ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<星都くんとGUYSの交流回その3
(=◎ω◎=)<は~じま~るよ~!
(=◎ω◎=)<初めて目の当たりにするウルトライブに、果たしてリュウ達はどんな反応をするのか?
(=◎ω◎=)<乞うご期待!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
CREW GUYS JAPANが管理する屋外訓練場は、フェニックス・ネストから少し離れた山の麓に位置している。
主に実働部隊への入隊を志願する候補生達のために用意された地上施設だが、時には現役の隊員達が対怪獣戦闘を想定した実践的な連携訓練を行ったり、あるいは開発中である新型メテオールの極秘野外実験を行うために使われたりする場合もあった。
今回は星都による「怪獣への変身実演」という超特例の事態であるため、サコミズやリュウをはじめとする実働部隊の面々だけでなく、普段はフェニックス・ネストの作戦指令室に詰めているトリヤマやマル、ミサキらも現場までやって来ており、文字通り『ウルトラマンメビウス』のメインキャラクター全員が顔を揃えていた。
彼らが陣取る場所の傍らには大きなテントが一張り設置されていて、中にはテッペイの強い希望によって持ち込まれた、生体エネルギーの記録・解析用の大型電子機材が何台も置かれている。その物々しい光景はさながら、最前線に急造された野外作戦司令部のようだった。
本来であれば、フェニックス・ネストのメインサーバーに直結した司令室のコンソールからでも十分にスキャンや分析は可能だ。しかし、「人間が怪獣に変身するなんていう現象をみすみす見逃したくありません! どうしても現場に出て、この目で直接見て調べたいんです!」というテッペイの並々ならぬ怪獣マニアとしての情熱と気迫に圧されて、サコミズの一存で急遽このような処置が認められたのである。
周囲が呆れるほどの鬼気迫る表情で、上司であるトリヤマ達に許可を求めて詰め寄っていた彼の様子には、さしもの星都も精神的にドン引きするほどの凄まじさがあった。
「…………よし、解析システムのセッティング、完了しました! いつでもどこからでも、詳細な記録とエネルギー分析が可能です!」
「分かりました! 星都さん、こちらはいつでも準備OKです! 宜しくお願いします!」
『了解』
ポータブルコンソールの椅子に座って猛烈な速度でキーボードを叩いていたテッペイが、隠し切れない興奮と緊張感を漂わせながら準備完了を告げた。それを受けて、ミライが少し離れた場所にぽつりと立っている星都へ向けて、手持ちの
万が一の場合の安全を考慮して、変身の実演はミライ達が待機する司令テントからおよそ一〇〇メートル離れた、訓練場の真ん中で行われる事になっていた。
リュウ達が双眼鏡を手に、どこか物珍しそうな表情で見守る中、星都はあらかじめアイテムボックスから取り出しておいた一体のSDをそっと右手に構える。
白っぽい黄色に黒い模様が走るシンプルな体色。両目に当たる部位から生えた、アンテナのようになだらかなカーブを描く一対二股の角。そして、大蛇のようにしなやかで長い尻尾が特徴的な、二足歩行の細身の宇宙怪獣だ。
先ほど、星都の腕の中で愛らしく鳴いていたあの「リム」を構成するデータの大元であり、「ウルトラセブン」第三話「湖のひみつ」にて初登場して以来、特撮ファンの間で根強い人気を誇る事でも知られる宇宙怪獣の一体、「放電怪獣 エレキング」である。
星都はふっと深く息を吸って気合いを入れると、ギンガスパークのトリガー上部に格納された先端ブレードを素早く展開させ、エレキングの足裏にある固有のライブサインへと真っ直ぐに押し当てた。
――カチィィィーーーン……ツ!
――《スパークドールズ、モンスロード!》
バトルナイザーの駆動音にも酷似した、腹の底へと重厚に響くあの電子音声が訓練場の静寂を切り裂いて鳴り響き、ライブサインに刻まれた暗号コードが滞りなく認証される。
それを確認した星都は、SDが接続されたギンガスパークを大空へ向かって力強く掲げ、人差し指でその起動トリガーを一気に引き絞った。
――《ウルトライブ! 「放電怪獣 エレキング」!!》
瞬時に、SDとギンガスパークの双方から解き放たれた黄金色の光の粒子が、凄まじいエネルギーの奔流となって嵐の如く渦を巻き、訓練場に佇む星都の身体を一瞬にして包み込んだ。
光の奔流は秒単位で巨大な生物的質量を帯びて膨れ上がり、やがてミライ達が見守る中、訓練場内に一体の巨大怪獣を現出させていく。
――ズズゥゥゥゥン………ッ!!
