ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<サブタイからも分かります通り
(=◎ω◎=)<今回はエレキングが大好きな「あの人」メインです
(=◎ω◎=)<こんなチャンス、一生に一度あるか無いかなので
(=◎ω◎=)<エレキングに対する愛情が爆発しちゃったみたいですね
(=◎ω◎=)<詳しい内容は本編をどうぞ!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
半ば諦めてリュウ達にされるがままになっていると、眼鏡の奥の瞳をこれ以上ないほどキラキラと輝かせたコノミが、星都の目の前までぐいっと身を乗り出してこんな事を訊いてきた。
「星都さん! 星都さん! その、貴方が使ってる不思議な道具があれば、私でも……私でも、エレキングに変身できたりするんですか!?」
普段の大人しくて控えめな彼女からはおよそ想像もできないほど、ぐいぐいと距離を詰めてくる。その顔には、隠し切れない純粋な期待感がありありと浮かんでいた。
彼女のその言葉をきっかけに、背後にいたリュウを始めとする他の面々も一斉に「おいおいマジかよ……」と言いたげな、しかし同様の羨望に満ちた視線を星都へと向け始める。
彼らの視線に込められた意図を即座に理解し、星都は先ほど使用したばかりのギンガスパークとエレキングの
「理論的には十分可能ですよ。私にこのアイテム――ギンガスパークとSDを授けてくれた人も、元々は『いつか共に戦ってくれる仲間が増えた時、誰でも手軽に使えるようにするつもりだ』と笑いながら言っていましたからね。なんでしたら、今から試しにやってみますか、コノミさん?」
「い、良いんですか!?」
本来、ウルトラマンの変身アイテムというものは、原則としてウルトラ戦士当人か、あるいは彼らに認められて彼らと同化した正規の資格者にしか使う事ができない特別な代物だ。該当する人物が使えば一瞬で光の巨人になれるが、そうではない無関係の人間が使おうとしても、何も起きる事の無いただの静かな置物へと早変わりしてしまう。
どういう理屈でそうなっているのかは元の世界でも今をもって不明なものの、現在では「何某かの超高度なセキュリティプログラムのようなものが最初から施されているのだろう」というのが、特撮ファンの間での一般的な考え方であった。
頌栄が自らの異能で創り上げたギンガスパークとSDも、基本的には「あらかじめ生体認証登録を完了させた正規の持ち主」にしか使用する事ができないという、厳重な制約があるアイテムだ。
しかし、これはあくまでも宇宙人の侵略者などに悪用されないための防犯措置に過ぎない。それに、生体認証自体も裏を返せば「一度でも生体データを登録さえしてしまえば、その後は誰でも自由にそのパワーを扱える」という事の証明でもある。だからこそ、製作者である頌栄は星都を始めとするアイテムを貸与した者達に対し、緊急時の登録手順も含めた情報の管理を徹底するよう厳命しているのだった。
また、いちいち個別に面倒くさい生体データの登録処理をしなくても、手軽にアイテムを貸し出すための便利な手段が、最初からシステムに用意されていた。
――《レンタルモードをオンにします》
星都がギンガスパークのグリップエンドとSDのライブサインをちょちょいと手際よく弄ると、二つのアイテムのスピーカーからオーダーメイドのシステム音声が聞こえて来た。それを確認してから、期待に胸を高鳴らせるコノミの前にそっと差し出す。
「本来は持ち主である私にしか使えない設定になっていますが、システムを一時的に切り替えて、コノミさんが使っても問題ないようにしました。ただし、変身一回分にしか適用されない簡易的な特殊機能ですので、そこだけは気を付けてくださいね」
「わぁ……! ありがとうございます、星都さん!」
『うわぁ~お! 星都くんってば、相変わらず無自覚にやっさし~ぃ!♪ さり気無~くギンガスパークとSDをレンタルモードにして笑顔で貸し出しちゃうなんてスマートの極みですねぇ。流石は我が二世軍団のリーダー、「
(そうはならないように日頃から人一倍気を付けてるんだろーが! 良いからお前は黙ってろよ。メタいセリフでせっかくの良い空気をどんだけ台無しにすりゃ気が済むんだ!)
