ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<バトルパートその2も,今回で遂にファイナルでーす!
(=◎ω◎=)<今回も引き続き、星都くん無双
(=◎ω◎=)<フツーならまずやらないような事をやってのけています
(=◎ω◎=)<涼しい顔してやる事がぶっとんでますので、読んで頂く際は注意をお願いします
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
《返セ……! 返セ……ッ!! ワタシノ、ワタシノ
肉体的には限界が間近まで迫っているはずだというのに、ボガールモンスのテレパシーを通じて伝わる怨念と赫怒の気配は、衰えるどころか益々その醜い濃度を増している様子だ。かつては、「ボガールヒューマン」と呼ばれる人間の女性の姿に化けて、この地球の命を食い荒らしていた狡猾な暴食の魔物が、追い詰められた者に特有の焦燥感と危機感を剥き出しにしている。
その迸る激情に身を任せて、ボガールモンスは首筋から突き出した一本の巨大な角の発光器官から、黄色に近いオレンジ色の不気味な輝きを放つ「光の触手」を二本、同時に出現させた。
触手は主の焦燥に駆られた意思に従って、目にも留まらぬスピードで大気を切り裂いて伸び、あっという間にファイブキングの両手の付け根―――人間で言うところの手首にあたる部位に、蛇の如く巻き付いてガッチリと固定する。そして、怪獣達の限界を無視して設計された模造品だからこそだろう、ボロボロになったその肉体のどこに残っていたのか分からないほど凄まじい怪力を発揮し、自らの主たるボガールモンスの元へファイブキングの巨体を強引に引っ張り込もうとし始めた。
上空を飛ぶGUYSの面々には、当然ながら怪獣同士の間で交わされているテレパシーの応酬は聞こえていない。だが、あの未知の巨獣とボガールモンスが激しい力比べの「綱引き」を演じている光景と、ボガールモンスの背中でモゾモゾと怪しい動きを見せ始めた巨大な捕食口の様子から、あの食欲の魔物がこの期に及んで何をしようとしているのかは容易に察せられた。
「あいつ……! あの謎の怪獣を丸ごと食って、奪われたエネルギーを直接取り戻すつもりだ!!」
フェニックス・ネストの作戦司令室で、映像と解析データからその恐ろしい結論を導き出したテッペイが、血相を変えて叫んだ。右腕のガンQの能力によってエネルギーの大半を吸い取られ、度重なる猛攻によって身の危険を感じる段階まで体力を削り取られたボガールモンスが、自らの「回復」と「目の前の邪魔者の排除」という一挙両得を狙った最悪の一手を仕掛けて来たのだ。
メビウスも、かつてボガールモンスと対峙した際、その悍ましい捕食口に包み込まれて危うく生きたまま食われかけた経験がある。その時のトラウマが脳裏を過り、戦闘の最中にも関わらず一瞬で顔色を変えた。
しかし、そんな尋常ではない驚愕とパニックを見せる周囲の反応とは裏腹に、ファイブキングにウルトライブしている星都は、微塵も焦ってなどいなかった。
《へぇ。俺と
不敵な笑みと共にテレパシーで宣言し、星都はファイブキングの全身の細胞へと行き渡らせていたパワーを、両腕と両足へ瞬時に一点集中させた。ファイブキングの強靭な皮膚の下に潜む鋼の如き強靭な筋組織が重低音の唸りを上げて躍動し、ボゴンッ!! という、空気を殴りつけるような音を立てて、腕と足の筋肉の質量が一回り大きくパンプアップする。
その瞬間、ボガールモンスの本能が強烈に警鐘を鳴らしたらしく、両腕に巻き付いていたオレンジ色の触手が急いでホールドを解除し、離れようとした。
しかし、その判断はもう既に遅きに失していた。
星都はファイブキングの左腕に備わるレイキュバスの巨大なハサミを用いて、逃げようとした光の触手をがっちりと掴む。そして、断ち切ってしまわないよう絶妙な力加減で握り締め、そのまま全身のパワーを乗せて全力で上方へと引っ張ったのだ。
