ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<白熱のバトルパートその3
(=◎ω◎=)<は~じま~るよ~!
(=◎ω◎=)<それでは、ゆっくりして行ってね!
オフィス街を真っ白に塗り潰すほどの強烈な閃光と共に、新たな三つの巨影が戦場に降り立つ。
一つは銀の肌に赤いラインが走る巨人。M78星雲「光の国」から派遣されて来たウルトラ九番目の戦士、ウルトラマン80だ。
そしてもう二つは、この地球において未だかつて誰も見た事の無い、新種のロボット怪獣だった。
80の右隣に立つのは、機械でできた二足歩行の竜人という表現が一番しっくり来る、どこか神秘的な神々しささえ感じるような姿をしたロボットだ。
黒い素体に白い装甲を纏い、両手足には別素材で造られているのであろう群青色の手甲や足甲が装着されている。手の甲や膝に当たる部分には金色のブレードも一緒に装着されており、背中に装備された巨大な金色の戦斧と合わせて、近接戦闘力の高さを如実に物語っているかのようだ。
よく見れば両手の指先にはビームマシンガンの銃口が、手首の表側にはビームキャノンの砲口がそれぞれ取り付けられていて、近接戦闘だけでなく中・遠距離においても多大な戦闘力を発揮できる事が分かる。
それこそは、「シビルジャッジメンター ギャラクトロンMK2」。
かつて二〇一六年十月に放送された「ウルトラマンオーブ」の第十四話と第十五話にて登場した「シビルジャッジメンター ギャラクトロン」の改良機であり、二〇一八年に公開された「映画ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!」にて、ジード、オーブ、ゼロの三大ウルトラマンを相手に互角以上の戦いを見せ付けた超強豪ロボット怪獣だ。
その反対側、80の左隣に立つのは、ギャラクトロンMK2とはまったく趣を異にする二足歩行の機械魔人。
全身に黒い装甲を纏い、両手の先端を始めとする一部に使用されている青色の装甲や胸部左右に展開しているショルダーアーマーのようなパーツが特徴的だ。
右腕はクローアーム、左腕はビームキャノンとなっており、ギャラクトロンMK2と比べて武装面では少なく、シンプルになっている。
頭部前面を覆うフェイスマスクには赤色をした逆三角形のような模様が表示されていて、無機質だがどことなく精悍さを醸し出していた。
地球産のロボットである事を示すためなのか、全体的な見た目は古き良き王道のイメージに則ったデザインだ。
名を、「電脳魔人 テラフェイザー」。
二〇二二年九月に放送された「ウルトラマンデッカー」の第九話からその存在が示唆され、同月放送の第十一話「機神出撃」にて本格的に実戦投入された、地球平和連盟「TPU」によって開発された対怪獣用ロボット兵器である。
「ウルトラマン80……」
絶体絶命の危機に駆け付けてくれた銀色の巨人の勇姿に、安堵からかオオヤマは無意識の内にその名を呟く。
だが、80の登場に合わせるように、その両隣に出現した見た事の無い巨大ロボット達の姿を目にした途端、ほんのわずかに眉根を寄せた。
あの二体のロボットは一体何者なのか。80と共に並び立っているが、あれらは味方と考えて良いのか。尽きぬ疑問が頭の中を満たす中、オオヤマは警戒心を緩める事無く操縦桿を握る手に力を込めた。
一方、80は己の両隣に立つギャラクトロンMK2とテラフェイザーの顔を交互に見やり、深く頷き合うと、眼前に佇むスフィアザウルス達に向けて同時に構えを取る。
三体のスフィア合成獣とウルトラマン、ロボット怪獣、電脳魔人のトリオ。世田谷のオフィス街を舞台に、三対三の決戦が幕を開けた。
「GIIIIIOOOOOOOッ!!」
「「GYAAAAAAAAOOOOOOOOッ!!」」
先に仕掛けたのはスフィアザウルス達だった。
三体同時に咆哮を上げ、三位一体の破壊電磁波による波状攻撃を放つ。
逃げ場の無い青い電撃の嵐が迫る中、ギャラクトロンMK2が臆する事無く一歩前に出た。
「LAAAAAAAAAAAAAAAA……………」