地鳴りのような着地音と共に猛烈な砂埃を周囲に巻き上げながら、エレキングの巨体が剥き出しになった訓練場の砂地へと堂々たる実体化を果たしたのだった。
「KIIIIIIIIIIIIーーーーーーーーーッ!!」
実体化したエレキングは、その細長い身体を大きく震わせ、天を仰いで甲高い独特の咆哮を轟かせた。
人間の肉体が光の粒子となり、怪獣へと変貌していく一連の超常現象を特等席で目の当たりにしたリュウ達は、双眼鏡を握り締めたまま一瞬にして絶句し、次いで口々に驚きと感嘆の声を上げる。
「わぁ……! 凄い! 本物のエレキングだ!」
「マジかよ……! ミライの報告は本当だったのか! 本当に人間が、怪獣に変身しやがったぞ!?」
「
ジョージが驚きに目を見開いて叫び、リュウは双眼鏡を握りしめたまま開いた口が塞がらない様子だ。
しかし、彼ら地球防衛のプロフェッショナル達に向けて用意された「実演」は、ここからが本番だった。
咆哮を終えたエレキングは、離れた場所にある司令テントと、そこにリュウ達の方へ真っ直ぐ向き直ると、おもむろにその巨大な両手を胸の前に持ち上げ、まるで人懐っこい犬か何かのようにフリフリと愛らしく振り始めたのである。
周囲に人間や防衛基地という明確な「攻撃対象」があるにも関わらず、破壊衝動に身を任せて暴れ出そうとする気配は微塵も無い。それどころか、誰がどう見ても分かりやすいくらい友好的に挨拶をして来ているその様子に、緊迫していたGUYSの面々の驚愕度合いが更に増した。
「おい、見ろよあいつ……! 俺たちに向かって、怪獣の姿のままで挨拶してやがるぞ!」
「きっとあの星都さんって人が、エレキングの体の中から『挨拶してほしい』って、意思を通じ合わせて頼んでるんですよ!」
「さっきから全然襲って来る気配も無いし、怪獣を人間の意思の力で完全にコントロールしてるって事なの!?」
「何だと!? あいつは襲って来んのか!? な、ならば一安心だな! 私はね、最初にフェニックス・ネストで会ったその瞬間から、あの星都くんという人物の誠実な言葉を100%信じておったよ! なぁ、マル?」
「はい! 勿論でございます、補佐官!」
手の平を爆速で引っ繰り返して胸を張るトリヤマの調子の良さに、マルのこれまた調子の良い言葉が重なる。そんな彼らの賑やかなやり取りには目もくれず、この場にいる面々の中で最も驚愕し、そして大興奮しているのはやはりテッペイだった。
「凄い……! こんなの、防衛軍の歴史をどれだけ遡ったって例がありませんよ……!! あの実体化しているエレキング、『ドキュメント・
止めどなく溢れて来る知的好奇心と興奮のあまり、テッペイは眼鏡の奥の瞳をギラギラと輝かせ、鼻息を荒くして捲し立てながらキーボードを猛烈な速度でタイピングしている。ポータブルコンソールの画面に次々と表示される未知の分析データに、嬉しい悲鳴の大合唱を上げて狂喜乱舞しているようだ。
ミライもまた、星都が怪獣にウルトライブするその決定的瞬間を目にするのはこれが初めてだったため、驚きと興奮のあまり言葉を失っていた。見た事の無い光景や現象に対するリアクションは、地球人も、光の国からはるばるやってきたウルトラ戦士も、差して変わりは無いらしい。
と、その時。
両手と一緒にその黄色い体を振り子のように左右に揺らしていたエレキングが、リュウ達の戸惑いと歓心の混ざった反応を察して、何かを思い付いたように巨大な両手をポンと小気味よく打ち鳴らした。
エレキングの肉体を内側から操っている星都が、「よし、一発オマケを付けてやるか」と笑いながらやっているのだろう。そのあまりにも人間臭くてチャーミングなその仕草に、リュウ達の顔にも自然と柔らかな笑顔が浮かんだ。
「KIIIII~~~~♪」
大きな体をくるりと翻し、訓練場の上に広がる大空の彼方を振り仰いだエレキングは、自身の体色と同じ色の光に輝くスリット状の口から、天へ向けて眩い黄金色に輝く三日月状の放電光線を勢いよく撃ち出した。
当然ながら、リュウ達がいる司令テントとは完全に別の方向を狙って撃っているため、そこには殺意も破壊の意思も何一つとして伴ってはいない。
突然の奇行に、なんだなんだとGUYSの面々が不思議そうに首を傾げ、視線でその美しい光の弾道を追いかける。
すると、澄み渡る東京の青空をほぼ垂直に急上昇して行ったエレキングの光線は、十分な高度に達した瞬間、まるで特大の打ち上げ花火のような音を立てて、大空の真ん中で盛大に弾けたのである。
バリバリバリッ!!! という体を芯から震わせる爆音と共に、五十万ボルトにも達する超高電圧の電気が大空に美しい稲妻の火花を無数に散らす。そして、淡い蛍火のような光の粒子へと姿を変えて、太陽光を受けてキラキラと輝きながら、訓練場とその周辺一帯に優しく降り注いできた。
星都が魅せる、最高の火力による親愛のパフォーマンスだった。
「KIII♪」
