ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~   作:通りすがりの大学生

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(=◎ω◎=)<どうも読者の皆様、おはこんばんちは! 作者です!


(=◎ω◎=)<今回は説明回の核心部分について触れます


(=◎ω◎=)<割と懇切丁寧に解説したり説明したりしてる都合上


(=◎ω◎=)<文字数も結構多くなりました


(=〇ω〇=)<尺を取り過ぎてしまい、申し訳ないです……


(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!


第三十七話 早い話が自分達のミスの尻拭いをしに来ただけなんだよね

 

 

 

 トリヤマの滅多に見られない圧倒的な格好良さと男気によって、ようやくミライが一つも隠し事の無い、真の意味で『GUYS』の一員として迎え入れられるという感動的な名シーンが、予期せぬ形で繰り広げられた。これによって、GUYS日本支部の幹部であるトリヤマとマルへの認識共有も、何一つの禍根を残すことなく完了したと言って良い。

 

 そして、ここからはいよいよ、星野谷星都という一人の戦士が、このウルトラマンメビウスの世界へとやって来た「真の目的」を話す番である。

 

 

 

「さて、皆さんの深い絆を見せて頂いたところで、ここからが本題です」

 

 

 

 星都は低く、よく通る明瞭な声で、司令室内にいる全員の耳に届くように切り出した。

 

 

 

「私が元々住んでいた宇宙の地球から、多次元の壁を越えてこちらの宇宙へやって来た理由。――それは、私が所属している民間防衛組織から不当に盗まれてしまった『すべてのSDとギンガスパークを残らず取り戻すため』です」

「『すぱーくどーるず』……? 『ぎんがすぱーく』……?」

「それってもしかして、さっきの……!?」

 

 

 

 マルが不思議そうにその奇妙な単語をオウム返しにする中、テッペイが何かに気付いて声を上げる。そんな彼の様子にゆっくりと首肯してみせたあと、星都は彼らの目の前にある大きなラウンドテーブルの天板の上に、ジャケットの内ポケットからあらかじめ用意しておいた二体の人形と一本のデバイスを静かに取り出して並べ置いた。

 

 一体は昼間、繁華街の激闘において星都自身がウルトライブしていた怪獣、ファイブキング。

 

 もう一体は、先ほど屋外訓練場のデモンストレーション兼体験会で、リュウ達全員に代わる代わるその手で使って貰っていたエレキングだ。

 

 昼間の戦いでボガールモンスを相手に圧倒的な無双劇を繰り広げ、あるいは大空に美しい放電の花火を打ち上げていたあの巨大怪獣達が、今、成人男性の片手にすっぽりと納まる程度の大きさの『ソフビ人形』として目の前に静かに存在している。そのあまりにも予想外過ぎる光景に全員がゴクリと息を呑んで驚く中、星都は更に言葉を紡いだ。

 

 

 

「先ほども申し上げた通り、私が住んでいた地球において、ウルトラマンの活躍や怪獣災害といったものは、元々はすべてテレビの中だけの『空想上の産物』でした。しかし、向こうの時間軸で今から丁度二十年前のある日、何故か突然、数多の宇宙怪獣や邪悪な宇宙人達が『現実の脅威』として、地球に次々と襲来するようになってしまったんです。彼らが地球に現れる根本的な理由は、二十年が経った今をもってしても不明なままですが……手をこまねいてただ見ているだけでは、人類のみならず地球そのものが瞬く間に滅亡してしまいかねません。そこで、私が所属する民間防衛組織の中核にいる一人の人物が、様々な怪獣や超獣、宇宙人の因子を封じ込めた特殊な人形や、それらと同調する事で自らの肉体を変身させるアイテム、あるいは様々なウルトラマンへの変身を可能とするアイテムを秘密裏に作製しました。そして、二十年の間にそれらのアイテムを官民問わず大勢の防衛隊員達に配布し、人類自らの手で地球を守り抜くための戦力を整えた、という訳です。……私が怪獣に変身して戦う事ができる背景には、そんな理由があるからなんですよ」

