ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<今回は第三話
(=◎ω◎=)<都心に出現したコッヴとの戦いになります。
(=◎ω◎=)<内容を一言で言いますと、
(=◎ω◎=)<「ウルトラ怪獣を現代兵器で相手したらこうなるよね」
(=◎ω◎=)<という感じです。
(=◎ω◎=)<具体的な内容は本編をどうぞ!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね♪
――バシュッ、バシュッ!
イーグルの両翼から放たれた空対空赤外線ミサイルが、白煙の尾を引いて都心の大空に鮮烈な飛行機雲の軌跡を描き出す。
コンピューター制御によって精密に誘導された「飛翔する槍」は、ロックオンした標的に向かって超高速で突っ込み、狙い過たずコッヴの胸部へと命中。その巨躯を激しい爆炎と黒煙で包み込んだ。
しかし――。
「GISYAAAAAAAA!!」
吹き荒れる煙の向こうから現れたコッヴの体表面には、目に見えるような明確な傷は一つも付いていなかった。
金色と黒の頑丈な外殻、そして強靭な皮膚は現代兵器の熱量と衝撃を完全に遮断しており、巨獣はまるで何事も無かったかのように進撃を続けている。
――ダダダダダダダダッ!!
急速旋回したイーグルの二十ミリ機関砲が火を噴き、無数の弾丸がコッヴの頭部を捉える。だが、結果は同じだった。
命中した弾丸は不快な火花を散らし、キン、キンと甲高い金属音を立てて虚しく弾き飛ばされる。音速を遥かに置き去りにした超高速の運動エネルギーが、巨獣の強靭な皮膚と筋肉によって完全に相殺されていた。
コッヴを足止めするどころか、飛び回る羽虫の羽音ほどにも意に介されていない。
頌栄の胸中にあった最悪の予感は、今、この上ない絶望の現実となって的中してしまっていた。
『う~ん、分かっていた事とはいえ、思いっ切り打撃力不足ですねぇ……ダメージがまったくのゼロって訳では無いと思いますが、想像以上に効果が薄いです。タイプ相性不利でダメージ四分の一以下でも、もう少し体力削れてるよってレベルで効いてません』
「相手はポケットの中のモンスターじゃなくて宇宙怪獣だからな! てか、その例えはどうなんだよ! 絶妙に分かりやすいのが逆に腹立つんだが!」
額に青筋を浮かべ、先程とは全く違ったベクトルで怒りながら、スマートフォンに向かって怒鳴り付ける。
焦土と化しつつある街の中、こんな時でさえ不遜な軽口を崩さないあたり、この男――猫原太郎の狂気も大概と言うべきだろう。
その時、自分の周囲を執拗に飛び回る金属の羽音を煩わしく思ったのか、コッヴがその黄色い瞳をイーグルへと向け、角から鋭く破壊光弾を発射した。
『各機、急速旋回! 躱せッ!!』
間一髪だった。
必殺のエネルギーが放たれる寸前、その前兆を通信回線の向こうで察知した太郎が、有無を言わさない口調でイーグルパイロットの耳元へ、命令を直接叩き込んだ。それによって、二機のイーグルの極限の回避行動が間に合う。
アフターバーナーの駆動音が唸りを上げ、大空を舞うように鮮やかなターンを決めた機体の鼻先を、コッヴの破壊光弾が掠めて行った。
「お前、あのイーグルの無線通信も乗っ取ってんのか……!」
『万一の事態に備えて割り込んでただけです。………ふぅ、間に合って本当に良かった』
太郎の心底ホッとした声に、頌栄も小さく息を吐く。
ウルトラマンシリーズの映像作品において、地球防衛軍の航空機は怪獣の強さを表すための演出として、パイロット諸共撃墜されるのが常だ。脱出が間に合わなければ、そのまま機体と運命を共にする事になる。
しかし、それが許されるのはあくまでもフィクションの中だけの話だ。
現実の命はそう簡単に投げ捨てて良いものではない。人命救助と戦力保持、両方の観点から見ても、太郎の超法規的なハッキングによる回避命令は最善の判断と言えた。
だが、この場における最大の問題はそこではない。
「…………太郎、後続のイーグルのスクランブルはどうなってる?」
『ハッパ掛けといた甲斐がありましたねぇ。続々とパイロットが選ばれて、待機中の機体に乗り込んで発進して行ってます。早ければ、あと五分以内には三機目、四機目のイーグルがそちらに到着するでしょう。ただ……』
そこで一呼吸置き、太郎はすべてを見透かしたような口調で言った。
『貴方が聞きたいのは、そんな絵に描いたような模範解答じゃない。そうでしょう、頌栄さん?』
そう断言され、頌栄は「バレてたか」と言いたげに鼻を鳴らした。
頌栄が本当に求めていたのは、数字上の現着するまでに掛かる時間ではない。後続のイーグルを含めた通常兵器の総力で、あのコッヴを無力化出来るか否か。そしてその答えは、二人の脳内で既に残酷な事実として弾き出されていた。
