ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~   作:通りすがりの大学生

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(=◎ω◎=)<どうも読者の皆様、おはこんばんちは! 作者です!


(=◎ω◎=)<今回から第三章「80編」が始まります


(=◎ω◎=)<このお話を書いている時点の話になりますが


(=◎ω◎=)<動画配信サービス「TVer」にて「80」のお話が配信中です


(=◎ω◎=)<ぶっちゃけた話、第三章に「80」を持ってきた理由の一部はそれですね


(=◎ω◎=)<タイムリーな話には乗っかりたくなるものですから


(=◎ω◎=)<なるべく「80」の世界観を壊さないように配慮しますので


(=◎ω◎=)<どうか生暖かい目で見守ってやってくだされ


(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!


第三章 「80」の世界
第五十三話 猪突猛進ボーイの手綱は絶対に放さないように


 

 

 

 ――ジ、ジジ、ジジジジ………………ブィーーーーーーーン………………!

 

 

 

 昼下がりの閑静な住宅街。

 

 

 お昼の食事が終わり、家事が一段落ついた大抵の主婦層が束の間の休息に微睡んでいる時間帯。

 

 

 街の片隅にある小さな林の中に、突如として眩い紫電が迸った。

 特殊なエネルギーが渦を巻き、成人男性を二人は包み込めるほどの巨大な光の球体を形作る。

 

 

 やがて、球体状の渦は一際強いフラッシュを発して消滅し、代わりに二人の人影が地面へと降り立った。

 色鮮やかなコバルトブルーの髪に、深い海の底を思わせるネイビーの瞳を持つ、身長百八十四センチの青年達。民間防衛組織「連合軍」の司令官である松葉頌栄の血を引く双子の息子、章大と瑠偉である。

 

 

 

「ふおぉ……! マジだ、マジで別の世界に転送された……!」

 

 

 

 真っ先に声を上げたのは、兄の章大だ。

 足元に広がる落ち葉や腐葉土の感触を確かめ、視界いっぱいに満ちる青々とした木々と、その隙間から覗く昭和後期の街並みをじっくりと見渡す。

 

 元の世界(むこう)ではクラシックカーとして分類され、街中で目にする機会がめっきり少なくなってしまったノスタルジックなデザインの国産車が、当たり前のような顔をして路肩や駐車場に停まっているのを見つけ、興奮で一気に目を輝かせた。

 

 

 

「すっげぇ……! 俺達、マジで『ウルトラマン80』の世界にいるんだな! 太郎さん達が創ったポータル装置は完璧じゃんか! 今のうちに写真撮っとこうぜ、写真!」

 

 

 

 年頃の少年のように大はしゃぎしながら、手にしたスマートフォンでパシャパシャと自撮りを始める章大。そんな彼の隣で、弟の瑠偉は深く息を吐き出しながら、自身の両手を握ったり開いたりして体の調子を確かめていた。

 

 

 

「………ふぅ。どうやら、超高次元の空間跳躍に伴う感覚のズレや体の異常は今のところ無さそうだね。父さんに加えて太郎さんや永門さん、それに流斗達が徹夜で調整してくれたおかげかな」

 

 

 

 手元の携帯端末でバイタルチェックや現在地の時間軸座標の確認などを行い、瑠偉は心底安心したように穏やかな笑みを浮かべた。

 

 

 民間防衛組織「連合軍」の中核メンバーにおける頭脳労働担当と科学技術担当が、その総力を結集して組み上げた「多次元宇宙間移動転送機構(ディメンショナルワープシステム)」は、まさしく人類史上初の超絶テクノロジーだ。

 次元の壁を越えて、異なる二点間で物体を自由自在に瞬間移動させる事ができる、古典的SF作品にありがちながら実現にはまだまだ途方も無い時間がかかるとされていた技術。それが遂に完成し、実際に体験できたとあれば、章大が大喜びするのも納得だった。

 

 しかし、完成したばかりという事もあって、安全性についてはまだまだ詰める余地が残っている。使用者の命を守るために万全を期しているとはいえ、どんな不測の事態が起きても不思議ではないのだ。 