「ウルトラマンに……という事は、星都さん。もしかして、その不思議な道具を使えば、『光の国』にいる僕の兄さん達にも……!?」

 

 

 

 ミライが驚愕と、そして隠しきれない歓喜の両方をその瞳に宿しながら、身を乗り出して問いかけてきた。その問いに対する答えは、勿論「Yes」である。

 

 

 

「ええ、なれますよ。ただ、ウルトラの父や母、宇宙警備隊隊長であるゾフィー、そしてウルトラマンジャックの四人に関しては、固有の『変身アイテム』が存在しないために現状ではまだ変身する事はできませんが、彼ら以外のウルトラ兄弟や、あるいは別の次元宇宙で活躍しているウルトラマン達になら、誰であっても変身する事は可能です。もちろん、ウルトラマンメビウス、貴方も含めてね」

 

 

 

 尊敬する偉大な兄達の光の力が、本人ではないとはいえ、別次元の宇宙でも地球を守るための大いなる希望として人類の役に立っている。その事実を知ったミライは、ウルトラ戦士としてこれ以上ないほどに胸を熱くさせていた。

 

 ちなみに、件の各種超常アイテムの製作者である松葉頌栄は、「いくらウルトラ戦士と言っても、変身アイテムの有無で彼らの中に仲間外れを作るのは絶対にダメだ」という特撮ファンならではのプライドから、過酷な防衛任務の合間を縫って「対応する専用の変身アイテムが無いウルトラマンにも変身できるオリジナルアイテム」の研究と設計、開発を夜な夜な行っている。

 星都がこちらの世界に派遣される前の定時報告会では、「ウルトラの父と母はまだ無理だが、ゾフィーとジャックの二人についてはアイテム具現化の目途がほぼ立った」と少年のように目を輝かせて嬉しそうに報告していたため、近い内に宇宙警備隊の隊長とウルトラ三番目の兄弟の力が、頼もしい戦力としてロールアウトする事になりそうだった。

 

 閑話休題。

 

 

 

「これら怪獣の力が封じられたSDやギンガスパーク、ウルトラマン達の変身アイテムは、今この瞬間も、私が住んでいる地球の世界各地で宇宙怪獣や侵略者を退けるために運用されています。ただ、すべてのアイテムが常に使われているという訳ではなく、中には次なる戦いのために精密な検査や調整を受けていたり、あるいは現場で使われる機会を待って厳重に保管されていたりするものも沢山ありましてね。それらを一纏めにして仕舞っておくための巨大な『保管庫』を、私や私の仲間達で厳重に管理していたのですが……先日、その保管されていたアイテムが、何者かによる大規模な盗難被害に遭ってしまったんです」

「ついさっきもそんな事言ってたな……『盗まれたものを取り返す』って。つまりそれが、今机の上に並べたこれの事だったって訳か」

 

 

 

 リュウがラウンドテーブルの上のファイブキングを自らの目で見つめながら、合点がいったように言葉を繋いだ。

 

 

 

「その通りです、リュウさん。先にも言いました通り、ウルトラマンや怪獣が持つ力というものは、一歩間違えれば地球の環境をも一瞬で灰燼に帰してしまうほどの大惨事を引き起こしかねない、極めて危険な代物です。それらを管理・保管しておく場所という事で、私達も世界最高峰の強固なセキュリティシステムをいくつも重ねていたつもりだったのですが……。あろう事か、犯人が仕掛けたハッキングによって実にあっさりと破られてしまいまして。その悪質な窃盗犯が、盗み出した大量のSDとギンガスパークを抱えてこちらの宇宙に逃亡したとの情報を得たため、その捜索とアイテムの奪還任務のために私が派遣されて来た、という訳です」

 

 

 

