ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<今回からいよいよ「嵐」に突入
(=◎ω◎=)<(GUYSにとっては)見た事の無い怪獣が出現します
(=◎ω◎=)<何が出て来るのかは、開けてビックリ玉手箱
(=◎ω◎=)<本編の中にてご確認くだされ
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
多少(?)のハプニングはあったものの、滞りなく朝食を済ませた星都とテッペイは、連れ立ってフェニックス・ネストのヘッドブリッジ最上階へと向かった。
GUYS JAPAN実働部隊の面々は通常、何が起きてもすぐに対処できるよう作戦司令室・ディレクションルームで主に勤務するよう定められており、特段の事情が無い限りは一日の大半をそこで過ごしている。
星都も今は「GUYS JAPANの協力者」という扱いになっているため、彼らと同じように作戦司令室で待機するようサコミズから言われていた。
単なる「部外者」から明確な「関係者」へ格上げされたからには、GUYS JAPANの規定には従うべきであり、星都としても軍事組織と協力関係を結ぶのだからそれぐらいは当たり前だと思っていたため、特に不平不満は無い。
それに、GUYSのみんなを近くでもっと見ていたいというファンとしての欲求もある。「断る」「嫌がる」という選択肢は、最初から星都の中には一ミリたりとも存在しなかった。
「星都さん星都さん! 司令室に着いたら、早速データの詰め切れていない部分をやりますよ!」
「おいおい、まだ弄る箇所があるってのかよ。昨日の時点でデータは粗方入力し終わったんじゃないのか?」
「何を言ってるんですか! 星都さんだって何時までもこっちの世界に居られる訳じゃないんでしょう? 今のうちにできるところまでやって、より完璧な形に近づけておきたいんです! 善は急げですよ!」
そう言って「待ち切れない」という感情を全身で表現しながらどんどん先へ進むテッペイを、星都は苦笑しながら追い掛ける。
彼の言う通り、星都がいつまでこの「メビウスの世界」に滞在できるのかは不明だ。
頼みの綱であったSDとギンガスパークの反応が感知できない以上、ここの地球のどこかに今も潜伏しているであろうリヤンゴンが再び行動を起こすまでは、星都も動きようが無い。そして、もし仮にリヤンゴンが別の次元宇宙へ逃亡したならば、星都がこの次元宇宙に滞在する理由は無くなり、一旦元の次元宇宙へ帰還する事になる。
最初から期限付きの関係であるため、テッペイが急ぎたくなる気持ちも分かるというものだった。
(まぁ、俺としてもGUYSのみんなとの交流はできるだけしておきたいし、ここはテッペイが納得するまで付き合ってやるかな)
などと、ここでもちゃっかりファン魂を炸裂させている星都であった。
ヴィーーーーッ!! ヴィーーーーッ!! ヴィーーーーッ!!
その時、フェニックス・ネスト全域に緊急事態を知らせる警報がけたたましく鳴り響いた。
これが鳴るという事は、十中八九凶悪な怪獣か悪辣な侵略者が出たという事。星都とテッペイは顔を見合わせ、同時に頷き合うと司令室へ向かって大急ぎで走って行った。
「何があったんですか!?」
ヘッドブリッジ最上階にある目的の部屋へ飛び込んだ二人が目にしたのは、正面のメインモニターに映し出される一体の巨大怪獣だった。
黒と黄色のまだら模様が浮かぶ白っぽい体色。頭部に生えたアンテナのようになだらかなカーブを描く一対二股の角。大蛇のようにしなやかで長い尻尾と、全体的なシルエットはこの場にいるみんなもよく知っているエレキングにそっくりだ。
しかし、上半身を覆う金色の鎧や、両肩に生えた一対二本の巨大な棘、中央に紫色のカラータイマーを彷彿とさせる意匠がある赤黒い胸の模様、巨大で鋭い鉤爪を備えた左と槍のように尖った爪を持つ右というアンバランスな大きさの両腕と、エレキングには見られない部分も数多存在する。
