ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<今回は前半平和、後半修羅場の構成です
(=◎ω◎=)<サブタイ通り、平和というのはいつも突然壊れるものですから
(=◎ω◎=)<今回もそのような流れにしてみました
(=◎ω◎=)<どのような修羅場が繰り広げられるのか
(=◎ω◎=)<乞うご期待です!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
東京都世田谷区は二十三区の南西部に位置し、総面積約五十八平方キロメートルと、大田区に次いで二番目に広い区である。
一九九二年の羽田空港建設に伴う埋め立て工事が行われるまでは、東京二十三区で最も広い区として知られており、昭和五十五年(一九八〇年)の日本が舞台である「ウルトラマン80」の世界においては二十三区で最大面積だ。
人口は二〇二〇年の国勢調査時点で九十四万人を越えており、こちらも東京二十三区で最大とされている。昭和五十五年(一九八〇年)当時の人口は約七十九万七千人で、当時から広さ・人口ともに二十三区内でトップクラスの自治体であった。
区内は大きく分けて世田谷、北沢、玉川、
全体を通して中学校数はおよそ五十~五十二校、「80」の舞台となる昭和五十五年時点では五十三校だ。
その中の一つが、当座の目的地である公立桜ヶ岡中学校だった。
生徒数や敷地面積など、具体的な数字は残念ながら非公表となっているので詳しくは分からないものの、一九八〇年代は第二次ベビーブーム世代が一斉に中学生に上がって行った時期のため、この学校においても相当な人数が通っていたものと思われる。
そんな公立桜ヶ岡中学校の敷地の外、すぐ目と鼻の先で、章大と瑠偉は揃って校舎を見上げていた。
「はえ~……結構立派な建物じゃねぇの」
「ロケ地になったのは東京都保谷市にあった保谷市立青嵐中学校だね。今は老朽化に伴って新しい建物に建て替えられてるから、ロケに使われた建物は旧校舎の方だよ」
「ん? 保谷? 東京にそんな名前の市なんてあったか?」
「二〇〇一年に隣の田無市と合併して、今は西東京市になってるよ。だから、『今は無い』が正解だね。それに伴って、中学校も保谷市立から西東京市立に変わってる。章大の記憶違いって訳じゃないから安心して」
「………よくそんな事知ってるな、瑠偉」
「ファンの間では聖地の一つになってるけど、それでもマニアック過ぎる知識だからね……たまたま興味があって調べたってだけ。さっき太郎さんが言ってた琵琶湖云々の話と同じ『
小さく肩を竦めながらそんな事を言う瑠偉だったが、章大はどう反応して良いのか困ってしまった。
弟が意外と強めの知識欲を持っている事は知っていたけれど、まさかそこまで深く調べていたとは思わなかったのだ。このあたり、頭を動かすより体を動かす方が好きな章大にはよく分からない世界である。
期末テストに向けたテスト勉強、或いは夏休みに出される大量の宿題を前にしたかのような苦い表情を浮かべている兄の様子が可笑しくて、瑠偉はついついクスッと笑ってしまった。
「大丈夫。こんなの覚えなくたって全然困らないんだから、章大は章大の興味ある事を深掘りすれば良いよ」
「いや、でもさ……なんかこう、頭の良さの違いを見せ付けられたみたいな気がして、変な気分なんだよな……真似しようなんて思えねーし」
「思わなくていーの。それに、章大だってちゃんと頭は良いでしょ? 興味ある事が違うだけ、使い方が違うだけだよ。章大は章大、僕は僕さ」
『いやいや、そうは言いますけどね、瑠偉くん。何しれっと自分が住んでない地域の合併話まで網羅しちゃってるんですか。フツーは興味持った部分を調べたあと、そっから更に別の知識へ手を伸ばそうとか思いませんよ? 手の伸ばし過ぎ方がナチュラル過ぎて引き過ぎちゃうんですけど』
「過ぎる過ぎるうるさいよ、太郎さん。『過ぎるTV』のナレーションじゃないんだから……それより、そろそろ時間だよ」
瑠偉が見せた腕時計は、もうじき午後三時十分を指そうかというところ。
一般的な中学校の放課後は、六時間授業が終わる午後三時十分から五十分の間に始まる事が多い。帰りの会(終礼)や清掃の終了時刻に合わせて多少前後する事はあるものの、概ね午後三時から四時の間が通例だ。
桜ヶ岡中学校は公立校のため、その通例から大きく逸脱する事は無いだろう。今日の時間割がすべて終了するのはもう間もなくだ。
そんな瑠偉の予想を裏付けるように、午後三時十分を迎えてすぐに校舎の中から続々と子ども達が出て来た。みんな、一日の学業を終えた解放感を漂わせており、仲の良い友達同士で談笑したり、或いは一刻も早く家へ帰ろうとして走ったりと、思い思いの様子を見せている。