緊迫した均衡は一瞬。ウルトラ怪獣同士による全力の綱引きに、無残にも敗れ去ったのはボガールモンスの方だった。
「COOOKISYAAAAA―――ッ!?」
六万トンを超える不気味な巨体が軽々と宙に舞い上がったかと思うと、星都がファイブキングの肉体で発揮する超常の剛力に抗う術も無く、そのまま大空へと向かって強引に投げ出される。そして、まるで力の強い子どもによって乱暴に振り回される無力なソフビ玩具の如く、ボガールモンスの巨体が空中でぐるんぐるん、ぶんぶんと、目にも留まらぬ速度で残像を残しながら、何度も何度も大きく振り回され始めた。
右側の触手こそかろうじて自力で回収できたものの、左側の触手はレイキュバスのハサミによってしっかり掴まれているため、逃れようと藻掻いたところで絶対に離脱する事はできない。そのため、ただファイブキングが産み出す凄まじい遠心力の嵐に全身を縛り付けられて、ロクな抵抗一つ起こせない状態へと追い込まれていた。
何とかして反撃を試みようにも、空中に放り出された上にこれだけ距離が開いている現状では、肉体による打撃が届く見込みは無い。唯一放てる中・遠距離の光線攻撃も、ファイブキングの右手が完全フリーな状態であるため、撃った瞬間にすべて平らげられて意味が無い事はボガールモンスも嫌というほど思い知らされている。
結局のところ、哀れな食欲の化身に残された選択肢は、ただファイブキングのパワーの前に大人しく、無様に振り回され続ける以外に無いのだった。
一方、そんな前代未聞の大道芸を繰り広げている張本人の星都は、ファイブキングの頑強な両足でしっかりと大地を踏み締め、六万トンを超えるボガールモンスの体重と、高速で物体が回転する際に発生する凄まじい遠心力の両方の負荷を、その左腕一本だけで見事に支え切っていた。
実際のところ、この行為は気を抜いた瞬間にファイブキングの巨体がバランスを崩して繁華街へ転倒するか、最悪の場合は左腕が肩の関節から千切れ飛んでしまう危険性を孕んでいる。一歩間違えば大惨事の、予断を許さない文字通りの修羅場であった。
長年の防衛戦で限界まで鍛え上げられた、星都の強靭な肉体と精神力、そしてファイブキングが持つ高いステータスが揃っていなければ、このような大立ち回りは到底成し得なかっただろう。
しかし、当の星都はその苦労をおくびにも出そうとはしなかった。民間防衛組織『連合軍』の中核メンバーの一人としての細やかなプライド。共闘するメビウスやGUYSの面々に余計な不安を一切抱かせないための、星都なりの細やかな気遣いというものであった。
『あっはははははははは!! ひー! ひー! おなかっ! お腹が痛いですぅっ!! 星都くんそれ、最高にバカで面白いですよぅ!! あっはははははははは!!』
インカムの向こうで、爆笑し過ぎて過呼吸気味になっている太郎については、完全無視を決め込んだ。
誰もが言葉を失って絶句する中、頃合いを見計らって星都は大音声のテレパシーを戦場に響かせる。
《メビウゥース!! ちょっとそこ退いてろォ! ボサッとしてると怪我するぞォ!!》
「えっ……!? あ、りょ、了解です!」
たったそれだけの警告で、彼が次の一手に何を仕掛けるつもりなのかを瞬時に察したメビウスは、対峙していたガーゴルゴンの腹部へ強烈なストレートの一撃を叩き込んで大きく怯ませると、前転回避の要領で急いでその場から緊急離脱した。
《おおおおおおるるるりゃあああああああああッッッ!!!》
直後、星都は腹の底から轟く大咆哮と共に、ファイブキングの左腕を怯んで動けないガーゴルゴン目掛け、空気の分子が捩じ切れるほどの圧倒的な怪力で振り下ろす。
左腕のハサミに掴まれたボガールモンスの光の触手が強烈にしなり、その先端に繋がれた六万トンを超す巨躯が、慣性の法則に従って凄まじい位置エネルギーを伴いながら超高速で落下して来る。
その様はまるで、中世ヨーロッパの戦場で盾を持つ歩兵や重装甲の騎士などを相手に使用されていた、鎖の先に鉄球を繋いだ打撃兵器「
―――ドガァァァァァァァンッッ!!!
