ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<サンダーキラーとのバトルパートも、今回で最後
(=◎ω◎=)<追い詰められた星都とメビウスは、果たして巻き返す事ができるのか?
(=◎ω◎=)<乞うご期待です!
(=◎ω◎=)<ちなみに、今回もオリジナル技が出ます
(=◎ω◎=)<こうしたオリジナル要素が苦手な方はご注意を
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
(マズイ……ッ! このままじゃ、マジでやられちまう……ッ!!)
サンダーキラーが近づいて来る足音を聞いて、星都の生存本能がけたたましいアラームを鳴らしまくっている。
動けなくなるほどのダメージを受けた事も、比喩抜きで感じる命の危機も、戦闘中に覚える強い焦燥感も、本当に久しぶりだ。
耳に着けている極小インカムからは太郎の焦りに焦った声が引っ切り無しに響いており、向こうも本気で星都の身を案じている事が窺い知れる。しかし、今の星都にはそんな太郎に返事をする余裕すら無かった。
「K………KI、IIII…………!」
「………あ…………あぐっ………!」
近くにいるメビウスや、星都と同化しているエレキングも、一気に体力を持って行かれた影響でか細い声を発する事しかできない。サンダーキラーのアークエンドメギドブレイクを最大出力で浴びて、存在そのものが消し飛ばなかっただけでも御の字と言える状況だ。
このままベリアル融合獣による「処刑」を待つ他無いのか。
星都の心にそんな諦めが脳裏に過ろうとした、その瞬間。
『——負けないで、メビウス!! エレキング!!!』
コノミの涙に震える大音声が、戦場の空気を大きく震わせた。
辛うじて少しだけ視線を動かしてみると、上空を飛ぶガンブースターのコックピット後部座席に座るコノミが両手で祈るようにマイクを握り締めていた。
『諦めちゃダメ!! 私達には貴方達しかいないの!! あの子を止められるのは貴方達だけなの!! だから立って! 立ち上がって!!
これ以上、二人には傷ついてほしくない。無理をしてほしくない。けれど、サンダーキラーを苦しみから解放するには二人の力が必要不可欠であり、二人に戦って貰うしかない。そんな極限の板挟みに苦しみながら、その上で発された力の限りの声援だった。
彼女の言葉がメビウスとエレキングの耳朶を打ち、ダメージによって指一本動かす事すら難しくなっていたはずの全身にじわりと沁み込んで、確かな熱と力を与えていく。
(KIIIIIIIIッ!!)
(エレキング……?)
精神世界の中に、エレキングの咆哮が轟いた。
その声は揺るぎない決意に満ちており、何か重大な決断を下した事が分かる。
そして、何を言いたいんだと訝しむ星都の脳内に、直接エレキングの思考が流れ込んで来た。
(……ッ、お前、本気か!? 今の深手を負った状態でそんな事をしたら、お前もタダじゃ済まないかも知れないんだぞ!?)
エレキングが下した決断、それは「こちらも
確かに「出力を絞ったままでは勝てないほどの強敵」と戦っていて、尚且つ「怪獣が自分の意思で了承」していると、頌栄が定めた「制御を外すための条件」自体はクリアしている。やろうと思えば、いつでも制御を外して真の意味で全力を出す事ができるのだ。
だが、アークエンドメギドブレイクによるダメージは想像を絶するほど深く、今の状態で更に負担を強いる「リミッター解除」をやろうものなら、エレキングの肉体にどれほどの影響が出るか分かったものでは無い。最悪、コノミの目の前で命を落としてしまう危険性すらあった。
怪獣達を「相棒」と呼び、長く苦楽を共にして来た星都にとって、そんな事は到底認められるはずが無い。絶対にダメだという気持ちを全力で叩き返す星都だったが、エレキングの意思は彼の想像以上に強固で、そして頑固だった。
(KIIIIIIIIIIIIッ!!)
