ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<前回まででバトルパートは終了し
(=◎ω◎=)<今回はその事後処理回となります
(=◎ω◎=)<戦場になった団地が盛大にぶっ壊れちゃいましたからね……
(=◎ω◎=)<このままほったらかしにはできません
(=◎ω◎=)<どんな事をするのかは本編をどうぞ!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
爆炎が消え去ったあと、空から降って来たのは一体の小さなSDだった。
暴走し、命が削り取られる苦しみから解放されて、本来の姿へと戻ったサンダーキラーのSD。強大な命の輝きを宿した小さな人形を、エレキングに同化したままの星都が巨大な掌でそっと受け止める。
《お帰り、サンダーキラー。もう大丈夫だ……ゆっくり休んでくれ》
《GIIIIIII……》
テレパシーを通じた星都の優しくて穏やかな呟きに応えるように、サンダーキラーのスリット状の口が淡く明滅する。掌から流れ込んで来る意思はしきりに「もうダメ」「疲れた」「眠たい」と訴えかけて来ており、限界寸前の満身創痍である事が容易に窺い知れた。
それでも、最悪の結果だけは阻止する事ができた。コノミやエレキング、そして星都自身の望み通り、悪党の魔の手から大事な仲間を取り戻す事ができたのだ。この程度の愚痴を聞いてやるくらいは許容範囲であろう。
手の中でころりと転がる小さな人形を大事そうに握り、星都は共に戦い抜いてくれたもう一人の相棒に向き直る。
《お疲れ様、メビウス。まさか二日続けてこんなデカいバトルをやる事になるとは思わなかったな。体の方は大丈夫か?》
《星都さんが休ませてくれたおかげで、どうにか大丈夫です。そう言う星都さんの方は、全然問題無さそうですね。あんなに大きな攻撃を受けてすぐに立ち上がってましたし、本当に凄い人ですよ》
《いや、こう見えて実は受けたダメージが大き過ぎて物凄く疲れてるんだぜ? それに、たぶんあとでとんでもない事になるだろうし、ピンピンしてるように見えるだけで中身はボロボロさ》
どこか遠い目をしながらそう言った星都に、メビウスは訳が分からず首を傾げた。
彼は知らない事だが、出力制御を外した場合のリスクは暴走や細胞の崩壊だけでは無い。
最大出力を発揮する事によって変身者と怪獣、双方の肉体に多大な負荷が掛かり、あとで強烈な筋肉痛に襲われてまったく動けなくなってしまうのだ。
行動不能になる時間はリミッターを解除していた時間に比例して増減するものの、治まるまでに最短でも丸一日は掛かる。また、戦闘が終了してから筋肉痛が起きるまでには数日間のタイムラグがあるため、仲間達の間では「忘れた頃にやってくる地獄」として恐れられていた。
SDの怪獣達も「下手に負けるより遥かに嫌」と忌避しており、滅多な事では出力制御の自発的な解除をやりたがらない大きな理由の一つとなっている。
星都が遠い目をしていたのは、いずれ必ずやって来るあの「地獄の痛み」を想像してげんなりしていたからだ。エレキングの固い決意に力を貸した事に悔いは無いとはいえ、それでも嫌なものは嫌なのである。
「一体どういう意味なんだろう……」としきりに首を捻るメビウスにエレキングの貌の下で苦笑いしつつ、星都は改めて周囲の風景を見渡した。
《………にしても、結果的にはとんでもない被害が出ちまったな。あのバロッサ星人のクソ野郎のせいとはいえ、まさかここまで滅茶苦茶になるとは…………メビウス、少しでも良いからこの惨状を元に戻す事ってできないのか?》
戦場となった臨海工業団地は、サンダーキラー(SD)の最大必殺技であるアークエンドメギドブレイクによって壊滅的な被害を受けている。中心部に至っては巨大なクレーター状に抉れており、これらを人の手で一から復興させるとなると年単位の膨大な時間と労力、そして資金が必要になるだろう。
こうなってしまった原因の一端は自分達にもあるため、このまま見て見ぬふりはできない。
