ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<前回のお話でガンQ関連の話題について突っ込んだので
(=◎ω◎=)<今回はそこから派生して過去のデータの中身を全部洗います
(=◎ω◎=)<勿論、星都のバックには天才ハッカーたる太郎がいるので
(=◎ω◎=)<面白おかしくかつ速攻で暴いてくれるんですけど
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
その後、早速とばかりにテッペイやコノミ協力の下、「
先ほど見つかったガンQのデータは、コノミ曰く「かなり奥の方にあった」との事で、他にも同様の記録が遺されている場合、似たような場所に保存されている可能性が極めて高い。
そのため、調査は時間を掛けて慎重に進められる事となった。
しかし、星都にそれを悠長に待っている暇は無い。いつまたリヤンゴンが動き出すか分からない以上、のんびりしている訳にはいかないのだ。
『普段通りなら慎重にやるに越した事は無いんですよねぇ~。膨大なデータファイルの中に「かくれんぼ」してる訳ですし、見落とす可能性はできる限り無くしておくのが正解です。た~だ~しっ! 今回ばっかりは事態が事態ですんで、正確性と一緒に速さも重視しておきたいところ! という訳で、ボクも陰からこそっと「お手伝い」しちゃいましょう♪』
「連合軍」が誇るチーフ・オペレーターはこの上なく優秀だ。何も言わずとも、星都の意図する事を汲んでキーボードの打鍵音を響かせ始める。
本来、別の次元宇宙にいる太郎がGUYSのコンピューターにアクセスする事はできない。だが、今回は星都が所持していたUSBメモリに太郎謹製のコンピューターウイルスが仕込まれており、そこを取っ掛かりに裏からこっそりハッキングしてGUYSのコンピューターに入り込んでいた。
彼がメモリに仕込んでいたウイルスは極限までステルス機能に特化したもので、現時点で人類が持つIT技術ではまず検出する事ができない。また、現在も稼働中の「ワールド・エンド・ハウンド」ともリンクしているため、次元宇宙間での操作が可能だ。
今回はこれを使ってGUYSのサーバーに橋頭保を作り、そこから侵入してアーカイブ・ドキュメントを掘り返すのである。
当然ながら太郎がやっている事は不正アクセスであり、バレれば一発でアウトだが、そこは彼の腕の見せ所だった。
『今回は発掘作業のお手伝いをするだけで、他に何か変な事をするつもりはありませ~ん。テッペイさん達は早く作業が進む。星都くんは時短ができる。GUYSは不利益を被らない。三方向でwin―winなやり方ですぞ~!』
軽快でノリノリな声がインカムのスピーカーから聞こえてくる。
優れた分析力や洞察力を持ち、言われた事以上の成果を出してくれるが、本当の意味で「やらなくて良い事」はまずやらない人物だ。星都もそんな太郎を信頼しており、彼が「変な事をするつもりは無い」と言うのならそうなのだろう、と受け入れていた。
そうして待つ事数十秒。待ちに待った報告が飛び込んで来た。
『星都くん星都くん、隠れていたファイルの場所なんですけど、全部割り出せましたぞ。今からその場所を言いますんで、しっかり記憶してくださいな』
(了解)
一分と掛からずに欲しい情報を探り出してしまった太郎に「流石だな」と苦笑交じりの感想を抱きつつ、星都は知らされたファイルの場所を脳内のメモ帳にしっかりと書き記す。
そして、コンソールで作業に臨んでいるテッペイとコノミの元へ行き、邪魔にならないよう注意しながら画面を覗き込んだ。
「テッペイ、ここのファイルは開いてみたか?」
「え……? ああ、そこはまだ見てないですね。次はここを行ってみましょうか」
「コノミは……おっ、結構進んでるな。こういうのは得意なのか?」
「はい! いつもやってる事ですから!」
「なるほど、慣れてるって訳か。流石だな。ちなみにこのファイルは見てみたのか?」
「あっ、はい! 見ました! 特に何も変なところはありませんでしたけど……」
「探してるのは『秘匿情報』だからな。『ファイル内の特定の場所にカーソルを当てなければならない』とか、そういう簡単にゃ見つからないような工夫をしてるはずさ。試しにさっき言ったやり方をこのファイルでやってみて、それから次に行くのも悪くないと思うぜ」
「分かりました! やってみます!」
さり気無く太郎からの報告にあった場所へ二人を誘導しつつ、星都もサブコンソールからアーカイブ・ドキュメントの中を漁る。
そして、検証作業を始めてから数分後、一通りの「秘匿情報」を探し出す事ができた。
「こうして見ると、案外多いんだな……」
「今ここに映し出されてるデータに書かれてる事件で、例のバロッサ星人が関わってる可能性があるって事よね?」
