異世界TSギャルおじさん   作:アスタロット

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第三話

 

マオに言われるがまま、獲ったクソデカ猪の処理を手伝った。

 

「ヘタクソ」

 

捌く手際が悪く、マオに怒られた。

こちとら狩猟&解体経験ゼロじゃい。

助けてもらった恩人だけど、「セックスが下手」みたいに言うからムカつくわ。

 

「仕方ないぢゃん!……あ゛ーッ!ほんっとクッサい!!マヂ無理!!何コレ!?ぜんっぜん刃が通らんし!!もうやだー!ってか、マダニとか大丈夫!?ねぇっ!?マオっち!?」

 

「マダニ?なんだそれ?そんな無駄口叩く前に手を動かしてよ」

 

「もうやだぁー…臭いし硬いし汚れるし…ガン萎えぇ……ぴぇん」

 

「じゃなメシ抜きだね」

 

「ひーん」

 

背に腹はかえられぬ。

私はマオに尻を叩かれなが、クソデカ猪の処理を続けた。

 

ーギャル猪解体中ー

 

悪戦苦闘する事しばらく。

勇敢なる奮闘の結果、クソデカ猪は何とかバラせた。

ようやく食事にありつける。

 

近くから枝やらを拝借し、マオが火を起こす。

すると次第にパチパチと薪が音を立てて弾けだし、火が昇りはじめる。

 

その側に肉を突き刺して待つ。

その焚き木を、ジュワジュワと音を奏でる肉が囲う。

 

やっと、肉が、食える。

 

「マオっち!マオっち!はっ…はっ…はっ…!も、もういい!?もういい!?もうペコ!完全にペコ!リアルにペコなんですけど!!食べて良い!??!」

 

「待て、僕が先………はむっ…むしゃむしゃ」

 

このショタものすごいドSやで。

私の目の前で、肉を美味そうにかぶり付きやがって。

 

「うっ…うぅ…マオっちひどい!お腹ペコ過ぎてぇ!アタシ激おこぷんぷん丸なんですけどぉ」

 

私は涙目になりながら、空腹をマオに訴えた。

 

「食べてヨシ」

 

「いいの!?やったぁー!!いただきマンモス(死語)!」

 

火が通っていそうな部分を、豪快に噛みちぎる。

 

がぶり

もきゅもきゅ

ごっくん

 

「………ぅめぇ…うめぇ…野生味がメイラード反応で一変ッ…薪の香りも合わさって、香ばしい匂いが鼻に抜けるゥッ!!」

 

よく分からんクソデカ猪は最高に美味かった。

 

「そんなに美味い?」

 

「バカウマっしょ!!最高!肉を噛み締めると…肉汁がお口の中でウマアジが…じゅん…じゅわぁ…」

 

こんなにワイルドな肉が美味く感じるなんて、初めての経験だ。

 

「ダークエルフには肉がご馳走って聞いてたけど、本当みたいだ。良かったね」

 

「いや肉は正義だし…ウンメェ!」

 

なんか生暖かい目線が気になるけど、空腹を満たすのが先だ。

 

 

目覚めてから初めての食事。

夢中で食ってたから分からなかったけど、残ってた大量の肉が消えていた。

 

その食べ切れなかった、肉や皮はどうしたと思う?

 

答えはこれだ。

 

「マオっち、残った肉とか何処やったの?無いんだけど?」

 

私が肉に齧り付いている間に骨や皮、他の部位やらが忽然と消えていたのだ。

 

「収納したに決まってるでしょ」

 

「え?しまったの?どこ?マオっちのお腹に?もう、ペコリンちょの食いしん坊だなぁ」

 

「いや食べてないから!魔法で影に収納したの!」

 

「マジ?ほんと!?」

 

「そうだよ」

 

「………すッゲェ!!!!影魔法スッゲェ!!マジパネぇっす、マオっちさん!!やりますねぇ!」

 

「ウンソウダヨ」

 

マオの返事が段々と、いい加減になってきた気がする。

それにしても気になる事が多すぎる能力だ。

 

「その能力ってどんなの!?収納容量は?大きさの上限は?重量制限は?沢山入れて重くない?生モノはダメにならない?」

 

「いっぺんに質問するな!!まあ、食料の保存は効くな。大体の物は入るし、重くなったりも無いよ。容量は分からないね…限界になった事ないし」

 

「マジか…チートやん…」

 

欲しい、その能力…何としても欲しい。

狩りの時に使ってた魔法も凄かった。

黒い影が棘みたいになって、猪に突き刺さるんだ。

カッコよかったなあ…あれは使ってみたい。

 

「おせーて…影魔法おせーて!!アタシにも、そのクソ便利な影魔法おせーて。めっちゃ欲しい」

 

「教えない」

 

「やーだー!クソ便利魔法、使いたい!使いたい!使いたい!つーかーいーたーいー!!!」

 

餓鬼のように手足をばたつかせて、駄々を捏ねる。

人生三回目ともなれば、恥も外聞も無いのだ。

 

「影魔法は誰でも出来る訳じゃないんだぞ」

 

「えー!無理系?アタシも影魔法使いたい、無理系?」

 

「無理」

 

それからお願いしては断られる、というやり取りが何回か続いた。

 

「……そっかぁー無理系かぁー…じゃいいや…」

 

「やっと納得したか…これ以上執拗だったら処していたところだよ」

 

「え、処す?処すって………ま?…………ま、まあねー…?マオっちが使えるな別にいらんし」

 

「納得したなら、さっさと寝て。体力を回復してよ。まだまだ先は長いんだから」

 

「そう言えば聞いてなかったけど、アタシら何処行くの?」

 

「街だよ」

 

「あー…ブクロみたいな?アタシ渋谷とか六本木派なんですけど」

 

「そんな名前の都市はない」

 

「そこに行ってマオっちは何すんの?」

 

「……手に入れたモノを売る」

 

「へー!なら、その影魔法で売れるモンを色々と収納してんでしょ!マジで羨ましいなぁー!」

 

「もう良いから、寝てくれない?」

 

「はーい」

 

貸してもらった外套に包まり寝転がる。

身体は痛いし、地面が体温を奪う。

柔らかいベッドが懐かしいなあ。

やっていける自信が無いよ。

 

いやいや、ダメダメ!

ネガティブ思考は禁止!

これギャルの鉄則!

 

 

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