 何故、星都が時空を越えてこの宇宙を訪れ、そして怪獣を駆って戦っていたのか。その一連の行動のバックボーンとなる動機が明らかになり、GUYSの面々は一様に険しい表情を浮かべて沈黙した。

 自分達が日々命を懸けて戦い、守っているこの地球の他にも、別の宇宙で同じように地球の存亡を賭けて戦い続けている人々がいるという事実。そして、その戦いに使われている超常兵器が泥棒に盗まれ、自分達が暮らすこの地球へ持ち込まれていると言われて、流石にすぐには脳の処理が追い付かないのだ。

 先ほどのエレキングの実演を見て体験した以上、彼が嘘や冗談を言っているとは今更誰も思いはしないけれど、あまりにも話のスケールが大き過ぎて、完全に呑み込むまでにはどうしても時間が必要だった。

 その重苦しい静寂の中、一段高い席に座っていたサコミズが、神妙な面持ちでゆっくりと口を開いた。

 

 

 

「星都くん。防衛隊の指揮官として一つ、キミにどうしても確認しておきたい事があるんだが、構わないかな?」

「『星都』で構いませんよ、サコミズ隊長。私に答えられる事でしたらどうぞ、何でも訊いてください」

「ありがとう、星都。では失礼して……」

 

 

 

 居住まいを正し、いつもの飄々とした大人の空気ではなく、GUYS JAPAN実働部隊の隊長としての顔と空気になったサコミズが問い掛ける。

 

 

 

「キミは先ほど、『盗まれたすべてのSDとギンガスパークを取り返す』と言っていたね? その後のキミの発言と合わせて判断するに、キミ達が管理していた保管場所から奪い去られた怪獣の人形は、一つではなく複数ある、そう考えておかなければならないという事なのかな?」

「……っ、そういえば……!」

 

 

 

 テッペイやマリナがハッとしたように表情を戦慄させる中、尋ねられた星都は視線を低くして重々しく首肯した。

 

 

 

「はい、そう考えて間違いありません。私達が一括管理している『保管庫』から盗み出されたSDの数は、全部で三十個。SDはギンガスパークとセットでなければ使用できませんので、ギンガスパークも同様に三十本ほどが盗まれていました。昼間の戦闘でそのうちの一組を回収する事ができましたので、今もこの地球のどこかに潜伏している窃盗犯が持つ残りの数は、二十九組ということになります」

「に、二十九もの怪獣達が、まだこの日本、あるいはこの地球のどこかに人形の姿で紛れ込んでいるというのかね……!?」

 

 

 

 恐怖に顔を青くしたトリヤマが叫ぶ中、星都は懐に忍ばせていたアイテムボックスにそっと手を伸ばし、先ほど回収したばかりのガーゴルゴンのSDをテーブルの上に静かに並べた。

 昼間、繁華街を恐怖のどん底に陥れ、GUYSが誇るガンフェニックストライカーの攻撃を物ともせずに暴れ回っていたあの恐るべき怪獣が、プラスチック樹脂でできた掌の上に納まる程度の小さな人形として存在している。リュウ達の間に、一段と大きな緊張のざわめきが波紋のように広がっていった。

 

 

 

「こいつの正式名称、すなわちレジストコードは『石化魔獣 ガーゴルゴン』。口の中にある巨大な一つ目から放たれる強力無比な石化光線と、圧倒的な戦闘能力、そして人間をも凌駕しかねないほどの高度で狡猾な知能を駆使し、数多の豊かな惑星を次々と石に変えて滅ぼしてきた極めて凶悪な宇宙怪獣です。GUYSが保有するアーカイブ・ドキュメントに一切の記録が存在しなかったと思いますが、こいつはこの宇宙とは別の次元宇宙で暴れ回った怪獣ですので、それも当然の事かと」

「ガーゴルゴン……」

 

 

 

