魅力至上主義の教室   作:Mr.♟️

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暴力と地区予選

 

帆波の例の噂が流れたタイミングは、ちょうど全校生徒が憂鬱になるテスト期間だった。

 

だから、話題にはなっても、わざわざ当事者である帆波に直接確認しようとするような暇人は現れなかった。

 

名門の進学校とまでは言わないけど、それなりに偏差値の高い学校だからね。

 

目先のゴシップよりも、自分の成績を優先する生徒が多かったわけだ。でも、今はもう既にテストが終わってから数日が経っている。

 

そして、今は放課後。

 

ん?僕が何を言いたいのかって?

 

「今日はちょっと難しいかな......ごめんね?」

 

「──おっさんとはデートできて、俺とは出来ねぇの?」

 

こういう、自分のことをイケてると思い込んでいる頭の足りないバカが、テストの呪縛から解放されて、例の噂を鵜呑みにして帆波に迫ってくるってことだ。

 

「おじさんとデートなんて、したことないよ......」

 

彼らの頭の中にだけ存在する、帆波とデートをした架空の中年男性。

 

そんな、自分よりも容姿諸々劣っているであろう人間に対する、理不尽な敗北感と嫉妬。

 

それだけで、このバカを苛立たせ、攻撃的にさせるには充分な燃料だったらしい。帆波の瞳が潤み、今にも泣き出しそうになっている。

 

さて、そろそろ始めようか。

 

「あ、やっぱり金か?つーか、よくよく考えたらおっさんのお下がりとか嫌なんだけど」

 

「帆波に振られたからって、負け惜しみと悪口はダサいんじゃない?そもそも、その噂話、事実無根だし」

 

僕は歩み寄り、帆波を庇うように彼との間に割って入った。

 

「......凪くん」

 

【状態:不安・安堵】

 

不安そうに僕の背中を見つめて呟く帆波。ああ、僕がこの噂を少しでも信じていないか不安で、ただ僕が今庇ってくれていることに安心しているってところか。

 

視線を、不快な笑いを浮かべる男子生徒の方に移す。

 

【好感度:-30】

 

僕に対する好感度はマイナス。つまり、僕の言葉に反発しやすく、対立しやすい状態だ。おまけに、今の僕には先日手に入れた新しいスキルがある。

 

【トリックスター】

 

『人の感情に揺さぶりをかける際、効果が倍増する』

 

※入手条件:短時間の間に知力の高い相手の好感度を上下させ、最終的に元の好感度より高い数値で終わらせる。

 

不思議と手に入ってたスキルだけど割と好みだ。

 

「はぁ?どうして、お前に嘘だってわかるんだよ。証拠でもあんのかよ」

 

「疑ってるほうが証拠を出すべきじゃない?僕は悪魔の証明に取り組むつもりはないよ」

 

「ふんっ、要するに嘘だって言いきれねぇってことだろ」

 

「そうだね。まあ、だからこの後、噂を流した本人に訂正してもらうことにするよ。ああ、その前に君は帆波に謝りな」

 

「は?なんで俺が」

 

「当たり前だよね。女子に対して、あんな下劣で良くない侮辱をしたんだから。どうしても嫌なら、無理強いはしないけど──素直に謝った方がいいよ」

 

謝らない。この流れで、周りにクラスメイトもいる状況でプライドを傷つけられた彼が、素直に謝るわけがない。

 

むしろ、謝らない方がいい。その方が、この後の僕のプランがスムーズに進む。

 

「お前の命令を聞いてやる義理はねぇ。ちょっと面がいいからって、調子に──」

 

「わかった。それなら、もういいよ」

 

彼が言い終わるのを遮る。この会話は、この場にいるクラス全員が静まり返って聞いている。うん、完璧な舞台だ。予定通り。

 

僕に対して勝ち誇ったような、小馬鹿にした表情を浮かべている彼の──顔面を、とりあえず1発、かる〜く殴った。

 

「っぐばぁっ......!!?」

 

「凪くん......!?」

 

奇声をあげて無様に後ろへ後ずさりする彼。

 

そして僕は、驚いたクラスメイトたちが悲鳴をあげる前に、冷たい声で先んじて言葉を発した。

 

「静かに。僕の拳は軽い。うるさくする人は、男女問わず同じように殴る」

 

うん、やっぱり暴力は手っ取り早く全てを解決する。

 

こういう野蛮な真似はあんまり好きじゃないけれど、実際に殴ってみたら割と気分がいい。

 

