魅力至上主義の教室   作:Mr.♟️

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キャンプファイヤーと天使面談

 

林間合宿2日目の夜。

 

僕たちは広場の中心に組まれた巨大な薪の塔を囲むように集まっていた。

 

「みんな、少し後ろに下がってねー」

 

教師の合図とともに、火のついたトーチが薪の塔へと投げ込まれる。

 

パチパチと乾いた音を立てて燃え上がる炎が、瞬く間に周囲の暗闇を鮮やかに照らし出した。

 

夜空には数え切れないほどの星が瞬いていて、都会では決して見られない幻想的な光景が広がっている。綺麗だ。

 

熱気とともに舞い上がる火の粉を見上げながら、生徒たちから感嘆の歓声が上がった。

 

キャンプファイヤーの定番イベントといえば、もちろんフォークダンスだ。まあ、まともに踊れる生徒はいないだろうから、それっぽく踊るだけだけど。

 

軽快な音楽がスピーカーから流れ始め、男女がそれぞれ内側と外側の輪になって向かい合い、手を取り合う。

 

小学生の男子にとっては、好きな女子と合法的に手を繋げる一大イベントであり、同時に女子と手を繋ぐことに照れて悪態をついてしまう、青臭くも微笑ましい時間でもある。

 

いいなぁ、前世ではこういう経験できなかったから嬉しい。

 

 

 

 

 

 

音楽に合わせてステップを踏み、パートナーが次々と入れ替わっていく。

 

 

何度かクラスメイトの女子たちと手を繋いでターンをこなした後、目の前にやってきたのは、炎に照らされてキラキラと目を輝かせる桔梗だった。

 

「凪くん、やっと回ってきたね!」

 

彼女は一切の躊躇いなく、僕の両手をギュッと握りしめてきた。

 

「桔梗ちゃん、すごく楽しそうだね」

 

「うんっ!だって、合宿の夜にこうやってみんなで踊るの、ずっと楽しみにしてたんだもん。それに......凪くんとも踊れるし、ね」

 

上目遣いで、少しだけ頬を染めながら小悪魔のように微笑む桔梗。

 

本当に末恐ろしい小学生だ。この無邪気な可愛さとあざとさを武器に、彼女は学年の男子の視線を釘付けにしている。

 

現に、今僕と手を繋いでいる桔梗を、輪の向こう側から恨めしそうに見つめる男子の視線が痛いほど突き刺さってくる。

 

「僕も桔梗と踊るのを心待ちにしてたから、嬉しいよ」

 

微笑み返すと、彼女はパッと花が咲いたような笑顔を見せた。

 

「えへへ、凪くんにそう言ってもらえるのが一番嬉しいな」

 

曲のフレーズが変わり、パートナーが交代するタイミングが来る。

 

「あーあ、もう次に行かなきゃ。また後でね、凪くん!」

 

名残惜しそうに指先を離す桔梗を見送ると、次に僕の目の前にやってきたのは、少し俯き加減の波瑠加だった。

 

普段のクールな雰囲気とは裏腹に、炎に照らされた彼女の横顔はひどく緊張しているように見える。

 

「よろしく、波瑠加」

 

僕から優しく手を差し出すと、波瑠加はビクッと肩を揺らしてから、おずおずとその小さな手を僕の掌に乗せた。

 

桔梗のように力強く握ってくるわけではなく、いつでも離れられるようにそっと触れるだけだ。

 

「....よろしく、なーくん」

 

「手が少し冷たいね。寒くない?」

 

僕が波瑠加の手を包み込むようにしっかりと握り直すと、彼女は驚いたように顔を上げ、そしてすぐに顔を真っ赤にして視線を泳がせた。

 

「さ、寒くない。ただ、ちょっと緊張してるだけ......」

 

「フォークダンスで?」

 

「......なーくんと手を繋ぐから、に決まってるでしょ。馬鹿」

 

ボソッと呟かれたその言葉は、爆ぜる薪の音に掻き消されそうなくらい小さかったけれど、僕の耳にはしっかりと届いていた。

 

素直になれない彼女なりの、精一杯の好意のアピール。いや、まあ、充分素直だと思うけど。

 

「そっか。僕も、波瑠加と手を繋ぐのは少しドキドキするよ」

 

「嘘ばっかり。なーくん、すごく余裕そうじゃん」

 

「嘘じゃないよ。波瑠加が可愛いからね」

 

「っ......!そういうこと、サラッと言わないでよ......!」

 

波瑠加は完全に茹でダコのように顔を赤くして、僕の手を少しだけギュッと握り返してきた。

 

この不器用で真っ直ぐな反応が、庇護欲を刺激してくる。本当に可愛いんだから。

 

やがて音楽が終わり、フォークダンスの時間は終了した。

 

その後は、各々が火を囲んで自由に談笑する時間となる。

 

