ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<サブタイを見れば分かると思いますが
(=◎ω◎=)<今回は第三章における「運命の邂逅」がメインとなります
(=◎ω◎=)<ウルトラマンが相手なんですから
(=◎ω◎=)<時にはこういう出会い方もありますよね、という話ですな
(=◎ω◎=)<具体的な内容は本編をどうぞ!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
高周波の飛行音を響かせて大空の彼方へ飛び去って行くスフィアソルジャーの群れを見送り、松葉家の双子は揃って一息吐いた。
「どーにか追っ払えたみてぇだな……」
「そのようだね……スフィアソルジャーにしては撤退の判断が的確な気がするけど、もしかしたらこの中学校を襲った理由は他にあるのかも」
「単純にここを全滅させたかった訳じゃねぇって事か。あの
「たぶん、ね……ベリアル融合獣に続いて、今度はスフィアとスフィア合成獣の生データを集めるためだったとか、そういう感じだと思う。いずれにしろ、ロクでもない事なのは間違いないよ」
『事件がどんどん嫌な方向に突き進んでってるように感じてなりませんなぁ……。おぉ~、やだやだ。これだから「イカレた天才」系は敵に回したくないんですよ』
はぁ、と溜め息を吐きながら太郎が口にした言葉に、双子は揃って「
リヤンゴンも確かに厄介で危険だけれど、どちらがより敵に回したくないかで言えば間違いなく太郎の方に軍配が上がる。
何が悲しくて、あらゆる手段を尽くして多次元宇宙の果てまで執拗に追って来る怪物のターゲットにされなくてはならないのか。例え報酬をウン兆円積まれても嫌だった。
『取り合えず、今はお二人が叩き出したさっきのシューティングゲームのスコアでも数えながら状況分析と行きましょうか。ちなみに、お二人のスフィアソルジャーの撃墜数は同率一位のハイスコア新記録達成でぇす☆ お二人とも流石ですね~! パチパチパチパチ~♪』
「はぁ!? 瑠偉はあの
『間違ってませーん! 正真正銘、正確に計った結果でぇーす! 章大くんも狙って撃ちまくってましたけど、瑠偉くんの正確性にはあと一歩及ばなかったって事ですよぅ』
「くっそぉ~~~~~~!! 次こそは俺が単独一位を取ってやるッ!」
「キミは一体何の勝負をしてるんだい……」
悔しそうにガシガシと頭を掻き毟る章大と、そんな兄の姿を見て呆れたように呟く瑠偉。いつも通りにわちゃわちゃしながらスパークライフルを下ろした二人だったが、その表情にはわずかばかりの疲労が滲んでいた。
予見しづらいのが怪獣災害の特徴とはいえ、あんな大量のスフィアソルジャーを相手に大立ち回りする事になるとは流石に想像できなかった。桜ヶ岡中学校に到着して早々、とんだ修羅場に出くわしてしまったものである。
ライフルとSDの接続を解除し、手元のアイテムボックスに手早く仕舞い込んだあと、瑠偉は先ほど助けた男性教諭の元へ走った。
ネオダランビアの亜空間バリアーは既に消失しており、遮るものは何も無い。
「大丈夫ですか? お怪我は?」
「あ、ああ……キミ達のおかげで掠り傷一つ無いし、子ども達もみんな無事に校舎の中へ避難できたようだ。ありがとう、助かったよ」
瑠偉の問い掛けに、男性教諭は自分の体を確認しながらそう応え、安心させるように笑顔を浮かべてみせた。
年齢は二十四、五歳あたりだろうか。爽やかさを感じさせる整った顔立ちをした人物である。
すっきりとしたルックスの中に親しみやすさもあり、何事にも全力な熱血教師というイメージを抱きやすい。