 テッペイは、自分達に途轍もない衝撃と敗北の恐怖を与えたその大怪獣の名を、脳に刻み込むように小さく復唱した。

 そして、怪獣マニアとしての情熱と、実働部隊の解析担当としての強い使命感を宿した瞳で星都を真っ直ぐ見据え、意を決したように声を上げた。

 

 

 

「星都さん! 全てのお話が終わったあとで構いませんので、そのガーゴルゴンの詳細なデータの記録作業を手伝っていただけませんか!? こいつのデータを解析して記録に残しておく事ができれば、これから先、何かの役に立つかも知れませんから!」

「ええ、構いませんよ、テッペイさん。アーカイブに記録が無い、すなわち過去に地球へ来た事が無くても、この先の未来もずっとガーゴルゴンが襲来しないという保証にはなりません。過去に起きなかったからと言って未来でも起きないという訳では無いのです。それに、ガーゴルゴンでなくとも似たような能力を持った怪獣や宇宙人が現れるかも知れない。万が一の事態に備えるためにも、喜んで協力させて頂きますよ」

「ありがとうございます、星都さん! 本当に助かります!」

 

 

 

 これ以上ないほどに心強い快諾の返事を受け、テッペイは感激に表情を綻ばせて深く頭を下げる。そして、善は急げとばかりに、自分のデスクのノートに星都から聞き取りたい質問項目のメモを猛烈な速度で走り書きし始めた。

 そんな彼の微笑ましいオタクムーブを横目で眺めていると、今度はリュウが、腕を組んで眉間に皺を寄せながら鋭い質問を投げかけてきた。

 

 

 

「なぁ、星都。そのガーゴルゴンってヘビ野郎の事はよく分かったけどよ……じゃあ、こいつのあとから出て来た、あのボガールモンスの方は一体何なんだ? あいつも、そのヘビ野郎と同じように、お前たちの宇宙から盗み出されたSDってヤツの一つなんじゃねぇのか?」

「そうですね……」

 

 

 

 左手の人差し指で自らの米神をトントン、と規則正しく叩きながら、星都は太郎と一緒に組み立てた推理とこれまでに判明している事実を脳内で慎重に照らし合わせ、言葉を選んでリュウの質問に応えた。

 

 

 

「……結論から言いますと、あのボガールモンスの正体はリュウさんも睨んだ通り、SDが実体化したもので間違いありません。私が住んでいる地球から、時空を超えてあの戦いをモニターしていた仲間のオペレーターも、得られた解析データからそう断言しています。……ただ、盗み出された三十個のSDの詳細を纏めたリストの中に、あのボガールモンスは含まれていないんです」

「含まれてない……!? そりゃ一体、どういう事だよ星都!?」

 

 

 

 リュウが驚いて声を荒らげ、ジョージやマリナも顔を見合わせる。そんな彼らを落ち着かせるように、星都は努めて冷静な声で先を続けた。

 

 

 

「つまり、昼間現れたボガールモンスは、件のSDを盗み出した窃盗犯が、手に入れたSDの構造を始めとする様々なデータを基に自力で作り出した複製品、いわば違法にコピーされた偽物の可能性が極めて高い、という事です。本来、SDから実体化した怪獣は戦闘で倒されると、実体化するのに使っていたエネルギーが霧散して元の小さなSDの姿に戻り、消滅した現場の地面に残るようにできています。実際、ガーゴルゴンはそうやって人形に戻っていたところを見つけて回収しましたし、私が持っているファイブキングやエレキングについても同じ仕様になっています。けれど、あのボガールモンスに関しては、戦闘終了後、高性能センサーを使ってどれだけ懸命に一帯を探しても、元になったSDはおろか、そのプラスチック片一つすら発見する事はできませんでした。証拠隠滅のために、撃破されるとそのまま消えて無くなるようプログラムされていたのか、あるいは、そもそもまだ開発途中で未完成だったのか……。そこまでの裏事情はまだ分かりませんが、少なくともあのボガールモンスが私たちの管理していたSDでは無い事だけは断言できます」

