ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<星都くんとGUYSの交流回パート2
(=◎ω◎=)<いよいよ「フェニックス・ネスト」に到着です!
(=◎ω◎=)<どんな風に仲を深めていくのか
(=◎ω◎=)<乞うご期待です!
(=◎ω◎=)<熱心な特撮ファンである星都くんの反応にもご注目!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
CREW GUYS JAPANの活動拠点である基地は、関東地方の都市郊外に位置する、地球防衛の最重要拠点の一つだ。
地上部の可変式要塞基地「フェニックス・ネスト」と、それに接続されている地下部分の二つから成り、メインとなる作戦司令室や、基地内のコンピューターを一括管理しているサーバーエリアなどは地上部。ガンフェニックスを始めとする主力戦闘機や各種メカを格納しておく巨大格納庫と、熟練のメカニック達が機体の整備を行うための整備エリア、そして基地全体の動力をすべて賄う巨大な動力部は地下と明確に区分けされ、上下合わせて防衛基地に必要となる様々な機能を担っている。
当然ながら部外者の立ち入りは厳重に禁止されており、上層部直々の許可が下りなければ誰であろうと一歩たりとも中に入る事はできない。
そんなGUYS日本支部が誇る巨大要塞の通路を、ミライに連れられる形で星都は歩いていた。首元にはCREW GUYS JAPANが発行する「特別立入許可証」が下げられており、彼が文字通り特例としてフェニックス・ネストに招待されている事を示している。
(うわ、マジだ……! マジで今、フェニックス・ネストの中を歩いてる……ッ! これだけでもう、特撮ファンとしてはとんでもないご褒美じゃん! 頌栄さん、太郎さん、俺を『一番槍』に指名してくれてありがとう!! 今ここで死んでも悔いは無いぜ!! 写真……は流石にダメか。帰ったらあいつらに土産話を山ほどしてやらないと……!)
表面上は落ち着いた大人の男を装っているが、心の中では只今絶賛狂喜乱舞中である。気を抜くと一瞬で間の抜けたにやけ面に変わってしまうため、気合いと根性だけで表情筋を引き締めていた。
本音を言えば、今すぐにでも基地内のすべてを見て回りたいし、この幸運を全身で表現したい。あわよくば写真を撮って、元の世界で待っている『二世軍団』の仲間達にこの興奮と感動を共有したいところだ。しかし、あくまでもここは第一級の軍事基地であるため、勝手気ままに振る舞う事は許されない。何より、ミライの判断を信じて見ず知らずの不審人物である自分を招いてくれたGUYS上層部の厚意と信頼を裏切るような真似は、星都のプライドが許さなかった。
特撮ファンとしての荒ぶるミーハー心と、民間防衛組織『連合軍』に属する「二世軍団」の若きリーダーとしての責任感。二つの感情の間で激しく揺れ動きながら、星都はギリギリのところで理性を保っていたのだった。
「星都さん、こっちです。もうすぐ着きますよ」
「ああ、ありがとな、ミライ。それにしても広いな。流石はCREW GUYS JAPANが誇る要塞拠点だ」
「僕もGUYSに入ったばかりの頃はよく道に迷ってました。その度にリュウさんやサコミズ隊長が探しに来てくれて、お小言も沢山貰いましたよ」
「そりゃ、これだけ広けりゃ迷子になってもおかしくないよな。慣れるまで随分と苦労しただろ……。他の仲間達も大半は元一般人のはずだけど、そっちはどうだったんだ?」
「ジョージさんとマリナさん、テッペイさんは割とすぐに慣れてましたね。皆さん、記憶力が良いみたいで、あんまり迷子になったって話は聞きませんでした。あ、でも、コノミさんとトリヤマ補佐官は、その……」
「ミライと同じく、割かし迷子になってた、と……」
通路を右往左往して涙目になっているコノミと、疲れ果ててぶつくさ文句を言っているトリヤマの姿が脳内に鮮明に浮かび上がり、星都は苦笑いを浮かべた。というか、保育士出身で荒事とは無縁だったコノミはともかく、仮にもGUYS日本支部の幹部の一人であるはずのトリヤマまで迷子になっていたとは驚きである。(何やってんだ、あのトリピーは……)と、心の中で盛大に呆れてしまう星都だった。
