ウルトラクロスロード ~銀河に輝く星々の宿命~ 作:通りすがりの大学生
(=◎ω◎=)<今回は前回の戦闘の後日譚、
(=◎ω◎=)<後処理回となります。
(=◎ω◎=)<頌栄さん、ちゃんと人間に戻れましたかねぇ……。
(=◎ω◎=)<結末は本編をどうぞ!
(=◎ω◎=)<ゆっくりして行ってね!
「イィエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!! ミッションコンプリイィィィィィーーーーーーーーーーート!!!」
東京都心のオフィス街で勃発した怪獣とウルトラマンの戦い、その一部始終を自宅地下の「趣味部屋」で見ていた太郎は、オフィスチェアごとその場でくるくる回りながら満面の笑みで叫んだ。
ゲームで超高難易度のクエスト攻略に挑み、無事にクリアした時のような達成感と、面白そうな新しい玩具を見つけてはしゃぐ子どものような無邪気な喜びが混ざり合った、どこか狂気的な雰囲気をも秘めた笑い声である。
「いや~~~~~~、一時はどうなる事かと思いました~~~~~~。何しろ怪獣災害なんて前代未聞の空前絶後! 今日が正に『人類史上初』な出来事ですからねぇ……上手い事勝てて良かった良かった♪ ボクも東京都の緊急アラートから防衛省、空自、警視庁のメインサーバー、更にはイーグルの秘匿通信回線に至るまで、とにかく色んなものを同時解析してハッキングかますなんて言う得難い経験もさせて頂きましたしぃ。被害に遭われた方々には大変申し訳無いのですが、ボク的にはコッヴが出て来てくれて本当にありがたかったですよぉ~♪」
興奮冷めやらぬと言った様子で早口に捲し立てられる太郎の独り言が、スーパーコンピュータ専用の水冷システムが稼働する音を切り裂いて室内に木霊する。
今回のコッヴによる襲撃の被害に見舞われた人々が聞けば、顔を真っ赤にして怒り狂う事は必死の不謹慎極まりない発言。しかしてそれが、独りだからこそ遠慮忌憚なく吐き出せる、彼の偽らざる本心だった。
頌栄やその親友達にとっては必要不可欠な専属オペレーターだが、一皮剝けばその下には恐ろしいほどに純粋で無邪気な狂気が潜む「
その後もしばらくの間、高笑いしながらオフィスチェアに乗って部屋中を走り回っていた太郎の元に、一本の電話が掛かってきた。
表示された発信者の名前は、松葉頌栄。
それに気付いた太郎はすぐさまデスクへと戻り、ヘッドセットを被り直して通話機能をオンにした。
「はいは~い、猫原で~す。こうして電話を掛けて来られたという事は、無事にティガへの変身を解除出来たんですね? 良かった良かった! お帰りなさ~い♪」
『おい、色々と気が早いぞ太郎。確かにその通りなんだが、もっと疑ったりはしないのか? 別の悪意ある誰かがオレのスマホを使って、オレに成りすまして電話して来てる可能性だってあるだろうに』
「そん時はそん時、ボクの大事な大事な『オトモダチ』を騙ってこのボクを騙そうとしたクソバカに、目いっぱい痛い目を見せてこの世に生まれて来た事を腹いっぱい後悔して頂くだけですぅ♪」
『痛い目、ね………文字通り身包み全部引っぺがして、生き地獄確定の片道チケットを無理やりその手に握らせて、地獄行きの特急便の椅子に括り付けて笑顔で手を振ってやるレベルでエグい事やって、それを楽しそうに笑って指差しながら「痛い目見せてあげました」って言い切れるのは、世界広しと言えどお前くらいのものだな』
「お褒めに預かり恐悦至極に存じます♪」
『褒めてない』
「え~……!?」
ピシャリと言い切られ、見えていない事は分かっていながらもついつい口を尖らせる太郎。頌栄との下らないやり取りを心から楽しむ彼の口調には、頌栄が無事に変身を解除して人間として帰って来てくれた事に対する、確かな安心感と喜びが滲んでいた。
◇