(…………あんなクズ野郎に、大好きなコノミをこれ以上泣かされたくない。何より、大切な仲間の一体であるサンダーキラーをこれ以上あいつの良い様に利用されたくない。絶対に負けられない以上、やるなら今しかない。仲間を助けるために力を貸してくれ、か………お前、もうそこまで腹を括ってたんだな……)
同化しているエレキングから、魂を揺さぶるような、切実で力強い「意思」が星都の心に真っ直ぐ流れ込んでくる。 怪獣自ら、自分の命を削ってでも大切な者達のために最後まで戦いたい、絶対に勝ちたいと言って来ていた。
その不屈の輝きに、星都は根負けしたように鼻を鳴らすと、決意を固めたように笑って頷く。
(——ああ、分かった。お前がそこまでして意地を通したいってんなら、俺もとことんまで付き合ってやる! 一緒に勝つぞ、エレキング!! 勝って、大切なものを全部取り戻すッ!!)
(KIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIーーーーーーーーーッッッ!!!!)
変身者の意思と怪獣の命の輝きが重なり合い、共鳴し、臨界点を突破する。
その瞬間、倒れ伏していたエレキングの全身から、まるで小さな太陽と見紛うほどに眩く輝く、金色の電撃に似たオーラが迸った。
「GIIIIIIIIIッ!!?」
突然の異常事態を目の当たりにして、サンダーキラーは思わずたじろいだ。
暴走して剥き出しになった本能が、何らかの危機的状況を察して強く警鐘を鳴らしたらしい。
その隙に、大ダメージを負ったばかりとは思えないほどしっかりとした足取りで、黄金の電気を纏ったエレキングが立ち上がった。
全身に漲る力強さと覇気は戦闘開始直後の比では無く、同じエレキングのはずなのにまるで違う怪獣が目の前にいるかのような錯覚さえ覚えるほどだ。
上空を旋回していたガンフェニックスとガンブースターに乗るリュウ達も、離れた場所から戦場を観察していたリヤンゴンも、思いがけない現象に圧倒されたのか揃って言葉を失っていた。
代わりに、作戦司令室で戦場をモニターしながら解析作業をしていたテッペイと、「趣味部屋二号室」で同じく戦場から送られてくる観測データを解析していた太郎が、それぞれのインカムを通じて驚愕の声を上げる。
『なんだこれ……!? 星都さんが変身したエレキングから、突然物凄く強力なエネルギー反応が検知されました! 数値は今も急激に上昇中! こんな現象、アーカイブ・ドキュメントのどこにも記録されていません! 一体、何が起きてるんだ……!?』
『ちょちょちょちょちょッ!? もしかして星都くん、たった今エレキングのリミッターを外しましたァ!? 怪獣の体内からもンの凄い量のエネルギーがジャブジャブ溢れて来てるんですけど、絶対これ制御が外れてますよねぇ!? 大丈夫ですかこれぇ!? 下手したらサンダーキラーと一緒に共倒れの無理心中になっちゃうかもなんですけどぉ!!?』
(そうなる前に決着をつけるから心配すんな! 行くぜッ!!)
太郎の大げさに慌てる声に短く返答し、星都と同化したエレキングが疾風の如く走り出す。
「GIIIIIIIII!!」
——バシュッ!! バシュッ!! バシュッ!!
それに対し、サンダーキラーは「来るな」とでも言いたげに咆哮を上げると、エレキングに向かってライトニングキラーカッターを何発も連射した。
赤黒い電気エネルギーの残滓を振り撒きながら飛ぶ必殺の光線刃を前に、エレキングは走る足を止めずに黄金色の電気エネルギーを集中させた両手の拳を構えた。
——バギィッ!! ドガンッ!! バギャアッ!!
