勇者として召喚された社畜、王女による魔力供給がないと死ぬブラック環境に配属。『解析』『構築』能力を悪用して王国も正義も神も容赦なく破壊する。   作:筆負野ユウ

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第70話 腰巾着

サボエ近郊の王国軍陣地へ着いたのは、ハンブディフを発って三日目の夕刻だった。

二日で着くはずの道に、三日近くかかった。

 

味方の陣へ戻った。

そのはずなのに、出迎えられたという感じはしない。

 

街道の両脇に旗が立っている。

 

王太子直属軍。

各地の諸侯。

騎士。

傭兵団。

 

数だけなら、まだ軍勢らしく見えた。

 

従士が折れた旗竿を抱えたまま、ぼんやりと立っている。

隊長を探してか、同じ場所を何度も行き来する兵がいる。

鎧を脱ぐ気力もないのか、道端へ座り込んだ騎士もいた。

 

天幕の間では負傷者が呻いている。

地面へ敷かれた外套の上に、脚や腕を固定された男が並んでいた。

その少し先には、もう医官が寄りつかない者たちがまとめられている。

 

俺たちへ歓声を上げる者はいなかった。

何人かがルナを見た。立ち上がろうとした兵もいたが、途中で諦めた。

 

ルナは馬上から頭を下げた。

それだけだった。

 

俺にも、何を言えばいいのか分からない。

 

三日前まで、俺たちはハンブディフが降るかどうかを気にしていた。

今となっては、ずいぶんと小さな話に思えた。

 

◇◇

 

ハンブディフの態度の硬化を使者が持ち帰ったその日。

返答自体は、前日と同じだった。

 

検討中。

 

「皆が、妙に落ち着いておりました」

 

使者はそう言った。

 

昨日まで顔色の悪かった役人が、今朝は胸を張っていた。

守備兵の動きにも張りが戻っている。

 

俺たちが知らない、なにかが起こった。

 

そう考えたしばらく後、早馬が来た。

 

サボエ東、丘陵地帯での会戦において、戦況は我が方に優位に推移せしが、作戦の最終局面に至り、パールス軍による不測の介入が発生。

これがミストラティ軍の残存兵力と予期せぬ合流を果たしたため、戦域の兵力均衡が一時的に変動せり。

敵軍の攻勢は苛烈を極めたが、我が本隊は敵の意図を破砕するため、予備計画に則り転進を敢行。

現在、サボエにて速やかに、部隊の再編を行っている。

 

なるほど。

 

まったく分からない。

 

いや、分かる。

 

パールスがミストラティへ加勢した。

レオトバイの本隊は負けた。

再編が必要なくらい、派手に負けた。

 

命令の方は簡単だった。

 

ハンブディフ攻略を中止。

別動隊は即時撤収し、サボエ方面の本隊へ合流せよ。

 

「鳩か」

 

城壁を見ながら呟く。

 

「ハンブディフには、俺たちより先に伝わってたんだろ」

 

伝書鳩か。狼煙か。それ以外か。

 

正確な方法は分からない。

だが、向こうは、王国本隊の敗北を知っていた。

 

だから態度が変わった。

もう降る必要がない。

 

仮に俺たちがハンブディフを落としても、敵地の中で孤立するだけだ。

王国軍は城を維持できない。

近づいている援軍を迎え撃つ余裕もない。

 

昨日、俺は明日中に降伏しろと脅した。

評議会は、それまでに返答すると約束した。

その期限を待てなくなったのは、こちらだった。

 

ルナは城壁を見ていた。

やがて、その視線を避難民へ移す。

 

「彼らは……」

 

言葉が止まった。

 

ノアが答える。

 

「連れてはいけません」

 

「では、ここに残ることは」

 

「無理だよ」

 

俺が口を挟んだ。

 

「食料がない。敵の援軍も来る。仮に残って敵を追い返せたとして、その後はどうするんだ」

 