 その事を熟知しているからこそ、瑠偉は念入りに自分と章大の体を調べたり降り立った場所と目的の座標を照合したりして、本当に異常は何も無いかどうか確認していたのである。

 

 

 

「現在の時間軸、昭和五十五年六月……予定通り、『教師編』から『防衛隊編』へ移り変わる第十二話から第十三話の間に着地できてる。誤差はわずか数秒。特に問題無しだよ、章大」

「うっし、ならやる事は一つだ! リヤンゴンの野郎を探し出して、死なねー程度に思いっきりぶっ飛ばす! そんで、盗んだSDとギンガスパークを全部取り戻す! 待ってろよ、コソ泥星人! 今度こそ逃がさねぇからな!!」

「あっ、ちょ、章大!?」

 

 

 

 両手をゴキゴキと鳴らし、凄みを通り越して恐ろしささえ感じる笑みを浮かべた章大が、林の外に広がる住宅街へ向けて一目散に走って行った。

 慌てて止めようとする瑠偉だったが時すでに遅く、あっと言う間に章大の背中は小さくなってしまう。

 直情的でせっかちな兄の気質に、瑠偉は額を手で押さえて深く溜め息を吐いた。

 

 

 

「まったく……まだ話の途中だって言うのに、我慢が利かないんだから……」

『章大くんのアレは今に始まった事じゃないんで、もういっその事スパッと諦めちゃいましょう。それに、星都くんが入手してくれた情報の通りにリヤンゴンが動くとするなら、とっとと見つけ出してソッコーで私人タイーホした方が遥かに良いのは確かですしおすし食ーべよっと』

 

 

 

 耳に着けた極小インカムから流れてくる太郎のふざけっぷりに辟易としつつも、そのセリフの内容には同意であった。

 星都が太郎と一緒にGUYS所有のアーカイブ・ドキュメントを調べて入手した、「リヤンゴンが関係していると思われる事件」の資料を纏めたデータファイル集。そこに記されていた「ウルトラマン80の時代に起きた事件」の詳細を知っている身としては、一刻も早くリヤンゴンの身柄を押さえて残るSDをすべて取り戻してしまいたかった。

 

 

 はっきり言って、この時代に「あのSD達」を持ち込んで使用するなんて正気の沙汰じゃない。

 

 

 

「あいつが何を考えてるのかは分からないし分かりたくもないけど、だからって好き勝手してるのを黙って見過ごす事はできないよね……! 太郎さん、ナビゲートよろしく!」

『合点承知の助っ☆ 章大くんの位置は把握済みなんで、ちゃちゃっと軌道修正して今度こそあのコソ泥をお縄にしてやりましょう!』

 

 

 

 気合いを入れ直し、兄の後を追って瑠偉も全速力で林を飛び出して行った。

 

 

 こうして、「連合軍」による多次元宇宙派遣作戦第二弾の火蓋が切られたのだった。

 

 

 

◇

 

 

 

 太郎の正確な案内の下、章大を追跡しながら街を走る事数分。

 

 

 人通りが多い街の中心部の一角で、ようやく兄に追いつく事ができた。

 どうやら通りを歩く人々に片っ端から聞き込みをしていたらしい。それ自体はとても良い判断なのだが、問題は聞き込みのやり方だった。

 

 

 

「――なんで馬鹿正直にバロッサ星人(リヤンゴン)の写真を見せて回るような真似をしたのかな?」

「ゴメンナサイ」

 

 

 

 腕を組み、仁王立ちで睨み付ける瑠偉と、アスファルトの上に直に正座して涙目になっている章大。傍から見ると、完全に「悪さをした子どもとそれを叱りつける父親」の構図である。ここが路地裏で無かったら、衆目を集めまくって羞恥心で更に小さくなっていた事だろう。

 普段は猪突猛進な兄に理知的な弟が振り回されている事が多いのだが、本当の力関係はその逆なのだった。

 

 なお、この光景は小さな頃からよくある事だったため、もしもこの場に他の「二世軍団」のメンバーがいれば「ああ、またやってるよ」と生暖かい目で見ていたに違いない。

 現にこの状況をインカム越しにモニターしている太郎は、「趣味部屋二号室」のデスクチェアの上で盛大に爆笑していた。

 