電撃を纏った拳「サンダーアーム」が星都の磨き抜かれた格闘技術によって振るわれ、迫り来るライトニングキラーカッターを次々と正確に捉えて弾き飛ばす。防がれた光線刃が剥き出しの地面に当たって爆音と火花を上げる中を、エレキングは一筋の黄色い流星となって駆け抜けた。
真正面からぶつかるのではなく、光線刃の下や上から殴り付ける事で軌道を変え、最小限の動きと力だけで攻撃を払い除けるその姿は、数多の修羅場を潜り抜けて来た歴戦の武術家そのものだった。
《メビウス! 無理はするな! サンダーキラーは俺が抑えるから、その隙にお前は体力の回復に専念しろ!》
《……ッ、はい!》
ダメージを押してメビウスが起き上がろうとする気配を背中で察知し、星都は咄嗟にテレパシーを飛ばした。
心配しなくてもそれぐらいの事はできるし、お前を信頼していない訳でも無い。この戦いに勝つにはお前の力が必要不可欠なのだから、今は機を窺いつつ少しでも体力回復に努めろ——そんな星都の思いを汲み取ったのか、メビウスは素直に頷いてそのまま待機の姿勢に入った。
乱入して来る気配が消えた事を感じて安心しつつ、星都と同化したエレキングが遂にサンダーキラーの懐まで辿り着いた。
《ハァッ!!》
——バギィッ!!
接近を許してしまった事で咄嗟に反応できなかったサンダーキラーの顎に、エレキングのサンダーアームによるアッパーカットが炸裂。激しい火花と共に強い衝撃波が頭部全体を突き抜け、強制的に上を向かされると同時に脳が揺らされて、サンダーキラーの全身が一時的に硬直した。
《セイッ!!》
——ドガンッ!! ドガンッ!! ドガンッ!!
「GIIIIIIIIIッ!?」
その隙を逃さず、今度は無防備に曝け出された胸部へ怒涛のラッシュを叩き込んだ。紫色に輝くカラータイマーを砕き割るような勢いで次々と拳が突き刺さり、エースキラーの装甲を軋ませながら、胸部から電気と火花が舞い散る。
反撃とばかりにサンダーキラーが両手の鋭利な爪を振り回して来るが、エレキングはそれらの攻撃を冷静に見極め、相手の手首に当たる部分に自身の腕を押し当てて防いだ。そして、動きが止まった瞬間を見計らって相手の顔面や両肩にサンダークレセントをお見舞いする。
体内に強大な電気エネルギーを大量に蓄えているため、サンダーキラーに電気を使った攻撃は効き目が薄い。だが、「塵も積もれば山となる」のことわざ通り、いくら小さなダメージでも重ね続ければ大きなダメージとなるのは明らかだった。
加えて、星都が変身するエレキングはファイブキングほどでは無いにしろ、多くの戦場を戦い抜いて来た戦闘経験を持つ。
エネルギーの効率化や最適化、それに伴う個々の技の威力の上昇や新しい技の習得など、いわゆる「成長」を遂げている個体なのだ。その個体が、今はリミッターの解除によって
総じて、暴走しているサンダーキラーを相手に、エレキングは着実にダメージを与え、優勢に立ち回っていたのだった。
「GIIIIIIIIIッッ!!」
「KIIIIIIIII!」
自分より弱いはずの相手に苦戦を強いられている事に怒りを露わにしたサンダーキラーが、口、両手、両肩の棘から極太の電撃光線を放つ「ライトニングキラーバースト」の発射体勢に入る。
一撃でこちらを消し飛ばすつもりなのだと悟った星都は、エレキングの象徴とも言える大蛇のように長い尻尾に電気エネルギーを纏わせ、鞭のようにそれを思いっきり振り抜いた。相手に尻尾を巻き付けて電撃を流す「サンダーテール」を応用し、電気を纏わせた尻尾で相手に強烈な一撃を加える技として仕上げた「サンダーウィップ」だ。
——バシィィィィィッ!!