ここぞとばかりに茶化しまくって来る太郎に、星都が心の中で烈火の如きツッコミを入れる中、ギンガスパークとエレキングのSDを両手で恭しく受け取ったコノミは、まるで最高級のプレゼントを貰ったかのような満面の笑みを浮かべていた。
それを見ていたリュウやジョージ達は、一様に羨ましそうな視線を彼女に送るものの、強引にその手からアイテムを奪い取ろうとするような不埒な真似はしない。
かつて「メビウス」の第二十七話「激闘の覇者」において、ミクラスとウインダム以外に新たなマケット怪獣を選抜して戦力の増強を図るべく、開発中だったプロトマケット怪獣同士でシミュレーション上のトーナメントのような事をした時があった。その時に、「かつて初代ウルトラマンを倒した」という絶大な実績とネームバリューを持つ「宇宙恐竜 ゼットン」の運用データを巡って、リュウ、ジョージ、マリナ、テッペイの四人にトリヤマとマルまで参戦しての奪い合いが司令室内で起きていたのである。
いくら血気盛んな彼らとはいえ、流石にあのような見っともない大騒ぎをこの場で繰り返すつもりは無いらしい。あるいは、か弱い女の子であるコノミから無理やり強奪するのは男や仲間として流石に気が引けたのか。
とにもかくにも、一時的に星都からギンガスパークとエレキングのSDを借り受ける形となったコノミは、星都に横から優しく教えられつつ、慣れない手付きで二つのアイテムを構えた。
「変身のポーズ自体は何でも構いません。大事なのは、人形の足の裏にあるこの
「は、はい……! こ、こう、ですか……?」
おっかなびっくりといった様子で、コノミがSDの足の裏にあるライブサインにギンガスパークのブレード先端を押し当てる。
――カチ……ッ!
――《スパークドールズ、モンスロード!》
「わわっ…!? な、なんですか、今の声は……!?」
「ご心配なく。こっちの道具が、人形の中に入力されている怪獣の情報を正しく読み取って承認した証拠です」
『いきなりこんな怪しい音声が流れれば、誰だって驚き桃の木山椒の木でしょうねぇ。コノミさんの慌てっぷりは、一般人として当たり前田のクラッカーって訳ですぅ』
いきなり流れた重厚なシステム音声に慌てかけるコノミに、星都は安心させるように優しく微笑みながら言った。
ちなみにこの時、初めてだらけの体験にあたふたする彼女の様子を見て、不覚にも「何この人、小動物か? めちゃくちゃ可愛いな」と、ファン魂を擽られ過ぎて目尻が下がりかけたのは星都だけの秘密である。
「では最後に、その道具のグリップにあるトリガーを思いっきり引いてください。人形は取り外そうとしたりせず、そのままにしてて構いませんよ」
「はい……! 行きますっ!」
何度か大きく深呼吸を繰り返し、逸る気持ちをどうにか落ち着かせてから、コノミがギンガスパークのトリガーを一気に引き絞った。
――《ウルトライブ! 「放電怪獣 エレキング」!!》
次の瞬間、SDとギンガスパークの双方が眩い黄金色の光の粒子へと瞬時に姿を変え、美しい渦を巻いてコノミの全身を優しく包み込んでいく。
ただし今回は、先ほど星都がエレキングに変身した時のような、爆発的なエネルギーの奔流は発生しなかった。
――ズシン…!
先ほどの大怪獣の降臨と比べて明らかに軽い音を響かせ、エレキングが訓練場の砂地に再び実体化した。
そして、砂煙の向こうに現れたエレキングの「姿」を見た瞬間、その場で見守っていた星都以外の全員が、同時にその目を限界まで丸くして硬直した。
「……なんか、さっきと比べて随分と小っちゃくねぇか……?」
思わず零れ落ちたリュウの呟きの通り、今回実体化したエレキングは星都が変身した時と比べて明らかにサイズが小さかった。
身長はおおよそ二メートル程度。人間基準で考えれば十分に大柄な部類だが、つい先ほど出現した時の、大都会のビル群をも見下ろす五十三メートルの威容とは雲泥の差である。
「わぁあ~……! すごい、私、本当にエレキングになってるー! 今すぐ司令室のリムにも見せてあげたいなぁ〜!」
しかし、変身した当人であるコノミはサイズの違いについて特に気にする様子も無く、大好きなエレキングに自らが変身できた事が余程嬉しいのか、その場で大きな尻尾を揺らしながらぴょんぴょんと楽しそうに跳ね回っている。しかも、怪獣の口から聞こえて来るその声は、星都がファイブキングの時にやっていたような脳内に直接響く高度なテレパシーではなくコノミ自身の肉声だった。
傍から見れば、それはまるで特撮の撮影現場で精巧に作られたアトラクション用の
