アルセウスによって異世界に来たがなんか想像してたのと違う 作:2ザクチキ
リリーバイスとの戦いの結果は何れのうちどれか。
①ファミパンされて意識が飛ぶ。
②優しく抱かれた後首の骨を折られて死亡
③スターライトブレイカー
負けるという結果は見えていた。だがこの戦いの目的は時間稼ぎ。今戦ってる内にヨノワールとヤミラミ達が他のポケモンを安全な場所に避難させる。避難が終了すれば、実質こちらの勝ち。当初はそう考えていたがミュウツーの急な参戦により話が見えなくなってきた。
ミュウツーは、ゴッデスを圧倒するだけでなく、メガシンカまでして追い詰めている。
頼む。大人しくしてくれ。これ勝ちに行く戦いじゃないから。
おい、なんでコノヨザルまでそっちに行く?
誰が前線張るんだ?ボクゥ…?
ヤケクソに僕は前線を張った。狂ったように不老不死を語り、お前等に未来はないとか適当なことを言って仲間になる気はさらさらないと伝えたが、論破されかけてイライラしてる。生ゴミみたいな感情とか言ったが本音を晒そうと演技してるだけである。ぶっちゃけイライラだけが本心だ。
今現在、ムクホークはメガシンカし、リリーバイスと戦っている。やられるかと思ったが、ムクホークがやたらと攻撃を回避してる。そして死角からインファイトを仕掛けながら、反撃されないように立ち回っている。
アルセウスと戦って勝った個体だ。面構えが違う。拳がヒットしたと思ったらそれは残像でカウンターで反撃している。なんだこの鳥。ああ…僕のマイベストフレンドだったわ。
どうでも良くなった。どうでも良くなった僕は不死身だから何したって良いやとヤケになりつつある。
指を振ろう。人間が覚えられるポケモンの技の一つ。まあ…人間が出せる技なんて限られて…
そう思いつつ、指を振った。
ギルガルドが強烈な光を放っている。
「え?」
身体が勝手に見たことがある構えになった。
「これ…ザシアンの…!」
ちょっと待て、待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て!!!!
「ギルギルギルギルゥウウウウ!!!!」
サトシのピカチュウみたいに鳴くんじゃねえ!!
何やる気出して…!?
不味い!もう止まらない!!
「きょじゅうざんはないってええええええええ!!?!?」
星の軌跡を描くように一閃が大地を駆け巡った。
ムクホークSide
ムクホークはリリーバイスの放った衝撃波を軽々しく躱す。
「…!」
悪いな。この私を撃ち落とせるのはこの世界でたった1人しかいない。
リリーバイスの死角に回り込み、インファイトを仕掛ける。複数の打撃に対し、彼女は受け身を取ることしかできない。
「…やはりな。完璧に見えても死角はある。」
最後にブレイズキックをお見舞いし、柵をぶち破った。
バク宙し、砕け散った瓦礫を踏み込み、ムクホークへと拳を振り払う。しかしそれをもムクホークは躱す。
「…動きが単調だ。一撃で相手を仕留めるという想定で予め設定された動きをしているのか。」
「…!この…!」
「甘い!!」
ムクホークはさらに回避する。避けろ!という掛け声が聞こえるかのように。
「ッ…リリスの攻撃を避けている!?」
「何だ!?あの鳥は…!?」
何処にでもいる鳥さ。とムクホークは呟く。
気がつくと、目の前に彼女の拳が近付いてくる。
残像を残し、カウンターする。
高層ビルを貫通し、地面に激突した。
「……はぁ…はぁ…」
息切れ。まだ活動できるはずなのに。
彼女は立ち上がる。
ムクホークはそれを待つかのように電灯に止まる。
「…。」
彼女は黙ってムクホークを見上げる。
「本気出さなきゃならないなんて」
「ねっ!!」
手刀で電灯どころか穴を開けたビルごと切断する。
しかし攻撃は外れた。