そんな他愛無い会話を交わしつつ歩を進めていると、やがて重厚な自動スライドドアが見えてきた。フェニックス・ネスト本体のヘッドブリッジ最上階に位置するGUYS日本支部の頭脳、作戦司令室・ディレクションルームの出入口だ。
ミライが率先してスライドドアを潜り、指令室へ入って行く。その様子を見て、星都も腹を括って一歩を踏み出した。
中に入った星都を待ち受けていたのは、特撮ファンなら大興奮間違い無しの光景だった。正面の壁一面を覆う巨大なメインモニター、収集された様々なデータを解析するコンソール、一段高い位置から全体を見渡せるように設計された隊長席、室内の一角に設けられた休憩用の談話スペース。
そして、ミライを除くGUYSの主要な顔ぶれから一斉に注がれる冷たい視線。
「ミライ、そいつがさっき言ってた『怪獣に変身して助けてくれた人』か?」
本物の作戦司令室の光景に内心で感激しまくりな星都を鋭く見据え、リュウがミライにそう問い掛けた。彼の言葉には隠し切れない猜疑心があり、星都の事を完全に警戒している様子が見て取れる。
星都があの戦場に乱入してきた巨大怪獣――ファイブキングの「中身」であり、自由に怪獣へ変身できる力がある事は、ミライの通信機を通じて事前に伝えてあった。いきなり現れて混乱させるよりはマシだという判断だったが、あまりにも現実離れした内容だった所為か、リュウの反応は案の定だった。
「はい、そうです。さっきの戦いでも色々とアドバイスをしてくれて、とても助かりました」
「悪ィが、俺達はすぐには信用できねぇな。ミライを騙して何事か企んでる可能性がある以上、手放しで受け入れる訳にはいかねぇ」
「そもそも、人間が怪獣に変身するなど本当にあり得るのかね!? 地球人の姿をして油断させているだけで、中身は悪質な宇宙人の侵略者だと考えた方が自然ではないか!」
リュウの言葉尻に被せるようにして、トリヤマが星都をビシッと指差しながら声を荒らげた。隣に立つ秘書のマルも怯えたように何度も頷いており、他の面々からも好意的な様子は欠片も感じられない。
『あ~ららこらら、敵認定一歩手前ですねぇ~。何か一つでも対応を間違うと、すぐにフェニックス・ネストから叩き出されそうですよ。この人達、余裕無いなァ~』
(仕方ないだろ。彼らからすれば俺は見ず知らずの他人なんだ。ミライの純粋過ぎる性格はここにいるみんなも熟知してるはずだし、いきなり歓迎されたらそっちの方が怖いぜ)
右耳のインカムから極小音声で流れてくる太郎の茶化すような言葉に心の中で突っ込みを入れていると、それまで静かに状況を見つめていたサコミズが前に出て来た。
「リュウやトリヤマ補佐官の言う通り、我々もミライからの報告だけではキミを信用する訳にはいかないんだ。キミも理解していると思うが、人間が怪獣に変身するというのは本来ならまずあり得ない。我々を納得させたいのなら、まずはそうするに足るだけの何か……例えば、キミが怪獣に変身するところを実際に見せたりとか、そう言った明確な証拠が必要だと思う」
「そんな……!」
彼の冷徹な言葉に愕然とするミライだったが、星都からすれば今の発言にショックを受ける要素はどこにも無かった。昨日今日会ったばかりの、見ず知らずの人間を無条件に信用するわけにはいかない。CREW GUYS JAPANの実働部隊を束ねる隊長として、部下たちの安全を守る為に下した当然の判断だ。
それに、星都はサコミズが実は隊長ではなく「CREW GUYS JAPANの総監である」という裏事情を知っている。だからこそ、今の発言に別の意図が隠されている事にも既に気付いていた。
(『現場の隊長』という建前上、強引に俺を庇って下手にトリヤマ達を刺激するわけにはいかない。だから、俺に自分の力で彼らを納得させるチャンスを与えた……ってか? 見た目は穏やかで優しそうなのに、中身は意外と食えない狸だな、この人は)
星都が持つ「特別立入許可証」の発行に総監としての裏の権限を使っている以上、サコミズ自身はミライの話を信じてくれている。だからこそ、サコミズは言葉ではなく実力でリュウたちの信頼を勝ち取ってみせろと、星都に自然な流れで助け舟を出してくれているのだ。
星都としても、元から言葉だけで信じて貰えるなどとは思っていなかった。早々にギンガスパークとSDの力を彼らに明かし、その上で話を進めるべきだと腹を決めていたのである。