僕は火の熱気から少し離れた丸太のベンチに腰を下ろした。冷たい夜風が火照った体を冷ましてくれて心地いい。

 

 

 

 

 

「なーくん、隣いい?」

 

「凪くん、こっち座ってもいいかな?」

 

見事に左右から、波瑠加と桔梗が同時に声をかけてきた。

 

「もちろん。2人とも座りなよ」

 

僕が両隣のスペースを空けると、2人は少しだけ牽制し合うような視線を交わした後、僕を挟むようにしてちょこんと腰を下ろした。

 

右に桔梗、左に波瑠加。

 

遠くから聞こえてくるであろう男子たちの嫉妬の声すら、今だけは心地よいBGMに思えてくる。

 

「......火って、ずっと見てても飽きないね」

 

波瑠加が膝を抱えながら、パチパチと燃える炎を見つめてポツリと呟いた。

 

「そうだね。不思議と心が落ち着くよ」

 

「うん。なんだか、こうしてると色んなこと忘れちゃいそう」

 

普段の学校生活での窮屈さや、周囲の視線。そういったものから解放されたこの大自然の夜は、子供たちの心を素直にさせる魔法がある....のかもしれない。

 

「私は、この合宿が終わるのがなんだか寂しいな」

 

桔梗が、僕の肩に少しだけ自分の肩を預けるようにして身を寄せてきた。

 

「まだ明日もあるじゃないか」

 

明日は帰るだけだけど。

 

「そうだけど......でも、凪くんやみんなとこうして夜まで一緒にいられるのって、特別だから」

 

「そうだね。でも、学校に戻っても僕たちはずっと一緒だよ」

 

僕がそう言って2人の顔を交互に見ると、桔梗は嬉しそうに微笑み、波瑠加は少しだけ照れくさそうに視線を炎へと戻した。

 

 

 

 

 

 

夜空を見上げると、満点の星が僕の順調な未来を祝福するようにキラキラと輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

林間合宿が終わってからは、あっという間に時間が過ぎて、気づけば僕たちは小学校を卒業した。

 

中学校では原作キャラがいる学校に通えるだろうか?

 


 

明日の中学校の入学式に備えて早めにベッドに入り、寝ていたはずなんだけど。

 

気がつくと僕は不思議な空間──あの時、僕が転生を決めてガチャを引いた真っ白な空間に立っていた。

 

『よく来ましたね。神代凪さん』

 

「無理やり連れてこられたの間違いだと思いますけど。転生してからも何か用事があるんですか」

 

え、もしかして、寝ている間に死んだ?いやいや、流石にそんなわけがない。

 

『そうですね。あなたに分かりやすく伝えると、パワ○ロの契約更改のようなものです。ああ、もちろんデメリットはありませんよ。ここまでの行動に応じてボーナスを与える時期と言えばいいでしょうか?』

 

『小学校卒業と、中学卒業時にやらないとダメなんですよねー。面倒くさいですけど』

 

なぜ天使が現世の野球ゲームの詳細を知っているのかはツッコミ待ちだろうか。とりあえず、悪い話ではないみたいだ。良かった。

 

『それで、あなたの小学校時代の成長は──』

 

知力A(15)→A(72)

 

身体能力B(05)→身体能力B(35)

 

メンタルF(20)→C(70)

 

運B(00)→A(05)

 

魅力A(05)→魅力A(90)

 

スキルなし→保有数1

不屈

 

『逆境時に任意のステイタスを1段階ランクアップさせることができる』

 

※取得条件:精神的or肉体的負荷がかかっている状態で100回逃げずに立ち向かうこと。

 

 

『驚異的な成長ですね。上がりにくいAランクステイタスの堅実な成長率、終わっていたメンタルの大幅な向上。なにより、自力でのスキルの獲得』

 

「はぁ、ありがとうございます」

 

『む、あなたは事の重大さを分かっていないみたいですが、Fランクのメンタルをここまで上げるのは至難の業なんですよ?傷ついた時に耐えられなかったり、逃げてしまったりしたらステイタス値は上がりませんから』

 

ああ、確かに。能力値が底辺だった初期の頃は、クラス全員から注目を浴びただけで喋れなくなったり、話しかけられただけで胃が痛くなったりしてキツかった。

 

でも、耐えられないほどじゃない。

 

前世で受けた理不尽なことや、諸々のプレッシャー、最期に刃物を突きつけられたあの恐怖に比べたら、与えられる負荷なんて生易しいくらいだった。

 

「それで、ボーナスってことは、何か僕にくれるんですか?」

 

『ええ、ステイタスの向上と、無償で1回のスキルガチャ権です。さらに、今あるスキルを代償にスキルガチャをもう一度引くこともできます。まずは、ステイタスボーナスを振り分けますよー』

 