「じゃあ、あいつが過去のデータには一切記録が無かった、あの目から放つ不気味な赤黒い光弾を使って来たのは……」

「製作の過程において、窃盗犯が自らの手で独自の改造を施していたから、と見るのが最も確実でしょうね。本物のウルトラマンや防衛隊を相手にどこまで戦えるか試すために出して来た試作品であり、同時に、奴にとって目障り極まりない存在であるGUYSとメビウスを確実に排除するための刺客でもあったのではないか。私と仲間はそう考えています」

 

 

 

 あくまでも状況証拠から組み立てたものでしかない星都の推論。しかし、極めて可能性の高い話として半ば確信の籠った声で告げられて、リュウだけでなく実際に司令室のコンソールであのボガールモンスの解析を行っていたテッペイも、眉間に深い皺を寄せて唸った。

 オペレーター兼科学解析担当として、あの戦場でボガールモンスが放っていた「過去の個体とは明らかに違う異質な気配」を客観的なデータとして目の当たりにしていたからこそ、星都が導き出した推論に対して妙な納得感を覚えている様子だった。

 

 

 

「うぅむ……難しい科学の話は、私にはサッパリ分からんのだが、つまりその……なんだ、星都くんや星都くんの仲間達から大切なSDを盗んで行ったその不届きな泥棒は、それらをサンプルにして自分の力で一からSDを作れてしまうほどに、恐ろしく高い技術力を持っておると、そういう事なのかね?」

「その通りですよ補佐官! 私も今、まったく同じ事を思っておりました!」

「怪獣のSDを作り出せるって事は、つまりそいつは、いつでも自分の好きな時に、色んな種類の怪獣に変身して襲って来れるって事でしょ?  ただの泥棒にしては、とんでもなく危険で最悪な事をしてるじゃない。星都、一体何者なの? その、貴方達の宇宙から沢山のSDを盗み出した泥棒って……」

 

 

 

 悩み過ぎて知恵熱を出しそうになりながらも、どうにか自分なりの今の星都の話を要約できたトリヤマに、マルがこれ見よがしに同調して頷く。そんないつも通りの二人を尻目に、マリナは彼女なりに星都達からSDを盗んだ窃盗犯が持つ危険性を察知し、額から一筋の冷や汗を流しながらその正体を問い掛けた。

 彼女の張り詰めた言葉に浅く首肯し、星都はいよいよ今回の事件における「黒幕」の正体を明かすべく続きを話し出す。

 

 

 

「その正体についてですが、特定は既に完了しています。『保管庫』内に設置していた防犯カメラに犯行時の映像が鮮明な形で残されていました。犯人はバロッサ星人。多次元宇宙においては広く『海賊宇宙人』の異名で呼ばれ、一族総出で宇宙を股に掛けた海賊・盗賊稼業を行っている迷惑極まりない宇宙人です」

「バロッサ星人だって……!? 星都さん、それは本当ですか!?」

 

 

 

 窃盗犯の名前を耳にした瞬間、それまで静かに話を聞いていたミライが、驚愕のあまりその瞳を限界まで見開いてガタリと身を乗り出した。そのあまりにも急激な反応の変化から察するに、「光の国」のウルトラ戦士である彼もまた、バロッサ星人の悪名は知っているらしい。

 

 

 

「ああ、本当だ。その驚き方からして、『光の国』でも奴らの手癖の悪さと厄介さは有名みたいだな」

「はい……。宇宙の旅人達の間でも、できれば遭遇したくない宇宙人の筆頭格と言われています。兄さん達も、様々な場面でかなり手を焼かされたと言っていました……」

「おいおいおい、二人だけでどんどん話を進めないでくれよ、アミーゴ! 俺達を置いてけぼりにするなんて酷いぜ! そのバロッサ星人とか言うのがどんな宇宙人なのか、俺達にも分かりやすく教えろって!」

 

 

 

