昭和十八年十一月下旬。
ラバウル基地。
南海の要塞は、ついに直接の脅威に晒されていた。
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敵空母機動部隊。
敵輸送船団。
敵上陸部隊。
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もはや誰の目にも明らかだった。
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アメリカ軍はラバウルを占領するつもりだ。
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◇
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夜明け前。
神崎隼人は飛行場に立っていた。
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並ぶ零戦。
艦爆。
陸攻。
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その数は以前より大きく減っていた。
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それでもまだ相当な戦力が残っている。
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「全部守り切れるかな」
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村田が呟いた。
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神崎は答えられなかった。
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◇
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その頃。
沖合では敵艦隊が接近していた。
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戦艦。
巡洋艦。
駆逐艦。
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そして輸送船団。
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その数は圧倒的だった。
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◇
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午前六時。
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最初の砲弾が飛来した。
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轟音。
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地面が揺れる。
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海軍砲撃だった。
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◇
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「艦砲射撃!」
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「全員退避!」
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兵士たちが走る。
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次の瞬間。
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飛行場の端で巨大な爆発が起きた。
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土砂が空高く舞い上がる。
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◇
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神崎たちは急いで発進準備を進めた。
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飛べる機体は飛ばす。
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少しでも多く。
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少しでも遠くへ。
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零戦が離陸する。
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また一機。
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さらに一機。
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滑走路から飛び立っていく。
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◇
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しかし。
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全ては間に合わなかった。
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◇
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敵爆撃機隊が現れたのである。
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ヘルキャットの護衛を伴い。
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大編隊で。
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◇
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爆弾投下。
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格納庫直撃。
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火柱が上がる。
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◇
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神崎は上空からそれを見た。
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格納庫の屋根が吹き飛ぶ。
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中にいた機体が炎に包まれる。
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◇
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また別の格納庫。
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さらに別の格納庫。
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爆発。
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炎上。
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黒煙。
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◇
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「くそっ!!」
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神崎は叫ぶ。
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どうすることもできない。
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飛んでいる機体は戦える。
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だが地上の機体は無力だった。
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◇
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爆撃は続く。
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燃料庫が誘爆する。
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巨大な火柱が空へ伸びた。
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◇
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その炎は周囲の機体へ燃え移る。
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零戦。
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九九艦爆。
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一式陸攻。
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次々と炎に飲まれていく。
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◇
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空中にいた搭乗員たちは言葉を失った。
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自分たちの基地が燃えている。
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自分たちの翼が燃えている。
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◇
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昼頃。
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飛行場は火の海だった。
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滑走路には爆弾穴。
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格納庫は崩壊。
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整備施設も破壊された。
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◇
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そして。
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飛んでいた機体を除き。
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地上に残されていた航空機はほぼ全て失われた。
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◇
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数百機近い航空機。
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長い時間をかけて集めた戦力。
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それが一日で消えた。
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◇
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午後。
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敵上陸部隊が海岸へ到達する。
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艦砲射撃の援護を受けながら。
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上陸艇が押し寄せる。
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ラバウル守備隊も応戦した。
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機関銃。
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迫撃砲。
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野砲。
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ありったけの火力を叩き込む。
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だが敵は止まらない。
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次々と上陸してくる。
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兵力差は圧倒的だった。
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その頃。
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鬼塚大尉はまだ入院中だった。
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包帯だらけの身体。
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だが病室の窓から黒煙を見ていた。
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◇
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「まさか本当に来るとはな」
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呟く。
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その声は静かだった。
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◇
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夕方。
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神崎たち迎撃隊が帰投する。
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しかし。
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帰る飛行場がなかった。
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滑走路は穴だらけ。
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炎上する施設。
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燃える航空機。
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立ち上る黒煙。
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◇
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神崎は胸が締め付けられるのを感じた。
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一年前。
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初めて見たラバウル。
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巨大で。
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力強く。
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絶対に落ちないと思った基地。
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その姿はもうどこにもなかった。
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◇
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残された航空機はわずか。
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しかも空にいた機体だけ。
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地上の機体は全滅に近かった。
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◇
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夜。
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緊急会議。
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司令部地下壕。
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鬼塚も無理を押して参加していた。
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◇
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「航空戦力は壊滅的損害」
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参謀が報告する。
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「飛行可能機は出撃中だった機体のみ」
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誰も喋らない。
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そして鬼塚が口を開く。
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「ならば飛べる機体を残せ」
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「隊長……」
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神崎が顔を上げる。
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◇
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「ここから先は消耗戦だ」
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鬼塚は地図を見る。
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敵は海岸部を確保しつつある。
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しかし内陸部はまだ日本軍の支配下だった。
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◇
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「飛べる者は飛ぶ」
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「戦える者は戦う」
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「ラバウルはまだ終わっていない」
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◇
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その言葉に神崎は静かに頷いた。
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基地は燃えた。
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仲間も失った。
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航空機も失った。
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だが。
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まだ生きている。
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まだ飛べる。
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こうしてラバウル攻防戦は新たな段階へ入る。
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正面決戦は終わった。
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これから始まるのは。
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ジャングルと山岳地帯を舞台にした持久戦。
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そして神崎たち残存航空隊による、最後の空の戦いだった。
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