怪獣の力によって創り出された、どこまでも幻想的で美しい光のシャワーを前にして、リュウ達は全員が揃って言葉を失い、口をあんぐりと開けたまま石像のようにその場に固まってしまった。
エレキングはそんな彼らに再び茶目っ気たっぷりに向き直ると、「どうだ、凄いだろ?」とでも言いたげに胸部を堂々と張って、右手の親指に当たる部分をぐっと突き立てる、いわゆる「サムズアップ」の仕草をしてみせる。
直後、今日一番の嵐のような大歓声がGUYSの面々から巻き起こり、訓練場の空気を大きく揺らしたのだった。
――《ウルトライブ、
ギンガスパークのトリガーをもう一度静かに引き絞ってウルトライブを解除すると、五十三メートルにもなる巨体が眩い黄金色の光の粒子となって空中に解けて消え、元の姿に戻った星都が訓練場の大地へ静かに降り立つ。
すると、未だに興奮冷めやらぬと言った様子のリュウ、ジョージ、マリナ、テッペイ、コノミの五人が一目散に駆け寄ってきて、彼の周囲を一瞬にして隙間なく取り囲んでしまった。
「Maravilloso! Maravillosoだぜ、お前! こんな凄ぇのは見た事ねぇよ!」
「エレキングのあの凶暴な力をあんな風に操るなんて、ホントにどうやってるの!? マケット怪獣じゃあんな事はできないわよ!?」
「凄かったです、凄かったです星都さん! こう、電気がキラキラ~って花火みたいに弾けて降ってきて、もう最高に綺麗でした!」
「おい、星都! さっきは不審者だの何だのって、変に疑っちまって悪かったな! あんな凄ぇもん見せられちゃ、信じねぇ訳には行かねぇよ!」
「星都さん! 他にはどんな種類の怪獣に変身できるんですか!? ぜひ、僕にその
「ちょっ、待っ……!? お前ら、近い近い近いっ! さっきまでと反応が全然違うだろ!?」
『あっははははははは!! ひー! ひー! お腹痛い! お腹痛いっ! 笑い過ぎて死んじゃいますよぅ!! ついさっきまで「絶対に信じないぞ」「宇宙人の侵略者だ」って全力で疑ってますムーブしてたくせに、一回変身してパフォーマンスをして見せただけでこの変わり様! 手の平クルックルのドリルスピンさせ過ぎで、そのうち手首が音を立てて
押し寄せる猛烈な熱量と勢いに文字通り揉みくちゃにされ、流石の星都も右耳のインカムから流れてくる太郎の軽口にツッコミを返す余裕すらなく、完全に困惑しまくっていた。
太郎の言う通り、変身を見せる前までは文字通り氷のような疑いの眼差しを向けていたのに、見せた後は態度が百八十度変わって好意的な感情一色になっている。
敵対する意思が無い事を示すためにフレンドリーな態度で挨拶をしてみたり、必殺の電撃光線を花火のように使ってみたりと工夫を凝らしたとはいえ、この変わり身の早さは流石にチョロいとしか言えなかった。控えめに言っても、ここまで鮮やかで酷い手の平返しは見た事が無い。
あまりにもリュウ達の反応が激し過ぎて助けに入るタイミングを完全に逃してしまい、ミライはただただ五人の輪の外側で「あ、あの、皆さん、落ち着いてください……!」とオロオロするばかり。
そんな彼の近くで、サコミズとミサキの二人は賑やかな若者達の様子を、大人の余裕に満ちた柔らかな表情で見つめていた。
「とんでもない青年ですね……。自らの肉体を怪獣に変えながら、その精神は人間としての輝きを保っている。彼は一体、何者なのでしょうか?」
「さてね。それはまだ私にも分からないよ。ただ、彼がこの地球を守るために戦う意思を持っていて、我々と敵対するつもりが無い事だけは確かだ。彼の素性や目的については、司令室に戻った後で彼自身の口から直接説明があるだろう。今はそれだけで十分さ」
そう言ってサコミズが穏やかに目尻を下げて微笑むと、ミサキも「そうですね」と、その言葉の裏にある深い信頼を汲み取って首肯した。
そして、未だに一連の流れで受けた衝撃が強過ぎて開いた口が塞がらないまま、訓練場の端で仲良くカチコチに固まっているトリヤマとマルの元へ、静かに歩み寄って行ったのだった。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか。
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<作中で星都くんや太郎も言っていた事ですが
(=◎ω◎=)<GUYSの皆さん、手の平ドリルが酷過ぎですな(笑)
(=◎ω◎=)<最初は物凄く疑いまくってたくせに
(=◎ω◎=)<実演を一回見せられただけでこの変わりよう
(=◎ω◎=)<誰もミライくんの純粋さを悪く言えませんよね~
(=◎ω◎=)<五十万ボルトの電撃光線をパフォーマンスに使う星都くんも星都くんですけど
(=◎ω◎=)<次回の更新は7月28日(火)予定!
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