そんな、エレキングのようでエレキングではない怪獣が、都内の臨海地域にある広大な工業団地を舞台にして暴れていた。
『GIIIIIIIIIII!!!!』
エレキングが発するものよりも低く、恐ろし気な咆哮を轟かせ、工業団地の中を闊歩する巨大怪獣。一歩を踏み出す度に足元から爆炎や火花が舞い上がり、エレキングに似たスリット状の口から赤黒い光刃を発射して爆音と共に団地の高層マンションを粉々に破壊し、巨大な鉤爪や長い尻尾を振り回して別の棟を次々と薙ぎ倒していく。
怪獣が進んだ跡には、無残にも瓦礫の山と化した建物や踏み潰された車両が黒煙を上げており、平和だった団地が一瞬にして地獄へと書き換えられていた。
「ポイント〇〇-〇〇、京浜臨海地区工業団地に怪獣出現! 昨日のガーゴルゴンと同じく、アーカイブ・ドキュメントに記録がありません……ッ!」
コンソールを操作しながら報告するコノミの声は、若干だがはっきりと震えていた。
何しろ、画面に映し出されたその巨体には、彼女がウルトラ怪獣の中で最も大切にしているエレキングの面影が、無惨に歪められたような形で刻まれていたからだ。大好きな怪獣によく似た姿をしたものが、爆炎を上げながら高層マンションを容赦なく粉々に破壊していく惨状を目の当たりにして、彼女はショックのあまり言葉を失いかけていた。
同性であるマリナやミサキが心配そうな視線を向ける中、振り返ったサコミズがメインモニターの映像を指し示しながらテッペイと星都に声を掛ける。
「二人とも、見ての通りだ。つい数分前、団地に正体不明の怪獣が現れて暴れ出した。GUYSのアーカイブ・ドキュメントにも記録が無い未知の怪獣だが……星都、キミはこの怪獣について何か知らないかな?」
「………ええ、知っています。かなりショッキングな内容なので、心して聞いてください」
サコミズの問いに頷き、星都はゆっくりと前に出ながら室内に朗々とした声を響かせる。
「この怪獣のレジストコードは『ベリアル融合獣 サンダーキラー』。みんなもよく知るエレキングと、かつてウルトラマンエースが戦った『異次元超人 エースキラー』を、ウルトラマンベリアルの遺伝子が持つ力で融合・合体させて誕生した合体怪獣だ」
「ベリアル……ベリアルだって!? 星都さん、今『ウルトラマンベリアル』と言いましたか!?」
星都の解説を遮るようにして、ミライが身を乗り出して訊いてきた。
事情を知らないリュウ達はミライが何故そんな態度を取るのか分からなかったけれど、たった今星都が発した「ウルトラマンベリアル」という単語が、ミライにとって聞き逃せない言葉だった事は分かる。
「なんだよ、その『ウルトラマンベリアル』ってのは……?」
「何となく怖そうな名前だけど、ミライと同じウルトラマンって事……?」
リュウとマリナがそう問い掛けると、星都とミライは揃って神妙な面持ちで頷いた。
「ええ、その通りです。簡単に言うと、『悪の道に堕ちたウルトラマン』といったところでしょうか」
「かつてはウルトラマンケン、つまり『ウルトラの父』の親友だった奴だ。けど、『宇宙の平和を守るためには圧倒的な力が必要だ』という過激な思想を持つようになり、そこへ卓越した力とリーダーシップを見せて出世していくウルトラの父に対する対抗意識やコンプレックスが重なって、遂には『光の国』の人工太陽にして強大な力の源でもある『プラズマスパーク』のエネルギーコアに手を出しちまったんだ」
「もしも『プラズマスパーク』が無くなってしまったら、『光の国』は瞬時に冷たい闇に閉ざされてしまいます。ですから、僕達ウルトラマンが暮らす『光の国』では、『プラズマスパーク』のコアに触れる行為はそれ自体が大きな罪とされているんです。ベリアルはあろう事か、その大罪を犯してしまった……それが原因で『光の国』を追放され、後に大規模な反乱を起こした事で、ウルトラマンキングによって現在は『宇宙牢獄』に収監されています」
