キラsid
月面都市コペルニクスで、俺は──僕は、一人の幼い少年と相対していた。
家が隣同士で、通う学校も同じで、クラスまで同じ。そんな偶然と必然が重なれば自然と仲良くなるのが子供というものだが、そういった前世からの知識に基づく薄汚い建前は、出会ってすぐに全部横へぶん投げた。
何故なら彼は、将来殺し合いを行う関係だからだ。敵対、和解を繰り返す関係だ。
友達の名前はアスラン・ザラ。のちの赤服でCE最強のパイロットとシュラに言われる人物だ。
僕の名前はキラ・ヤマト。スーパーコーディネーターでのちに准将になる人物だ。
僕がキラ・ヤマトに転生したことに気づいたのは、コペルニクスの幼年学校の入学式にアスランと出会った時だ。
「僕の名前はキラ・ヤマトです。」と話したときに前世の記憶が流れた。また、前世の自分がガンダムのファンでロボットが好きだった。その縁でロボットの研究や戦略について詳しかった。その記憶が一気に流れた倒れてしまった。その時に僕を保健室に連れてきてくれたのがアスランだった。
「大丈夫か」とベットに運んでもらった。
僕は、「誰?」といい、
「アスラン・ザラ」と言い、縁が始まった。
僕が入学式で倒れたことがきっかけでアスランは僕のお世話をしてくれるようになった」
「体調は大丈夫か」「無理はするなよ」と言い課題も手伝ってくれた。
僕はこの幼馴染に甘えて、様々な課題を手伝ったもらった。
この縁でアスランは僕の家で泊まって、母のカリタ・ヤマトと顔を合わせて仲が良くなった。よく僕の家でご飯を食べるようになった。
僕もアスランの母親のレノア・ザラと顔を合わせて仲が良くなった。レノアさんはユニウス市で農業の研究を行っており、研究ラボにいることがあるのでアスランは僕の家にホームステイしている関係だ。
一回授業参加でアスランの父親のパトリック・ザラと会ったが無口で顔もしかめっ面をしているので怖かった。
このような関係を卒業まで続いた。僕は卒業課題の電子ロボット作成をアスランと一緒に行った。僕がプログラムを作成し、部品の組み立てやデザインはアスランと一緒に行った。完成後アスランは喜んだが僕は喜べなかった。
「これからどうなるのか」
憂鬱な気持ちで考えた。CEはガンダム世界でも修羅の世界、一度目の大戦で核とジェネシスの大量破壊兵器の打ち合いで民族浄化の殺し合い、二度目の大戦はレクイエムによる民族浄化、その後も戦争は続く、戦争の影にいる、ブルーコスモス、ロゴス、アコード、一族などもいる。僕は体や能力はキラ・ヤマトかもしれない、でも心は21世紀にいきた人間だ。とてもこの世界で生きている自信がない。
しかし、両親やアスラン、レノアさんと一緒に過ごしていると、この人たちを死なせたくないとも思うようになった。そのため僕は、ロボットの設計図を自由研究で作るようになった。
そして、幼年学校卒業の時にアスランからこのような話を受けた
「キラ、お前も僕とプラントに来ないか? プラントなら……僕たちの事を秘密にすることだってないんだ」
すがるような、ひどく切実な響きを帯びて、アスランが僕を誘って来る。
この月面都市コペルニクスにおいても、自分たちが遺伝子操作を受けた『コーディネイター』であるという事実は、忌避されるべき秘密のような扱いだった。反コーディネイター感情の波は月にも届いており、僕とアスランは幼年学校の誰にも、互いにしかその事実を明かしていない。共有した秘密は、僕たちの絆をより一層強いものにしていた。
アスランの言う通りだ。プラントに行けば、もう自分を偽る必要はない。
本当は、アスランと一緒にプラントへ行きたい。行けるものなら、僕だってこの先ずっと、アスランと離れたくない。ヘリオポリスで待ち受ける地獄を知っているからこそ、今すぐ彼の手を取って、安全なゆりかごへ逃げ込んでしまいたいという強烈な誘惑に駆られる。
でも、ここで僕がプラントに渡ってしまったら、歴史はどうなってしまう?