「じゃ、僕達も行こうか」
「おう! まずは職員室だな!」
顔を見合わせた双子はどちらからともなく頷き、目的の人物に会えないか、無理ならアポイントメントを取れないか伺うため、桜ヶ岡中学校の正門を通って敷地内へ足を踏み入れた。
「80」の物語序盤に当たる「教師編」では、時々教室内の授業風景や職員室内での会話シーンなどが描かれている。だが、それら「室内シーン」の撮影は、実際の授業の妨げにならないよう「スタジオ内に組まれたセット」で行われる事がほとんどだった。
そのため、劇中で登場した教室や職員室が学校内のどこに位置しているのか、全然分からないのが現状なのである。
一番良いのは生徒か教諭の誰かに職員室まで案内して貰う事だが、流石に見ず知らずの部外者である自分達の頼みを聞いてくれそうなお人好しは少ないだろう。せめて誰か、話だけでも聞いてくれそうな親切な人を捕まえて聞き込みができれば良いのだが……。
そんな事を考えながら校庭付近を歩いていた双子の耳が、不意に異様で不気味な高周波の音を捉えた。
背筋に直接氷を押し当てられたかのような戦慄を覚え、反射的に空を振り仰いだ二人の目に、信じられない光景が飛び込んで来る。
薄いエメラルドグリーンやパールグリーンに輝く、表面に濃いエメラルドグリーンのひび割れ模様が入った小さな球体が、中学校付近に次々と高速で飛来して来ていた。
数は数えるのも億劫になるほど大量で、一つ一つが高周波のうねり音や、機械的・生物的な浮遊感のある特徴的な飛行音を奏でながら飛び回るその光景は、何とも言えない不気味さや恐怖を掻き立てる。
時折スライムか何かのように形を不規則に変化させているその球体の群れを、二人は知っていた。
ウルトラマンシリーズのテレビ作品第二十四作目にして、「ウルトラマンギンガ」から始まるニュージェネレーションの第十作目。二〇二二年七月から放送された、特撮番組「ウルトラマンデッカー」にて登場した小型の宇宙球体「スフィアソルジャー」である。
「なんっでここにスフィアソルジャーがいるんだよ……ッ!?」
「太郎さん! これってつまり、リヤンゴンが動き出したって事!?」
『そう考えて間違い無さそうですねぇ……! こっちのモニターでSDのエネルギー反応を観測しました! 怪獣名『精強融合獣 スフィアザウルス』! リヤンゴンが盗んで行った頌栄さん謹製のSDの一体です!』
つまりこのスフィアソルジャーの群れはすべて、リヤンゴンが盗んだスフィアザウルスによって呼び寄せられた個体という事だ。
様々な物体や生物に取り付いて侵食・融合し、「スフィア合成獣」と呼ばれる狂暴な怪獣へと作り変えてしまう恐るべき性質を持つ、恐怖の宇宙生物。「ウルトラマンデッカー」の物語において、主人公であるアスミ・カナタと防衛チーム「GUTSーSELECT」が戦う事になる宿敵である。
飛来したスフィアソルジャーの群れは中学校の敷地内を縦横無尽に飛び回り、次々と緑色の破壊光線を放ち始めた。
「わぁあああああああああああ!!!」
「きゃーーーーーーーーーーー!!!」
「みんな、落ち着いて! 慌てず、校舎の中に入るんだ!!」
光線はグラウンドの地面に当たって焦げ跡を作り、植木に当たって木を燃やし、校舎の壁に当たって火花を散らす。
幸いな事に、悲鳴を上げながら逃げ惑う子ども達や避難誘導をしに飛び出して来た教諭達にはまだ当たっていないものの、このままでは被害者が出るのも時間の問題だ。
「章大! 戦闘準備! 子ども達を守るよ!!」
「おうよ!」
敵の出現と襲来を目の当たりにした二人の行動は迅速だった。
瞬時にそれぞれのアイテムボックスからアサルトライフル型の銃火器とSDを取り出し、火器のマガジンに当たる位置に取り付けられたハードウェアインターフェースにSDのライブサインを接続する。
──《スパークドールズ、モンスロード!》
正常に情報が読み込まれた事を示す電子音声が鳴り響くや否や、二人は同時に銃火器を構えて狙いを定めた。
──《アタック・シュート! 『新創獣 ネオメガス』!》
──《アタック・シュート! 『超合成獣 ネオダランビア』!》
再び電子音声が鳴り響き、二人は双子の兄弟ならではの阿吽の呼吸で同時に引き金を引く。
章大が持つ火器の銃口からはネオメガスのものと同じ青白い色のエネルギー光弾が、瑠偉が持つ火器の銃口からはネオダランビアのものと同じ橙色のエネルギー光弾が、それぞれ大空に真っ直ぐな輝線を描きながら高速かつ大量に発射された。
放たれた光の雨は群がるスフィアソルジャーの体を正確に穿ち、その不気味に蠢く球体を次々と爆発炎上させて撃墜していく。