まるで複数人の男性が美しいコーラスを歌っているかのような低音の鳴き声を響かせて、80とテラフェイザーの前に移動したギャラクトロンMK2は、自身の体の前方にデジタルチックな幾何学模様のバリアを展開した。よく目を凝らせば、ハニカム構造状にバリアを構成する無数の六角形の幾何学模様、その一つ一つに細かな魔法陣が描かれている事が分かる。
バリアは三体のスフィア合成獣が放つ破壊電磁波を受け止めると、罅が入るどころか小さな揺らぎすら見せずに悠々と防ぎ切った。
映画の劇中でウルトラマンオーブ・サンダーブレスターが放つゼットシウム光線と、ウルトラマンジードが放つレッキングバースト、二人の必殺光線による同時攻撃をも防いでみせたその防御力は、
三体同時攻撃を苦も無く無力化したギャラクトロンMK2は、バリアを瞬時に解除すると両手の拳をガツンと突き合わせて気合いを入れる。
《ハッ、そんな攻撃で
《ちょ、章大くん!?》
テレパシーを介して勢い良く叫ぶや否や、ギャラクトロンMK2に変身した章大は敵陣目掛け、地響きを上げて街の中を爆走して行った。
まさかいきなり単騎で突撃していくとは思ってもみなかった80が反射的に手を伸ばそうとしたものの、時すでに遅く、白銀の機械竜は重厚な駆動音と凄まじい風圧を伴って敵の真っ只中へ豪快に踊り込み、三体のスフィア合成獣を相手に圧巻の大立ち回りを演じ始める。
手を伸ばしかけた姿勢のまま呆気に取られて固まる80に、後ろからテラフェイザーに変身した瑠偉が苦笑する気配を漂わせながらテレパシーで話しかけた。
《彼はああいう性格なんです。良く言えば勇猛果敢で恐れ知らず、悪く言えばバカで短気な猪人間。だから、常に誰かが傍に居て手綱を握っていなければなりません》
《どうやらそうらしいね。もう少し自制が効くイメージだったけど、どうやら私の想像以上に熱い人物だったらしい》
《僕も、あとほんの少しだけで良いから冷静さや落ち着きを身に付けてほしいって、常々思ってるんですけど、その「ほんの少し」がなかなか……》
溜め息を漏らす瑠偉の言葉には明らかな疲労の色が見えており、兄の性格に日頃から苦労させられている事が窺えて、80はテラフェイザー越しに彼の肩をポンと叩いた。
《……ですが、今は敵の意識がすべて章大に向けられています。攻め込むなら今がチャンス。そう思いませんか?》
《なるほど、章大くんの性格を逆手に取る訳か……良い手だ。よし、それで行こう!》
《はい!》
『知らない間に、実の弟に敵の戦力分析と隙を作るための囮にされちゃう章大くん、カワイソス(笑) まぁ、おバカも使い様なんで、じゃんじゃん利用しちゃいましょ~♪』
疲労の滲む声から一転、不敵な雰囲気が漂う声で即興の作戦を披露する瑠偉に、実は章大の独断専行が既に織り込み済みだった事を悟った80は、その強かさに内心で苦笑いしつつその案を受け入れる。
太郎は既に瑠偉の考えを見通していたのか、インカムの向こうでクスクスと笑っていた。
何はともあれ、強いが扱いの難しい仲間の背中を追いかけるように、80と瑠偉は二人同時に駆け出す。
一方の章大は、三体の強力なスフィア合成獣を相手に互角以上の戦いを繰り広げていた。
「GYAAAAOOO!!」
《おっと!》
縦横無尽に振り回されて来るスフィアジオモスの鋭利な爪を最小限の動きで躱し、あるいは両腕の装甲で防御すると、間髪を入れずに相手の腹部へ拳の三連撃を叩き込み、ついでとばかりにショートアッパーで顎をかち上げる。
——ドゴンッ! ドゴンッ! ドゴンッ! バキィッ!!
「GYAAAAAAOOOOO!?」
強烈な一撃で殴り飛ばされたスフィアジオモスが、悲鳴を上げながら仰向けに倒れ込んだ。
超大質量の物体が落下した事で、ズズン、と軽い地震が発生する中、今度はネオジオモスが突っ込んで来る。
「GYAAAAOOOO!!」
《フンッ!》
姿勢を低くして頭から体当たりして来るネオジオモスの動きを、章大は冷静に見極めてカウンターのアッパーカットを放った。
——ドガァンッ!!
「GYAAAAAAOOOOO!?」
《驚いてる暇はねぇ、ぞッ!!》
下から突き上げるような一撃がネオジオモスの顔面を捉え、細長くスマートな体躯を無理やり起こす。そして、露わになった腹部にすかさず左足で強烈な蹴りを見舞った。
——ズドォンッ!!
