ラバウルの鷹   作:UMC OGASOU

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第四話 敗報

 

 

 昭和十七年六月下旬。

 

 ラバウル基地。

 

 朝から空気がおかしかった。

 

 整備兵たちも。

 

 搭乗員たちも。

 

 通信兵たちも。

 

 皆どこか落ち着かない。

 

 理由は誰も口にしない。

 

 だが全員が分かっていた。

 

 あの噂だ。

 

 一航戦。

 

 二航戦。

 

 空母部隊。

 

 大敗北。

 

 様々な話が飛び交っている。

 

 そして今日。

 

 飛行隊全員に集合命令が出た。

 

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 格納庫前。

 

 数百人の将兵が整列している。

 

 零戦搭乗員。

 

 爆撃機搭乗員。

 

 整備兵。

 

 通信兵。

 

 衛兵。

 

 誰も私語をしない。

 

 異様な静けさだった。

 

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 やがて司令部から将校たちが現れる。

 

 先頭に立つ司令官の顔は険しい。

 

 神崎は嫌な予感を覚えた。

 

 隣を見る。

 

 佐伯も同じ顔をしていた。

 

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 司令官はしばらく黙った。

 

 そして。

 

 低い声で語り始める。

 

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「諸君」

 

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 風が吹く。

 

 南国の暖かい風。

 

 しかし誰も暑さを感じていなかった。

 

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「本日は重要な報告がある」

 

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 静寂。

 

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「去る六月上旬」

 

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 司令官は続けた。

 

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「中部太平洋方面において大規模海戦が発生した」

 

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 神崎の心臓が強く脈打つ。

 

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「我が海軍は敵機動部隊と交戦」

 

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 嫌な予感。

 

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「結果――」

 

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 一瞬。

 

 司令官は言葉を止めた。

 

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「空母四隻を失った」

 

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 その瞬間だった。

 

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 全員の呼吸が止まった。

 

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 神崎は聞き間違いだと思った。

 

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 四隻。

 

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 四隻?

 

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 空母を?

 

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 日本海軍が?

 

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 あり得ない。

 

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 周囲も完全に凍りついている。

 

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 司令官は続ける。

 

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「沈没したのは」

 

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 誰も動かない。

 

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「赤城」

 

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 神崎の目が見開かれる。

 

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「加賀」

 

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 誰かが息を呑む。

 

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「蒼龍」

 

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 信じられない。

 

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「飛龍」

 

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 沈黙。

 

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 絶対的な沈黙だった。

 

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 一航戦。

 

 そして二航戦。

 

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 日本海軍最強の空母群。

 

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 真珠湾攻撃を行った伝説の部隊。

 

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 その主力が一日で消えた。

 

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 そんなことがあるのか。

 

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 神崎は理解できなかった。

 

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 隣の佐伯も顔色を失っている。

 

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「……嘘だろ」

 

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 小さな声。

 

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 誰かの呟きだった。

 

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 しかし誰も咎めない。

 

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 全員が同じことを思っていたからだ。

 

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 司令官はさらに続けた。

 

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「多数の熟練搭乗員も失われた」

 

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 その一言が重かった。

 

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 空母は作れる。

 

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 時間はかかる。

 

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 だが作れる。

 

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 しかし。

 

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 熟練搭乗員は違う。

 

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 十年近い訓練。

 

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 数々の実戦経験。

 

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 それらを持つ人材は簡単に補充できない。

 

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 神崎は初めて気付いた。

 

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 この敗北は艦を失っただけではない。

 

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 日本海軍航空隊の心臓そのものを失ったのだ。

 

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 解散後。

 

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 飛行場は異様な静けさに包まれていた。

 

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 いつも騒がしい整備兵たちも口数が少ない。

 

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 誰もが考え込んでいる。

 

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 神崎は格納庫へ向かった。

 

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 そこでは村田が零戦を整備していた。

 

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 だがいつもの元気がない。

 

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「村田」

 

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「はい」

 

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「大丈夫か」

 

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 村田は少し笑った。

 

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「正直、信じられません」

 

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 レンチを握る手が止まる。

 

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「赤城が沈むなんて」

 

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 神崎も何も言えなかった。

 

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 赤城。

 

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 海軍航空隊にとって特別な存在。

 

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 多くの搭乗員の憧れだった。

 

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 その名が消えた。

 

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 あまりにも大きかった。

 

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 その夜。

 

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 宿舎。

 

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 酒を飲む者はいなかった。

 

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 笑い声もない。

 

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 ただ静かな時間が流れる。

 

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 佐伯がぽつりと言った。

 

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「なあ」

 

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「なんだ」

 

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「俺たち、勝てるのかな」

 

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 神崎は驚いた。

 

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 佐伯がそんなことを言うのは初めてだった。

 

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 いつも明るい男だった。

 

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 だからこそ重かった。

 

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「分からない」

 

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 神崎は正直に答えた。

 

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「でも」

 

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「?」

 

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「負けるつもりはない」

 

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 佐伯は少し笑った。

 

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「そうだな」

 

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 二人は窓の外を見る。

 

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 夜空には無数の星。

 

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 南十字星も見える。

 

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 美しい夜だった。

 

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 だが。

 

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 戦争は確実に変わり始めていた。

 

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 翌日。

 

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 鬼塚大尉が飛行隊を集めた。

 

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「昨日の話は聞いたな」

 

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「はい」

 

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「落ち込むなとは言わん」

 

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 鬼塚は真っ直ぐ全員を見る。

 

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「だが俺たちは飛行隊だ」

 

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 その声は力強かった。

 

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「空母が沈もうが」

 

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「戦艦が沈もうが」

 

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「俺たちの仕事は変わらん」

 

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 全員が耳を傾ける。

 

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「敵が来たら迎撃する」

 

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「仲間を守る」

 

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「生きて帰る」

 

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「それだけだ」

 

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 単純だった。

 

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 だが。

 

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 その言葉に救われた者も多かった。

 

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 数日後。

 

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 ラバウル基地へ新たな命令が届く。

 

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 南東方面への攻勢強化。

 

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 ガダルカナル方面への航空作戦。

 

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 多くの搭乗員は知らなかった。

 

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 その島の名が。

 

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 これから始まる地獄の入り口であることを。

 

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 神崎も知らない。

 

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 佐伯も知らない。

 

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 鬼塚も。

 

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 村田も。

 

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 誰も知らない。

 

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 だが歴史は静かに動き始めていた。

 

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 そしてラバウル航空隊は、やがてその渦の中心へ巻き込まれていく。

 

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