 完全に蚊帳の外に置かれそうな気配を察して、すぐさまジョージが二人の間に割って入って来た。

 天才ストライカーならではの、わずかな変化も見逃さないその慧眼に内心で深く感心しつつ、星都とミライは改めてGUYSの仲間達へと向き直る。

 

 

 

「バロッサ星人は、星都さんが今言っていた通り、とても厄介で手癖の悪い『宇宙の盗賊』です。他人が持っているもの、汗水垂らして作ったものを盗もうとする習性があり、奪った他人の武器をそのまま自分の手足のように使いこなす事ができるんです。僕が光の国で知るだけでも、本当に沢山の星々から色んな道具や武器になるものを盗み出していて、宇宙警備隊の元には毎日のようにバロッサ星人に関する強盗や盗難の被害報告が届いていました」

「あいつらの同族の一人曰く、『盗賊稼業こそがバロッサ星人の誇りでありプライドである』らしいですからね。私が知る『次元宇宙の歴史』の中には、あのペダン星人が造る巨大ロボット兵器『キングジョー』を、彼らの宇宙ドックからまるまる一体強奪してみせたヤツもいるくらいです。彼らの『盗み』に対する並々ならぬ執念と腕前は、並み居る宇宙人の中でも相当なものであると言わざるを得ません。また、バロッサ星人は宇宙人でありながら卵を産んで増える『卵生』の生物で、一人の星人につき血の繋がった兄弟が一万人は存在すると言われています。種族としての仲間意識や結束力も非常に強いため、下手にバロッサ星人と戦って倒してしまうと、その一万人いる兄弟達が次から次へと、敵討ちのために波状攻撃を仕掛けて来ます。とにかく執念深く、狡猾で、卑怯。そこらの下手な侵略者よりも、よっぽど性質が悪い存在だと考えて良いでしょう」

 

 

 

 実際、『ウルトラマンZ』本編においては、主人公のウルトラマンゼットとナツカワ・ハルキのコンビによって初代バロッサ星人が撃破されて以降、その復讐に燃える血を分けた兄弟達が幾度となく地球に襲来し、ゼットや防衛チーム「ストレイジ」と激しい戦いを繰り広げていた。

 星都の記憶では、後のシリーズまで含めると合計で「六代目」まで登場しており、その人数の多さやしつこさから彼を含めた特撮マニア達の間では「令和のバルタン星人」との呼び声も高い。

 

 ミライと星都による解説の進行に合わせて、コノミが「ドキュメントUG」のデータベースから即座に「宇宙ロボット キングジョー」の項目を探し出し、テッペイがみんなにも一目で見えるようにコンソールを操作して、あの金色に輝く分離合体ロボットの三面図を含めた詳細な科学データを正面の巨大なメインモニターに表示させていた。

 その、阿吽の呼吸とも言える二人の手慣れた連携によって、リュウ達にもバロッサ星人が持つ底知れない厄介さと危険性がより強く伝わったらしい。現にトリヤマなどは、モニターに映る画像を見上げて「バロッサ星人とは、こんな恐ろしい巨大ロボットまで盗み出すようなヤツなのかね!?」と驚愕していた。

 

 

 

「星都さん。その、僕達が今いるこの地球に紛れ込んでいるバロッサ星人なんですが……奴の全体的な姿や外見の特徴が分かる画像か何かは手元にありますか? もしあるなら、僕達にも見せてほしいんですが……!」

「分かりました。丁度、こちらの宇宙へ来る直前に受け取っていたUSBメモリの中にデータがありますので、今から皆さんにお見せしますね」

 

 

 

 GUYS隊員としての職務が三割、未知の宇宙人に対する知的好奇心が七割を占める表情を浮かべたテッペイからの頼みに、星都は快く頷いた。

 

 一言断りを入れてから彼の隣のコンソールを一つ借り、ジャケットの内ポケットからアイテムボックスを経由して取り出しておいたUSBメモリをインターフェースに差し込んで、中に保存されていた画像データを呼び出した。