ルナが俺を見る。

 

「王国軍がここに居座る方が、あいつらにとって迷惑だろ」

 

言い返されるかと思った。

ルナは何も言わなかった。

 

避難民の列では、ペトルが村の者たちを押しとどめていた。

イリナは子どもたちのそばにいた。

 

俺は残せる麦袋を回していた。

 

約束を守ったと言える量ではない。

約束を忘れていないと示せる程度だ。

 

ペトルは荷袋を見た。俺を見た。

それから、何も言わずに頭を下げた。

 

俺たちはハンブディフの返答を待たず、城壁へ背を向けた。

 

◇◇

 

サボエまでの道に、人の姿はなかった。

 

村は残っている。

 

家もある。

畑もある。

かまどには灰が残っていた。

 

だが、鍋も食料も家畜も消えている。

 

収穫期を迎えかけた黒麦は刈られ、まだ青い豆まで根ごと抜かれていた。

王国軍へ残すくらいなら、持てるだけ持って森へ逃げたのだろう。

いや、王国軍が持って行ったのかもしれない。

 

井戸の一つには糞が投げ込まれていた。

 

別の井戸には、腹を裂かれた犬が沈められていた。

 

街道は三度塞がれていた。

 

倒木。

岩。

横倒しにした荷車と、掘り返した土。

 

兵が取り除く間、行軍は止まる。

 

森の奥で枝が鳴った。

視線を向けても、人影は見えない。

姿を見せる気はないらしい。

 

ハンブディフの前へ集まった避難民とは別の人間だろう。

あの避難民たちは、少なくともルナから食料を受け取った。

城壁へ向かってルナが頭を下げる姿も見た。

 

この道沿いの住民にとって、俺たちはただの侵略軍だった。

 

井戸を潰す。

道を塞ぐ。

 

それだけで行軍に支障が出る。

ルナの隊ですら、この扱いだ。

 

略奪と狼藉を繰り返した本隊が、同じ道を敗れて戻ればどうなるか。

 

あまり考えたくなかった。

 

◇◇

 

現在、サボエの城壁には、ミストラティ側の旗が掲げられたままだ。

 

王国軍は城を攻めてはいない。

少数の部隊を城壁側へ残し、守備隊が打って出るのを抑えている。

 

主力は東を向いていた。

その向こうに、ミストラティとパールスの連合軍がいる。

 

敵は攻めてこない。

王国軍も動かない。

 

その間に、陣内では帰国の準備が進んでいる。

 

荷車は西向きに並べ直されていた。

壊滅した部隊の残兵が所属ごとに集められ、指揮官の残る近縁の軍勢へ仮に預けられている。

 

陣の奥へ進むほど、トラキス公と、その派閥に属する諸侯の旗が増えた。

 

隊長がいる。

伝令が行き先を知っている。

号令が出れば、まとまって動く。

 

王太子直属軍の旗の下には、それがない。

簡単に言えば、指揮系統が崩壊しているのだろう。

 

「随分、トラキス公派が幅を利かせてるな」

 

俺が言うと、ノアの表情が硬くなった。

 

「幅を利かせている、で済めば良いが」

 

「どういうこと?」

 

ノアは周囲を確かめ、声を落とした。

 

本隊がどう敗れたのか。

 

ハンブディフからの道中でも報告は届いていたが、俺が聞いていたのは断片的だった。

 

ミストラティ軍は、射撃戦の後に崩れたように退いた。

王国軍は好機と見て追撃を行った。

ミストラティ軍は反転し、突出した騎士を各個に包囲した。

救援の歩兵も前へ出た。

戦列は伸び、各隊の連絡が切れた。

 

そこへ、翌日到着するはずだったパールス軍が現れた。

予測より一日早く。

 

「あの巨体で、通常の軽騎兵より速く進むとは、物見も考えなかったらしい」

 