気が付けば背後にムクホークがいる。
ムクホーク時間を司る相手と戦ったことがある。そういう相手にはどう立ち回るかムクホークは熟知していた。
「相手の反射神経よりも先に動く。」
「倍の速度で動く相手ならばそれを想定した動きをすれば良いだけのこと。」
このムクホーク。脳筋であった。神々との戦いを経てもなお、鍛錬を怠らず、強者と戦い続けた結果、ムクホークは最強になった。手持ちから離れたことがない故に彼はボックスという概念を知らない。
時間停止する相手には神速の如くインファイトを仕掛ければ良いだろうし空間を歪める相手ならば歪んだ範囲を把握してインファイトを放てばいい。
できるならとっくにそうしてるわ!という戦術を彼は実行している。
リリーバイスの反射神経は異次元。銃弾でさえも彼女には止まって見える。しかし、目の前の鳥は違った。明らかに瞬間移動している。目で追おうにも次の瞬間には一撃が飛んでくる。
「…っ!」
ムクホークが遠くから強烈なエネルギーを察知した。
そしてそれが飛んでこない範囲へとすぐに飛んだ。
リリーバイス視点から見ると戦いを放棄したのかと思ったが、原因はすぐにわかった。
高層ビルの数々が豆腐のように真横に切れていく。
「しまっ…!」
瓦礫と衝撃波の中に彼女は消えていった。
ゴッデス指揮官Side
それは一瞬にして起こった。突如、少年の剣に光が集まり、一閃となって大地を駆け巡った。ビルが次々と真横に真っ二つになっていき、リリスのいる場所にまで届いている。
「…っ!まだそんな技を隠し持っていたか…!?」
少年はため息をつき、こちらに視線を向ける。ギョロっと動いた彼の瞳は右目が青色、左目が紫色をしている。所謂オッドアイだがそれがとても不気味に感じた。
彼は指を振った。
「はぁ…ハズレか。」
「ま、こんなもん…か。」
水しぶきをあげながら斬撃波が飛んでくる。それを避ける。
「…動くな。」
銃を構える。…今回の目的は彼とそのモンスターの身柄の拘束。しかしさっきの一撃を見て確信した。コイツはヤバい。早速コイツを眠らせるなりして…!
また少年は指を振った。
ルーティンか?
「動くなと言っている!」
「あっ…」
足に泥のような感触が伝わる。
重い。何だ?これ…は………
私はそこで意識を失った。
トレーナーSide
「まさか、ダークホールが出るなんてな。」
指揮官と思われる男を黒い球体が取り込む。
「…これ、どうすれば良いんだっけ?」
「ダークライがいてくれたらなぁ…。扱い方がわかるんだろうけど…。」
「モンスターボールのようにキュッと握れば小さくなりますわ。」
うすいろピカチュウがアドバイスをくれた。
「こう…?」
黒い球体はキャッチボール程の大きさになった。
「っていうかこれほんとにダークホール?なんか違わない?」
「技の解釈は使用者によって異なりますわ。それでこれからどうなさりますの?」
「え…?どうって…?」
「敵指揮官を無力化しましたし、これからどうなさるおつもりですの?」
「うーん…仲間のとこに合流するとかかなぁ…。指揮官はこのまま持ってく。交渉材料として使えるだろうし。」
「ちょっと気が引けるけど、この世界の人類の牽制にはなるよね。」
「指揮官さんには悪いでしょうけど世の中の流れからそうした方が良さそうですわね…。」
うすチュウのいう世の中の流れとはポケモンに対する世界の偏見だ。この世界の人類にとってポケモンはニケに代わる、あるいは同等の兵器として運用する。という想定していた最悪の展開だ。故にミュウツーはこの世界の人類を毛嫌いしている。
後やっぱネットの民度的に人類を救う気になれない。ミアレシティの方が民度良いわ。
「指揮官!!」
ピンク髪のお嬢様がこちらに向かってくる。それを遮るようにミュウツーがはどうだんを放つ。
