異世界TSギャルおじさん   作:アスタロット

4 / 4
第三話

 

マオに言われるがまま、獲ったクソデカ猪の処理を手伝った。

 

「ヘタクソ」

 

捌く手際が悪く、マオに怒られた。

こちとら狩猟&解体経験ゼロじゃい。

助けてもらった恩人だけど、「セックスが下手」みたいに言うからムカつくわ。

 

「仕方ないぢゃん!……あ゛ーッ!ほんっとクッサい!!マヂ無理!!何コレ!?ぜんっぜん刃が通らんし!!もうやだー!ってか、マダニとか大丈夫!?ねぇっ!?マオっち!?」

 

「マダニ?なんだそれ?そんな無駄口叩く前に手を動かしてよ」

 

「もうやだぁー…臭いし硬いし汚れるし…ガン萎えぇ……ぴぇん」

 

「じゃなメシ抜きだね」

 

「ひーん」

 

背に腹はかえられぬ。

私はマオに尻を叩かれなが、クソデカ猪の処理を続けた。

 

ーギャル猪解体中ー

 

悪戦苦闘する事しばらく。

勇敢なる奮闘の結果、クソデカ猪は何とかバラせた。

ようやく食事にありつける。

 

近くから枝やらを拝借し、マオが火を起こす。

すると次第にパチパチと薪が音を立てて弾けだし、火が昇りはじめる。

 

その側に肉を突き刺して待つ。

その焚き木を、ジュワジュワと音を奏でる肉が囲う。

 

やっと、肉が、食える。

 

「マオっち!マオっち!はっ…はっ…はっ…!も、もういい!?もういい!?もうペコ!完全にペコ!リアルにペコなんですけど!!食べて良い!??!」

 

「待て、僕が先………はむっ…むしゃむしゃ」

 

このショタものすごいドSやで。

私の目の前で、肉を美味そうにかぶり付きやがって。

 

「うっ…うぅ…マオっちひどい!お腹ペコ過ぎてぇ!アタシ激おこぷんぷん丸なんですけどぉ」

 

私は涙目になりながら、空腹をマオに訴えた。

 

「食べてヨシ」

 

「いいの!?やったぁー!!いただきマンモス(死語)!」

 

火が通っていそうな部分を、豪快に噛みちぎる。

 

がぶり

もきゅもきゅ

ごっくん

 

「………ぅめぇ…うめぇ…野生味がメイラード反応で一変ッ…薪の香りも合わさって、香ばしい匂いが鼻に抜けるゥッ!!」

 

よく分からんクソデカ猪は最高に美味かった。

 

「そんなに美味い?」

 

「バカウマっしょ!!最高!肉を噛み締めると…肉汁がお口の中でウマアジが…じゅん…じゅわぁ…」

 

こんなにワイルドな肉が美味く感じるなんて、初めての経験だ。

 

「ダークエルフには肉がご馳走って聞いてたけど、本当みたいだ。良かったね」

 

「いや肉は正義だし…ウンメェ!」

 

なんか生暖かい目線が気になるけど、空腹を満たすのが先だ。

 

 

目覚めてから初めての食事。

夢中で食ってたから分からなかったけど、残ってた大量の肉が消えていた。

 

その食べ切れなかった、肉や皮はどうしたと思う?

 

答えはこれだ。

 

「マオっち、残った肉とか何処やったの?無いんだけど?」

 

私が肉に齧り付いている間に骨や皮、他の部位やらが忽然と消えていたのだ。

 

「収納したに決まってるでしょ」

 

「え?しまったの?どこ?マオっちのお腹に?もう、ペコリンちょの食いしん坊だなぁ」

 

「いや食べてないから!魔法で影に収納したの!」

 

「マジ?ほんと!?」

 

「そうだよ」

 

「………すッゲェ!!!!影魔法スッゲェ!!マジパネぇっす、マオっちさん!!やりますねぇ!」

 

「ウンソウダヨ」

 

マオの返事が段々と、いい加減になってきた気がする。

それにしても気になる事が多すぎる能力だ。

 

「その能力ってどんなの!?収納容量は?大きさの上限は?重量制限は?沢山入れて重くない?生モノはダメにならない?」

 

「いっぺんに質問するな!!まあ、食料の保存は効くな。大体の物は入るし、重くなったりも無いよ。容量は分からないね…限界になった事ないし」

 

「マジか…チートやん…」

 

