異世界TSギャルおじさん ~エルフになって好き放題やる~ 作:アスタロット
私はマオの横を歩きながら、道中の景色をぼんやり眺めていた。
「ねぇねぇ、いつまでテクんの?ねぇねぇ、マオっち?この世界ってどんなところなの?アタシ、サッパリなんだけど?」
マオは一瞬足を止め、冷たい目で私を睨んだ。
「マ…マオっち!?…ふざけるな!僕の名前はマオだ」
「えー!マオっち超カワイイじゃん!アタシ好きだよー!めっちゃマブいって!」
マオはため息をつき、歩き始めた。
「だからって勝手に呼ぶな……」
「えへへ、でも呼びやすいもん。マオっち!マオっち!」
「はぁ……もう好きにしろ」
マオは押しに弱いとみた。
私はニヤニヤしながら続けた。
「で?とりま、この世界ってどんな感じ?日本どころか地球じゃない系?ってかギャル語も通じてんのマジでウケる」
マオは面倒くさそうに説明を始めた。
「………さっきも教えたけど、ここはエリュシオン大陸だ。お前が知ってるチキュウとやらは知らない」
「へー!マジ違う世界じゃん!バイブス上がるんですけどー!マジであげみざわ!!」
「何語を喋っているんだ、このダークエルフは……お前、本当に何も知らないんだな」
「知らないよー!だからマオっち、教えて教えてー!」
マオはため息をついた。
「面倒くさいなぁコイツ……まあいい。とにかく、僕の所有物として大人しくしていろ」
「りょー!!!アタシ!大人しくするよ!!!」
「だからうるさいっての!!!」
ーそして歩く事しばらくー
私はマオに魔法を教えてくれとせがんでいた。
「ねぇねぇ、マオっち!魔法教えてよー!アタシも使いたいなぁ!魔法使ってバイブス上げたいんよ!」
マオは冷たく拒否した。
「断る。お前のような玩具に教える義理はないよ。それにお前は魔法が得意な種族だ…下手に魔法を教えて反抗される訳にはいかない」
「えっ!?魔法得意なの!?ひゃっほぅ!!お願い!オネシャス!アタシ、役に立ちたいの!絶対に逆らわないから!!マオっちの役に立ちたいよぉ!!」
私は粘りに粘った。
粘り倒して、相手を根負けさせるのは大の得意だ。
そのせいか、マオはため息をつき観念したように言った。
「…はぁ…分かった。だが、条件がある。これからやる、狩りの手伝いをしろ」
「狩り!?マジで!?これからやんの!?よっしゃあ!!アタシ、ガチるから!ブラボでケモノ狩りまくってたからヨユーっしょ!」
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森の中。
トンデモない大きさの猪が、木々を薙ぎ倒しながら迫って来る。
私は泣き叫びながら、その猪から逃げていた。
「ぎゃぁぁぁあ!!ぴえん通り越してぱおん!!豚はやばたん!!やばたにえん!!マジで豚はアカンて!ひゃぁぁぁっ!!マジで!マオっち!ヘルプッ!!ヘルプミー!!パクつかれちゃうよぉ!マジで死ぬー!」
マオは少し離れた場所から高笑いしながら見守っていた。
「ははっ……よく舌が回る囮だな。ほらほら!もっと真面目に逃げろ!さとないと死ぬぞ!ほら、もっと速く走れ」
私は必死に走りながら叫んだ。
それはもう全力疾走だった。
ダークエルフという種族は森でも素早く動けるらしい。
それでも…
「ひどーいっ!!!こんなの聞いてないよー!マジで助けてよー!」
恐ろしい魔猪が迫ってくる。
「うわーん!あかん死ぬー!早よ助けてマオっちー!」
「いいぞー、その方向に進めー」
その瞬間、魔猪がマオの仕掛けた魔法の罠にかかった。
地面から影の棘が飛び出し、魔猪の足を深く刺し動きを止めた。
マオが素早く飛び降りて剣であっさりとトドメを刺した。
その後、私は涙と鼻水を垂れ流しながら、メェメェ泣いて立ち上がり、マオに詰め寄った。
「びぇぇぇぇえん!!マジで怖かった!!!」
「ざまあみろ」
「”ざまあw”じゃねーよ!!マオっちは約束守れー!マオっちは魔法を教えろー!アタシガチったじゃん!超メンディーだったんだから!あーだりー…ちょー疲れた…マジで萎えぽよなんですけどー」
マオはため息をつき、渋々頷いた。
「……分かった。基本だけ教えてやる」
「やったーマオっちマジでエモい」
私はマオに抱きついて感謝した。
「……お前、本当に図々しいな」
「えへへ、だってマオっちが教えてくれるって言ったもん!」
マオは小さく笑った。
「まあいい。基本の魔法からだ。まずは魔力を感じる練習から始める」
「マジで!?あざまし!!アタシ、魔法使いになっちゃうの!?超エグいんだけど!」
「少しは黙って人の言う事聞けないの?…とりあえず、全身で魔力を感じるんだ。僕がお前に魔力を注ぐから、それをしっかりと感じろ。いいか?ちゃんと集中しろよ?それで頭の中で具体的に想像するんだ、魔力の流れを。まぁダークエルフなら簡単だろうけど」
「りょ!!」
マオが私の背中に手を当てて力を込める。
すると、エネルギーのような物が流れ込んで来るのが分かった。
大切なのはイメージ。
そこで私は片手を前に突き出し、不思議な力の流れを想像する。
そこでイメージするのは、世界一有名な魔法使いの呪文だ。
「うぃんがーでぃあむ…れびおっさん!!」
すると、目の前にあるどデカい猪の死体が宙に浮かんだ。
「…はぁ!?」
その時、マオは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。
私はマオに向けてニヤニヤと笑った。
「むふふぅ?むふぅー?」
「調子に乗るな」
ばしんっ、という子気味の良い音が森に響きわたる。
「いでっ!!」
マオに頭を叩かれた。
彼は軽く叩いたつもりだろうが、何気にめっちゃ痛い。
「ちょま!マジで痛ぇんだけど!!ってかアタシずいて(調子付いて)ねーし!!ボーリョクなんですけど!ボーリョクはんたーい」
「…まあ、ダークエルフなだけはあるな。とりあえず魔法の練習は置いといて、さっさと獲物を解体するぞ。ほら、手伝え」
「え、解体とかマヂ無理」
「嫌なら食事抜きだけど」
「あ、ハイ。やります。解体します。ハイ喜んで」
私にとって初めての解体作業は右往左往してやっと終わるようはモノだった。
そうして何とその一日を終えた。