オール・フォー・ワンから逃げきる方法について 作:ヒロアカは青春…?
「ってことでよろしくね緑谷。補助に回るから好きなように動いて」
実技試験はあの話をした結果、緑谷と組んでオールマイトと勝負することになった。普通に逃げるにしろ戦うにしろ一番面倒なキャラと当たったものである。
「えっ、あ、うん!僕はそうだな…フルカウルがまだ出来てないからしっかり制御して逃げたいな」
「オッケオッケ。じゃあ完全に逃げ回る想定でやるなら…うーん、どうしよっかな」
別に他も試してみたいところではあるんだが、普通にこの前みたいなことになるのも困るしなぁ。補助に回り続けるだけなら強いような、そんな理想的なキャラはいなものだ。
「色々あるの?」
「ヒトサマには見せられないのも多いんよね。別に個人でやる分にはよかったんだけどなぁ…」
ここらへんの『他人との協調性』が俺の課題なのかもしれない。言い方は悪いがこの個性は使い過ぎると戻ってこれなくなるからリミットは固定なのだ。
(そんなこと誰にも言ってないから気づかれんけどな…不明であればある程度は隠せるって利点ってところだ)
八百万のような完璧な汎用性はなくとも、相手に最悪を想定して動かすということはできる。
万が一、それが起きるかもしれない。あり得ないとわかっていても知らない手札があるかもしれない。
そんくらいの心理戦くらいはしかけておかないと負けてしまう可能性が高いだろう。
「おっと、オールマイト相手だと痺れ薬も効かないかもな。とりあえず毒は全種類揃えとかないと」
「…」
無言で沈黙している緑谷を尻目にドンドン取り出していく。オルゴール、スモークジェネレータ、香水、籠手、信号銃…エトセトラエトセトラ。
「全然出てこないもんだなぁ。ったく、鞄の中身もうちょい変えておけばよかった」
「そもそもどこに隠してあったのってくらい量多いんだけど?もしかしてなんか四次元的なポケット持ってない?」
「そんな大層なもんじゃねぇよ…おっ、やっと見つかった」
取り出したのは三つの煙玉。スモークジェネレータのように純粋な煙を発生させるためのものではなく、中に毒薬を可能な限り仕込んだものだ。
「とりあえず困ったら一気に投げつければ一個でも当たるだろ。ノーリスクノーウィン、って感じだし」
「ゴリ押しにもほどがない…?でも、そんなもんかな…?」
「というかどうせオールマイトなんだからどれも効かない可能性あるんだよ。戦闘は極力避けて相手の行動を足止めするからその隙に逃げろ」
もちろん、どっちも狙いは割れている。というか緑谷に作戦を合わせた以上、俺達の行動は筒抜けだと思ってもいい。
『試験開始ぃ!』
リカバリーガールの声が響いた瞬間、即座に爆風。この一瞬で大幅な荒れ地ができてしまった。
「んじゃ、別行動でヨロ。あんなもん父親に比べりゃぬるいぬるい」
わざとおどけながら急接近したオールマイトの拳にナイフ。ナイフが負けて砕け散るが、最低限避けてので被害はどこにもでていない。
「ハッハッハ!くたばれヒーロー共!」
「ぶっ殺す」
笑ってしばきにくるオールマイトに突貫。ナイフの振りをして近接で爆弾を投げる─どうせ爆風で薙ぎ払ってくるついでに捕捉した緑谷でも捕まえるのだろう。
(そんなことさせるわけがないんですけどね)
後ろに回り込むのも見られている─なら、普通にぶん殴れば一番速い。オールマイトは他に比べて圧倒的なフィジカルだけでやってきたからそこらへんの脳筋具合が凄い。
「やっべ…想像以上…」
わかっていたのに反応ができない。ボキボキと骨が折れる音と共に吹っ飛び、ゲート前に受身をとっても叩きつけられる。いやまあ転がったら脱出できちゃうじゃん。
『GOAL!』
「あ」
「…何やってるんですか。せっかくオールマイトとやれる機会なんでまだ戦闘しますよ。よく言うじゃないですか─
間が抜けている彼の頭を強襲。頭蓋骨が常人なら折れているだろうけど、その程度なら耐えてぶん殴ってくるのは想像つく。
「とことん付き合おうじゃないか!君は僕に勝つつもりだろ!?」
「言われずとも…!」
合気道を使った受け流しを何度も繰り返し、ワン・フォー・オールの力を上へと逸らす。もう一度回転して大きく距離を取った瞬間、個性を発動させる。
『自分はジャック・ザ・リッパーである』
『ジャック・ザ・リッパーは様々な道具を使用していた』
『自分もまた目当ての道具を肉体から生成できる』
手元にチャラチャラとした音。突貫しに行く際、緑谷が殴りかかっているのを見た。どうやら二人で殴り合っているらしい。
(実戦稽古は原作じゃやってなかったもんな。これでちょっとくらいはボロボロになるのが遅れるといいんだけど)
「この程度じゃ僕には勝てないぜ、緑谷少年!凶悪ヴィランを捕まえるのがヒーローのお仕事だ!」
「ごめんなさいオールマイトォ゙!」
思いっきり爆風が二人から出され、中心から程遠くないところにナイフが落ちてしまう。牽制に使えたはずのものが使えなくなったのは痛い。
(でもいけそうかね…?)
こちらも相手に視認されていない。なんとなくの勘で獲物を当てると、とたんにオールマイトの動きが鈍くなる。
「これは…!?」
「カフスですよ。オールマイト用にあなたの体重の2倍…作るのにちょっと、苦労しましたけどね?」
何せカフスは配られたものでなくともいい。咄嗟の個性で作り出せるか不安だったが上手く行ったようだ。
「てことでカフス返すのとついでに緑谷を運んでもらえると助かります。いかんせんアバラが折れて上手く動けないので」
「え、あぁ…」
もらったカフスを体にくっつけ、骨に戻す。アホみたいに痛いけどもとに戻ってくれるだけ儲けもんだろう。
「よっと」
改めて学校指定のカフスをかけてからゲートを出る。軽く雲があるけど随分と暑かった。
いい加減掲示板回を出すべきかなーと思ってる今日この頃
それはそれとして速く進めたい気持ちが相反しています