改めて彼の顔立ちや声を目の当たりにした瑠偉は「やっぱり……!」と納得感を覚えつつ、こちらも爽やかで親しみやすい笑顔を返した。
「どういたしまして。子ども達を守れたのなら、僕達も頑張った甲斐がありました。それにしてもまさか、あんな状況で通勤カバンを武器に飛び出して行く人がいるとは思いませんでしたよ。貴方もこの学校の先生でしょう? 貴方が怪我をしたら、子ども達が悲しんでしまいます」
「ははは、手厳しいがその通りだ。一人でも多くの教え子を守ろうと無我夢中で飛び出してしまったんだが、今思えば軽率だった。申し訳ない」
そんな事を言って頭を下げる男性教諭に、瑠偉は「やれやれ」とでも言いたげに鼻を鳴らして首を横に振る。
「謝るなら僕じゃなくて生徒達にしてください。突然奇妙な生き物の大群に襲われて怖い思いをしたと思いますし、それと同じくらい先生が怪我するかもと思って不安を感じていたはずです。生徒達の不安を和らげて、笑顔を増やす。それもまた『先生』の仕事でしょう?」
「………参ったな、本当にキミの言う通りだ。返す言葉も無い」
思い当たる節があるのか、男性教諭はばつが悪そうに視線を下げて指で頬を掻いた。
記憶では確か、この人は今年の春に桜ヶ岡中学校へ赴任して来たばかりの新米教諭だったはず。生徒達を大切に思う気持ちは本物でも、ついついそれが先走ってしまったり、妙な方向へ暴走したりする危なっかしさがあるのはそのためだろう。
そこへ遅れて、章大も駆け寄って来た。
「おいおい、さっきからやけにこの先生と親し気に話してっけど、何者だよこの人?」
本気で訳が分からないという様子の章大の言葉に、瑠偉と、ついでにインカムの向こうの太郎は揃ってキョトンとする。
ややあって事情を把握した瑠偉が、納得したようにポンと手を叩いた。
「そっか。章大はこの人の名前は知ってても、顔は知らなかったんだ……」
『そーいえばそうでしたな……ボクらの仲間内って割とコアなファンやマニアが多いんで、章大くんみたいなライト層もいる事をすっかり忘れてました』
「あん? どーいう意味だよ、それ?」
益々訳が分からなくなった章大が首を傾げる中、瑠偉はなるべくゆっくり、分かりやすいように続きを話す。
「章大、僕達はある先生に会うために、この桜ヶ岡中学校に来た。で、ついさっき助けて、今こうして話をしてるこの先生こそが、僕達の探し人ご本人なわけ。ここまで言ったらもう分かるよね?」
「探し人………………先生………………」
瑠偉の言葉を反芻しながら時間を掛けて記憶を掘り起こし、やがて章大は何かに気付いて瞠目した。
「も、もしかして、この人が矢的先生!? うっそだろ、本物のウルト……」
「わーっ!! わーっ!! 待って待ってストップストォーップ!! そこから先は言っちゃダメぇ!!」
勢いに任せて決定的なNGワードまでうっかり口走ろうとした章大の口を、咄嗟に手でガバッと物理的に塞ぐ。
そして、モゴモゴと声にならない声で抗議する章大の瞳を覗き込み、瑠偉は鬼気迫る表情でなるべく声を抑えながら言った。
「いいかい、章大。ここは放課後の中学校なんだよ? さっきのスフィアソルジャーの襲撃で生徒達は校舎内に避難したけど、誰がどこで聞き耳を立ててるか分からないんだ。襲撃音は止んだから、もしかしたらすぐ傍の物陰から顔を出して様子を窺ってる人がいるかもしれない。もしも地球人に自分の正体がバレたら、矢的先生……
早口で静かに捲し立てられてようやく自分の迂闊さを理解した章大が、高速で何度も首を縦に振る。
