ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~   作:通りすがりの大学生

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(=◎ω◎=)<どうも読者の皆様、おはこんばんちは! 作者です!


(=◎ω◎=)<今回は箸休め


(=◎ω◎=)<GUYSメンバーの目の前で星都が料理します


(=◎ω◎=)<三十四話で開いたウルトライブ体験会


(=◎ω◎=)<その一環として即興企画した的当て大会の優勝賞品ですね


(=◎ω◎=)<リュウ達の反応も含めて乞うご期待!


(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!


第四十話 美味なる食事を召し上がれ(※食べられるのはお一人様のみです)

 

 

 

 フェニックス・ネスト内部にある食堂は、昼夜を問わず活気に溢れたGUYS職員達にとっての「憩いの場」だ。数百人規模の人数を収容可能なほど広く、隅々まで清掃や手入れが行き届いた綺麗な大空間。それが日々の激務に励む者達のために二十四時間いつでも開放されており、定番メニューだけでなくデザートや季節限定メニューなどの各種ラインナップも充実している。

 厨房のスタッフ達は三交代制でシフトが組まれていて、特に朝・昼・夕の食事時ともなると、その忙しさと騒がしさは戦場の如くであった。

 

 

 時間は午後七時四十分を過ぎたあたり。

 夕食時のピークこそ越えてはいるものの、そこを避けてのんびり食事をしたいと考えていたであろう職員達で食堂はまだまだ賑わいを見せている。

 当然ながら、客の姿が多いという事は厨房も忙しいという事。ピーク時ほどでは無いにせよ、今もスタッフ達が声を掛け合いながら厨房の中を走り回っていた。

 

 そんな「料理人達の戦場」とも呼べる場所の片隅に、見慣れない影が一つ。

 普段着である青のテーラードジャケットと白の無地Tシャツから清潔なコックコートに着替え、腕捲りをして真剣な眼差しで食材と向き合っている男性。それは勿論、星都である。

 食堂へ繰り出す前に言った「ジョージへの優勝賞品」を作るため、厨房を預かる責任者に頭を下げて調理台を一つ借りているのだ。

 

 そこから少し離れた食堂と厨房を隔てるカウンター台には、サコミズとミサキを除く司令室にいた面々がずらりと並んでおり、全員の視線が星都の手元に釘付けになっていた。

 ここにいないサコミズとミサキの二人は司令室にて待機中。

 フェニックス・ネストは軍事基地であり、勤める者はみんな、二十四時間三百六十五日作戦行動中のようなものである。何が起きても即座に対処できるよう、司令室を空にする訳には行かない。そのため、食事時には交代で最低でも一人は司令室に滞在するように定められているのだ。

 

 

 

「しっかし、本当に大丈夫なのかね……? あれほど自信満々に宣言しておいて、出て来た料理が不味かったら赤っ恥どころでは無いぞ?」

「いえ、補佐官がそう言いたくなるお気持ちも分かりますが、おそらくその心配は要らないと思いますよ。ほら、あれを見てください。素人目に見ても、あの動きが料理の初心者のものではない事くらいは分かります」

 

 

 

 厨房に立つ星都を胡乱げな目で見つめるトリヤマに、マルが指差しながらフォローを入れる。

 彼の言う通り、包丁を握る彼の手際は、料理に不慣れな者でも一目で分かるほどスピーディで洗練されていた。肉や魚を捌き、野菜を切り、フライパンを振るう。どれ一つ取ってもミスや迷いは一切無く、すべての工程がまるで予定調和であるかの如く進んでいる。

 プロのシェフ顔負けの手際の良さに、何時しかトリヤマだけでなくリュウ達も静かに見入っていた。

 

 

 じゅうううううぅぅぅぅぅぅ……………!