知力A(15)→S(01)

 

身体能力B(05)→身体能力B(50)

 

メンタルF(20)→C(80)

 

運B(00)→A(25)

 

魅力A(05)→魅力S(29)

 

『知力と魅力が、ついにSランクになりましたね。おめでとうございます』

 

「今までで1番伸びたのは圧倒的にメンタルなんですけど、なんでメンタルのボーナスはこんなに少ないんですか?」

 

『FランクとAランクでは、ランク値を上げるために必要な経験値の難易度が全く違いますから。高ランク帯のステイタスを自力でそこまで上げた努力値を高く評価した結果です』

 

なるほど。確かに、メンタルが低い時は少し注目を浴びるだけでポンポンと上がっていた。

 

RPGでいうところの、レベル1の時にスライムを倒すのと、レベル90の時にスライムを倒すのとの違いみたいなものか。

 

「あと、魅力ってあんまりステイタス効果ないんですか?効果に結構個人差がありますよね?」

 

『それはあなたが転生した世界の女性たちの魅力値の平均が高いからです。魅力値が低い相手であれば無条件で強力な効果を発揮しますが、魅力値の高い相手には絶対的な効果はありません』

 

『それでも、あなたの雰囲気は仮に相手の魅力値がSだとしても、好印象を与えやすい強力なアドバンテージになっていますよ』

 

なるほど。魅力値が低い相手により大きく効果を発揮する、いわゆるレベル差補正のようなステイタスなのか。

 

それなら、ステイタスに頼りきりにならずに自力で好感度を稼いできた僕のやり方は間違っていなかったというわけだ。よくわかった。

 

今回は説明してくれて親切なんだけど、何か心境の変化でもあったのか?まあ、僕としてはありがたいからいいけど。

 

『では、次に無償のスキルガチャを引いてください』

 

天使の言葉に促され、僕はゆっくりと息を吐き出した。

 

「『スキルガチャスタート』」

 

僕がそう言葉を発すると、転生時と同じように上空に巨大なガチャが現れ、眩い光と共にカプセルが排出された。

 

『慧眼』

 

※他者からの好感度を見ることができる。その他、他者のその時点の感情・プロフィール等を閲覧することができる。

 

これは......便利すぎる。ハーレムを目指す僕にとって、相手の好感度やリアルタイムの感情が可視化されるというのは、これ以上ない強力な武器になる。

 

それに、高校で出会うはずの綾小路くん対策にもこういう内面を見透かせるスキルは嬉しい。

 

『おお、当たりですね。さて......ガチャは運気が乗っている時に回した方がいいと個人的には思いますが、あなたが持っているスキルを代償にもう一度回しますか?』

 

天使が悪魔のような囁きで誘惑してくる。このガチャ廃天使。

 

「──お願いします。『スキルガチャスタート』」

 

まあ、迷う理由は一つもない。

 

『不屈』のスキルは確かに悪くはない。でも、逆境時限定という縛りが厳しすぎた。実際、小学校時代を通して、このスキルを発動できたことは一度もなかった。

 

それなら、より汎用性が高く、自分の目的に合致するスキルに賭けた方がいい。

 

運のステイタスも『A(25)』に上がっている今なら、絶対にいいものが引けるはずだ。多分。

 

再びガチャがけたたましい音を立てて回り、今度は黄金に輝くカプセルが飛び出した。

 

 

 

『カリスマ』

 

※自身の指揮下にいる人間のステイタスを0~100%向上させる。対象がスキル保有者を信頼、もしくは尊敬などポジティブな感情が大きければ効果を発揮しやすい。

 

反対に、指揮下にあってもネガティブな感情が大きければ効果は発揮しない。

 

 

天使がその内容を読み上げた瞬間、僕は思わず口角が上がるのを止められなかった。

 

『慧眼』で相手の感情や好感度を正確に把握し、『カリスマ』を発動すれば、今後色々使えそうだ。便利なスキルをゲットできた。

 

しかも、僕は魅力値が高いから女性相手なら大抵好印象になるはずだ。

 

 

「最高のボーナスをありがとう」

 

『どういたしまして。では、中学生活も存分に楽しんでくださいね。次にお会いするのは、高校入学前になります。あ、次回はステイタスを代償にガチャを引けるので頑張ってください』

 

天使の声が遠ざかり、真っ白な空間がぐにゃりと歪んでいく。

 

次に目を覚ます時、僕は新しい力を持って中学校の入学式を迎えることになる。

 

高校という大舞台に向けて、中学時代は今までにも増して準備をしないといけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一之瀬さん人気すぎて草

中学は.....?

  • 一之瀬さんと一緒
  • 軽井沢さんと一緒
  • 山村さんと一緒
  • 椎名さんと一緒
  • 松下さんと一緒
  • 小野寺さんと一緒
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