ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<今回は戦闘終了後の各陣営の様子を覗いてみます
(=◎ω◎=)<無事に勝利できて喜ぶ者
(=◎ω◎=)<実験を邪魔されて悔しがる者
(=◎ω◎=)<戦い終えてすぐに雑談に興じる者
(=◎ω◎=)<三者三様、見事に異なる反応を見せている様子
(=◎ω◎=)<具体的な内容は本編にて!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
光の同時攻撃による劇的な決着の瞬間、フェニックス・ネストの作戦司令室内は、一斉に弾けるような大歓声で満たされた。
「「「ぃやったああああああああああああ!!!!」」」
コンソールの前でトリヤマ、マル、そしてテッペイの三人が、まるで少年時代に戻ったかのように大興奮で歓声を上げて互いの肩を激しく叩き合い、コノミも大粒の涙をその目に滲ませながら、嬉しさのあまり何度も何度もその場で小さく体を飛び跳ねさせていた。
そんな仲間達の微笑ましい様子を隊長席から眺めつつ、メインモニターを静かに見上げていたサコミズは、世界の破滅にも繋がりかねなかった未曽有の緊急事態を、現場の絆と謎の増援によって無事に切り抜けられた事に、深く、深く安堵の息を吐き出した。
「本当にお疲れ様でした、サコミズ隊長」
司令室の重厚なスライド自動扉が静かに開き、上層階から直接足を運んできたCREW GUYS JAPAN総監代行のミサキ・ユキが、サコミズの肩にそっと手を置きながら、凛とした美しい声を掛けた。
彼女の洗練された美貌には温かな労いの笑みが満ち満ちており、サコミズを始めとするGUYSクルーのみんなの大健闘と勝利を心から労い、そして誇らしく称えている事がありありと見て取れる。
そんな彼女の心遣いが手に取るように分かる佇まいに、サコミズは精悍な顔に穏やかな笑みを浮かべ、言葉の代わりに一つ深く頷く事で謝意を示したのだった。
繁華街の上空で旋回飛行を続けるリュウ、ジョージ、マリナの三人もまた、それぞれの戦闘機のコックピットから決着の瞬間を見届け、それぞれのやり方で大激闘の勝利を噛み締めて喜んでいた。
ガーゴルゴンの驚異的すぎる超高速再生能力や、いつ大爆発を起こすか分からないボガールモンスの再出現という最悪の異常事態に対し、一時は本気で絶望や不安の寒気を覚えながら操縦桿を握り締めていただけに、こうして無事に切り抜けられた事への嬉しさも一入であった。
一方、未だ無傷で聳え立つ商業ビルの屋上からその一部始終を目の当たりにしたリヤンゴンは、欺瞞用電磁シールドの内側で、顔を真っ赤にして悔しそうに何度も何度も地団太を踏んでいた。
「くっそおおおおおおお!! なんだよなんだよ、何なんだよぉ!! あの途中からしゃしゃって来た怪獣はぁあ!! 俺様が苦労して創ったボガールモンスをあんなに一方的に痛めつけるとか、強過ぎにもほどがあるだろぉお!! 怪獣の生体エネルギーを直接吸い取って自分の力に変えるとか頭オカシイし、オマケにあの若造ウルトラマンにエネルギーを分け与えて完全回復までさせるしさぁ! せっかく俺様の華麗な『実験』が最高に上手く行ってたってのに、何で良いところであんな化け物が出て来るんだよ! てか、あいつマジでどっから湧いて来やがったんだ!? ぜってぇ何かの間違いだろ!!」
半透明の電磁シールドの裏側で、外骨格に覆われた細い頭を何度もガシガシと掻き毟り、ファイブキングに向けた激しい怒りと恨みを爆発させて叫び倒すリヤンゴン。
今回の戦闘は「連合軍」の手元から盗み出したオリジナルのSDと、自らの科学技術で創り上げた
ガーゴルゴンのSDは、あらかじめリミッターをハッキングで完全解除して限界まで力を出せるようにした上で、ウルトラマンベリアルの因子データをほんの少しだけダウンロードして生物の常識を遥かに超える超速再生能力を獲得させるという強化を施している。
ボガールモンスに至っては、アーカイブ・ドキュメントのデータファイルに残されていたあの太平洋の最終決戦、すなわち何時自爆してもおかしくない臨界域まで生体エネルギーを溜め込んだ状態を一〇〇%完璧に再現し、そこに能力を後付けして戦力を増強させていたのだ。