「GYAAAAAAOOOOOッ!?」
こちらも強烈な一撃を受けて吹っ飛ばされ、背後にあったビルの一棟に背中から激突。激しい轟音と瓦礫の雨を撒き散らしながら崩壊させ、それでも勢いが止まらずに地面をゴロゴロと転がっていった。
《次はお前だァ!》
「GIIIIIOOOOOOOッ!!」
瞬く間に取り巻きの二体を蹴散らした章大は、その奥に控えていた本命のスフィアザウルスに狙いを定めて殴りかかる。
しかし、そこは誕生してから今まで数々の修羅場を潜り抜けて来た、頌栄謹製のSDと言うべきか。スフィアザウルスも章大が変身したギャラクトロンMK2の動きを的確に読み、自慢の巨大な前足で振り抜かれる拳を防御して、返す刀で圧し潰そうと右前足を振り上げた。
巨体に見合ったパワーと巨体に見合わない俊敏さの両方を活かした
《るァッ!》
内側への激しい回転を加えた、右のコークスクリューパンチをスフィアザウルスの右前足の側面に打ち込み、踏み付けの軌道を強制的に別の方向へズラす。
相手の防御が緩んだ隙に懐へ体を滑り込ませ、スフィアザウルスの胸部に輝く亜空間バリアーの発生を司る発光器官目掛けて左のコークスクリューパンチを叩き込んだ。
——ドゴッ!!
「GIIIIIOOOOOOO………………ッ!」
《まだだ! 食らいやがれオラァッ!!》
ダメージは入ったものの、器官を完全に破壊するには至っていない事を手応えから察し、章大はすかさず左手の甲のビームキャノン「ギャラクトロンシュトラール」を起動。発光器官に左の拳を押し当てる超至近距離の体勢から、凝縮された極大エネルギーの破壊光線による砲撃を一気に解放した。
——ドガァァァァァァァァンッ!!
「GIIIIIOOOOOOOOOOOOOOOOッ!?」
眩い閃光と共に凄まじいエネルギー爆発を引き起こし、その圧倒的な衝撃と反動でスフィアザウルスとギャラクトロンMK2の巨体が同時に大きく後ろへ弾き飛ばされた。
章大は素早く体を起こしながら、自分と相手の体の様子を確認する。
左のギャラクトロンシュトラールは強引な使用によって薄らと白煙を上げているものの、特に目立った損傷や異常は見当たらない。寧ろ、今の攻撃で深刻なダメージを負ったのはスフィアザウルスの方だった。
「GI、OOOOOOO…………ッ!」
緩慢な動きで体を起こしたスフィアザウルスの胸部。先ほどまでキラリと美しい輝きを放っていたはずの発光器官が、今は表面が放射状に罅割れ、輝きを失って見るも無残なまでにボロボロとなっている。
こうも破壊されてしまっては、しばらくの間は亜空間バリアーを張る事ができないだろう。狙い通りの結果が出せた事に、章大はギャラクトロンMK2の竜を思わせる顔立ちの下でニヤリと笑った。
「GYAAAAAAOOOOOッ!」
その次の瞬間、章大から受けた連続攻撃によるダメージから復帰したスフィアジオモスが襲い掛かって来た。
怒りと殺意を青白い双眸に漲らせ、両腕を振りかぶって鋭利な爪による斬撃を繰り出そうとしている。
そろそろ立ち上がって来る頃合いだと当たりを付けていた章大は、慌てず両腕の装甲を構えて防御の姿勢を取った。だが、スフィアジオモスの爪がギャラクトロンMK2の装甲を切り付ける事は無かった。
「トゥアッ!!」
——ドガァンッ!!
「GYAAAAAAOOOOOッ!?」
走り込んで来た80が驚異的な脚力でジャンプし、そのままスフィアジオモスの頭部に強烈な飛び蹴り、「ウルトラ400文キック」を叩き込んだのである。
昭和から平成にかけて活躍した身長二メートル越えのプロレスラー、ジャイアント馬場氏が得意としていた「16文キック」の、実に二五〇倍の威力があると言われる80の得意技を浴びて、スフィアジオモスは再びその巨体を地面に転がす事になった。
《そうはさせないよ!》
——バギィッ!!