「通称『ベリアルプリズン』……当時の『光の国』で唯一、悪に堕ちたウルトラマンであるベリアル専用に創られた特殊な牢獄だ。正六面体型の巨大な建造物で、M78星雲『光の国』から遥か遠くにある『怪獣墓場』周辺の宇宙空間をふよふよと浮かび、ちょっとやそっとじゃ破る事はできないほどの堅牢さを誇ると言われてる。いくら強大な力を持ってるとはいえ、たった一人のウルトラマンを閉じ込めるためだけにデカくて固い牢屋を創っちまうあたり、キングも相当怒ってたんだろうな」
言いながら星都は、視線をリュウ達から今も進撃を続けるサンダーキラーの姿を映し出すメインモニターへスライドさせた。
「さっき言った『ベリアル融合獣』ってのは、そんなウルトラマンベリアルの遺伝子に宿る闇の力を利用して、二種類の怪獣を融合・合体させた存在の事だ。すべての融合獣に共通する特徴として、胸にベリアルの物と同じカラータイマーがあり、体の各所にベリアルの色である赤と黒の模様が描かれてる。元になった二種類の怪獣が持つ技や戦闘能力を同時に使用できるし、周囲を破壊し尽くすほどの狂暴で圧倒的な闘争本能も併せ持つ、とんでもない連中だよ。今回出てきたサンダーキラーは、エレキングとエースキラーの融合だ。エレキング譲りの強力な放電能力とエースキラー譲りの高い格闘能力、金属装甲による高い防御力を兼ね備えた強敵だから、くれぐれも注意して戦ってほしい」
「待ってください! さっきから言ってる『エースキラー』というのは、一体なんですか? ウルトラマンエースが戦ったと言ってましたけど、ドキュメントTACにはそんな怪獣の記載はありませんが……」
自席のコンソールでサンダーキラーの解析作業を行っていたテッペイが、星都に向けてそんな疑問を口にした。
過去にウルトラマンと対戦した事がある怪獣なのに、過去数十年分の戦闘記録が収められているはずのアーカイブ・ドキュメントに記載が無いなんて、そんな事があり得るのか。リュウ達が訝し気に眉根を寄せる中、星都は特に驚いた様子も無くテッペイの言葉を肯定した。
「記載が無くて当然だ。ヤツが出て来たのはかつてマイナス宇宙にあった『ゴルゴダ星』という星で、実際に出会い、そして戦ったのはエース一人だけ。TACの隊員達は存在すら知らないだろうな。おそらく、『殺し屋超獣 バラバ』の関連項目に『ヤプールによって支配されていたゴルゴダ星を、超光速ミサイルで跡形も無く消し飛ばした』という程度の記述しか遺ってないはずだぜ」
星都にそう言われ、改めてテッペイがアーカイブ・ドキュメントを調べ直してみると、確かに該当する項目の一つに同様の記述が遺されていた。
このたった数行しかない文章の裏側で、ウルトラマンエースが熾烈な戦いを繰り広げていたのだとするならば、言葉の重みも全然違って感じてしまう。
「レジストコード『異次元超人 エースキラー』は、ヤプールがエースを倒す切り札として造り出した巨大ロボットだ。赤い素体に金色の鎧を纏っていて、ロボットならではの高い攻撃力と防御力を持つ。そして、ここが一番重要なんだが、ヤツはエースを除くウルトラ四兄弟、すなわちゾフィー、初代ウルトラマン、セブン、ジャックの必殺光線をすべて使いこなして来るんだ」
「ウルトラマン達の必殺光線を!? どうやって!?」
「当時、ヤプールは偽のウルトラサインで四兄弟を誘き出し、マイナス二百七十三℃の冷気で弱らせてから、それぞれの能力を奪い取ってエースキラーに与えたのさ。より確実にエースを倒すための策だったんだが、最終的には四兄弟からエネルギーを授かったエースが放った『スペースQ』って光線を浴びて爆散してる。テッペイ、あとでサンダーキラーと一緒に情報を渡すから、作業追加な」
「はい、分かりました!」
新たな怪獣の情報を扱える事にワクワクした様子で、テッペイが元気よく頷く。
すると、今度は一連の話を聞いていたトリヤマが、難しい顔をしながら口を開いた。