 

 

 油を引いて熱したフライパンで何かを焼いているのだろう、聞くからに美味しそうな音が一同の耳朶を打つ。続いて漂って来た香しい匂いが、一同の胃と食欲を直撃した。

 

 

 

「す、すごく良い匂い……」

「ふわぁ……これだけでもうお腹が空いて来ちゃいますぅ……」

「やべ、美味そう過ぎて涎が止まんねぇ……」

「は、早く食べたい……ッ!」

 

 

 

 気を抜くと比喩では無く本当に口から涎が出て来そうな気がして、慌てて服の袖で口元を拭ったり唾を飲み込んだりする者が続出する。

 実際、星都が振るうフライパンから溢れる匂いは、それほどまでに美味しそうなのだ。

 言わば「香りの暴力」。生物の本能に潜む食欲を直接殴り付けてくるような、そんな抗いがたい魅力と引力に満ちていた。

 後日、リュウ達はこの時の心境を指して「匂いにも味ってあるんだな」と言っていたとかいなかったとか。

 

 そんな彼らの身悶える様子を横目でちらりと確認した星都は、「しょうがないな」とばかりにフッと微笑むと、たった今出来上がったばかりの料理を小さく一口大に切り分け始めた。続いて味見用の小皿を人数分用意して、その上に爪楊枝と一緒に料理を載せ、盆に並べてリュウ達の目の前に差し出す。

 

 

 

「そんなにねっとり見つめられると背中がぞわぞわして、調理に集中しづらくなるぜ。取り合えずこれでも食べて、その腹の虫を少しでも大人しくさせてくれ」

「い、良いんですか!?」

「ああ、良いよ。俺としては上手くできてるつもりなんだが、やっぱ他の人の感想も聞きたくなるもんだ。『ゲームの参加賞』兼『味見』とでも思って、遠慮せずにな」

 

 

 

 今回みんなに試食として出したのは、「厚揚げの豚バラ巻き」だ。

 薄切りにした豚バラ肉で厚揚げを巻き、塩コショウを少し振って焼くだけという、お手軽ながら非常にボリュームのある一品。味の決め手は、ポン酢とマヨネーズ、刻みニンニク、オイスターソースを混ぜ合わせて作る「マヨポンガーリックのたれ」である。

 

 シェフ・星都の粋な計らいに目を輝かせた一同は、我先にと小皿に手を伸ばし、爪楊枝を料理に刺して口に運ぶ。ぱくり、と頬張った瞬間、全員の目の輝きが更に増した。

 

 

 

「うめぇ!!」

「え、やだ……美味しい……ッ!」

「このガツンと来る感じが堪らねぇ!」

「凄い! 本当に美味しいですよ!」

「うむうむ! マルの言う通りだったな! 要らん心配をしておったようだ!」

「これだけでご飯を何杯でもいけそうです!」

 

 

 

 口々に絶賛し、表情を綻ばせる一同に、星都も「なら良かった」と胸を撫で下ろす。

 この料理は確かにシンプルでお手軽だが、そういうシンプルな料理にこそ作り手の力量がダイレクトに出るものだ。下手に手の込んだ料理を出すよりも緊張していたけれど、喜んで貰えたようで何よりである。

 

 

 

『あ”~、画像だけで涎がじゃんじゃか湧き出して来るんじゃあ~……! お腹が空いて空いて仕方が無いんじゃあ~……! 良いな~、良いな~! GUYSの皆さんは匂い嗅げて試食までできて良いな~!! こちとら画像と音だけ! 目と耳だけでしか星都くんの料理を味わえないんですよぉ~! こんな生殺しの半殺しは他にありませんって! ボクだって地球の平和のために人知れず頑張ってるって言うのにぃ~! なんでこんな拷問じみた時間を耐え忍ばなきゃならんのですかぁあ!? 帰還したらソッコーで星都くんの料理をフルコースでたっぷり堪能できる権利を所望します! できればメニュー全部ボクの好物だらけにできる特別リクエスト権付きで!!』

(駄々っ子かよ!? リュウ達に嫉妬したいのか、それとも功績で張り合いたいのか、どっちかにしろ! てか、羨ましがるのは良いけど、四十過ぎたおっさんが口にして良いセリフじゃないぞ! 帰ったらちゃんとリクエスト聞いてフルコースで食わせてやっから、みっともなく騒ぎまくるんじゃない!!)