この世界の地球を守っていると言うもう一人の
そのはずなのに、あの空間に開いたワームホールを通って途中から乱入してきた合体怪獣が、何から何まで綺麗さっぱり全部ぶち壊していった。
あの
何故あの絶妙なタイミングで、これ以上ないほど都合良くあんな怪物が割って入って来たのか、リヤンゴンの優れた頭脳をもってしても皆目見当も付かない。
ただ、何度も修羅場を潜り抜けて来た歴戦の盗賊としての勘と見地から分かる事があるとすれば、あの怪獣がまるで熟練の格闘家か何かのように無駄のない洗練された体捌きを見せていた事と、ガーゴルゴンはメビウスに任せて自分は真っ直ぐボガールモンスを倒しに行くなどの戦術的に優れた視野を持っていた事、そして、明らかに人間の防衛隊やウルトラマンを気遣う素振りを見せていた事くらいだ。
それはまるで、あの巨大怪獣の体内に熟練の戦士が直接入り込んで、内側から完璧に力を制御して意のままに操っていたかのような……。
「―――ま、まさか……、あいつ……っ!?」
そこまで思考を巡らせたところで、リヤンゴンはハッとその動きを止めた。「怪獣に変身して戦う熟練の戦士達の集まり」。丁度、そんなとんでもない集団には心当たりがあった。
つい最近、そいつら管理している巨大な保管庫の中に忍び込んで、三十個の「極上のお宝」を強奪してきたばかりである。
「『あいつら』の仲間か!? あの『連合軍』とか言う人間の組織が、次元を越えて俺様のいる場所をもう嗅ぎ付けて来たってのかよ!? あり得ねぇ……! いくら怪獣やウルトラマンに変身できるチートアイテムをいくつも持ってるっつったって、元を正せばただの人間だろ……!? そんな奴らが、次元の壁で区切られた多次元宇宙を自由に行き来できるはずがねぇ! そもそもどうやって俺様の居場所を探し出したんだよ、あっちの地球のテクノロジーじゃ絶対に不可能なはずだろ!」
脳裏を過ったその最悪の可能性を否定したくて、リヤンゴンはウサギの耳のような突起物が付いた頭を抱え込む。しかし、現場の状況を踏まえて考えれば考えるほど、目の前にいるあの大怪獣の正体は、「連合軍」から送り込まれて来た刺客であるとしか思えなくなっていた。
侵入した先の「アイテム保管庫」に張り巡らされていたセキュリティシステムは、データから精巧な偽造SDを自作できるほどの宇宙科学技術を持つリヤンゴンをして、内心で「ザコい人間のくせになかなかやるじゃん」と感心せざるを得ないほど高度な代物だった。
盗み出した
あれほど高度なセキュリティシステムを自力で組み上げられるプログラマーと、SDを始めとする超常の変身アイテムをすべてゼロから創り出し、管理している正真正銘の化け物が手を組んでいる組織なのだ。奴らならば、次元の壁を飛び越えてこの世界に刺客を差し向けてくる事くらい、十分にやってのけるだろう。
「……チッ、とにかく今は、あのクソヤベー怪獣の事は後回しだ! この世界で手に入れておきてぇ『お宝』はまだ残ってる。まずはそっちを優先しねぇと……! 『計画で行き詰まって迷った時は、一番手近でやりやすい問題から冷静に手を付けろ』ってとーちゃんも言ってたしな。こうしちゃ居らんねぇ……とっととズラかるか!」
ファイブキングという最悪の追っ手については一先ず頭の片隅に追いやり、リヤンゴンは腰に付けていた収納袋の中から、一着の古びた不気味なマントを素早く取り出した。
宇宙怪獣の一種で、自らの肉体を透明にできる特殊能力を持つ「忍者怪獣 サータン」の体毛を密に編み込んで作られた「サータンのマント」である。
全身の細胞分子がすべて電荷を帯びない中性子によって構成されているため、自由自在に透明になれる上にコンクリートの壁や地面なども難なくすり抜けられる、サータンが持つ超常的な特殊能力。このマントはその能力をそっくりそのまま引き継いでおり、これを羽織るだけでサータンと同じ能力を獲得できるという優れ物なのだ。
『ウルトラマンZ』に登場したあの初代バロッサ星人も愛用していた事で知られている、宇宙の盗賊にとっては喉から手が出るほど欲しい、まさに「隠密・略奪の神器」と呼ぶに相応しい最高級のアイテムであった。
このマントの能力があったからこそ、リヤンゴンは誰にも察知されることなく連合軍のアイテム保管庫やフェニックス・ネストのサーバールームに忍び込み、欲しいお宝を物色して盗む事ができたのである。