「COOOKISYAAAAAAAAッ!!?」
「KYUIKOAAAAAAAAAッ!!?」
メビウスの猛打によって怯まされ、隙だらけになっていたガーゴルゴンの脳天ド真ん中に、上空から超高速で降って来たボガールモンスの巨体が寸分の狂いもなく見事に直撃し、二体の怪獣はもつれ合うようにして纏めて地面に激しく叩き付けられた。
凄まじい衝撃によって繁華街のアスファルトが粉々に割り砕かれ、視界を覆い尽くすほどの大量の砂埃と爆煙が舞い上がる。局所的な地震が瞬時に発生し、少し離れた場所にいたメビウスの足元を揺らす。
目の前で繰り広げられた、あまりにも前代未聞すぎる光景に、メビウスは言葉を失ってただただ目を丸くした。そこへ、用済みとなった触手をハサミで無慈悲に切断して拘束を解いた星都が、悠然とした足取りで歩み寄り、その巨大な威容を堂々と並び立たせる。
「…………と、とんでもない事をする人ですね、貴方は……」
《そうか? こいつらは元々、色んな世界で色んな大事なもんを壊して方々から山ほど怨みを買ってる外道なんだぜ? これくらいやって当然だろ》
言外に「いくら何でも、ちょっとやり過ぎでは……?」という戸惑いの意思が籠ったメビウスの問い掛けに対し、星都は間髪を入れずにそんな冷徹な答えを返した。
ガーゴルゴンがどのように悪辣な事をして来たのかは分からないが、ボガールモンスがかつてこの世界でどれほど残酷な捕食活動を繰り返し、無辜の命を奪ってきたのかは、メビウス自身も身を以てよく知っている。
あの心優しいウルトラマンヒカリが激しい憎悪と復讐の狂気に囚われ、周囲の被害すら顧みずに「刺し違えてでも殺す」と誓うほどの存在なのだ。惑星アーブや地球以外にも、ボガールモンスの食欲の犠牲になった星は宇宙にいくつもあるのだろう。
だが、いくら情状酌量の余地が1ミクロンたりとも存在しない、怪獣墓場がお似合いの悪党であるとはいえ、目の前で嬲り者も同然の無残な目に遭っている姿を見せられて、心から「痛快だ」というような気分にはどうしてもなれないというのが、メビウスの正直な感想だった。
相手がどうしようも無い悪党だからと言って、こちらが何をしても良い訳では無い。ただ敵を倒すだけがウルトラ戦士では無いのだと、尊敬する教官であるウルトラマンタロウからそう学んでいたからである。
(自分のこの価値観を、命を救ってくれた彼に押し付けるつもりは無いけれど……。でも、せめて自分だけは、どんな激しい戦いの中であっても決してやり過ぎるような真似だけはしないようにしよう)
メビウスは心の奥底で、そっと自分自身の戦いに対する姿勢を強く魂に刻み直すのだった。
「COOOKISYAAAAAAAA―――ッ!!」
「KYUIKOAAAAAAAAA―――ッ!!」
その時、底知れない執念を見せて度重なるダメージから立ち直った二体の宇宙怪獣が、震える体に鞭を打って、一斉にエネルギーの充填を始めた。
ボガールモンスは首筋から伸びる角の発光体と黄色い双眸に、ガーゴルゴンは口腔内にある巨大な単眼に、それぞれ高濃度の悍ましいエネルギーを集中させて行く。
どうやら、破壊光線の一斉掃射と石化光線の全力照射で勝負を決めるつもりのようだ。
メビウスがいつでも反射できるように身構え、星都はファイブキングの右腕を構えて一歩前に出る。だが、最後の最後まで彼らの力だけに頼り切るつもりの無い、誇り高き地球人達がそこにいた。
『―――全機、メビウス達を援護だ! 敵に光線を撃たせるなッ!!』
「「「G.I.G!!」」」
無線機から響いたサコミズの鋭い指示を受け、リュウ達のガンウィンガーとマリナのガンブースターが、ジェットエンジンを轟かせて高高度からハイスピードで飛来。左右の死角から突撃し、それぞれの翼に備わったビーム兵器を起動させて、必殺光線の発射準備に入っていた二体の宇宙怪獣を強襲した。
「COOOKISYAAAAAAAA!!?」
ガンブースターの「ガトリングデトネイター」による正確無比な斉射の直撃を頭に浴びて、今まさにエネルギーをチャージさせている途中だったボガールモンスは、強制的にそれを中断させられて戸惑いと憤慨の声を上げる。戦っているのはお前達だけではないのだと言外に示す、GUYSの信念と誇りが乗った最高の援護であった。
しかし、ボガールモンスのチャージ中だったエネルギーは雲散霧消してしまったが、ガーゴルゴンはそうはならなかった。
「KYUIKOAAAAAAAAA!!」
持ち前の高い身体スペックと強靭な皮膚や甲殻でガンウィンガーの「ウイングレットブラスター」を強引に弾き返すと、限界まで開かれた口腔内の巨大な単眼から、メビウス目掛けて「石化光線」を撃ち放ったのである。
―――ギュビイイイイイイイィィィィィィィッ!!!