「…よそ見をしている場合か?人間…いや人間擬き。」
「……!!」
「指揮官を…返してください!!」
無数のミサイルがこっちに飛んできたが、うすいろピカチュウがそれらをしっぽで撃ち落とした。
「うすチュウ、今のって…」
「しっぽを振るですわ。」
「…だ、だよね…。うん。なんか慣れないわこれ。」
「おい!ボウズ!!指揮官を何処にやった!?」
赤髪のニケが対物ライフルをこちらに向けている。
「…ああ、指揮官?これのことです?」
黒い球体を見せる。我ながら悪役っぽいな。なんか額に縫い目のある袈裟を着た人みたいな。
「残念だけど…暫くはこっちが預かっておくから。」
全く不本意だが。不本意だけど預かる。
「ふざけんな!そいつには…!」
「そいつにはエロ本貸したままなんだぞ!!あたしは!!」
「続きが気になるだろうが!!」
エロ本が流通してるとかロクな部隊じゃないなゴッデスって。
「そんなもんまた自分で買えば良いじゃないか。」
「レアもん同人誌なんだから無理に決まってんだろうがァ!!」
「ハァ……。」
「……貴様らの指揮官は預かった。」
ミュウツーが口を挟む。
「私達は拠点を移す。貴様らに見つからない場所にな。」
うんうん。そのつもり。タワマンになんか2度と拠点作らんわ。マジで。目立つし維持費高えし。
「…念のため貴様らにはここで消えてもらう。」
うんうん……うん?
ミュウツーは、天に腕を伸ばし、巨大なエネルギー弾を作り出した。
「え…?ミュウツー…さん?」
「これを食らって生き延びたらまた会おう。」
「……さらばだ。ゴッデス。」
ミュウツーがくいっと手首を曲げる。
「え…?あの?ドラゴンボールでしか見たことない技何だけどそれ?」
「…サイコブレイクだ。」
「デスボー…」
「サイコブレイクだ。」
「はい。」
もう諦めた。なんか主導権が僕にない気がする。
「逃げますわよ。ここは危険ですわ。」
「あっ…!おい!!待ちやがれ!!」
もう良いここまで来たららしいこと言って終わろう。
「……じゃあまた会おう。」
「聞いてるかい?アルセウス。始めるよ。ポケモン全盛、ヒスイの世が………。」
屋上から崩れていくタワーマンション。
「指揮官ーーーーーーッ!!!!」
何処からもなくメカゴリラの声が聞こえたような気がするがきょじゅうざんを喰らって生き残ってる筈がないのでスルーしよう。
その後、ムクホークにそらをとぶをさせて僕らは新天地へと飛んでいった。その後をフワンテにぶら下がったメタモンとうすチュウを慕う子達が追っていった。
こちらの死傷者はゼロだった。
アルセウスSide
その様子をアルセウスとパルキアはじっと見守った。
「…ここまでがシナリオ通りです。」
「指を振る失敗してたら終わってるシナリオとか作んな。」
パルキアのツッコミは至極真っ当であった。
「息子のような存在が黒幕ムーブしていてお母さん嬉しいですね。」
「何母親ヅラしてんだアンタ。」
「本来のシナリオだったらここで彼は負け、ゴッデスの軍門に下る…筈でしたが。それだと現実味に欠けるというか…」
「だからといって広範囲きょじゅうざんはねえよ。どうすんだこれ。やっぱりオレが言ったほうが…。」
「パルキア。行き過ぎた力は破滅を」
「今その破滅に向かってんだろうが。今の状況だと人類と敵対するじゃねえか!!」
「ああ!!もうやってられねえ!オレ行くから!オレがちゃんとアイツと一緒に冒険して黒幕やっつけたら元の世界に帰る!それで良いな!!」
「良いのですか?またバカヤローって言われますよ。その他多数の方々から。」
「オレはバカだから!!止めんなよ!」
パルキアはそう言い、空間を引き裂き、何処かへと消えていった。
「…遅めの反抗期でしょうか。」