彼らが使用している銃の名は「スパークライフル」。
頌栄を筆頭に永門、瑛瑠、流斗らが総力を結集して開発した特殊化学兵器である。
原理としてはギンガスパークとほぼ同じで、ライブサインを通じてSDの情報を読み込ませる事で使用可能だ。違いはギンガスパークが読み込んだSDの実体化や変身を行うアイテムなのに対し、スパークライフルは読み込んだSDの怪獣達が持つ破壊光線や火炎攻撃などの特殊能力を弾丸として発射できるアイテムであるという点。
ギンガスパークのエンチャント機能の開発と実装を成功させたあと、「これを応用・ダウンサイジングして携行できるタイプの武器も作っておこう」という話になり、あれよあれよと言う間に完成した特殊兵装だ。
言うまでもないが、このスパークライフルを扱えるのはSDとギンガスパークに正規登録されている者のみで、SDが無ければ使用不可である。欲しければ頌栄に直談判するしか無い。
『はいはいはいはいはいはい、無双系シューティングゲームの開幕でぇ~す! じゃんじゃか撃ってどんどこ撃ち落しましょー! 大丈夫! 相手は「悪魔」の呼び声高き
「黙っとけよ、このぶっ飛びハッカーが!! 他人事だと思って楽しんでんじゃねー!!」
「こっちはたった二人しかいないんだけど!? これのどこが『無双系』なのかな!? どっちかと言うと『クソゲーシューティング』でしょ! 逆にストレス溜まるよ!」
相変わらずこちらの状況を面白がっている太郎にキレ散らかしつつ、襲い来るスフィアソルジャーを攻撃し続ける章大と瑠偉。
二人の構えるスパークライフルが唸りを上げ、ネオメガスとネオダランビアの破壊光線が宇宙球体の群れを切り裂いて行く。
中には反撃して来る個体もいたが、数々の修羅場を潜り抜けて来た歴戦の猛者である二人は慌てない。冷静に攻撃の軌道を見極めて躱すと同時に、流れるような動きで逆にエネルギー弾を撃ち込んで吹き飛ばした。
そうして無数の宇宙球体を相手に奮戦していると、不意に一人の男性教諭の姿が視界に飛び込んで来た。
男性教諭は校舎内へ逃げ込む子ども達の背後を守るためなのか、果敢にもスフィアソルジャーの前へ飛び出し、必死の形相で通勤鞄を振り回して群れを追い払おうとしている。
(あの人は……まさか!?)
その男性教諭の顔を見てハッと息を呑んだ瑠偉は、咄嗟にスパークライフルのセレクターを操作して
──《ディフェンス・シュート! 『超合成獣 ネオダランビア』!》
電子音声と共に発射されたエネルギー弾が照準通りに真っ直ぐ飛び、男性教諭の頭上で弾けて青色に輝く膜のようなバリアーに変化。男性教諭の全身をすっぽりと覆い隠した。
直後、数匹のスフィアソルジャーから緑色の破壊光線が放たれ、バリアーに命中して衝撃音を轟かせる。思わず目を瞑って頭をガードした男性教諭だったが、光線はすべてバリアーに阻まれて彼の体に届く事は無かった。
ネオダランビアが使用する防御用能力「亜空間バリアー」だ。
スパークライフルを通じての使用なので規模は縮小しているが、劇中でウルトラマンダイナの必殺技「ソルジェント光線」をも防いでみせたその防御力は健在である。
バリアーで男性教諭を守っているあいだに、瑠偉は近くでスフィアソルジャーを撃ちまくっている章大へ向けて大声を上げた。
「章大! あの男の先生のフォローに回って!」
「ちょっ、嘘だろ!? あの
「無茶しやがるぜ!」と文句を言いつつ、章大は全速力で男性教諭を包むバリアーの前に体を滑り込ませると、殺到するスフィアソルジャーへ向けて引き金を引き絞った。
ネオメガスの破壊光線が銃口から迸り、数十匹という数のスフィアソルジャーを貫通して花火のような爆発を発生させる。
男性教諭の護衛は章大とネオダランビアの亜空間バリアーに任せ、瑠偉は再び自分のスパークライフルを連発式に切り替えて銃口をスフィアソルジャーの群れに向けた。
スフィアソルジャー達が状況を不利と見て撤退して行ったのは、それから数分後の事であった。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか?
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<いつもは七時頃に更新しているのですが
(=◎ω◎=)<今回は投稿が遅れてしまい、申し訳ありません
(=○ω○=)<二十年くらい乗った車がエンジントラブルに見舞われたんです……
(=○ω○=)<人生初のレッカー要請をしましたですよ……
(=◎ω◎=)<次回の更新は十月二十一日(水)予定
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