中学は携帯電話の持ち込みが厳格に禁止されているから、今回みたいに突発的に起こる出来事を、誰かに盗撮されて証拠に残されるリスクはないのもありがたい。

 

「──まあ、騒ぎたいなら騒いでもいいよ?でもさー、その場合、このクラスで起きた『重大ないじめ』についても話し合うことになるけどね」

 

帆波に対する例の悪質な噂、そしてそれを信じて彼女を孤立させた周りの態度は、立派ないじめに他ならない。

 

僕の暴力を問題にするなら、自動的にそっちもセットで問題にしないといけない。

 

「僕は別にそれでもいいよ?でも、その場合、上級生からは恨まれるだろうなぁ。僕が当事者として存在する以上、かなり大きめのニュースとして取り上げられるだろうし」

 

というか、僕が徹底的に取り上げさせるからね。

 

医療界のトップといっても過言じゃない父親に、弁護士会の大重鎮である母親。

 

そんなサラブレッドの一人息子が、学校で暴力トラブル。その原因がクラス内のいじめ。

 

うん、間違いなく週刊誌がこぞって食いつくだろうね。

 

そうなった場合、学校側は決して少なくないダメージを受ける上に、推薦での進学や就職を希望している3年生からは多大な恨みを買うだろう。

 

彼らの怒りの矛先は当然僕にも向くだろうけれど、今回僕がおこした暴力事件を考えれば、僕に強く当たれる生徒なんてこの学校にはいない。

 

そしたら恨まれるのは誰か?噂を吹聴し、いじめに加担したバカたちだ。

 

「凪くん、私は大丈夫だから......暴力は、ね?」

 

「ん?帆波は関係ないよ。僕が個人的にムカついてるから殴ってるだけだから」

 

帆波に震える声で止められた。

 

何を言っているんだろうか、彼女は。こんな中途半端なところでやめたら、ほとぼりが冷めた頃にまた同じことが起きるだけなのに。

 

殴られた鼻を押さえながら、ビクついている彼をもう1発殴る。ああ、もちろんちゃんと手加減はしているよ。変に骨を折ったりしたら、その後の処理が面倒だし。

 

 

 

 

 

 

3発、4発、5発。

 

 

 

 

 

 

「わ、わる、悪かった......!おれが、間違ってました......!」

 

殴られるたびに表情が恐怖に支配されていき、ついに耐えられなくなった彼は、帆波の足元に無様に縋り付きながら僕に許しを乞うた。

 

まあ、見せしめとしてはこのくらいでいいか。

 

これで、例の噂について面白半分で触れたらどうなるかを、クラス全体に刻み込むことができた。ありがとうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──さて、それじゃあ次のフェーズに行こう。

 

「で、帆波のくだらない噂を吹聴した張本人は誰?教えてくれないなら、名乗り出るまで1人ずつ順番に殴っていくけど」

 

誰が犯人かは、もうわかってる。でも、僕が一方的に指名して詰め寄るだけだとさ、クラスメイトが蚊帳の外で可哀想じゃないか。

 

だからさ、君たちの手で教えてよ。断罪されるべきは──僕に殴られるべきは誰なのかを。

 

僕の言葉に、全員の視線が一斉に、ある1人の女子生徒へと集まった。

 

うんうん、そうだよね。君だよね。

 

「──みんなが、君だって言ってるよ?何か言い訳はある?」

 

「ち、ちがっ、違うよ、凪くん......!やだなぁ、もう!私がそんなことするわけ──」

 

パァンッ、と。

 

乾いた、ひときわいい音が教室に響き渡った。僕が彼女の右頬を、躊躇なくビンタした音だ。

 

彼女は、まさか本当に女子である自分が殴られるとは思っていなかったのか、呆然として目を見開いている。

 

......うん、もう1発いっとこうか。

 

再び、教室に気持ちのいい音が木霊した。

 

「パーで分からないなら、次はグーで殴った方がいい?」

 

彼女の表情が一気に青ざめる。僕の言葉がただの脅しじゃないって、ようやく分かってくれたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご、ごめ、ごめんなさい......!凪くんが、一之瀬さんの家に一緒に......入るのを見て、嫉妬......して、やりました」

 

両頬を赤く腫らし、プルプルと恐怖に震えながらも、彼女は少しずつ自白の言葉を紡いだ。

 

ああ、よかったよかった。これで根本的な問題解決だね。

 