 

 

 

 誰も見ていないのを良い事に、部屋の床でゴロンゴロン盛大に転げ回りながらブーブー文句を言いまくっている太郎へ向けて、星都の鋭いツッコミ(超小声バージョン)が飛んだ。

 言動だけを聞いていると、本当に彼が自分よりも年上なのか疑いたくなってしまう。そんな気持ちになるほど、太郎のセリフは良い意味で若々しく、悪い意味で子どもっぽかった。

 

 そこへ、料理の味に感激したミライがカウンターから身を乗り出して来た。

 

 

 

「星都さん! こんなに美味しい料理が作れるなんて思いませんでした! 星都さんは一体どこでこれほどの腕を身に付けたんですか!?」

「あー……それは俺の父が理由だな。ウチの母はめっちゃ大食いでさ、よく大食いチャレンジをやってる店や大食い大会に顔を出してんだ。あまりにも食い過ぎて出禁になったトコも多くてな……だったらって事で、父が自前でメシを用意するようになって、そっから俺も料理に興味持ったのが切っ掛けだ。元々、ウチの父は料理上手だったし、やってみたら案外楽しかったしで、気が付いたらこうなってた」

「料理上手って、星都さんのお父さんはどこかでお店でもやってたんですか?」

「うんにゃ、料理はあくまで趣味だ。レストランとかで料理人として勤めてた訳じゃない。ただ、ちょくちょく星付きの店とかから勧誘のお便りが来てたから、相当美味いのは間違いないな」

 

 

 

「星付きの店」と聞いて、リュウ達は益々驚愕した。それはつまり、ミシュランガイドに掲載されるような料理店から「是非ウチに」とスカウトされているという事だ。そして、星都の口ぶりから察するに、彼の父親は有名料理店からの勧誘を断り続けている事になる。

 民間の地球防衛組織に所属しながら、それほどの料理の腕を持つ星都の父親とは、一体何者なのだろうか。思わぬところからまたもや星野谷星都という男に関する謎が深まった瞬間だった。

 

 

 

「さ、そろそろ俺は調理に戻るから、みんなも司令室で席に座って大人しく待っててくれ。あと十分、掛かっても十五分以内には持って行くよ。あ、んでも、食べられるのはジョージ一人だけだから、すまないが他のみんなは我慢してくれな?」

『えぇ~~~~~~~~!!!?』

 

 

 

 星都が作る料理が美味し過ぎてすっかり忘れていたが、彼が作っているのはジョージへの優勝賞品である。つまり、一人前だけだ。

 その事を思い出して、あるいは忘れたかった現実を突き付けられて、リュウ達はまるでこの世の終わりのような表情でショックを受け、反対にジョージは期待に胸を膨らませながらフフンとドヤ顔をしていた。

 

 それから十五分後。

 

 作戦司令室に戻ったGUYSクルー達の前に、本日の夕食となる品々が運び込まれた。

 部屋の中央に鎮座するラウンドテーブルの上にラーメンやカレー、チャーハン、うどん、日替わり定食といった食堂の定番メニューが並べられていく中、ジョージの前には他の料理とは一風変わった品々が載ったお盆が置かれる。

 

 先ほど試食した「厚揚げの豚バラ巻き」に加え、鶏もも肉と旬の野菜がふんだんに使われた「野菜ゴロゴロから揚げ」、パン粉の代わりに細かくしたオートミールとおからパウダーを衣に使った「豚ヒレ肉のおからオートミールとんかつ」、ブロッコリーやパプリカなどをお茶漬けの素で和えた「お茶漬けサラダ」、千切り野菜に塩を振って水分をよく切ったあと、提供する直前にしじみ塩やいりごまで和えた「うま塩コールスロー」と、彩り豊かで栄養も満点の特製料理の数々だ。

 これらはすべて、星都が手ずから調理した逸品である。

 

 

 

「す、すげぇ………めっちゃ美味そう…………!」

「今回は時間があんま無かったからな。美味くて手軽に作れてガッツリいける品を選んでみた。高タンパクで低脂肪、カロリー控えめ。アスリートの体作りにゃもってこいだぜ」

「マジかよ、星都! 俺にピッタリの料理じゃねぇか! Muchísimas gracias(本当にありがとな)!」

 

 

 

 プロサッカー選手として日々の食事にも気を使っているためか、星都の説明を聞いたジョージの目が更に輝きを増した。そして、「良いな~」と恨めしそうな視線を投げ付けてくる他の面々を尻目に、「いただきます!」と宣言して早速料理を食べ始める。

 

 

 