ただし、一見便利そうなこの「サータンのマント」にも欠点はあり、透明化している間も自らが発する音や気配までは隠せない他、マントの布地で完全に覆い隠せていない部分は能力の適応範囲外となって外部から丸見えになってしまう。
強風に激しく煽られたり前線でバタバタと大きな動きを取ったりすると透明化の意味が無くなってしまうため、使いどころを見極める必要がある玄人向けのアイテムでもあった。
そのため、リヤンゴンは隠密行動時にはこのマントを着用し、ビルの屋上といった風通しの良い場所に出る必要がある場合は欺瞞用電磁シールドを使うという風に、現場の状況に応じて二つの装備をスマートに使い分けるようにしていたのだった。
リヤンゴンはさっそく屋上の通用口まで退避してから「サータンのマント」を取り出して着込み、屋上一帯に展開していた欺瞞シールドを解除する。そして、ネオンの光が届かない、白昼の繁華街の薄暗い路地裏へ滑り込むようにして、その姿を煙のように綺麗に消し去ったのだった。
大宇宙の闇を縦横無尽に渡り歩く強欲な宇宙海賊の暗躍は、まだまだ始まったばかりである。
そして、激しい煤煙が燻り続ける繁華街の戦場では、星都がファイブキングの凶暴な貌の深奥で、要塞内に詰めている太郎と密かに交信をしていた。
(太郎さん。聞こえるか。リヤンゴンのヤツ、間違いなくこの『メビウスの世界』のどこかに潜伏してるんだよな? ヤツが盗み出したSDの微弱なエネルギーをシステムで手繰って、詳しい潜伏先とかを特定する事はできないのか?)
『あ〜、残念ながら、現状のスペックじゃちょぉ〜っと無理ですねぇ……。出発前にも言いました通り、ボクの創った「ワールド・エンド・ハウンド」はまだまだ生まれたばかりでハイハイもできない赤ちゃんも同然です。ヤツがどの次元世界へ逃亡したのかという『横の次元特定』はできても、逃亡先の世界のどこでコソコソと『かくれんぼ』しているのかという『縦の空間座標の割り出し』までは、まだ色々と足りないデータが多くて調べ上げる事ができないんですよ。つまり、システム的にはアップデート待ちの「
(そうぼやくな。システムアップデートの真っ最中なんだ、そこは仕方ないだろ。それに、さっき俺が戦闘に介入した事で、『
『ん~……頌栄さんも会議の席で言ってた通り、こいつはなかなかに骨の折れる長丁場の仕事になりそうですねぇ……。まいっちんぐ! 取り合えず、星都くんが今回の作戦行動でファイブキングの能力をフル活用して集めてくれた各種データを基にして、こっちで色々と大規模なアップデートを重ねてみます。新しく試してみたい機能のアイデアもいくつか頭の中にニョキニョキニョッキと湧いて来ましたから、これからボクの「ワールド・エンド・ハウンド」はどんどんと驚異的なスピードで成長して、すぅ〜ぐよちよち赤ちゃんからダンディな大人に成ってくれるでしょう♪ 星都くんは一先ず、その場に転がってるはずのガーゴルゴンのSDを忘れずにしっかり回収しつつ、そちらの世界での地道な捜索を続けてくださいな』
(了解。何はともあれ、この世界に到着して早々、リヤンゴンの野郎から盗まれたSDの現物を一つ取り返せるんだ。一番槍の初陣としては、十分に幸先が良い成果なんじゃないか)
『わーお、最高にポジティブー! さっすがは我が連合軍が誇る二世軍団の若きリーダー、現場での状況の切り替えとメンタルのタフさが天元突破しまくって遥か彼方ファーラウェイですよぉ! 今なら天竺まで徒歩で行けちゃうんじゃないですかね?』
(ふざけんな、俺は三蔵法師じゃない。……まぁ、変にいつまでもくよくよしてたって、何かが変わる訳でも無し。意味の無い事に費やす時間の方が勿体ないってもんさ。『ジーッとしてても、ドーにもならねぇ』だ)
『おやおやぁ〜? それってもしや、ウルトラマンジードこと濱〇龍〇くんのセリフですかぁ〜? メビウスの目の前で、そのまま「ジードライザー」を不敵に構えて、「
(そこはキャラクター名の『朝倉リク』って言えよ。何で主役を演じた俳優の方の本名をピンポイントで持ち出してくんだよ、メタ過ぎんぞ)
『あっはははは! ボクの密かな悪戯、す〜ぐ星都くんにバレちゃったみたいですねぇ〜♪』
