを轟かせ、ボガールモンスの生体エネルギーを根こそぎ吸い尽くさんと躍動する。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか。
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<いや~、星都くん強いですね!
(=◎ω◎=)<あのボガールモンスを圧倒してますよ
(=◎ω◎=)<ファイブキングの多彩な能力+豊富な戦闘経験+知識=この結果です
(=◎ω◎=)<食い散らかすしか能の無い宇宙怪獣に勝ち目なんてねぇんだよ!
(=◎ω◎=)<あと、作中でファイブキングが相手から直接エネルギーを吸収してますが
(=◎ω◎=)<元々のファイブキングにこんな能力はありませんでした
(=◎ω◎=)<「相手の光線を吸収できるんならこういう事もできんじゃね?」
(=◎ω◎=)<そう思って試してみた結果、見事に成功してスキルが新しく生えました
(=◎ω◎=)<何事もやってみるものですね!
(=◎ω◎=)<それではまた次回、お会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