ノアの声には、物見を責める調子はなかった。

 

人間の常識で到着時刻を見積もった。

その常識が間違っていた。

 

「トラキス公の軍は?」

 

ノアは言葉を選んだ。

 

「少なくとも、他の軍の騎士が丘の向こうで包囲されている間、公爵の旗下は大きく動かなかった」

 

結果として、トラキス公派の軍勢は戦力を残した。

 

王国軍の戦列が崩れた後、温存した兵力で追撃を牽制し、敗残兵を収容した。

 

各隊をまとめながら、サボエまで後退した。

 

王太子の軍が壊れた。

トラキス公の軍は残った。

 

だからいま、陣内の再編を差配しているのも彼らだ。

 

「王太子殿下が総司令官であることに変わりはない」

 

ノアは言った。

 

「だが、命令を実行できる軍勢の多くが、トラキス公の旗下にある」

 

王太子は頭だ。

だが、手足の多くをトラキス公から借りている。

 

なるほど。

 

それで、どの旗も妙に大きく見えるわけだ。

 

◇◇

 

陣地の入口で、俺たちの到着を確認していた騎士が膝をついた。

 

「王女殿下。御身のご無事、これに勝る果報はございません」

 

ルナが微笑んで挨拶を返すと、騎士が続けた。

 

「各旗下の兵数と、負傷者の状況をお願いいたします」

 

儀礼もそこそこに実務の話。

 

これにはノアが答える。

 

「出発時、三千余。戦闘は行っていないが、行軍中の脱落者が数十。詳細は点呼後に提出する」

 

書記が羊皮紙へ記録する。

 

「別動隊は、到着をもって本隊の行軍序列へ編入されます。各諸侯、騎士団、傭兵団の編制は維持したまま……」

 

「待て」

 

ノアが遮った。

 

「誰の命令だ」

 

「王太子殿下の御命令です」

 

答えたのは、騎士ではなかった。

 

荷車の間から、一人の男が歩いてくる。

泥の跳ねた外套。

袖には乾いた血。

所々、傷の付いたプレートアーマー。

 

それでも、王宮で見た時と同じように背筋を伸ばし、敗軍の中を自分の庭でも歩くように進んでくる。

 

マリウス=グーリン伯爵。

 

以前、トラキス公の隣でルナを窘めていた男だ。

 

「王女殿下。ご無事で何よりでございます」

 

綺麗な礼だった。

 

「兄上は」

 

ルナがすぐに尋ねる。

 

「お怪我はございますが、ご自身で指揮を執っておられます」

 

ルナの握っていた手綱が、わずかに緩む。

 

「お会いできますか」

 

「もちろんです」

 

マリウスは微笑んだ。

 

「その前に、別動隊の編入を済ませていただきます」

 

ルナが兄に会いたがっていることなど、優先順位の外らしい。

 

王女を待たせることに、気後れした様子もない。

 

ノアが一歩出る。

 

「手続きは代行する。殿下を、先に王太子殿下のもとへ」

 

「承知しました」

 

マリウスはあっさり答えた。

 

「では、ラッチェンス卿はここへお残りください。王女殿下は私がご案内いたします」

 

「私が殿下に同行する」

 

「編入の責任者も必要です」

 

「ララ、頼んだ」

 

数秒の沈黙。

 

振られたララも、俺も、理解するのにそれだけの時間がかかった。

理解するのを脳が拒んだとも言える。

 

「は、はぁ?! 私が?!」

 

いや、別に何もおかしくはないのだ。

 

ララはこれでも、伯爵家の次期当主として教育を受けている――はずだ。

簡単な手続きくらいはできる――はずだ。

 

本人の反応は、その確信をかなり揺るがせた。

 

「出来るのか」

 

俺はララに近づくと小声で言った。

 

「……ああ、まあ読み書きは出来るさ。大丈夫」

 

しかし、なんでわざわざララに。

護衛をララに任せて、手続きはノアがやればいいのでは。

 