「うめぇ!! やば、マジで美味い! 最高!!」

『う~ん、語彙力が貧相を通り越して死んでます! 食レポの体を成していませんね! 十点です! やり直し!』

(そんだけ美味いと思ってくれてるって事だろ。別に食レポとか求めてないから、語彙力死んでても構わんよ俺は)

 

 

 

 物凄く幸せそうな笑顔で次々と料理を頬張るジョージに、口を尖らせた太郎が辛辣な評価を下した。その声には明確に「星都の料理を食べられるなんてズルい!」という気持ちが浮かんでおり、リュウ達だけでなく彼も心の底からジョージを羨ましがっている事が分かる。

 

 そんな彼を心の中で宥めつつ、星都はジョージの様子を見て満足そうに微笑んでいた。

 自分が丹精込めて作った料理を食べて、「美味しい」と言って貰う。それは料理人にとって、お金には代えられない最高の報酬であり、喜びであった。

 

 

 

「くっそぉ~~~………羨ましいぜ………! おい、ジョージ! 一口、いや一欠片だけで良い! 俺にも食べさせてくれッ!」

「ずるーい! 私もー!」

「後生よ、ジョージ! 私にも食べさせてッ!」

「ダメだダメだダメだ! これは俺が自力で勝ち取った『賞品』だぞ! 誰がお前らにやるか!」

「あ”ぁ”~~~~~…………なんで僕はあの時、もっとしっかり狙って光線を撃たなかったんだ………!」

「わ、私だって、光線さえ出ていれば今頃は……ッ!」

「僕も星都さんの料理をもっとしっかり食べたい……! でもあれはジョージさんの物だし、下手に強請る訳にも行かないし……!」

 

 

 

 全力で皿を死守しながらバクバクと食べ進めるジョージと、血涙を流さんばかりの勢いで打ちひしがれるリュウ達。司令室の中は、これ以上無いほど勝者と敗者の明暗が分かれた、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

 注文した料理が届くまでの間に食堂で何があったのかを聞いていたサコミズとミサキは、その光景を見て流石に苦笑いを浮かべている。

 

 

 

「星都さんッ! こうなったら後日でも何でも構いません! 僕達にも貴方の料理を食べさせてくださいッ!! お金ならいくらでも払いますからッ!!」

 

 

 

 必死の形相で縋り付きながら懇願して来るテッペイに、星都は深く溜め息を吐いて頭をぽりぽりと掻きながら頷いた。

 

 

 

「分かった分かった。ジョージ以外のみんなにも、あとで食事を作ってやる! だから安心して、早いところ自分の分のメシを掻っこんどけ。GUYSの実働部隊にもたもたしてる暇は無い。そうだろ?」

「絶対だぞ! 絶対! もし嘘吐きやがったらブッ飛ばすからな!!」

「私も補佐官権限を使って何をするか分からんぞ! それが嫌ならいつか必ず料理を作るのだ!」

 

 

 

 リュウとトリヤマから血走った目で同時に迫られて、その迫力にさしもの星都も冷や汗を流す他無かった。

 二人とも、というよりジョージ以外の「星都の料理を食べられなかった面々」が必死過ぎる。まさか自分の料理でここまでぶっ飛んだ事態になるとは思ってもおらず、リュウ達に詰め寄られながら「俺、何か変なものでも入れたっけ……?」と内心で首を傾げる星都だった。

 

 尚、その様子をフォートレスの「趣味部屋二号室」で聞いていた太郎は独りでまたもや笑い転げていた。

 

 

 




(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか


(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!


(=◎ω◎=)<ウチの星都くんと父親の月光さんですが


(=◎ω◎=)<むっちゃくちゃメシウマキャラです


(=◎ω◎=)<スカウトをかけてくるお店の中には


(=◎ω◎=)<親子揃ってウチに来てくれ!


(=◎ω◎=)<と言ってくるところもあるレベルで美味いです


(=◎ω◎=)<リュウ達が阿鼻叫喚の大騒ぎになるのも頷ける話ですな


(=◎ω◎=)<ちな、メニューは「ウワサのお客様」というTV番組のレシピを参考にしました


(=◎ω◎=)<こーゆーのを思い付ける人って凄いですね


(=◎ω◎=)<次回の更新は八月二十六日(水)予定!


(=◎ω◎=)<お楽しみに!


(=◎ω◎=)ノシ
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