 

 

「一般の人達に聞き込みをするのは良い判断だけど、もっとちゃんとやり方を考えてからにしてよ。どこであのコソ泥の目が光ってるか分からないのに、あんな写真を使って万が一にもバレたらまた逃げられるでしょ。そうなったら責任取れるの?」

「無理です。取れません。申し訳ありませんでした」

 

 

 

 百八十四センチの高身長で、上から圧し潰すようなプレッシャーを放ちながら見下ろされ、流石の章大も冷や汗まみれでプルプルと震えていた。

 

 

 そう、瑠偉が街中で章大の姿を見つけた時、彼はあろう事かリヤンゴンの顔写真と全体の姿がよく分かる写真の二枚を使って聞き込みをしていたのである。

 一刻も早くリヤンゴンを逮捕したいという気持ちは分かるし、聞き込みは捜査における基本中の基本なのだが、今回ばかりは自分達が秘密裏にこの「80の世界」にやって来ている事を完全に忘れたかのような暴挙と言わざるを得なかった。

 

 まだリヤンゴンの反応がこの宇宙の地球から消失していないから良いようなものの、もしも追っ手が来ている事がヤツにバレたらまた別の次元宇宙へ逃亡されかねない。そうなったら、二人を送り出してくれた頌栄や太郎達の頑張りがすべて徒労に終わってしまう。

 瑠偉が思わず「何やってんの、このおバカぁ!?」と叫んで、章大の首根っこを引っ掴んで路地裏へ連行したくなるのも頷けるというものだった。

 

 

 冷静に振り返って自分の軽率さに気付き、段々しょぼーんと落ち込んでいく章大の様子を見て、瑠偉は「しょうがないな」とでも言いたげに溜め息を吐いた。

 

 

 

「それに、地道に一般人への聞き込みをしなくても、既に有力な情報源に辿り着くためのルートは考えてある。僕達に残された猶予は少ないんだから、効率化できるところはしっかり効率化しないと」

「えっ、そんなものがあるのか!? なんだよ、それならそうと早く言ってくれりゃ……」

「僕がそれを説明する前にキミが先走っちゃったんでしょ! 頼むから『一旦立ち止まって考える』事を覚えてよね!」

「ゴメンナサイ」

 

 

 

 立ち上がりかけた章大をピシャリと りつけて正座に戻したあと、瑠偉は用意していたメモ用紙を上着の内ポケットから取り出して彼に手渡す。

 その中には、とある場所の名前と住所が書き記されていた。

 

 

 

「これから僕達が向かうのは、東京都世田谷区にある桜ヶ岡(さくらがおか)中学校だよ。章大、そこには誰がいるか分かる?」

「桜ヶ岡中学校………………あっ!」

 

 

 

 メモの中身を読み、記憶しているウルトラシリーズの知識を掘り起こした章大が何かに気付いたように声を上げた。

 

 

 いるではないか。一人、防衛隊員と学校の教師という二足の草鞋を履くヒーローが。

 

 

 

「もしかして、矢的先生!?」

「正解。闇雲に探し回るよりも、初めから所在が分かっている人の元へ行く方が遥かに手っ取り早いでしょ?」

 

 

 

 ウルトラマン80(エイティ)こと矢的(やまと)猛(たけし)は、桜ヶ岡中学校一年E組の担任であり、一年生の理科を担当する教諭である。そのため、平日は中学校で子ども達を教え、放課後や日曜日に防衛隊「UGM」の隊員として戦うという日々を送っていた。

 聞くだけで多忙を極めている事が分かるような、ブラック労働も甚だしい毎日だが、弱音を吐くどころか楽しそうに日々の業務をこなしているあたり、流石はウルトラマンと言ったところだろうか。

 

 

 ちなみに、普通の人間にはまずもって不可能である。

 いくら個人の私生活やワークライフバランスよりも仕事を優先し、長時間労働が美徳とされていた昭和でも、流石にこれは過労死ルート一直線だ。気合いと根性でどうにかなる次元の話では無い。