これほどの規模の被害をどうにかする手段として脳裏に思い浮かぶのは、二〇〇九年に開港一五〇周年を迎えた横浜市が記念事業の一環として全面的に製作協力を行い、二〇〇八年九月に公開された特撮映画「大決戦! 超ウルトラ8兄弟」にて使用された、初代マン、セブン、ジャック、エース、ティガ、ダイナ、ガイア、メビウスが力を合わせて放つ強力な再生光線「エクセレント・リフレクション」だ。
作中では、ラスボスである「究極合体怪獣 ギガキマイラ」の必殺技「デザスタル・バースト」で分子レベルまで破壊されてしまった横浜の大橋や海を、元通りの美しい姿に修復・再生していた。
あそこまでとは言わないが、メビウス単独でも使える修復光線の類は無いかと期待しての質問である。
《そうですね……壊れた物を直す修復光線なら、僕もタロウ教官や兄さん達から教えられているので使う事はできます。ただ、ここまで広範囲に大きな被害が出ている場所をとなると、今の僕ではエネルギーが……》
つまり、エネルギー問題さえ解決できれば、破壊された街を元通りか、それに近い状態にまで直す事ができるらしい。
確かに今のメビウスは、アークエンドメギドブレイクの直撃を浴びてカラータイマーが激しく点滅する域までエネルギーを失っている。これで大規模な修復を行えるだけの光線技を使えたら、いくらウルトラマンと言えど流石に「チート」だ。
幸いな事に、星都にはそのエネルギー問題を解決するための手段がある。迷う事は無かった。
《エネルギーさえ足りてればどうにかできるんだな? 分かった、ちょっと待ってろ……》
そう言うや否や、星都はエレキングの全身に漲っている金色のオーラを一点に集約し、SDを持っているのとは反対側の手の中に一つの光の結晶球を創り出す。
眩くも温かい輝きを放つその球に、メビウスは見覚えがあった。
《それは、ひょっとして昨日の……!?》
《正解。体内に残ったエネルギーを、最低限生命維持に必要な分だけ残して全部凝縮した。これ一つでどこまで回復できるかは正直言って分からないが、何かの足しにはなるはずだぜ》
星都が創り出したのは、昨日の戦いでエネルギーを消耗したメビウスに与えたのと同じ「回復用のエネルギー光球」だった。
「ピンピンしてるのは見た目だけで中身はボロボロ」と言うくらい自分も消耗しているはずなのに、惜しげも無くエネルギーを分け与えてくれる星都。そんな彼の漢気に、メビウスは心の中で「たぶん僕は、一生掛かってもこの人には敵わないだろうな」と白旗を上げた。
あと、耳に付けた極小インカムからは太郎のやんややんやと囃し立てる声が響いていた。
《……ありがとうございます。大切に使わせて貰います》
《ああ、存分に使ってくれ》
エネルギー球を受け取り、点滅を繰り返している自身のカラータイマーの上に翳す。光が静かに内部へ浸透していき、全身に活力が漲って赤色から青色へ戻った。
《よし、これなら……!》
手をぐっと握り締め、何かを確信したメビウスはすぐさま行動を起こす。
団地の上空へ勢いよく飛び上がり、被害を受けた地域全体を見渡せる高度で静止すると、両手の拳を突き合わせる形で胸の前に翳した。
拳と拳の間はカラータイマー一つ分だけ空いており、そこに虹色と似た温かくも神々しい色合いの多色光が充填される。そして、十分に溜まったところで、メビウスはその光を柔らかな光線に変えてそっと破壊された団地に降り注がせた。
ふわりとドーム状に広がりながら地面に到達するや否や、光線の内側が真っ白な光に包まれ、まるで映像を逆再生しているかのように破壊された街並みが元に戻り始める。
薙ぎ倒されて瓦礫の山と化したマンションも、破壊されてスクラップ同然になった自動車も、粉々に砕けて捲り上がっていたアスファルトも、陥没して土と岩が剥き出しになっていたクレーターも、すべてが奇跡のような輝きの中で元の綺麗な状態へと復元・修復されていった。
八人のウルトラマンが力を合わせた事で実現した「エクセレント・リフレクション」の単独版、さしずめ「メビューム・リフレクション」と言ったところだろうか。
(やっぱ凄いな、ウルトラマンは……)
元通りになりつつある街の中で、憧れのヒーローに「何故憧れたのか」を再確認した星都は、メビウスの雄姿を見上げながら静かにウルトライブを解除。メビューム・リフレクションに紛れる形で光の粒子となり、周囲を旋回するガンフェニックスの機体後部、ガンローダー部分のコックピット後部座席に座る形で実体化する。
