ラバウルの鷹   作:UMC OGASOU

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第十八話 最後の反撃

 

 

 昭和十九年三月。

 

 ラバウル。

 

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 畑のサツマイモは少しずつ育っていた。

 

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 兵士たちは交代で水を運ぶ。

 

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 搭乗員も。

 

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 整備兵も。

 

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 士官も。

 

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 皆同じだった。

 

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 かつて敵空母を追っていた男たちは、今では畑の雑草を抜いている。

 

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 誰も想像しなかった未来だった。

 

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 しかし。

 

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 その平穏は突然終わる。

 

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 地下司令部。

 

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 神崎、佐伯、鬼塚、そして残存航空隊の搭乗員たちが集められた。

 

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 司令官の顔は険しい。

 

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「命令を伝える」

 

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 室内が静まり返る。

 

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「敵輸送船団を発見した」

 

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 全員の目が見開かれる。

 

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 輸送船団。

 

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 久しぶりに聞く言葉だった。

 

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「規模は不明」

 

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「ただし、敵上陸部隊への補給物資を積載している可能性が高い」

 

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 地図に赤い印が付けられる。

 

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 ラバウル東方海域。

 

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「これを叩く」

 

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 沈黙。

 

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 そして理解する。

 

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 最後の反撃だ。

 

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 飛べる機体は十機にも満たない。

 

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 燃料も不足している。

 

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 弾薬も少ない。

 

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 それでも出る。

 

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 それが命令だった。

 

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 会議終了後。

 

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 神崎は愛機を見上げる。

 

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 零戦二一型。

 

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 もう原形を保っているのが不思議なほどだった。

 

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 主翼も。

 

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 胴体も。

 

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 補修跡だらけ。

 

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「まだ飛ぶか」

 

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 神崎が呟く。

 

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 村田が工具箱を閉じる。

 

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「飛ばします」

 

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「無茶言うな」

 

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「今さらですよ」

 

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 二人とも笑った。

 

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 もう何度目か分からない会話だった。

 

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 翌朝。

 

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 まだ暗いうちから準備が始まる。

 

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 燃料は最低限。

 

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 弾薬も最低限。

 

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 飛行可能機。

 

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 零戦七機。

 

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 九九艦爆二機。

 

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 合計九機。

 

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 これが。

 

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 かつて数百機を誇ったラバウル航空隊の全戦力だった。

 

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 鬼塚大尉も参加する。

 

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 完全には回復していない。

 

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 それでも乗る。

 

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「隊長、本当に大丈夫ですか」

 

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 神崎が聞く。

 

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 鬼塚は笑った。

 

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「最後かもしれんからな」

 

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 誰も反論しなかった。

 

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 午前五時。

 

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 発進。

 

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 九機の航空機がジャングルの上を飛ぶ。

 

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 朝日が昇る。

 

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 海が輝いている。

 

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 美しい景色だった。

 

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 戦争さえなければ。

 

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 二時間後。

 

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 敵船団発見。

 

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 神崎は息を呑む。

 

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 輸送船。

 

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 駆逐艦。

 

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 護衛艦。

 

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 確かに存在していた。

 

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 数は多くない。

 

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 だが守りは堅い。

 

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「攻撃開始」

 

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 鬼塚の声。

 

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 九機が急降下する。

 

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 敵艦隊も気付いた。

 

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 対空砲火。

 

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 無数の曳光弾。

 

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 空が赤く染まる。

 

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 九九艦爆が突入。

 

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 爆弾投下。

 

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 命中。

 

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 輸送船中央部で爆発。

 

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 炎が上がる。

 

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「やった!」

 

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 佐伯が叫ぶ。

 

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 だが。

 

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 次の瞬間。

 

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 艦爆一機が被弾。

 

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 黒煙を吹く。

 

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 海へ墜落。

 

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 大きな水柱。

 

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 帰ってこない。

 

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 神崎は歯を食いしばる。

 

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 それでも攻撃を続ける。

 

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 零戦隊が護衛艦へ機銃掃射。

 

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 橋楼へ弾丸が突き刺さる。

 

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 甲板が混乱する。

 

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 鬼塚も攻撃に加わる。

 

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 傷だらけの機体。

 

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 傷だらけの搭乗員。

 

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 それでも戦っている。

 

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 やがて。

 

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 敵船団は散開を始めた。

 

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 輸送船一隻炎上。

 

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 護衛艦一隻損傷。

 

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 大戦果とは言えない。

 

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 だが。

 

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 確かな打撃だった。

 

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 帰路。

 

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 全員が疲れ切っていた。

 

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 燃料も限界。

 

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 神崎は編隊を見る。

 

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 出撃時九機。

 

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 帰還は八機。

 

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 また一人。

 

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 仲間が減った。

 

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 ラバウルへ戻る。

 

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 畑が見える。

 

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 焼け跡の飛行場が見える。

 

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 ジャングルが見える。

 

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 そして神崎は思う。

 

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 これが本当に最後の反撃かもしれない。

 

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 もう大規模攻撃を行う力は残っていない。

 

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 着陸後。

 

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 村田たち整備兵が迎える。

 

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 皆、少しだけ笑顔だった。

 

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 久しぶりに戦果があったからだ。

 

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 夜。

 

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 焚火の前。

 

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 鬼塚が静かに言う。

 

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「よくやった」

 

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 その言葉だけだった。

 

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 だが神崎には十分だった。

 

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 遠くで砲声が響く。

 

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 敵軍はまだいる。

 

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 戦争も終わらない。

 

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 しかし。

 

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 ラバウル航空隊はまだ生きていた。

 

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 たとえ翼を失っても。

 

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 たとえ栄光が消えても。

 

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 まだ終わっていない。

 

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 その頃。

 

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 敵軍司令部では新たな作戦が準備されていた。

 

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 ラバウル内陸部への総攻撃。

 

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 要塞そのものを潰すための攻勢である。

 

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 そして神崎たちは、ついに空だけでなく地上でも戦うことになる。

 

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