「GYAAAAAAOOOOOッ!?」
更に、こちらもダメージから復帰していたネオジオモスが、ギャラクトロンMK2目掛けて破壊電磁波を放射しようとする。
そこへ、瑠偉が伸縮自在なテラフェイザーのクローアームで強襲。破壊電磁波の発射体勢に入っていたところへの意識外からの一撃に、亜空間バリアーを張る暇も無くネオジオモスは悲鳴を上げながら再び弾き飛ばされた。
再度並び立った80と瑠偉に、章大はテレパシーで声を上げる。
《二人ともやっと来たか! 今まで何してたんだよ。戦闘中に駄弁ってたのか?》
《「やっと来たか」じゃないよ、まったく! なんでキミはいっつもいっつも先に一人で飛び出して行っちゃうかな!? 「無謀な真似ばかりしてると、いつか痛い目を見るぞ」って父さんからもよく言われてるでしょ! ちゃんと聞いてたの!? 聞いてないよね!?》
《流石に実の父親からの忠告を聞かないのはどうかと思うぞ、章大くん……》
同じくテレパシーで兄に詰め寄る瑠偉の言葉を聞き、80は呆れて思わず溜め息を吐いてしまった。
高い実力を持つ頼もしい味方なのは間違いないが、戦闘以外は想像以上に穴だらけである。先ほどの会話で瑠偉が章大を指して結構ボロクソに貶していたけれど、今なら80にもそう言いたくなる気持ちが理解できた。
《ほらぁ! 矢的先生……80も呆れちゃってるじゃん! 章大だってもう二十五歳なんだよ? 本気でちゃんと身に付けるものを身に付けていかないと、この先絶対苦労するって! 苦労してから後悔しても遅いんだよ、マジで!》
《こ、これから頑張って身に付けるつもりなんだから、別に良いだろ!? それよりも見ろよ! スフィアザウルスの胸の器官、思いっきりぶっ壊してやったぜ! これで邪魔な亜空間バリアーも使えねぇよな!》
《スフィアソルジャーが集まって来て修復するまでは、ね。分かってるとは思うけど、スフィアソルジャーが直せるのはネオジオモスやスフィアジオモスだけじゃない。その司令塔であるスフィアザウルスだって、損傷個所を修復して復活できるんだ。どこかの部位を破壊したからと言って油断はしない事。80も、覚えておいてくださいね?》
《ああ、分かった。半端に傷付けた程度では倒せない。修復される前に畳み掛けるか、あるいは一撃で倒し切るかのどちらかしか無い、という訳だね》
80の要約に、瑠偉は「その通りだ」と言わんばかりに重々しく首肯した。
「ウルトラマンデッカー」の第十四話「魔神誕生」では、第十二話にてスフィアネオメガスが地中に残っていた細胞にエネルギーを注入して強化した事で復活したスフィアザウルスが、スフィアネオメガスと同じスフィアソルジャーを使った再生能力を獲得していた。
頌栄が手ずから創り上げたスフィアザウルスのSDには、その時の再生能力も付与されており、継戦能力の高さと妙な特殊能力を持たないが故のシンプルな使いやすさが特徴だった。
章大もその事は重々承知しており、すぐに表情を引き締めて頷く。
《分かってるよ。最初から油断なんてしてねぇさ。戦闘中にそんな真似をするほど自惚れちゃいねーよ》
《フフッ、安心して。僕だってキミがそんな恥ずかしい事をやるなんて思ってない。戦闘中に油断して勝てるような、そんな温い世界を生きてないからね》
そう言って瑠偉はテラフェイザーの顔の下で穏やかに微笑み、それから三人揃って正面の敵を見据える。
三体のスフィア合成獣達は既に全員ダメージから立ち直っており、益々濃密さを増した怒りと殺意を全身に迸らせてこちらを睨み付けて来ていた。
《さ、ここからが本当の戦いの始まりだ! こいつらを倒して、この街に平和を取り戻すよ!》
《おう!》
《ああ!》
瑠偉の力強い宣言に章大と80が応じ、巨大な体躯を躍動させて三人同時に決戦の渦中へ駆け出した。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか?
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<章大は基本的におバカですが
(=◎ω◎=)<戦闘力はめっちゃ高いです
(=◎ω◎=)<三対一でも結構有利に立ち回れるくらいには強いです
(=◎ω◎=)<彼をどう操作するかが瑠偉の腕の見せ所
(=◎ω◎=)<サブタイ通り、バカも使いようって訳ですね
(=◎ω◎=)<次回の更新は十一月三日(火)予定
(=◎ω◎=)<お楽しみに!
(=◎ω◎=)ノシ