「
「サンキュ、ジョージ」
無事に戻って来た事に気付いたジョージが、振り向きながら労いの言葉を掛けて来た。
こちらもそれにフッと微笑みながら返し、星都は元通りに復元された工業団地の街並みをぐるりと見渡してから、正面にいるメビウスへ視線を向ける。
甚大な被害を受けていた団地を完璧な形で元の姿に戻すという偉業を成し遂げた光の巨人は、その視線に気付いて振り向くと、謝意を示すように一度だけ大きく頷いた。
探していた大切な仲間を取り戻し、街を綺麗な状態にまで復元して、互いに無事を確かめ合う。言葉は無くとも、二人の間には揺るぎない絆と信頼が確かに存在していた。
そして、甲高い飛行音と共に大空の彼方へ向けて、メビウスは優雅に飛び去って行ったのだった。
『業務連絡~、業務連絡~。たった今、検知できていたリヤンゴンの反応が団地から消えました。それと前後して、ダークロプスゼロの実体化とワームホールが開いた際に発生する特殊な電磁パルスを確認しています。以上の事から考えるに、リヤンゴンは既に別の次元宇宙へ逃亡しているものと思われますねぇ~。……という訳で! 名残惜しいですが、ここで帰還命令でぇ~す♪ 星都くんの体の事もありますんで、なるべく速やかに我らがフォートレスへ戻って来てくださぁ~い! 月光さんを始め、みんな首を長くながぁ~くして待ってまぁ~す! ハリーハリー♪』
(…………了解)
猛スピードで飛んで行くメビウスの背中をジョージと二人で見送っていると、極小インカムから太郎の「業務連絡」が聞こえて来た。
すぐ傍にジョージがいる手前、声に出して応答したり目に見える形で反応したりする事はしなかったものの、星都の心には強い名残惜しさが宿る。
テッペイも言っていた通り、星都は多次元宇宙からやって来た訪問者であり、期限付きの滞在者だ。何らかの形でこの宇宙に留まる理由が無くなれば、元々住んでいる次元宇宙へ帰還する事になる。
どれほど強い絆で結ばれていようと、いずれ必ず別れの時がやって来る。星都とGUYSの関係は、最初からそういうものだった。
(覚悟はしていた、つもりだったんだけどな……)
脳裏に思い起こされるのは、リュウ達と過ごした短くも濃密な時間。
時に笑い合い、時に慰め、時に励まし、時に詰め寄られ、そして共に肩を並べて戦った。
元々「ウルトラマンメビウス」のファンの一人であった星都だが、この二日間で「現実に生きる命」としてのメビウスやリュウ達と触れ合った事で、単なる物語のキャラクター以上の思い入れを感じるようになっていたのである。
それこそ、このまま客分としてではなく、正式なGUYS隊員の一員としてこの世界で「物語の最後」まで戦い抜きたいと考えてしまう程に。
勿論、現実にそんな我が儘を通す事はできない。
星都もまた、GUYSのみんなと同じように責任ある立場、宇宙の彼方より飛来する驚異と戦い、細やかな平和を守る立場にある。
こうしている今も、
だからこそ、この宇宙に来てGUYSのみんなと約束した事、自分がしたいと思った事くらいはすべて片付けて、心置きなく帰還しよう。
(………フェニックス・ネストに帰還したら、まずはみんなに美味いメシを作ってご馳走するとしようか)
胸の中でそう決心し、星都は人知れず握り拳に力を込めるのだった。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか?
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<今回の作中でメビウスが使っていた光線は
(=◎ω◎=)<当作品のオリジナル再生光線です
(=◎ω◎=)<ウルトラマンなんですからこれぐらいできますよね!
(=◎ω◎=)<今回からpixiv版の第十一話
(=◎ω◎=)<星都くんが元の宇宙へ帰還するまでのあれやそれをメインに描きます
(=◎ω◎=)<GUYSのみんなとのわちゃわちゃもいっぱいありますので
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)<次回の更新予定は十月二日(金)予定です!
(=◎ω◎=)ノシ