「………流石だな。よく分かってるじゃないか」
『何年貴方達と一緒にいると思ってるんです? その程度の思考トレースも出来ないようじゃ、専属オペレーター失格じゃないですかやだー』
「ははは、違いない。…………で、だ。真面目な話、お前はどう思う?」
『率直に申し上げて、無理ですね。日本国内にあるすべての基地から動けるイーグルを全部搔き集めて、搭載されたミサイルを一極集中で全弾ブッパすればワンチャンあるかもですが、そんなのは物理的に不可能です。まず、乗り込むパイロットの数が足りません』
「同感だな。東京周辺にある空自の基地に限定した場合、あとから来る機体を合わせても、戦線に加われるイーグルの数は二十にも満たないだろう。必死こいてチマチマ削ろうとしても、倒す前に都心一帯が更地になるか、コッヴが飽きて元の住処に帰っちまう方が早い」
『「敵は追い返しましたが、首都は全滅しました」じゃ笑い話にもなりませんからねぇ。このまま継戦しても完全敗北のバッドエンドまっしぐらは確定。……どうします? 潔く諦めて逃げますか?』
やれるだけの事はやった、誰も責めやしない――そんな太郎の、底知れない狂気と合理主義の裏側に潜む「優しさ」が透けて聞こえ、頌栄の唇に微かな笑みが零れる。
視線の先では、今も爆炎と濃煙を撒き散らしながら、オフィス街を文字通り蹂躙し続けるコッヴの姿があった。
舞い上がる砂埃。吹き荒れる突風。死の熱を含んだ空気が頌栄の頬を撫でる。
一歩を踏み出すごとに、現実を地獄絵図へと変貌させていく「金色の死神」を前にして、松葉頌栄は静かに覚悟を決めた。
「………いや、ありがたい提案だが、オレは逃げない。『アレ』を使う」
『「アレ」…………って、まさか!?』
ガタリ、と、スピーカーの向こうで太郎が椅子を蹴立てて勢い良く立ち上がる音が響く。
『本気ですか!? 確かにシミュレーション上は問題なく機能する事が証明されましたけど、実戦投入なんてまだ一度も……! それに、「アレ」は元々、頌栄さんがご自分の「異能力」を使って遊び半分で創り出しただけの、ただの玩具だったはずじゃ……!?』
「実験じゃ上手く行った。あとは、ここで腹を括れるかどうかだ。このまま
頌栄の言葉には、一片の迷いも、わずかな葛藤すらも存在しなかった。
大切な者達の明るい未来を守るためなら、自分の身を危険に晒す事も厭わない。その絶対的な決意を魂で受け止めた太郎は、諦めたように、しかしどこか誇らしげに長い溜息を吐き出した。
『……分かりました。ならもう、ボクからは何も言う事はありません。周辺の一般市民の避難はすべて完了。警察官も全員退避しました。今その戦場に残っているのは、頌栄さんただ一人だけです。ボクも電脳空間の奥底から最大限にサポートします。――存分に、やっちゃってください!』
「了解。恩に着るよ、太郎」
その言葉を最後に、スマートフォンの通話は静かに切断された。
頌栄は端末をそっとズボンのポケットへ滑り込ませ、代わりに上着の懐から、一本の重厚なオブジェクトを取り出す。
それは、大理石のように白い持ち手の上部に、美しい真鍮の装飾と翼を閉じたようなU字型の結晶体が取り付けられた、特殊な形状のアイテムだった。
「『この世界を、僕が守る』……そうだよな、ダイゴ」
手に馴染むその輝きを握り締めながら、頌栄は静かに独白し、キッと顔を上げた。
脳裏に過った彼は、テレビの向こうにしかいないフィクションの存在。けれどあの日、画面の中で傷だらけになりながらも、最後まで人間の持つ光を信じて戦い抜いた一人の「
すぐ目の前まで迫っていた「金色の死神」の巨大な質量を真っ向から睨み付け、松葉頌栄は、手にした星の奇跡――「スパークレンス」を天高く掲げる。
「ティガーーーーーーーーーッ!!」
(=◎ω◎=)<いかがでしたでしょうか?
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂いて、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<頌栄がティガに変身する際に言っていたセリフですが
(=◎ω◎=)<こちら、ウルトラマンシリーズの映画の一つからの引用になっております。
(=◎ω◎=)<タイトルは『大決戦!超ウルトラ8兄弟』
(=◎ω◎=)<興味がある人は観てみてね!(ダイマ)
(=◎ω◎=)<その他、質問や誤字脱字などありましたら、感想にてお願いします。
(=◎ω◎=)それではまた次回、お会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