先ほどのデモンストレーションの時とはまた大きく異なる不思議な光景に、リュウ達の目が自然と、説明を求めるように星都へ向けられた。
「一体、何がどうなってんだ、星都……? なんでさっきお前が見せた時と、サイズがここまで違うんだよ?」
「簡単に言いますと、これは『暴走を防ぐため』の安全措置です」
星都は全員の視線を一身に受け止めながら、長年戦いに身を置き続けて来た歴戦の戦士としての表情で静かに解説を始める。
「ご存じの通り、大宇宙に蠢く怪獣や超獣、宇宙人は、人間の常識を根底から破壊するほどの凄まじい力を持っています。それは、使い手の心次第で誰かの平和を守る『救いの光』になれば、誰かの大切なものを理不尽に奪い去る『悪魔の闇』にもなる。私はこの力を、アイテムを通じて地球防衛のための戦力として役立てていますが、仮に心、精神の未熟な人が不用意にこの巨大な力を扱えば、たちどころに怪獣達が持つ『破壊の本能』に支配され、我を忘れて暴走してしまうでしょう」
周囲の面々を見渡しながら紡がれる冷徹な指摘に、テッペイやサコミズが真剣な顔で深く頷く。それを確認して、星都は更に続けた。
「私が使うこの人形……スパークドールズは、実体化した際の
そこまで言い終えたところで、先ほどまでの真面目な顔から一転して茶目っ気たっぷりな表情でパチンとウインクしてみせる星都。彼の姿勢や考え方からしっかりした責任感を強く感じ取ったリュウ達は、心底納得し、そして感心したように何度も深く頷いた。
自分が扱う力の危険性を隅々まで熟知しているからこそ、例えそれが一時的なものであったとしても、他人に使わせる際には細心の注意を払う。万が一にも暴走した場合は自らの力で責任を取る覚悟を決めているが、まずはそのような事態にならないように万全の準備を整えておく。
言うに易く、行うに難い高度なリスクマネジメントを自然な流れで、尚且つ当たり前のようにやってのける星野谷星都という人物に対し、リュウ達だけでなく傍で静かに聞いていたトリヤマやマル、ミサキ、そしてサコミズまでもが、多かれ少なかれプロとしての尊敬の念を抱いていたのだった。
『流石は星都くん! やる事成す事がいちいち男前でカッコいい♪ ボク達一般人にできないような事を平然とやってのける! そこに痺れる! 憧れるゥ!!』
(だから、せっかくの良い大人の空気がお前のそのセリフで全部台無しなんだよ! いい加減、通信を切って黙ってろっての、このぶっ飛びハッカーが……!)
どこまでもふざけまくっている太郎の言葉に、いよいよ星都も我慢が利かなくなって来た。今の彼を注意深く観察すれば、こめかみに薄っすらと青筋が浮かび始めているのが見えるだろう。
「星都さん! 星都さん! さっき、星都さんがエレキングに変身した時、口から三日月の形のすっごい電気の光線を出してましたよね!? あれって、どうやったら出せるんですか!?」
「ああ、あれは撃ち出す時にちょっとしたコツが要りましてね。お腹の底にぐっと力を込めて、自分の口からエネルギーの弾丸を勢いよく発射するイメージで、一気に息を吐き出すんです。皆さんが持っている装備で例えるなら、携帯武器の『トライガーショット』を撃つ時の感覚に近いでしょうか」
「なるほど、トライガーショットの感覚ですね……分かりました!やってみます!」
今の今まで星都がしていた暴走するリスクに関する解説を聞いていたのかいなかったのか、コノミがエレキングの細長い顔をぐいっと近づけて「放電光線の撃ち方を教えてほしい」と無邪気にねだってきた。
その、大好きな怪獣と一体化できた嬉しさを隠そうともしていないはしゃぎっぷりにほんの少しだけ苦笑し、星都は一旦太郎への怒りを脳の片隅に追いやって、自分が怪獣にウルトライブした際に実践しているアプローチの一つを彼女へ伝える。
それを聞いて、コノミはエレキングの体でむん、と可愛らしく全身にやる気を漲らせると、早速とばかりに誰もいない方角へ向かって、放電光線を放つための構えを取った。
ポーズそのものは星都が先ほどのデモンストレーションで見せた仕草の完全な物真似だったが、驚いた事に、コノミが変身したエレキングのスリット状の口が発光を始めたかと思うと、次の瞬間には黄金色に輝く三日月状の放電光線が、バチバチと美しく火花を散らして勢いよく撃ち出されたのである。
「で、出たぁっ!」
上手く技を再現できた事に大喜びして、怪獣の姿のままぴょんぴょん飛び跳ねるコノミだったが、それも束の間だった。