繁華街の大空を灰色に染め上げながら迫る絶望の石化の呪い。しかし、若き勇者はすでに迎撃態勢を整えていた。
反射的に庇おうとしたファイブキングを静かに制し、瞬時にメビウスブレス内部に溜め込まれているエネルギーを放出して両手で広げるように展開させる。
ありとあらゆる物体を石に変えてしまう石化光線の直撃を浴びているにも関わらず、メビウスディフェンサークルはその力強い輝きをもってそれを完全に防いでいる。そして、「攻撃の種類によってはそのまま反射させる事が可能である」という性質に則り、見事に石化光線を跳ね返してそのままガーゴルゴンに命中させた。
「KYUIKOAAAAA―――ッ!?」
自らが放った呪いの閃光を逆に直撃で浴びる羽目になったガーゴルゴンが、驚愕と苦悶の悲鳴を上げる。直後、光線の直撃を浴びた頭部から順に、バキバキと音を立てて無機質な灰色へと変貌して行った。
まるで浸食性の猛毒による影響を受けているかのように、石化する範囲はどんどんと広がりを見せ、ものの十数秒で全身が物言わぬ冷たい石へと様変わりしてしまう。
石化して完全な置き物と化したガーゴルゴンと、エネルギーを吸い尽くされて「火薬庫」ではなくなったボガールモンス。繁華街を蹂躙していた二体の宇宙怪獣は、もはや断罪を待つだけのか弱い子羊に成り下がっていた。
互いに視線を絡めて頷き合い、メビウスと星都はこの戦いに決着を付けるべく最後の攻撃に打って出る。
メビウスは自身の左腕にあるメビウスブレスにそっと右手を翳し、その球体部分である「クリスタルサークル」を激しく回転させる。そして、内部のブレスコアに蓄積されている膨大な光エネルギーを限界まで解放させながら、その両手を大きく水平に開いた。
指先で眩い黄金色の光の軌跡を残しながら綺麗な弧を描き、頭上で両手をピタリと静止。そこから一気に左腕を水平に、右腕を垂直に交差させて構える、ウルトラ戦士にとって伝統的な「十字のポーズ」を取り、黄金に輝く必殺の超高熱線を発射する。
これこそは、ウルトラマンメビウス最大にして最強の必殺技、「メビュームシュート」。
他方、星都もまた、ファイブキングの全身を包み込む淡い青色のエネルギーオーラを頭部、両腕、腹部の各部位に全集中させた。ゴルザ、メルバ、レイキュバス、ガンQ、超コッヴ―――合体元となったすべての怪獣達の、それぞれの部位に備わった目が一斉に強烈な光を放ち、ファイブキングが内包する圧倒的な破壊エネルギーが一気に凝縮・充填されて行く。
やがて、臨界点を突破したその瞬間を見計らい、星都はすべてのエネルギーを破壊光線へと変換して文字通り体全体から斉射した。
ゴルザとメルバの「ゴルメルバキャノン」、レイキュバスの「冷凍光線」、ガンQの「ガンQビーム」、そして超コッヴの「フラッシュコッヴショット」。これら各部位が備える光線技を融合させて同時に撃ち出す、ファイブキング最大最強の大技。その名も「カタストロフィスパーク」だ。
今回は、先ほどボガールモンスの体内から吸収して奪い取った莫大な生体エネルギーもすべて纏めて上乗せしているため、元の映像作品は言うに及ばず、これまでに星都がファイブキングにウルトライブして使ってきたどの戦歴と比べても、破壊力が桁違いに跳ね上がっている。
一連の戦闘で体力を削り取られ続けてもはや自壊寸前であったボガールモンスと、自らの光線を浴びて石化していたガーゴルゴンに、メビウスと星都の合体必殺光線を耐え抜く余裕も術も残されてはいなかった。
―――ズドォォォォォォォォォォォンッッッ!!!!!
物体を原子から消し飛ばすような極大の光流の濁流を全身に浴び、二体の宇宙怪獣は最後の断末魔すら上げる事無くその場で大爆発を起こした。
かつてテッペイが深刻な表情で断言し、最終決戦の舞台となった島を丸ごと消し飛ばした、あの半径一〇〇キロにも及ぶ超巨大な爆発は起きず、代わりに凄まじい量の黒煙と火柱が戦場に天高く噴き上がる。
眩い勝利の閃光が、不夜城の街並みを美しく、どこまでも輝かしく照らし出したのだった。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<完・全・決・着!
(=◎ω◎=)<メビウスを挟み撃ちして来た際は割と絶望感があったと思いますが
(=◎ω◎=)<蓋を開けてみれば一方的な展開、いわゆる「ワンサイドゲーム」になりました
(=◎ω◎=)<勿論、ワンサイドを仕掛けてたのはメビウスと星都くんなんですけど
(=◎ω◎=)<疑問や質問、あるいは誤字脱字などがありましたら、感想にてどうぞ!
(=◎ω◎=)<それではまた次回、お会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