現地のウルトラマンや防衛隊と協力し、リヤンゴンが裏で糸を引いて実体化させたSDの怪獣達と戦って、本来の歴史から大きく逸脱しないようにするのが今作戦の目的の一つだ。80やUGMの手助けをしに来たはずの自分達が80の足を引っ張るような事になれば、本末転倒どころの話では無い。
ようやく大人しくなった兄にホッと一息吐き、口から手を離して解放した瑠偉は改めて男性教諭こと矢的猛に向き直った。
「すみません、お騒がせしました。それと、自己紹介がまだでしたね。僕は松葉瑠偉、こちらは双子の兄の章大です。宜しくお願いします」
「どうも初めまして」
瑠偉の言葉に合わせて、章大も軽く頭を下げる。
ちなみにこの時、太郎は裏方に徹して声を上げなかった。
「これはこれはご丁寧に。矢的猛と申します。ここ、桜ヶ岡中学校の一年E組の担任で、理科の授業を担当しています。こちらこそ、宜しくお願いします」
猛も自己紹介と共に軽く頭を下げ、そのまま順に双子と握手を交わした。新米教諭特有の初々しさと、ウルトラマンとしての力強さが同居した手だった。
太郎曰く、三人の近くに他の人間の生体反応は無いとの事だが、念には念を入れて人気の無い場所へ移動しながら話をする事に。
「ところで、さっきの奇妙な生物達との戦いを見ていたけど、キミ達は二人とも凄い実力者だ。UGMではキミ達の姿を見た事は無かったが、一体どこの所属なんだい?」
「そうですね……一言で言いますと、民間の地球防衛組織に籍を置いています。と言っても、別の宇宙にある地球で活動する組織なんですけど」
「別の宇宙……それってつまり、いわゆる『
「流石は矢的先生、博識ですね。その通りです」
他に聞き耳を立てている者はいないという事で、既に双子が「猛=80であると知っている」事は伝えてある。そのため、猛も遠慮なくウルトラマンとしての側面を曝け出して会話していた。
当初はまったく面識が無いはずの章大と瑠偉が自分の正体を知っていた事に酷く困惑していた猛だったが、ウルトラマンとして数々の修羅場を潜って来た経験ゆえか今ではすっかり受け入れている様子だ。
「マルチバース……話には聞いていたが、本当に多次元宇宙が実在するとは思わなかった。宇宙にはまだまだ知らない事がいっぱいあるな」
「ウルトラマンと言えども全知全能の神ではないのですから、知らない事があったとしても不思議ではありませんよ。中学校で教諭として生徒達に教えるのと同じ、日々これ勉強です」
「ははは、確かにそうだ。………瑠偉くんと話していると、なんだか改めて気付かされる事が多い気がするな。先生に向いてるんじゃないか?」
「教師、ですか……考えてみます」
眼鏡を指でくいっと押し上げながら微笑む瑠偉に、猛もつられて明るく笑う。
出会ってからまだ数時間と経っていないにも関わらず、彼らの間に流れる空気は既に気心の知れた友人のそれと同じだった。
「そういえば、キミ達と僕が初対面なのは分かったけど、じゃあどうして二人は僕の名前と正体を知ってたのかな? 実はどこかで会ってたとか……」
「いやぁ、そーゆーのは無いぜ。完全完ぺき初対面。俺達が先生の事を知ってたのは、さっき話してたマルチバースと関係があるんだ」
「マルチバースと? それはどういう意味だい?」
「簡単に言うと、俺と瑠偉が住んでる宇宙の地球じゃ、先生とUGMの戦いが全部イッコの『物語』になってて、誰でも読めるようになってんのさ。俺達はその物語を読んでたから、先生の事を知ってるってワケ。つまり、俺達は先生のファンなんだよ」
『うわー、ものっそい簡単な言葉で片付けちゃったよこの人ー……というか、ファンなら憧れの対象の顔ぐらい知ってて当然でしょう。知らないでファンを名乗るとか冒涜も甚だしいと思いますけどねー』
(黙らっしゃい!)