 

 

 

「星都だって、ウルトラマンメビウスやGUYSと接触して行動を共にしてたんだ。リヤンゴンを追いかけて、その野望を挫くために、僕達も現地のウルトラマンや防衛隊と足並みを揃えるべきだと思う」

「そっか……俺達は太郎さんのおかげであいつを追えるけど、だからってこっちの奴らを無視して良い訳じゃねぇもんな。足を引っ張り合うよりも協力し合った方が良いに決まってるし、80やUGMと接触できるチャンスだ。よぉーっし、そうと決まったらすぐに世田谷へ行こうぜ! 矢的先生が俺達を待ってんだ、善は急げってな!」

「だから焦らないでって言ってるでしょ! 心配しなくても、今から向かえば放課後になる前後には中学校に辿り着けるから、矢的先生が急病か何かで休んでない限りはすんなり会えるはず。分かったら一旦立ち止まって深呼吸してね!」

『そーそー、瑠偉くんの言う通りですぞ、章大くん。確かに一分一秒でも早くリヤンゴンを逮捕できればそれに越した事はありませんが、焦ってもあのコソ泥野郎に逃げられるだけです。よく「急がば回れ」って言うでしょう? ヤツは琵琶湖で、章大くん達は旅人。心は熱く、頭は冷静に。しっかりやる事を見極めて着実に迫れば、結果として早く事件を解決する事ができるってもんです』

 

 

 

 勢い良く立ち上がってそのまま路地裏から出て行こうとした章大を、瑠偉と太郎が揃って宥める。

 幼い頃から正座する機会が多かったためか、章大の足はこれぐらいで痺れて行動不能になるほど柔ではない。なので、まだ間に合ううちにきっちり宥めて止める必要があるのだ。

 単独で突撃させてグダグダのしっちゃかめっちゃかになれば、その皺寄せは全部ストッパーである瑠偉に来てしまう。それだけは断固として阻止しなければならなかった。

 避けられる尻拭いは避けておくに越した事は無いのである。

 

 

 

「うっ……分かったよ。ごめんな、瑠偉」

「分かれば宜しい! それに、章大のその思い切りの良さや行動力の高さが大きな武器になるって事は、僕が一番良く知ってる。頼りにしてるからね」

「おう! もしもの時は任せろ!」

 

 

 

 少年のように快活な笑顔を見せる章大に、瑠偉も眼鏡の下で穏やかに微笑む。なんだかんだ言って、相性バッチリの仲良しな双子なのだ。

 

 

 

「…………ところでさ、太郎さん。なんで『急がば回れ』のことわざと琵琶湖を一緒に話してたんだ? なんか関係でもあんの?」

『ああ、それですか。簡単な話ですよ。「急がば回れ」の「回れ」は琵琶湖の事を指してるんです。何でもその言葉ができた当時は、琵琶湖の岸辺を徒歩で回り込むか小舟で湖を突っ切るかの二択だったそうで……』

「アレ琵琶湖の事だったのかよ!?」

 

 

 

 素晴らしき無駄知識に章大は目をひん剥いて驚いたのだった。

 

 

 




(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか?


(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!


(=◎ω◎=)<という訳で、第三章のメインは松葉兄弟になりました


(=◎ω◎=)<朝河姉妹はまた別の章でメインを張らせる予定ですので


(=◎ω◎=)<彼女達の活躍が見たい方がいらっしゃいましたら申し訳ないです


(=◎ω◎=)<今回は導入部分


(=◎ω◎=)<これからエピソードが始まって行きます


(=◎ω◎=)<乞うご期待!


(=◎ω◎=)<次回の更新は十月十九日(月)予定


(=◎ω◎=)<先日投稿した「幕間②」にpixiv版は十月十七日(土)投稿予定


(=◎ω◎=)<なんで日曜じゃなく土曜なのかって?


(=◎ω◎=)<次の日曜日は朝からみっちり予定が詰まってるからだよ!


(=◎ω◎=)<それではまた、お会いしましょう


(=◎ω◎=)ノシ
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