「GIIIIIIIIIッ!?」
遠心力をたっぷり乗せた尻尾の鋭い一撃が右からサンダーキラーの上半身を打ち据え、同時に纏わせていた電気エネルギーが相手の体に通電して追加でダメージを与える。直撃すればウルトラマンをも吹っ飛ばすほどの威力がある攻撃を浴びせられて、サンダーキラーは悲鳴を上げながらその巨体を大きくぐらつかせた。
それだけに留まらず、反対側から再び尻尾が襲い掛かったかと思うと、今度は袈裟懸け、続いて逆袈裟と、縦横無尽の打擲がサンダーキラーを着実に追い詰めていく。
眼下で繰り広げられる圧倒的なピンチからの怒涛の巻き返しに、コノミは胸の前で両手をぎゅっと握り合わせていた。
そして、遂に決着の瞬間が訪れる。
《星都さん!》
背中に掛けられた声に首だけで振り向くと、左腕のメビウスブレスから伸ばした光の剣「メビュームブレード」を構えるメビウスの姿があった。肩で大きく息をしているものの、両足でしっかりと地面を踏み締めており、どうやら星都の言う通りきちんと体力回復に専念していたらしい。
その一言と立ち姿だけで何をするつもりなのか察した星都が、サンダーキラーの頭部に一際強くサンダーウィップを叩き付けてから道を開けた。
そこへメビウスが猛スピードで突進し、尻尾で頭を強打されてよろけるサンダーキラー目掛けてメビュームブレードを振るう。
擦れ違いざまに目にも留まらぬ速さで光の剣が閃き、瞬時にサンダーキラーの巨体に「∞」を模した斬撃痕が刻まれた。
「GI………IIII……………!」
これで終わりかと思われたサンダーキラーだったが、暴走したベリアル融合獣の生命力と執念は凄まじく、か細い声を上げながらメビウスの方へ振り返ろうとする。
まだ動くのかとリュウ達が瞠目した瞬間、金色の電撃光線が飛んだ。
「KIIIIIIIIIIIIIIIIIーーーーーーーーーーッッッ!!!」
エレキングの全身全霊を掛けたライトニングブラストが、サンダーキラーの背中に直撃した。
体内に残った電気エネルギーをすべて注ぎ込んだかのような、今日一番の輝きと威力を放つ電撃光線が、エースキラーの鎧の上からサンダーキラーの体を焼き焦がす。それはまるで、掛け替えのない仲間に「もう良い。もう苦しまなくて良いんだ」と言い聞かせ、心の底から安心させるような、力強くもどこか温かみを感じさせる一撃だった。
——ズドォォォォォォォォォォォンッッッ!!!!!
二人による全力を振り絞った渾身の攻撃を受けて、遂に限界を迎えたベリアル融合獣が爆散する。視界が白くなるほどの閃光と共に大爆発を起こし、激しい爆風がクレーター内部に吹き荒れて一部がまだ無事だった建物にまで届いた。
その直前に見せた最後の表情は、エレキングが望んでいた通りの穏やかさに満ちていたような気がした。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか?
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<暴走したサンダーキラーとの戦いは、これにて終了です
(=◎ω◎=)<エレキングが示した覚悟を星都くんが汲み取った結果
(=◎ω◎=)<そんな感じの流れをイメージして書き上げてみました
(=◎ω◎=)<ちょっと内容があっさりしているような気がするかも知れませんが
(=◎ω◎=)<二人が出て来る前にギガキングキャノンを直で浴びてましたし
(=◎ω◎=)<今回はスピード重視の短期決戦でしたので
(=◎ω◎=)<だからこそのこの内容なんだという事で納得して頂ければと
(=◎ω◎=)<今回でpixiv版の第十話が終了
(=◎ω◎=)<明日、合体版の第十話をpixivに投稿します
(=◎ω◎=)<次回の投稿は九月三十日(水)予定!
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