 星都がキーボードを叩くと、メインモニターに表示されていた画像がキングジョーのデータからバロッサ星人の全体のシルエットを映した画像に切り替わる。表示させたのはもちろん、「アイテム保管庫」の中でリヤンゴンが好き放題にSDを漁っては盗んで行く瞬間を捉えたあの画像だ。

 

 

 

「……こいつが、バロッサ星人……!」

「うわぁ……全身に変な渦巻き模様があって、見るからに不気味って感じがする宇宙人ね……」

「こいつが、昼間戦ったガーゴルゴンやボガールモンスを裏で操っていた、今回の怪獣出現の黒幕って訳だな……!」

「不気味な見た目と言い、青く光る両目と言い、夜中の帰り道には絶対に出会いたくありませんね……」

 

 

 

 ようやく、自分達を脅かしていた敵の具体的な姿をその目で捉える事ができたリュウ達は、「この手で必ずとっちめてやる」という強い意志をその胸に灯し、リヤンゴンの身体的特徴や外骨格の形状を、可能な限り己の目と脳に焼き付けていく。

 その傍らで、マルが顔を青くさせながら呟いた子どものように情けない感想については、司令室の全員から綺麗にスルーされていた。

 

 

 

 

「今回、私達から大量のSDを盗み出してこちらの宇宙へ逃亡したバロッサ星人は、彼らの中でも特にコンピューター内部の様々な機密情報を暴き出すハッキング技術に長けた極めて危険な個体です。ただSDを盗み出すだけでなく、保管庫のメインコンピューターに侵入して、怪獣に関する様々なデータを根こそぎ閲覧・コピーしていた形跡も確認されています。ヤツがこれらのアイテムや情報を盗み出して、一体何を企んでいるのか……そこはまだ調査中ですが、今日の昼間、独自の改造を加えた試作品のSDを投入して暴れさせた件から考えても、ヤツの目論みが一片たりとも見過ごす事の出来ない、極めて悪辣なものである事は間違いありません」

 

 

 

 星都は一度言葉を切り、モニターに映る青白い瞳の宇宙海賊を鋭い眼差しで見据えた。

 

 

 

「このバロッサ星人が作り出しているであろうSDが完成し、私達の手に負えなくなるほどの凶悪な軍勢として拡散されてしまう前に、ヤツを逮捕して残る二十九組すべてのSDとギンガスパークを一つ残らず奪還し、SDの製造に関するすべてのデータを破棄する。それこそが、私が時空を越えてこの宇宙へやって来た目的なんです」

 

 

 

 防衛隊員としての厳しい表情でモニターに映る黒幕を睨むリュウ達の背に向けて。

 

 異なる次元宇宙より来訪した怪獣使いの戦士は、自らのブレない覚悟の言葉を、熱く、重々しく響かせて締め括るのだった。

 

 

 




(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか


(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!


(=◎ω◎=)<文章中に「変身アイテムの無いウルトラマンにも変身できるアイテム云々」という記述がありますが


(=◎ω◎=)<頌栄さんの「具現化能力」は、使い方次第でこんな事もできちゃいます


(=◎ω◎=)<比喩抜きで「万能」とか「神の域」とか


(=◎ω◎=)<そういうレベルの話になる激ヤバ能力なので


(=◎ω◎=)<使用にはガチで細心の注意が必要です


(=◎ω◎=)<使い手が頌栄さんで本当に良かったですな……


(=◎ω◎=)<今回のお話で、pixivに投稿している「合体版」の第七話が終わりました


(=◎ω◎=)<「合体版」第七話の投稿は八月十五日


(=◎ω◎=)<ハーメルン版の投稿も、同じく八月十五日を予定しております


(=◎ω◎=)<お楽しみに!


(=◎ω◎=)<それではまた次回、お会いしましょう!


(=◎ω◎=)ノシ
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