「はい。詳細な内容を確認してみたところ、バロッサ星人と思しき怪しい宇宙人に関する記述や、星都さんと同じく『人形のようなアイテムを使って怪獣に変身する人物』の存在を示唆する記述、その人物達の一部が協力してくれたという記述がありましたので、まず間違いはないでしょう」
メインモニターに表示されたデータ群を見上げるリュウやマリナ達に、テッペイが確信に満ちた表情で頷いた。
集まったデータは、ガンQのものを含めて数件。この世界線における地球防衛軍の戦いの歴史から見れば微々たる数だが、これらすべての裏に同一の宇宙人が絡んでいるとすると、受ける印象はまったく違って来る。
『うへぁ……こんなにあっちゃこっちゃ行きまくってて、リヤンゴンのヤツは本気で何がしたいんでしょう……。あいつの動機や行動の意味を探ろうと思って情報を集めてるはずなのに、知れば知るほど訳ワカメですよ。盗んだSDや創ったSDを使ってただ「遊びたい」だけの愉快犯って訳でも無さそうですし、目的がサッパリ読めません。こいつの頭の中はどーなってるんだか……』
(リヤンゴンの頭ん中とか知らないし、知りたくも無いな。理解できたらあいつと同レベルのクソに堕ちるって事だろ。そんなん死んでも嫌だね。『宇宙のゴミ』はとっとと怪獣墓場にでも行っとけ)
心底げんなりした様子の太郎とは対照的に、星都は脳裏にリヤンゴンの顔を思い浮かべると、それに向かって心の中で思いっきり舌を出して中指を突き立て、トドメに首を掻き切る真似をしてやった。意外と態度が悪いのである。
「なぁ、星都。お前と同じようなアイテムを使ってたヤツらがいて、そいつらの一部が力を貸してくれたって話だが、ひょっとしてそいつらはお前の仲間だったりしないのか? 確かお前、さっき『民間の防衛組織で働いてる』、『他にも仲間がいる』って言ってただろ?」
「そうだな……」
振り向いたジョージにそう問い掛けられ、星都は軽めに記憶を掘り起こしながら彼の隣に進み出た。
「……実際にその現場に立ち会った訳じゃないから断定はできないが、『人類やウルトラマンの味方として出て来た』って書かれてる方の怪獣の顔ぶれを見る限りだと、確かにその可能性はあるだろうな。どれもSDになった状態で『保管庫』に収容されてるところを見た事があるし、実際に使って戦ってる連中にも心当たりはある。ただ、他にも次元宇宙は数え切れないほどあるんだ。中には俺達と同じようにSDやギンガスパーク、あるいはそれとよく似たアイテムを使って怪獣や宇宙人と戦う者がいたとしても、全然不思議じゃない。単純にそいつらも一緒くたになってるだけって事もあるから、あまり考え過ぎても意味は無いと思うぞ」
太郎が言っていた通り、これらのファイルに記されている情報はGUYSの面々からすれば「過去の出来事」だが、星都からすれば「これから起きるであろう未来の出来事」である。
当時、ウルトラマンや防衛隊と共に敵と戦ったウルトラ怪獣は、確かにどれも「アイテム保管庫」に仕舞われていたり実際の戦闘で使われていたりするところを見た事があるものの、本当にそれが「連合軍に属する仲間が使っていたものである」という確証は無い。
故に星都は、確定的な情報を混ぜつつも肝心な部分で断定はしなかった。暗に「参考程度に聞くだけに留めろ」と伝えているのである。
問い掛けたジョージや聞き耳を立てていたリュウ達も、星都の来訪によって「マルチバース」に関する知識が身に付いていたため、彼の回答を受けて「それもそうだな」と納得していた。
あくまでも興味本位の質問だったという事もあり、明確な答えを求めていた訳では無いのだ。
「ありがとうございます、サコミズ隊長。皆さんの協力のおかげで、バロッサ星人に関する情報を集める事ができました。この秘匿情報に記されている件だけにはなりますが、仲間内で共有して何らかの対策を打てるようになるでしょう」
「そうか。役に立てたようで何よりだよ」
感謝の言葉を述べて静かに頭を下げる星都に、サコミズも穏やかな微笑みを浮かべて頷いた。
それぞれの情報ファイルに記された事件について、中には具体的な発生時期に関する記述が少なく、曖昧なものもある。そのため、後ほど一旦情報を持ち帰って内容を精査したり、各シリーズ作品の時系列と照らし合わせたりといった作業を行うべきだろう。
ある程度まで時期を絞り込む事ができれば、次にリヤンゴンが該当する時代に向かった際の大きなアドバンテージになるはずだ。
そう考えた星都は、早速インカムの向こうにいる頼れるオペレーターに指示を出そうとした。
が、それよりも先にこちらの方が早く動いた。
『という訳で、こそっとまるっと情報をコピーしてこっちのサーバーにダウンロードしておきまぁす♪ 星都くんが帰って来るのを待ってるだけじゃ退屈過ぎて一気に千年くらい老け込んじゃいますし、そもそも時間がナイナイナ~イの勿体無いんで、こっちもスマートに時短しちゃいましょう!』