発射された放電光線は、最初の数メートルこそ真っ直ぐ綺麗に飛んでいたものの、次第に空中での推進力を失ってへろへろと情けなく蛇行飛行し始め、やがて訓練場の地面に落ちて、ポスン、という何とも締まりの無い音と共に煙を上げて消えてしまったのである。
「あぁ~……! 上手く行ったと思ったのに、すぐに消えちゃいました……」
「撃つ時にコツが要る、と言ったでしょう? 人間は元々、怪獣みたいに口から光線を出したり炎を吐いたりできるようにはなっていませんから、どうしても人間の感覚と怪獣の体を馴染ませる事が必要なんですよ。そのためには、日頃からの反復練習が欠かせません。最初からすべてを完璧にこなせる天才なんて、世界中探してもいるかどうかですよ。でも、初めてのウルトライブでいきなり光線を撃つ事ができたんですから、コノミさんは十分凄いです。私が初めてエレキングにライブした時は、どれだけ頑張って光線を撃とうとしても、うんともすんとも言いませんでしたからね」
「そ、それは本当なんですか、星都さん!?」
「本当ですよ。これでも一端に光線技を扱えるようになるまで、時間を掛けて血の滲むような訓練を重ねてきたんですから」
それは、この場にいる全員にとって衝撃の事実であった。
メビウスとGUYSにとってある種の「絶望の象徴」だったボガールモンスを、まるで無双ゲームのモブキャラクターか何かのように一方的に蹂躙し、先ほどのエレキングを使ったデモンストレーションでも強大な力を完璧に思える精度で操っていた星都。そんな彼が、力を得たばかりの頃は光線一つまともに撃ち出せずに四苦八苦していたなど、コノミだけでなく、横で聞いていたミライやリュウ達にとっても俄かには信じがたい話である。
だが、当時の死に物狂いで強くなろうと足掻いていた日々を思い出して懐かしんでいる彼の声音や表情からは、嘘偽りや冗談の気配など一切感じられない。ならば、彼が持っているあの圧倒的な実力や正確無比なコントロール力などはすべて、天性の才能なんかではなく彼が今日まで一歩ずつ地道に積み重ねてきた、弛まぬ努力と研鑽によって身に付けたものという事だ。
その事に思い至り、今も前線で戦い続けているリュウ達は益々強い尊敬の念を抱いていた。
「結果はどうであれ、ぶっつけ本番の挑戦で光線を出す事ができたコノミさんは、当時の私と比べても間違いなく優秀で、筋が良いと言えます。だから、そう気を落とさなくても良いですよ。この感覚を忘れないようにしっかり練習して行けば、きっとすぐにでも飛距離を伸ばして、正確に狙いを絞って撃てるようになるでしょう」
「は、はい……! ありがとうございます、星都さん!」
太鼓判を押されると同時に励ましのコメントも貰い、コノミはお礼を言って嬉しそうにぺこりとエレキングの頭を下げた。
最後に、星都から正しいウルトライブを
こうして、夢のような
「あー! 本当に楽しかったです! 星都さん、ありがとうございました!」
「こちらこそ、喜んで頂けたようで何よりです。お疲れ様でした」
ギンガスパークとエレキングのSDを笑顔で返却し、お互いに成功を称え合う温かい日常の空気が、訓練場に心地よく満ちていく。
――しかし、 そんな彼らの次元を越えた賑やかで楽しいやり取りのすべてを、じっと観察している者がいた。
訓練場から数百メートルほど離れた山の麓、鬱蒼と茂る木々の隙間から、青白い双眸を冷酷にギラつかせる一つの影。
今この瞬間、星都や
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか。
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<珍しくグイグイ来たりオネダリしたりしたコノミさん
(=◎ω◎=)<エレキングに変身してからも思いっ切りはしゃいでいましたし
(=◎ω◎=)<よっぽど嬉しかったんでしょうね
(=◎ω◎=)<作者としてはなるべくコノミのキャラを崩さずに描いてみたつもりですが
(=◎ω◎=)<「こんなのコノミじゃない!」と思われる方もいらっしゃるかも知れません
(=◎ω◎=)<もしも解釈違いが起きていたら申し訳無いです
(=◎ω◎=)<最後、不穏な影がチラついていましたが
(=◎ω◎=)<それについては追々
(=◎ω◎=)<次回の更新は7月31日(金)予定!
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)<それではまた次回、お会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