(バレるに決まってるだろ、このぶっ飛び天才ハッカーが。どうせこういうやり取りになる事も全部見越した上で、投げ返す言葉の球を選んでるくせにさ。まったく、どこまでも食えない人だぜ、アンタは)
こちらの意図や言いたいことの本質を瞬時に汲み取ってくれるのは良いが、それに対して打ち返してくる言葉の内容はやっぱりどこかおかしい。そんな、アイランド・フォートレスにいる最高のオペレーターとのやり取りは、過酷な戦場の真ん中にありながらもどこか楽しいものであった。
そんな自分を自覚しつつ、星都はフッと息を吐いて、太郎との次元間通信の回線を一旦終了させる。
そして、二体の宇宙怪獣の完全撃破をその目で確認し、繁華街の真ん中でようやく一息吐いた光の巨人に向けて、軽く親愛のテレパシーを投げ掛けた。
《メビウス》
「えっ……?」
巨人がその若くも精悍な顔をこちらへ振り向けたのを見届け、星都はレイキュバスの頭部とハサミが備わったファイブキングの左腕を、戦闘の意思が一切無い事を示すように力を抜いてゆっくりと掲げてみせた。
それが、過酷な戦いを共に乗り越えた戦友への、何よりの親愛の意思表示である事を瞬時に察したらしく、メビウスもまた、その美しいシルバーの左手を同じようにゆっくり掲げて応えてくれる。
良くも悪くも物分かりが良過ぎる、光の国から遥々やってきたルーキーのその愛おしい純粋さに、巨獣の深奥で星都はフッと小さく笑みを溢すと、レイキュバスの頭部の顎に当たる部分とメビウスの大きな掌を、空中で軽く打ち合わせる「ハイタッチ」を交わしたのだった。
―――パァァァン……ッ!!!
小気味良い確かな音が、戦場の空気を心地よく震わせる。
それは、怪獣同士が醜く殺し合うための破壊の轟音などではなく、人間動詞の絆の力によってこの東京の繁華街に再び平穏な日常が戻ってきた事を告げる、最高の
《お疲れさん。まだまだ新人だって聞いちゃいたが、最高に熱くて格好良い、見事な戦いぶりだったぜ》
「ありがとうございます! 貴方のアドバイスがなければ、僕は今頃どうなっていたか……! 本当に、おかげで助かりました!」
《どういたしまして。……さァて、無事に戦いも終わった事だし、あとで人の姿に戻ってから、ゆっくり自己紹介でもさせてくれ》
「はい! 分かりました! 貴方とちゃんと会ってお話しできるのを楽しみに待ってます!」
短いながらも、互いの健闘を称え合う温かいやり取りを交わしたあと、ウルトラマンメビウスはその巨体を大空へと翻し、甲高い飛行音を繁華街に響かせながら、空の彼方へと優美に飛び去って行った。
星都は、大空へ消えていくその輝ける希望の光をどこまでも真っ直ぐ、眩しそうに見送ってから、役目を終えたギンガスパークのトリガーをもう一度押す。
――『ウルトライブ、キャンセル』
重厚な電子音声と共に、ファイブキングのウルトライブが静かに解除された。
質量を伴う実体化を維持していた巨獣の威容が、まるで解けるようにして無数のサファイアブルーに輝く
そうして、何事もなかったかのように一人の人間の姿へと戻った星都は、つい先ほどまでガーゴルゴンが立っていた地面に転がっているであろうSDを回収するべく、颯爽とした足取りで繁華街の中を走り出したのだった。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか。
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<今回のお話で、pixiv版の第五話までが終了しました
(=◎ω◎=)<このお話を投稿している段階では、まだpixiv版は投稿していません
(=◎ω◎=)<明日の午前中に投稿しますので、読みたい方はもう少しお待ちください
(=◎ω◎=)<にしてもあれですね
(=◎ω◎=)<太郎が会話に加わって来ると、途端に会話文の文字数が増えますな
(=◎ω◎=)<それもこれも、あいつを喋らせるのが楽しいからですわ
(=◎ω◎=)<私、あーゆーキャラを動かすのが結構好きだったりするのか……?
(=◎ω◎=)<意外な事実が発覚です
(=◎ω◎=)<それではまた次回、お会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