リズミカルなタイピング音が響いた直後、インターフェースに接続されていたUSBメモリの上部側面に一瞬だけ緑色の小さなランプが点灯した。言葉通り、さっさとすべてのファイルをダウンロードして内容の精査に入るつもりらしい。
行動が的確で速いのは確かに助かるが、ここまでこちらの思考を完璧に読み切られていると逆に背筋が寒くなる。星都の思考回路が読みやすいだけなのか、それとも太郎の洞察力が常軌を逸しているのか、非常に判断が付きづらい一幕だった。
また、「背筋が寒くなる」という訳では無いものの、先ほどからサコミズとミサキが向けてくる視線に、何故だか奇妙な居心地の悪さを覚えて仕方が無い。まるで何かを見透かされているかのような、そんなこそばゆい感覚が星都の体に走っていた。
今回の目的は「秘匿情報」を見つけ出す事だ。
テッペイとコノミに星都が加わって三人で作業をこなしていたとはいえ、膨大なデータファイルの中から目当てのもの、それも普段は隠されているファイルを探し出すには、通常であれば膨大な時間が必要となる。しかし実際には、ものの数分で必要なファイルの在り処をすべて洗い出して一か所に纏めていた。
見つからないように隠されていたものが、星都が加わっただけで面白いように早く見つかる。ウイルス自体は検出されずとも、サコミズ達の明晰な頭脳ならば「星都には他にも何かがある」事などすぐにでも察せられるだろう。
何しろサコミズは、世界中にあるGUYSの基地を束ねる最高責任者であるタケナカ最高総議長と同い年かつ旧知の仲で、見た目よりも遥かに老練な人物だ。
そんなサコミズの右腕であるミサキも頭脳明晰な才女であり、二人とも決して油断してはならない相手である。もしかしたら、星都のバックにいる優秀なオペレーター、すなわち太郎の存在にも薄々は感付いているのかも知れない。
そんな彼らの「すべてを察した上で、あえて口を出さずに見守ってくれている大人の余裕」とも取れる、温かくも鋭さを秘めた視線に耐え切れず、さっさと話題を変えようとした、まさにその時。
——ぐぅううううううぅぅぅぅうううううぅぅぅ~~~~~~~~……………!
不意に、奇妙な音が司令室内の空気を震わせた。
子どもの頃から聞き覚えがあり過ぎる音に、発生源を探して視線を動かしてみると、顔を真っ赤にしてお腹を押さえているミライの姿があった。
たったそれだけで彼が何を言いたいのかを察した星都は、目尻を柔らかく下げて穏やかに声を掛ける。
「ははっ、随分と元気な『腹の虫』を飼ってるな、ミライ」
「す、すみません……我慢がそろそろ利かなくなって来てて……」
「気にするな気にするな。昼間、あれだけ激しく戦ったんだ。腹ぐらい空いて当然さ。時間も時間だし、この辺りで一旦切り上げて食事にしようか」
時計は既に、午後七時半に差し掛かっていた。一般的な社会人の夕食時は大体午後七時~八時あたりなので、ミライのように空腹を訴える者が出て来ても全然おかしくない時間帯である。
「そうだね。ではみんな、少々遅くなってしまったが夕食にしよう」
サコミズからも許可が出たため、星都による状況説明から始まったミーティングは一旦ここで中断する運びとなった。
「今日は何にしよう」「俺も腹ペコだぜ……」「ミライ! 今日は大盛りカレーで競争だ!」「受けて立ちますよ、リュウさん!」と和やかに談笑しながらみんなが基地内にある食堂へ注文に向かおうとした時、星都が「良い事を思い付いた」とでも言いたげにポンと手を鳴らした。
「そうだ。昼間の『的当てゲーム』の優勝賞品も兼ねて、ジョージの分の食事は俺が作るよ」
『えっ!?』
そのあまりにも突拍子の無い提案に、その場にいた全員が目を丸くした。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<「メビウス」を含む「M78時空」で
(=◎ω◎=)<リヤンゴンが他にも事件をいくつも起こすフラグが建ちました
(=◎ω◎=)<過去に遡って色々とやらかす(やらかしている)ので
(=◎ω◎=)<次章以降の内容に関する伏線も兼ねて
(=◎ω◎=)<どこに行く事になるのか考えながらお待ち頂きたく思います
(=◎ω◎=)<ちな、サコミズ隊長とミサキは既に太郎の存在に感付いてます
(=◎ω◎=)<だってどっちも頭良いし、サコミズは老練な人物だし
(=◎ω◎=)<寧ろ感付かない方がおかしいまであります
(=◎ω◎=)<この二人だけでも結構手強いよね!
(=◎ω◎=)<次回は八月二十三日(日)更新予定
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