言葉だけで十分だと思うようなお花畑思考では、多次元宇宙を股に掛ける宇宙海賊の陰謀に立ち向かう事など到底できない。広い戦術的視野を持ち、現実的で最善の一手を選ぶ判断力を磨かなければ、あの「個性の闇鍋」も同然の連中を纏め上げる将は務まらないのだ。
ミライの肩をそっと叩いて安心させるように微笑んで見せてから、星都はサコミズの目を真っ直ぐ見つめ返して頷いた。
「分かりました。元々そのつもりでしたし、良いタイミングですから皆さんの前で実演しましょう。ただし、その前に私からも一つ、皆さんにお願いがあります」
「何かな?」
訝しがるリュウ達とは裏腹に、サコミズはどこかその言葉を予期していたように穏やかな表情で首を傾げる。そんな彼の様子に星都は内心で(やっぱり狸だな、この人……)と苦笑しつつ、続きを口にした。
「私がこれから皆さんにお見せするものは、紛れもない真実です。ですが、皆さんに最初から最後まで疑われたまま見られてしまっては、何をお見せしても嘘になってしまいます。ですから皆さんも、信じる努力をして頂きたい」
淀み無く紡がれたその言葉に、司令室内にいた全員が目を丸くした。穏やかで、しかし揺るぎない絶対の自信が漲る言葉。それは見栄でもハッタリでも無く、彼にとっての事実を告げているのだという事がよく分かるものだった。
星都の気迫に圧されて二の句が継げずにいるリュウ達に代わり、サコミズが頷いて応じる。
「分かった。善処しよう。キミはキミの思うがままにやってくれ」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げて謝意を示した星都は、心配そうに見つめてくるミライにもう一度穏やかに笑いかけてから、ジャケットの内ポケットに忍ばせているギンガスパークへと手を伸ばす。
その時、不意にコンソールの前に腰掛けていたコノミの膝の上に蛍火色の光の粒子が集まり、ポンッ、という可愛らしい音を立てて一体の小さな生物へと変貌した。
「キュイィ~~~ッ!」
約四十センチほどの、二頭身くらいしかないデフォルメ体型。白っぽい黄色に黒い模様のある体色で、両目の代わりに先端が二股に分かれた角が一対生えた、二足歩行の小型怪獣だ。
以前に行われたマケット怪獣の実験中、偶発的に実体化した事で誕生して以来、CREW GUYS JAPANのマスコット的な存在となっている「リムエレキング」である。
GUYSのメンバー、特にコノミによく懐いており、彼女を始めとする隊員達からは「リム」の愛称で親しまれていた。
「リム? どうしたの?」
「キュイッ! キュイッ!」
突然の登場に小首を傾げるコノミの腕の中で、リムはふにふにと小さな両手を動かしながら鳴き声を上げると、フッとすぐに光の粒子へと戻った。
かと思えば、今度は少し離れた星都の腕の中で再び実体化する。
「キュイー!」
(うぉ……!? 本物のリムエレキングが俺の腕に……!? ヤバッ、可愛い……ッ! ぬいぐるみみたいだ……!)
フェニックス・ネストに来てから感激しっぱなしの星都だが、ここでもその興奮はおくびにも出さず、努めて冷静にリムへ声を掛ける。
「可愛いな……撫でても良いかい?」
「キュイ!」
こくこくと嬉しそうに頷いてくれたため、星都はそっとリムの頭に手を乗せてゆっくりと撫でた。エナメルバッグの質感に近い、独特のすべすべした手触りが何とも可愛らしい。
「キュイィ~~~~♪」
「なんだかリム、すっごく気持ち良さそう……!」
どことなく蕩けた声を上げてされるがままになっているリムの様子を見て、コノミは微笑ましそうに目尻を下げた。
争いを好まない大人しい性格で、身に危険が及びそうになると電撃を放って逃げるリムが、今日初めて会うはずの星都に自ら擦り寄って気持ち良さそうにしている。人間と比べて優れた野生の本能を持っている怪獣が、あんな風に懐いているという事は、もしかしたら彼はリュウやトリヤマ達が思っているような危険人物では無いのかも知れない。コノミの心の中に、そんな確信めいた予感が生まれていた。
一方の星都は、下がりそうになる目尻と上がりそうになる口角を必死に抑え付けながら、優しい手付きでリムの頭を撫で続ける。
(んあ~、可愛いぃ~……このままアイランド・フォートレスにお持ち帰りしたい……。良いよな? 一匹くらい持ってってもバレないよね? もう放したくないんですけど!)