欲しい、その能力…何としても欲しい。

狩りの時に使ってた魔法も凄かった。

黒い影が棘みたいになって、猪に突き刺さるんだ。

カッコよかったなあ…あれは使ってみたい。

 

「おせーて…影魔法おせーて!!アタシにも、そのクソ便利な影魔法おせーて。めっちゃ欲しい」

 

「教えない」

 

「やーだー!クソ便利魔法、使いたい!使いたい!使いたい!つーかーいーたーいー!!!」

 

餓鬼のように手足をばたつかせて、駄々を捏ねる。

人生三回目ともなれば、恥も外聞も無いのだ。

 

「影魔法は誰でも出来る訳じゃないんだぞ」

 

「えー!無理系?アタシも影魔法使いたい、無理系?」

 

「無理」

 

それからお願いしては断られる、というやり取りが何回か続いた。

 

「……そっかぁー無理系かぁー…じゃいいや…」

 

「やっと納得したか…これ以上執拗だったら処していたところだよ」

 

「え、処す?処すって………ま?…………ま、まあねー…?マオっちが使えるな別にいらんし」

 

「納得したなら、さっさと寝て。体力を回復してよ。まだまだ先は長いんだから」

 

「そう言えば聞いてなかったけど、アタシら何処行くの?」

 

「街だよ」

 

「あー…ブクロみたいな?アタシ渋谷とか六本木派なんですけど」

 

「そんな名前の都市はない」

 

「そこに行ってマオっちは何すんの?」

 

「……手に入れたモノを売る」

 

「へー!なら、その影魔法で売れるモンを色々と収納してんでしょ!マジで羨ましいなぁー!」

 

「もう良いから、寝てくれない?」

 

「はーい」

 

貸してもらった外套に包まり寝転がる。

身体は痛いし、地面が体温を奪う。

柔らかいベッドが懐かしいなあ。

やっていける自信が無いよ。

 

いやいや、ダメダメ!

ネガティブ思考は禁止!

これギャルの鉄則!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

曇らせ魔女の復活記録(作者:アスタロット)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

魔女のカーミラちゃんはファンタジー異世界に転生した元日本人だよ!カーミラちゃんは頑張って、何度でも魔法で生き返るようになったよ!すごいね主人公!行く先々でいろんな人たちを曇らせるよ!今回はどんな人が曇るのかな?やったね!


総合評価:164/評価:7.75/連載:5話/更新日時:2026年07月03日(金) 23:03 小説情報

女体化して母親になったよ!天使な子供たちとファンタジー世界で幸せになります(作者:きさまち)(オリジナルファンタジー/日常)

ファンタジー世界で真っ当に暮らしていた主人公は罠にハメられ意図せず女体化させられてしまう。▼待っているのは最悪のバッドエンド!そのピンチを救ったのは翼を持つ異種族の男(イケメン)だった。▼割と早い段階で女であることを受け入れイケメン旦那と結ばれた主人公は子宝にも恵まれて幸福の絶頂に…しかしそうは問屋がおろさない!?▼我が子との幸せのんびり生活のためお母さんは…


総合評価:593/評価:7.94/連載:18話/更新日時:2026年08月11日(火) 20:53 小説情報

村長ってマ?(作者:はじめてのERUHU)(原作:葬送のフリーレン)

死んだらエルフにTS転生した。▼村長の役割押し付けられた。▼村民にフリーレンがいた。▼終わり。


総合評価:213/評価:-.--/連載:2話/更新日時:2026年08月05日(水) 20:00 小説情報

【TS】神様のミスで死にましたが、補償内容が羞恥プレイなんですけど(作者:もろきゅー)(オリジナルファンタジー/コメディ)

寝て起きたら死んでました。▼女神様の手違いであの世行きになった普通のサラリーマンの俺。▼お詫びとして異世界転移させてもらえることになった……までは良かったんだが、▼どうして俺の姿が女神そっくりのハイレグ美少女戦士なんですか!?▼仕事のストレスからは解放されたけど、羞恥心の方は全然休ませてもらえないようです。▼この作品はカクヨムでも投稿しております。▼タイトル…


総合評価:1180/評価:8.32/連載:111話/更新日時:2026年08月11日(火) 09:00 小説情報

TS転生不老不死銀髪幸薄系美少女(作者:むけー)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

上記転生者が世界にバチボコに曇らされる話。


総合評価:32/評価:-.--/連載:1話/更新日時:2026年07月04日(土) 18:27 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>