「うん、これで終わったね。もし今後、僕の耳にまたこの不快な噂が入ってきたら、次は誰がこうなるんだろうか......なんてね」

 

僕はクラス全体を見渡して、この上なく爽やかな笑顔でそう締めくくった。

 

 

さーて、教師に自首しに行こうか。どうせ誰かしらがチクるんだから、自分で言いに行った方がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中体連が近いため、大会後に処遇を決めるって──部活の顧問が駄々をこねたんだろうなぁ。熱血系だし、生徒指導主任で割と教師カースト高めっぽいし。

 

あれ、これってワンチャン大会で結果を出せば有耶無耶に出来る感じ?え、早く部活に参加しろって?本当に?

 

 


 

静まり返った教室で、彼の後を追うべきかどうかを私は迷っていた──ううん、本当は迷ってなどいなかった。

 

あんな悪辣な噂が流れても、私のそばにいてくれた。ずっと信じてるよって、優しく言ってくれた。

 

周りから親しかったはずの友達がいなくなっても、凪くんだけはいつもと何も変わらなかった。

 

今すぐにでも、教室を出ていった凪くんを追いかけたい。彼に会いたい。彼と話したい。

 

「帆波ちゃん、ごめんなさい」

 

「ごめん、別に本気で信じていたわけじゃなくて......」

 

それなのに、すり寄ってくるクラスメイトたちが私の邪魔をする。今はみんなと話している暇なんてないのに。

 

みんなは別に、私への噂を助長させたことに対して罪悪感を感じているわけじゃない。

 

ただ、圧倒的な暴力を見せつけた凪くんの怒りを買うのが怖いから、保身のために私に謝っているだけだ。

 

そんなの、顔を見ればすぐにわかる。本当に反省している人の表情なのか、ただ自分の身を守るための恐怖から行動しているのかなんて。

 

「いいよ、別に。気にしてないから」

 

心にもない言葉を手短に返し、私は愛想笑いすら浮かべることをやめた。

 

そんなことより、早く、一秒でも早く凪くんのところに行きたい。

 

「お前ら、いつまでも教室にいるなよー。部活がある生徒は部活、特に何もないやつはさっさと帰れ」

 

放課後にも関わらず、いつまで経っても全員が教室の中に留まっているのを不審に思ったのか、通りすがりの先生がドアを開けて全体に声をかけてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

......!そうだ!

 

凪くんなら、もしかしたら手芸部の部室にいつもみたいに顔をだしてくれているかも!

 

ううん、もし顔を出してなくても、運動部は基本的に文化部より終わる時間が少し遅いから、彼がいる場所に直接会いに行けばいい!

 

私は弾かれたように席を立ち、誰の目も気にすることなく教室を飛び出した。

 

 

 


 

「このこのっ、停学になってたらどうしてたんだ、このバカ王様が」

 

【好感度:48】

 

「痛い痛い、勘弁してください、キャプテン」

 

部活に顔を出すと、ぐいっと引き寄せられて肩を組まされたまま拳で頭をグリグリとされた。

 

僕は特殊基礎ステイタス【魅力値】のせいで、男子からの好感度を得にくくなっている。

 

でも、あくまでそれは魅力値の低い男子からの話だ。女子と同じだね。魅力値の高い相手には、影響を及ぼしにくい。

 

だからこのキャプテンは僕に対してかなり好意的だ。

 

他のメンバーも、少なからず一緒に部活動に励んだ中だし、そもそも僕が入部したお陰で大会に出ることができるため好感度は高めだ。30以下のメンバーはいない。

 

「お前がゴリ先のお気に入りで助かったな。まあ、あの人は殴りあって絆が芽生えると思ってる類の人だから、余程嫌われてなかったら庇ってもらえるだろうけど」

 

【好感度:40】

 

筋トレ好きの先輩、略して脳筋先輩が背中をバシバシ叩いてくる。痛いんですけど。

 

「まったく、この時期に問題を起こすなんて。そんなんだと、バカ王なんて言われても仕方ないですよ」

 

【好感度:39】

 

メガネの先輩。略してメガネ先輩がこれでもかと背中を叩いてくる。だから、痛いんですけどっ!