「つまりだね、星都くん。キミの言葉通りであるなら、この……サンダーキラーと言ったかな? こいつもそのエースキラーとやらと同様、他のウルトラマンの光線技を使って来たりはするのかね?」
トリヤマの疑問に、リュウ達も「そう言えば」と目を見開いた。ただでさえ放電能力や頑丈な防御力だけでも厄介だと言うのに、その上更にウルトラマン達が持つ能力まで使って来られたら堪ったものではない。
「そこの所はどうなのか」という意思の込められた視線を一斉に向けられて、星都は右手の人差し指を米神に当てて自身の記憶を掘り起こしながら言った。
「…………少なくとも、私が知る限りではウルトラ四兄弟が使っていた技や能力をサンダーキラーが使った事はありません。ただ、相手が放った光線技を吸収して跳ね返す能力は持っていましたから、おそらくはそれがエースキラーの持つ『ウルトラ兄弟の能力をコピーする能力』から会得したものなのではないか、という考察はありました。勿論、単純に『使わなかっただけ』という可能性も十分考えられますので、警戒しておくに越した事は無いかと思われます」
実際、初登場した「ウルトラマンジード」の第五話および第六話でも、放電能力や格闘能力、光線を吸収・反射する能力を使ってジードを追い詰めていたものの、エースキラーが使っていたような「他のウルトラマンが使っていた技や能力」までは使った事が無い。
後に「ジード」の第十八話や「ウルトラマンZ」の第七話で再登場した際も同様で、特撮ファンの中には「光線の吸収・反射能力を会得したから、ウルトラマンの技は使えなくなったのではないか」と考える者もいる。
しかし一方で、「ウルトラマンの技が使える事を隠しているのでは?」と考える特撮ファンがいる事も事実であり、どちらが正しいのか未だに議論が交わされていた。
星都が本来住んでいる時間軸における公式設定でも、未だ明らかにされていない謎の一つなのである。
真相が不明なままである以上、「使える」と想定した上で戦うべきだ。星都に言葉ではっきりと伝えられ、リュウ達は真剣な面持ちで深く頷いた。
その間にも、メインモニターの中では尚もサンダーキラーが暴れ続けている。大蛇のような尻尾を縦横無尽に振り回し、エレキングに似たスリット口から凶悪な三日月状の放電を撒き散らして、工業団地を地獄絵図へと塗り替えていた。
あまりにも無慈悲極まりない破壊の光景に、コノミは自らの胸を強く締め付けられるような痛みを覚え、唇をギュッと噛みしめる。大好きなエレキングの面影を残した怪獣が、街を、人々の暮らしを壊している。その事実が、彼女の心を酷く苛んでいた。
その時、何の前触れも無く司令室のスピーカーから不快なノイズ音が響く。なんだなんだとリュウ達が眉根を寄せて周囲を見渡す中、ノイズ音は段々と間隔が短くなっていき、やがて何者かの明瞭な声へと変わった。
『ギヒヒ、お仲間への楽しい楽しいレクチャーは終わったかよォ?』
(=◎ω◎=)<いかがでしょうか
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<出現したのはサンダーキラーでした
(=◎ω◎=)<以前に投稿した「接続話」にてリヤンゴンが企てていた謀略の正体はコイツです
(=◎ω◎=)<「なんでサンダーキラーなの?」という疑問の答えは次回にて
(=◎ω◎=)<ちなみに、「メビウス」本編時点でのベリアルさんは
(=◎ω◎=)<まだ「ベリアルプリズン」の中にぶち込まれたままです
(=◎ω◎=)<後世にてプリズンブレイクをかましたあと
(=◎ω◎=)<色々と大暴れして方々に大損害をもたらす訳ですが
(=◎ω◎=)<同時に何かと利用されまくる事にもなるので
(=◎ω◎=)<そう考えると、なんだかカワイソーに思えない事もないですね
(=◎ω◎=)<次回は九月十日(木)更新予定!
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