そんな疑問が顔に出ていたのか、ララが教えてくれる。

 

「ノアとマリウスの確執はなんとなく知ってるだろ? ルナ殿下をマリウスに預けて目を離したくないんだよ」

 

「え、あの男がルナに何かするって言うのか」

 

「まさか。でも、まあ、感情の問題だな」

 

ララは『やれやれ』とでも言うような態で、書記の方へと向かう。

本当に手続きをやるようだ。

 

「王女殿下の直率する私兵は、中央の行軍列へ。旗下の諸侯軍と傭兵団は、編制を維持したまま各列へ配置します」

 

マリウスが言うと、ノアの目がさらに厳しくなる。

 

「殿下の護衛は」

 

「基本的には、その直卒で。まあ、必要な軍勢は残しますよ」

 

「誰が必要を決める」

 

「私です」

 

即答だった。

 

「王太子殿下より、全軍再編の差配を任されておりますので」

 

誇らしい風でもなく。

大任に畏まる風でもなく。

自分が決めるのは当然だという態度。

 

ノアの口元が固くなる。

 

「公爵閣下の兵が多く残ったからか? 腰巾着のお前に随分と大きな権限を持たせたものだ」

 

ノアが言った。

 

マリウスは少し首を傾けた。

 

「伯爵位は、会戦以前より頂いておりますが」

 

「そういう話ではない」

 

「でしたら、誤解のない言葉をお使いください。皆、忙しいのですから」

 

わざとかと思うほど、いちいちノアの神経を逆撫でする。

だが、声を荒らげない。

礼も崩さない。

 

そのせいで、ノアの方だけが喧嘩を売っているように見える。

 

「王太子殿下がお待ちです」

 

マリウスはルナへ一礼し、そのまま歩き出した。

 

ついて来いということらしい。

 

◇◇

 

「昔から、ああなのか?」

 

マリウスの背中を見ながら、ノアへ尋ねる。

 

「傲慢さの話であれば、昔からだ」

 

答えが早かった。

 

「ルナ付きの騎士だったんだよな」

 

「元々、奴は次男だ。家督を継げぬ身ゆえ、ルナ殿下の元で立身を企てたのだろう」

 

騎士とは、国に雇われた職業軍人の名ではない。

王族や諸侯から称号を受け、その人物に仕える者だ。

貴族の次男三男が王族の騎士となり、そこで身を立てるのも珍しくない。

 

王族や貴族がその称号を与えれば、そいつは『ルナ王女の騎士』『トラキス公の騎士』となる。

 

「兄が亡くなり、続いて父も亡くなった。家督を継いだ途端、公爵のもとへ戻った」

 

「昔からトラキス公寄りの家なんだろ?」

 

「殿下のお人柄を敬愛しているように振る舞いながら、立場が変われば簡単に背を向けた」

 

「貴族らしい立ち回りじゃないか」

 

「変わり身が早いだけの蝙蝠だ」

 

ノアは吐き捨てた。

 

マリウスは少し前を歩いている。

聞こえていてもおかしくない。

しかし、振り返らなかった。

 

敗れた王家の軍を、トラキス公派が収容した。

 

そして、その公爵派閥の中で出世した元王女の騎士が、伯爵以上の顔をして軍を仕切っている。

 

なるほど。

 

絵に描いたような腰巾着だ。

 

◇◇

 

前方で、兵の声が上がった。

 

「待て! やめぬか!」

 

荷車の前に、一人の男が立ちはだかっている。

 

四十を少し過ぎたくらい。

外套の胸元にある紋章から、男爵だと分かった。

 

食料を積んだ荷駄から、兵たちが一人の負傷者を降ろそうとしているようだ。

穀物袋の陰へ隠されていたらしい。

 

腹へ巻かれた布は、ほとんど黒く染まっている。

意識はない。

 