 

「まあまあ、王様も反省してるみたいやん。みんな我慢せんと。なんたって、うちの部活きっての特別待遇やからなぁ」

 

【好感度:50】

 

人が良さそうに振舞っている副キャブテンの腹黒先輩がみんなを宥める。僕の王様って部活内の呼称はこの人が定着させた。許すまじ。

 

「そうですよ、先輩方。図が高いんで、とりあえず床にキッスしてくれますか?」

 

あ、あれ。なんですか、やるつもりですか?僕が本気で戦えば、先輩たちなんて10秒もせずにボッコボコですよ?

 

 

「調子に乗るな、バカ」

「お前次からランニング5分多く走れよ?」

「成績がいいバカが何か言ってます」

「才能があると先輩を見下すん?ん?」

 

「まあ、冗談はこのくらいにしましょうか。練習しましょう、練習」

 

「お前ら!緊張感を持ってキビキビと動けっ!」

 

僕たちがだべりながら各々軽く体を解していると、ドアが開いて顧問のゴリ先が入ってきた。

 

隣の半面を使ってるバレー部がビクってなって可哀想───って、あれ?

 

 

 

 

「ゴリ先!誰っすか、その可愛い子!?」

 

真っ先に女子に食いつくキャプテンってどうなんですか?

 

「ふ、ふんっ、俺は恋愛には興味ないが.....ふんっ....!」

 

筋肉アピールしても落とせませんよ、脳筋バカ。

 

「もしかして、先生の娘さんですか?初めまして、僕はこの部活唯一の常識人だよ。メガネ先輩と呼ぶといい」

 

自己紹介が既に常識人じゃない。

 

「......なるほどなぁ。つまり、そういうことやな。ふむふむ」

 

僕の顔を見て意味深に頷くのやめてもらえます?腹黒先輩。

 

 

 

 

「鈴音?どうしてこの学校に?」

 

僕の学校と鈴音の学校はそんなに近くない。いや、距離の問題でもないけど。あ、先輩方うるさいですよ。お静かに。

 

「その、あなたと一緒に帰りたくて校門前で待っていたのだけれど....」

 

「他校の生徒が校門前にいると生徒が職員室に報告してきてな。お前の知り合いだと言うから、女子がいた方がお前らも気合いが入ると思って連れてきた」

 

「.........あー、なるほど?」

 

裏目に出た。僕が鈴音から友達認定を貰いたかった理由の一つ。友達がいないから、友達と他の関係性の境目が分からない。

 

だから、好感度をあげやすいし少しイチャついても適当を言って誤魔化すことが出来た。今回はそれが完全に裏目に出た。

 

これは不味い。手芸部で部活に励んでいるであろう帆波が、部活終わりに一刻も僕に会いたいと思ってるに違いない。

 

彼女は絶対体育館に来るか、もしくは教室で僕を待つはずだ。かといって、わざわざ学校に来た鈴音を放置することも先に帰らせることも出来ない。

 

「迷惑......だったかしら?」

 

【好感度:78】

 

【状態:不安・後悔】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕も鈴音に会いたいって思ってたんだ。もしかして、僕たちって心が繋がってるのかな?」

 

「.....バカ」

 

【好感度:80】

 

これはやばい。やばいやばい。どうしようか。今ここを上手く切り抜けたとして、今度は『あなたが私の学校まで迎えに来てくれないかしら?』なんて言われたらヤバい。

 

だって、鈴音と桔梗は同じ学校のはずだからね。鈴音と一緒に居るところを桔梗に見られたらヤバい。

 

僕のハーレム計画は高育という特殊空間だからこそ目指せるものであって、今はまだ本格的にバレてもいいタイミングじゃない。

 

いや、今の好感度ならバレても高育でリカバリー出来るか....?

 

 

 

 

 

 

「なぁ、あいつって一之瀬と...」

 

「だよな?二股か?」

 

「さすが王様はやることが違うなぁ」

 

「──多分今日はあの二人を帰らせた方がいい。万が一ここに一之瀬さんも現れて修羅場になったら大会に影響するかもしれん」

 

「「!!了解、副キャプテン!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「王様〜、君は今日かえりーや。親御さんに報告せなアカンこともあるやろ?──ゴリ先は俺たちが引き止めたるから」

 

「さすが腹黒先輩。鈴音、一緒に帰ろう」

 

「.....いいの?」

 

「部活より鈴音が大切だから」

 

あと、自分の身の安全も。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません、凪くんって....」

 

「ごめんなぁ、一之瀬さん。うちのやつは先に帰らせたんよ。ほら、自分がヤラカシタこと親に報告させなアカンから」

 

(バレー部には口止めしておいたし、うちの部活のバカたちにも何も話すな言うといた。貸しやぞ、バカ王)