『わ~、出会って数秒でどっちもすっかり骨抜きですねぇ~。星都くん、「怪獣専門トレーナー」の才能でもあるんじゃないですか? 今度、手軽に飼えそうな宇宙怪獣を探しに行きましょうよ。まずは「ギャビッシュ」とかどうです?』
(ふざけんな、誰があんなトラウマ製造機を飼うってんだよ。ありゃ可愛いのは擬態中のちっこい時だけで、中身は狡賢くて凶悪なド畜生だろうが。探すんならもっとマシなのにしろ)
「手軽に飼えそうな宇宙怪獣」と言ったその口で、真っ先にあの『ウルトラマンダイナ』でも屈指のトラウマ怪獣を挙げるあたり、太郎は完全に星都の反応を面白がっている様子だ。
ここには優れた聴力と絶対音感を持つマリナがいるため、変に小声で応答すると気取られる恐れがある。なので、太郎のセリフに対するツッコミは心の中だけに押し留めておき、代わりに「あとでフォートレスに帰ったら太郎の部屋に怒鳴り込むか」とこっそり決めておいた。
思いっきり涙目になりながら「ぎにゃ~~~~~!!?」と叫ぶだろうが、そんなもの知った事ではない。
「…………そうだ、変身の実演ですが、この際ですからエレキングでやってみましょうか。丁度、変身用のアイテムも持ってる事ですし」
沢山愛でられて満足したのか、一声鳴いて光の粒子へ戻って行ったリムを見送りながら、星都が突然そんな事を言い出した。
突拍子もない発言に司令室内が驚きとざわめきに満ちる中、エレキングが大好きなコノミがパッと表情を輝かせて身を乗り出す。
「い、良いんですか!? そんな事して貰っちゃって!」
「ええ、構いませんよ。皆さんも、よく知っている種類の方が受け入れやすいでしょう?」
室内をぐるりと見渡しながらの問いかけに、リュウ達も「まぁ、確かに……」と納得の色を見せた。発生の兆候が読みづらい怪獣災害に対応するため、マケット怪獣化させたウインダムやミクラスを使用する事もある彼らにとって、良い意味で馴染みのある怪獣というのは心理的なハードルを下げる上でこれ以上ない選択だった。
ならば、決まりだ。
「それでは、屋外の訓練場に案内してください」
星都はジャケットの内ポケットに手を滑らせ、アイテムボックスの蓋の淵を一撫でする。目的の怪獣のSDは、この箱の中に入っていた。
(……さて。まずは自慢の相棒達の力で、盛大にサコミズ『総監』やGUYSのみんなの度肝を抜いてやるとしますか!)
インカムの向こうでニヤニヤと楽しげにキーボードを叩く太郎の気配を感じながら、星都は憧れの防衛隊の背中を追って指令室をあとにした。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか。
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<星都くんの一人称が「俺」から「私」に変わっていますが
(=◎ω◎=)<別に誤字で無ければこっそり変更した訳でもありません
(=◎ω◎=)<彼も二十五歳の社会人なので
(=◎ω◎=)<礼儀として敬語を使う時は一人称も「私」に変えています
(=◎ω◎=)<初対面で、しかもあまり良い印象を持っていない相手との話し合いなので
(=◎ω◎=)<こういう細かい部分から「信用できる」と思わせないとダメですからね
(=◎ω◎=)<約一名、全部分かった上であえて任せてくれている人がいて
(=◎ω◎=)<その人の期待を裏切る訳にもいかないですしおすし
(=◎ω◎=)<次回の更新は7月24日(金)予定!
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