今の王国軍に、助かる見込みの低い下級貴族を荷駄車で運んでやる余裕はない。

優先されるのは助かる見込みの高い下級貴族や騎士、それに死んだ上級貴族だ。

 

「彼は私の友人だ」

 

男爵は兵へ訴えた。

 

「私の配給を減らしても構わない。従者の分も要らない。私の馬も使っていい。だから、このまま連れていってくれ」

 

兵たちは困った顔をしている。

 

そこへマリウスが進み出た。

 

「食料荷駄へ負傷者を乗せることは禁じられています」

 

「これは……グーリン伯……」

 

男爵の顔が強張る。

 

「分かっております。しかし……」

 

「では、降ろしてください」

 

「ここで降ろせば死にます!」

 

男爵の声が裏返った。

 

マリウスは負傷者へ一度だけ目を向けた。

 

「負傷者の天幕へ戻せ」

 

兵士たちに指示を出す。

 

「グーリン伯」

 

男爵がマリウスの前へ回り込む。

 

「無理を承知で、お願い申し上げます。二十年近くも共に戦ってきた友なのです。私の馬も使っていい。歩きます。荷物もすべて捨てます。だから、せめて王国まで」

 

「男爵」

 

マリウスは静かに呼んだ。

 

「命令へ背き、食料荷駄へ負傷者を隠しておられた。相違ありませんね」

 

男爵は答えなかった。

 

否定もしない。

 

俺なら、この時点で斬っている。

全体の秩序の為には、ある程度の見せしめはあっていい。

 

「これ以上抗命するようであれば」

 

マリウスは剣の柄へ手を置いた。

 

声は変わらない。

 

「私も立場上、対処せねばなりませんが」

 

男爵の顔が歪んだ。

 

マリウスを見る。

剣を見る。

それから、担架へ移された友人を見た。

 

長い沈黙の後、俯いた。

 

「……分かりました」

 

従者が泣きながら道を空ける。

 

負傷者は、来た方向へ運ばれていった。

 

男爵は、その場に立ち尽くしている。

 

マリウスはもう彼を見ていなかった。

 

「荷駄を改めてください。ほかにも隠していないか、すべて確認を」

 

そう命じ、再び歩き出す。

男爵を拘束する様子はない。

 

「今の男爵も、トラキス公派か?」

 

ノアへ尋ねる。

 

「ああ、“王国の男爵”ではない。“トラキス公の男爵”だ」

 

「なるほど」

 

国王から見れば陪臣。

トラキス公にとっての直臣。

 

「それは斬りにくいな」

 

マリウスには、こちらの会話が聞こえているはずだ。

それでも振り返らない。

 

お上品な背中だった。

 

腹の立つことに。

 

◇◇

 

王太子の幕舎は、サボエの城壁と東の丘陵、その両方を見渡せる場所に置かれていた。

 

城壁側には、守備隊の出撃を抑える兵。

 

東側には、ミストラティとパールスの連合軍へ向けた戦列。

 

敵は攻めてこない。

 

王国軍が西へ荷車を並べていることも、ルナの別動隊が合流したことも、向こうから見えているはずだった。

 

「全軍はいつ動く」

 

ノアが尋ねる。

 

「明朝です」

 

マリウスが答えた。

 

「東の敵に動きは?」

 

「いまのところ、ありません」

 

「追撃しないとでも?」

 

「しないと思いますか?」

 

マリウスは何でもないことのように言った。

 

「いま陣を攻めるより、逃げる我々を追い討ったほうが楽でしょう」

 

幕舎の前で足を止める。

 

入口には王太子の近衛が立っていた。

 

その周囲には、トラキス公と派閥諸侯の旗が並んでいる。

 

マリウスが幕を上げた。

 

「王女殿下、ご到着です」

 

中では、額に包帯を巻いたレオトバイが地図の前に立っていた。

 

その隣で、トラキス公が待っていた。

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