 


 

先輩方の協力もあって、あの日の危機をなんとか乗り越えた僕たちは──ついに中体連の地区予選の会場に足を運んでいた。

 

「しっかり活躍せーや、王様」

 

「僕よりも自分の心配をした方がいいんじゃないですか?先輩たち、体力ヘボいんですから怪我しないでくださいね」

 

「人人人人人人」

 

「腹黒先輩。キャプテンが手のひらに書いて人を殺す勢いで飲み込んでるんですけど」

 

緊張しすぎじゃないですか?たかがまだ地区予選の1回戦ですよ。

 

「放っておきや。僕たち3年は、今日負けたらもう引退で終わりなんや。緊張してもしゃあないやろ。ってか、誰が腹黒やねん」

 

「ああ、確かに。僕以外は全員3年でしたね。今までありがとうございました」

 

「不吉なこというな、バカ王」

 

脳筋先輩に後ろから頭をスパーンと叩かれた。この部活の人達は、愛情表現なのか、隙あらば僕を叩くのが好きだなぁ。

 

「そうですよ。僕たちが引退したら、君は一人で寂しく部活をすることになるんですから。惜しみなさい、もっと」

 

メガネ先輩まで緊張でぶるぶると震えている。壊れた携帯のバイブ機能みたいだ。

 

「僕がいるのに負けるんですか?......どうやって?」

 

僕は心底不思議そうに首を傾げた。

 

正直に言って、先輩たちは中の中くらいの実力しかない。でも、僕がコート上で指揮をすれば『カリスマ』のスキル効果で先輩たちの能力は底上げされる。

 

なにより、このレベルの中学の試合なら僕1人でも余裕で勝てる。やろうと思えば、多分第1Qで相手チームの心を完全にへし折ることも出来ると思う。

 

「──お前ら、1年がこんな頼もしくて偉そうなこと言ってんのに、いつまで緊張してるつもりだ」

 

「1番緊張してた人がなんかキャプテンらしいこと言ってますよ、腹黒先輩」

 

「言うたるなや、必死に威厳を取り返そうと頑張ってるんやから」

 

「確か、今日は1回戦。明日は2回戦と3回戦。最終日が準決勝と決勝でしたよね」

 

「そや。やから、負けたら予定してたホテルもキャンセルで即帰宅や」

 

「お、お前ら、キャプテンの俺が話してるんだが......」

 

お、次が僕たちの中学の出番だ。試合順が最初の方で助かった。無駄に午後まで待たされるのは面倒だからね。

 

コートへ向かうため、上の狭い客席を縫って歩いていると──視界の端に、原作で見覚えのある人物を見つけた。

 

 

ラッキー。普段の行いがいいと、こんな風に良いことが起きるんだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「──あの、初めまして。とても綺麗な方だと思って、つい声をかけ」

「アホか。これから試合や言うてんのに、他中の女子口説くなや」

 

また後ろから頭を叩かれた。酷い。僕はちょっとしたコミュニケーションを取ろうとしただけなのに。理不尽だ。ぷるぷる。

 

「ふふっ、仲良しなんですね」

 

僕たちのやり取りを見て、朝比奈さんは微笑んだ。

 

「サクッと勝ってくるので、戻ってきたら名前を教えてくだ」

「試合や言うとるやろ。あんまふざけてると、首根っこ掴んで引きずったろか?」

 

腹黒先輩に引っ張られ、僕は強制的にコートへと連行されていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、いいな。なずなってば、あんなイケメンくんに声かけられてずるーいっ」

 

「ほんとほんと、なずなには雅くんがいるのにさー。世の中不公平だよ」

 

友人たちにからかわれ、なずなは少し困ったように苦笑する。

 

「雅とは、別にそういうのじゃないってば」

 

【好感度:20】

 

そう言いながらコートを見下ろす。コートに入っただけなのに、先程声をかけてきた男の子は会場中の注目を集めていた。

 


 

なずなさん

 

 

【挿絵表示】

 

 

一之瀬さん

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

堀北さん

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




中学校も停学が有り得る世界線やと思ってくれ、、、

中学生編が!!!終わらねぇっ!!!!!ドンッ!!

中学は.....?

  • 一之瀬さんと一緒
  • 軽井沢さんと一緒
  • 山村さんと一緒
  • 椎名さんと一緒
  • 松下さんと一緒
  • 小野寺さんと一緒
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