一方の頌栄も、どこか安心した様子で太郎と通話していた。
何度でも言うが、あのスパークレンスは今日が初の実戦投入だった。いくら事前のテストで自由に変身と解除が可能であると証明されていたとはいえ、それでも戦いの中で予期せぬ不具合を起こすのでは無いのかと、一抹の不安を拭えずにいた代物である。
実際、今日の戦闘でも想定よりエネルギー消費が激しく、カラータイマーが点滅するタイミングが思ったよりも早かった。運が悪ければ、あれ以上の事態に見舞われていたとしても不思議では無い。
こうして無事にコッヴとの戦闘を終え、変身を解除して人間に戻れた事に確かな安心を抱くのは、当然の心理であると言えた。
「でだ、太郎。このあとの事はお前に任せても良いか?」
『モチロンですよぉ。既に警視庁の無線を通じて、爆散したコッヴの肉片の回収作業を現場の警察官さん達に依頼してありますし、鑑識課の方々にも現場検証のための出動を要請してあります。近隣にある陸自の駐屯地にも、東京都知事と防衛大臣の連名で災害派遣要請を出しときましたんで、今回のコッヴ襲来による不幸な死者・行方不明者の捜索その他諸々、その辺一帯の救助活動は彼らにお任せしてOK。こっから先は国家権力と行政と公務員のお仕事なんで、頌栄さんは早くその買い物袋を持ってご家族の下へご帰宅くださいな♪』
「だぁから、なんで知ってんだよそんな事……」
手に提げて持っている買い物袋に視線を落としながら、頌栄は観念したように苦笑いを浮かべて言った。
戦いが終わり、戦場から颯爽と飛び去ったあと。頌栄は誰にも気付かれないようにティガから光の粒子へとその身を転じ、適当な路地裏に降り立って変身を解除した。そして、進入規制が張られる前にこっそりオフィス街へと戻って買い物袋を回収し、安全な場所まで移動してから太郎に連絡を入れたのである。
幸運な事に買い物袋も、中に入っていた品物もみんな無事。これなら、家で首を長くして待っている家族にどやされる事も無いだろう。
(………いや、予定よりずっと遅くなったから、もしかしたら
五歳になって様々な言葉をどんどんと覚え、それに比例して生意気盛りになりつつある双子の息子達のむくれている姿を思い浮かべ、思わずクスッと笑いが零れた。
今こうして何気無い日常の幸福を噛み締めていられるのも、様々な人々の力を借りてコッヴと戦い、無事に倒せたからである。その事に、頌栄は心の中で深く、深く感謝の念を捧げた。
「……太郎、今日は本当に助かった。お前が居てくれなきゃ、本気でバッドエンドまっしぐらだったよ。ありがとう」
『どういたしまして。感謝の言葉、確かに受け取りました。ボクも頌栄さんのお力になれたのなら、全力で頑張った甲斐があったというものです。また何か、ボクの力が必要になるような事態になりましたら、何時でもお声掛けください』
「ああ、その時は宜しく頼む」
柔らかな声でそう締め括り、スマートフォンの通話を終了させる。
見上げた東京の大空は、その清涼な色を取り戻していた。
「うっし、帰るか!」
これが、人類史上初の怪獣災害。
そして、ウルトラマンと怪獣の戦いの記録となった。
(=◎ω◎=)<如何でしたでしょうか?
(=◎ω◎=)<ここまで読んで頂き、誠にありがとうございます!
(=◎ω◎=)<いや~、改めて読み返してみても不謹慎極まりない発言ですな。
(=◎ω◎=)<安全圏から高みの見物を決め込んでる人の心境って、こんな感じかも知れませんね。
(=◎ω◎=)<太郎の場合、遠隔からがっつり加勢してたので
(=◎ω◎=)<「高みの見物」とはちょっと違うかも知れませんが。
(=◎ω◎=)<ちな、本日は二話投稿です。
(=◎ω◎=)<続きは午後八時に予約投稿しておきますので
(=◎ω◎=)<その時にまたお会いしましょう!
(=◎ω◎=)ノシ