猛が見ている手前、堂々と言い返す訳にもいかず、章大は泣く泣く心の中で言い返すだけに留めた。
その時、猛が服のポケットに入れていた携帯用の通信機に連絡が入る。双子に断りを入れて通信機を操作すると、スピーカーから渋い男性の声が聞こえて来た。
「はい。こちら矢的」
『矢的隊員、聞こえるか! たった今、市街地に巨大怪獣が出現した! 現在、ハラダ隊員、タジマ隊員と共にシルバーガルとスカイハイヤーで向かっている! 至急合流せよ!』
「了解!」
男性の声が発した短くも的確な指示を受けて、猛は鋭い声で了承する。
一方、その様子を見ていた双子にも、インカムを通じて太郎の指示が飛んだ。
『はいは~い、要
((了解!))
こちらも声には出さずに了承し、一瞬だけ顔を見合わせて頷き合うと、通信を終えたばかりの猛に声を掛けた。
「矢的先生! さっきの通信、ひょっとしてUGMのオオヤマキャップからですか?」
「ああ、そうだ! 街に怪獣が出現したらしいから、僕は今からそっちに向かう! キミ達はどこか安全な場所に……」
「何言ってんだよ、先生!」
避難していてくれ、という猛の言葉を、章大が勢い良く否定して身を乗り出した。
「さっきの戦い見てただろ? 俺達だって自分の身くらいは守れるし、アンタやUGMの足を引っ張るほど弱いつもりもねぇ! アンタは
「章大の言う通り、僕達は矢的先生に守って貰わなければならないほど弱くはありません。それに、幸か不幸か出現した怪獣について心当たりがあります。連れて行って頂けるなら、僕達の持つ知識をお伝えします。決して損はさせません」
「章大くん、瑠偉くん…………」
二人が向けてくる真剣な眼差しに、猛はしばし思案するように視線を下げた。
確かに、先ほどの光る不気味な球体の群れを相手に見事な連携で渡り合っていた姿には驚かされた。
洗練された動きで敵の攻撃を躱し、正確無比な精度で敵を撃ち抜き、的確な判断力で迷わず猛や子ども達を助けてくれた。その卓越した実力と「誰かを守りたい」という熱い意思は、彼らを同行させる理由にはなっても遠ざける理由にはならない。
加えて、出現した怪獣に関して心当たりがあるという話も、不思議と猛は信じられるように感じていた。
少なくとも、目の前に立つ双子の言葉には一切の不純物も嘘も無い。本当に心当たりがあり、知識があり、対抗策を知っているのだと、言葉以上にその瞳と声色が強い説得力となって猛の心にまっすぐ届いていた。
今日出会ったばかりの相手だが、猛はウルトラマンの一人として、防衛隊「UGM」の隊員の一人として、彼らの言葉と意思を信じてみる事にした。
「………分かった。現場の判断で、キミ達の同行を許可しよう。キャップには僕が責任をもって伝える。だから、安心して付いて来てほしい」
「「ありがとうございます、矢的先生!」」
顔を上げた猛から色好い返事を貰えて、章大と瑠偉は同時に表情を綻ばせて同時に礼を言った。
双子ならではの息の合い様に微笑ましさを覚えた猛が一つ頷き、三人は揃って走り出したのだった。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか?
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<はい、という訳でお気付きになった読者の方もいらっしゃると思いますが
(=◎ω◎=)<前回、カバンを手に飛び出して来た男性教諭は矢的先生でした!
(=◎ω◎=)<スフィアを相手にカバン一つで戦いを挑むなんて流石はウルトラマン
(=◎ω◎=)<ワイルドだろぉ~?
(=◎ω◎=)<ですが、一難去ってまた一難
(=◎ω◎=)<修羅場はまだまだ続きます
(=◎ω◎=)<次回の更新は十月二十三日(金)予定
(=◎ω◎=)<乞うご期待!
(=◎ω◎=)ノシ