アークエンジェルは沈むだろう。そうなるとどうなのか分からない。でも僕はアスランの手を取った。
アスランsid
キラ・ヤマトという人間を端的に言い表すなら、「筋金入りの怠け者」であり、「とびきりの甘ったれ」であり、そして「どうしようもなく放っておけない奴」だった。
「ねえ、アスラン。これ、アスランなら出来るでしょ?」
それが、彼の口癖だった。幼年学校の課題にせよ、日常のちょっとした厄介事にせよ、キラはすぐに僕の名前を呼ぶ。自分でもやろうと思えば難なくこなせるだけのずば抜けた頭脳とセンスを持っているくせに、彼はとにかく面倒くさがり屋で、息を吐くようにその作業を僕へと丸投げしてくるのだ。
今回の卒業課題であるペットロボットにしてもそうだった。
「僕、プログラム組むから、あとはアスランお願いね。アスランの手先が器用なところ、僕すっごく頼りにしてるんだから」
そう言って、悪びれる様子もなくへにゃりと笑う。キラが担当したソフトウェアは、信じられないほどの処理速度と完璧な挙動を示す芸術的なコードで瞬く間に完成していたというのに、一番手間と時間のかかるハードウェアの構築──微細なモーターの組み込みや、鳥らしい滑らかな関節の設計──は、すべて僕の机の上に積み上げられた。
「お前なぁ……少しは自分でやろうという気はないのか」
「だって、アスランの方が上手だもん。僕がやるより、アスランが作った方が絶対に可愛い鳥さんになるよ。ね、アスラン?」
「……お前って奴は」
口では呆れたようにため息をつきながらも、僕は結局、キラの頼みを断り切れない。
同世代で孤立している僕にとっては、キラは弟のような存在だった。
最初に会ったときに倒れたの保健室に連れてきたのが縁で親友になった。
キラはプログラムの天才であったが、めんどくさがり屋で臆病な性格だった。
僕が家に泊まっているときも一番喜んでくれたのはキラで自分の部屋に帰るときに泣いてしまうのもキラだった。
そんなほっとけない性格なのでいつも一緒に過ごしていた、お母さんからもキラ君は弟みたいと言われる。音尾さんは仏頂面であったが友人ができたのは喜んでいる様子だ。
その弟分のキラは時々悲しい顔や憂鬱そうな顔をしている。
ニュースで「大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国はプラントの経済制裁を行い、それにプラントが反対を表明しています」「ブルーコスモスがコーディネーターにテロを行っています」などと流れていると、とても悲し顔をしていた。まるでこれから未来が絶望しかないような感じだ。
ペットロボのトリィが完成、幼年学校の卒業式に僕は決心したキラを
「キラ、お前も僕とプラントに来ないか? プラントなら……僕たちの事を秘密にすることだってないんだ」
頼む、頷いてくれ。僕と来てくれ、キラ。
プラントなら、ブルーコスモスのテロに怯えることもない。お前が何に絶望しているのかは分からないけれど、僕が、お前をその見えない恐怖から守ってやるから。
そう祈るような思いを込めて、僕はどうしようもない僕の親友を見つめていた。
キラsid
アスランの言葉を、そして彼がその時に見せた、すがるような、ひどく切実な瞳の色を、僕は頭の中で何度も何度も反芻していた。
僕は嬉しかった。アスランは兄の存在で僕のことを甘えさせてもらっている。
前世の記憶にある原作アニメでの別れ際は、確かもっとフワッとしていたはずだ。「その内キラもプラントに来るんだろ? 待ってるからな」くらいの、いずれまた会えることを疑わない無邪気な少年の約束、といった雰囲気だったと記憶している。だけど、現実の彼からあんな風に、僕という存在を失うことを恐れるような声音で言われてしまうと、絶対に断れない。というか、僕自身の本音が「断りたくない」「離れたくない」と激しく主張しているのだ。
まるで、恋人のように
ともかく、僕は決意した。
このまま原作のレールに乗ってヘリオポリスに行けば、僕は否応なしにストライクに乗せられ、アスランと殺し合うことになる。それだけは絶対に避けたい。未来の地球やプラントがどうなるかよりも、今はただ、目の前の親友の手を離したくなかった。
僕は家に戻りこの世界に『キラ・ヤマト』として生まれ落ちてから初めて、両親である父のハルマと母のカリダへ、とびきりのワガママを言うことにした。
「アスランと一緒にプラントにプラントの学校に行きたい!」
最初は反対されたが、僕の強い説得とアスランの母親の説得があり、両親は納得してくれた。準備ができたらプラントに行こうと、僕はすぐにアスランに報告して、アスランも喜んでもらった。
後で話を聞いたら、コペルニクスでブルーコスモスのテロの未遂事件があったのでその影響でレノアさんが僕の両親を説得してくれたそうだ。