トレーナーSide
竹林に辿り着いた。ここは人間社会からかけ離れた自然豊かな場所。ここならば見つからないだろうと。そう思った。
「とにかく今日はここで休もう。皆もそれでいいね。」
「「「はーーいっ!」」」
うすチュウの弟、妹達が元気よく跳ねている。
「明日の昼頃にはヨノワール達と合流するから、寝不足にならないように早く寝るように。」
「うん!レイも早く寝てよね!」
「ねっー!」
「今日は夜更かししないよ。…うん。」
「…。」
ミュウツーはじっとこちらを見ている。
どうやら話があるようだ。
うすチュウとその弟、妹達が眠りについた後、ミュウツーとムクホーク、そしてメタモンとこれからのことを話す。
「ゴッデス指揮官を人質に人類連合軍に交渉する…か。」
「全面戦争になった場合を想定して、やっぱり伝説のポケモンをもっと連れてきた方が良いかなぁ…。」
「メタァ……。」
「ラプチャーだけでも手一杯なのに、人類と敵対するのはリスクが高いし、目的と一致しない。止めたほうがいいだろう。」
「…奴等が何をしようが私は勝つ。」
「…そういえばミュウツー、どうだった?ゴッデスと戦ってみて?」
「…動きがもどかしかったが連携は上手かった。白髮は支援だけでなく、私が破壊した銃器をすぐに直し、味方に渡していた。」
「金髪はやはり回復役だったが、シールドが鬱陶しかった。桃髪は近接戦も、上手く、蹴りが強い。」
「赤髪は……奴は……」
ミュウツーは赤髪、レッドフードとの戦いを思い出した。
『クソっ!弾切れかっ!!』
『終わりだ。』
『ちょっとタンマ!!リロードくらいさせてくれよ!』
『なっ!?』
『………消えろ。』
………
「私を舐めている。次あったらサイコブレイクを顔面に確実に当てる。」
そう言い、ぎゅっと拳を握った。
「お、おう。」
「メタァ!」
「明日は早いし今日はもう寝るか…。」
「そうしよう。戦友。」
「メタァ!」
「私が見張っておく。お前達は眠っていろ。」
「ああ…頼む。」
翌日。朝4時に起きた僕達は、竹林から飛び立とうとした。釣りにでも行くのかというくらいの時間帯に起きたのは理由がある。
ガンッ!!ギィン…!!
なんか金属同士がやたらとぶつかる音がする。時代劇でよく聞くあの金属音。
チャンバラでもしてるのか。ここがキャンプ場だったら苦情を入れにはかいこうせんを撃ちに行くくらいうるさい。
「ミュウツー。」
「ああ…お前の指示を待っていたところだ。」
「メガストーンはYを使おう。朝っぱらからチャンバラしてる奴らは全員サイコブレイクだ。」
ミュウツナイトYをミュウツーに持たせる。
「うすチュウは皆を守ってて。僕とミュウツーが様子見をするから。」
「わかりましたわ。気をつけてくださいませ。」
「うん。」
金属音がする方向へと歩いていった。
なにやら2つの黒い影が竹林の開けた場所で刀をぶつけ合っている。
「……。」
マジでチャンバラしてるじゃん。もしかしてここ刀狩りしてない世界線?豊臣秀吉仕事してる?
2つの黒い影は止まった。よく見ると2人とも紫がかかった白い長髪が特徴的な姿をしている。双子だろうか?黒いピッチピチのスーツを身に纏っていることから多分、ニケ何だと思う。
「……。」
竹林に隠れて様子を伺っていたが何やらこちらに気づいた様だ。
「………何者だ。」
「いるのは分かっている。匂いは消せても殺意が漏れているぞ。」
「あら?レンったら時代劇っぽいこと言ってるわね。」
「……。」
「出て来ぬなら。」
刀を構える。
息を潜める。ミュウツーをボールに入れようとするが物陰から飛び出た。
「貴様らを纏めて殲滅する。」
交渉の余地は勝手に爆散した。
指を振るとオロロンチョチョパァは人間がギリ覚えられる技だと私は確信しています。